このSSはとらハ3と灼眼のシャナとのクロスオーバーです。

主人公はいつもの設定ですが最初に言ってしまうと誰エンドというのがこのSSにはありません。

しかも下手をするとダークになってしまう可能性がありますのでそういうのが嫌いな方はお勧めできません。

あと、とらハ3の世界観を壊したくない、灼眼のシャナの世界観を壊したくないなどと言う方は読まないほうが懸命です。

以上のことを踏まえたうえで読んでみようという方はどうぞお読みください。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

復讐に狂う黒衣の鬼神

 

プロローグ

 

 

 

 

 

 

突然だった。

いつも賑やかで温かかった高町家の住人たち。

恭也が守りたかった人たち。

それが永遠に失われたのは。

あの日、家に帰った恭也の目に映った光景。

それはいつも笑顔で自分を迎えてくれた人たちがまるで死んだかのように倒れている姿。

恭也はすぐに自分の近くに倒れていた母へと向かい抱き起こす。

呼吸は……していなかった。

そしてそれは他の皆も同じだった。

絶望に沈む恭也にさらに追い討ちをかけるようにそれは起こった。

抱き起こしていた母の体がまるで徐々に透明になっていき、最後にはまるでそこにいなかったかのように消えてしまった。

そして母が消えた瞬間、自分の記憶にも異変が起こった。

それは、自分に本当に母がいたかどうかがわからなくなってしまったこと。

まるで元から母などいなかったかのような、そんな風に感じさせた。

そして母に続くように他の皆も同じように消えていった。

皆が消えた後も、母のときと同じように感じた。

恭也はもう何がなんだかわからなかくなった。

自分は狂ってしまったのか?

そう思えてならなかった。

そんなときだ。

恭也の一生を変えるあの声が聞こえたのは。

 

『悪趣味だな』

 

「!?!?」

 

声が聞こえた瞬間、恭也は辺りを見渡す。

だが、どこを見ても誰もいないし気配もない。

 

『おまえはどうする?』

 

誰もいないはずなのにその声は聞こえてくる。

 

『このまま何もしないまま消えたものたちを忘れ生きていくか』

 

「……」

 

『それとも……過去も、未来も捨てその怒りに任せ、復讐を誓うのか』

 

どちらを選ぶ。

声はそう恭也に聞いてきた。

だが、恭也の答えは聞かれるまでもなく決まっていた。

そんなことをしても皆は喜ばない。

だとしても、恭也はこのまま終わる気にはなれなかった。

 

『ふ……聞くまでもなかったようだな』

 

「ああ……」

 

『ならば、私と契約せよ。 さすればおまえはそいつと渡り合える力を手にするだろう』

 

「いいだろう……。 俺はお前と……契約する」

 

そういった恭也の目にはもはや一片の光も灯ってはいなかった。

あるのは復讐を誓う憎悪の炎のみ。

 

『契約成立だな。 私はケイトルファ……「闇の獣神」と呼ばれし者』

 

この日、あらたなフレイムヘイズが誕生した。

復讐の鬼と化したフレイムヘイズが……。

 

 

 

 

 

 

 

数年後、とある町の廃ビル。

そこに飛び交う二人の影があった。

 

「ぐ……」

 

「ふっ!」

 

影の一人は息をつく暇もないような斬撃を放ち、相手を切りつけていく。

 

「ぎゃあ!!」

 

壁に叩きつけられた影は悲鳴をあげる。

叩きつけた影はゆっくりと、ゆっくりと近づいていく。

そして己の武器、小太刀を突きつける。

 

「言え。 ――はどこにいる」

 

「だから……知らないと」

 

息を絶え絶えに切りつけられた腕を抑えながらそう言う。

その答えを聞いた影はそうかと呟いてもう一歩近づく。

 

「ならもういい。 死ね」

 

そういった瞬間、影の首はごとりと落ちる。

その表情はさきほどと変わらぬ表情。

己が死んだことすら認識もできぬまま影は逝った。

 

『今回も違ったようだな、恭也よ』

 

「そのようだな」

 

影―恭也の首に掛かっているネックレスのようなものから二人目の声が聞こえてくる。

恭也はその声に簡単に返し、小太刀を鞘に納め廃ビルの窓から飛び降りる。

三階であったのだがまるで何事もなかったかのように着地し歩き出す。

 

「次はどこだ?」

 

『ふむ、この近くの町だな。 御崎町といったか』

 

「御崎町?」

 

『ああ。 なんでもあそこには紅世の徒、王ともによく現れるみたいだな』

 

「そうか。 ならば――も現れるかもしれんな」

 

『そういうことだ。 ただその分、フレイムヘイズも何人かいるらしい。 殺るなとは言わんが目立たないようにな』

 

「わかっている」

 

二人はそんな会話をしながら闇夜を歩いていく。

次なる舞台、御崎町へと向かって。

 

 


あとがき

 

 

メントラの合間に書いた長編です。

【咲】 書くのはいいけどそっちは進んでるんでしょうね?

もちろん。 言ったでしょ? 合間だって。

【咲】 そ……ならいいけど。 それにしてもまたシリアスね〜。

シャナとのクロスは元々考えてたけどここまで暗くなるとは思わなかったな、正直。

【咲】 じゃあなんでこんな風になったわけ?

あ〜、簡単に言うと俺の癖かな。

【咲】 癖?

SSを書いてるとどうしても暗く暗く持っていこうとする。 結果無意識のうちに暗くなってしまうわけだ。

【咲】 ちょっとした病気じゃないの?

かもしれん。

【咲】 そういえばこれも長編みたいだけど長いの?

そうでもないかな。 主軸は主にアニメのほうだから。

【咲】 そ。 でも長くないからってこっちにかかりっきりになってメントラおろそかにしないように。

わかってるよ。 んじゃ、今回はこの辺で。

【咲】 また次回でね〜♪




フレイムヘイズになった恭也。
美姫 「そして、舞台は御崎へと移るのね」
そこで恭也はどんな出会いをし、どんな事を成すのか。
美姫 「次回も待ってますね」
ではでは。



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