嫌な予感を感じたのは眩い光が放たれる前。ティルオスが憎悪に満ちた言葉を放った瞬間だった。

だから眩い光が彼らの視界を埋める寸前にカールは肩の痛みを堪えながらも動き、リゼッタへと駆け寄る。

そして叫ぶ彼女を抱えるようにして抱き、その場から飛び退いた。その瞬間、あの眩い光が放たれ、同時に爆発音が響き渡った。

間一髪で爆発は逃れた位置の手前までで留まり、飛び退いた彼らは無傷。イリサに関しても、カールと同じく動いていたミレーユが抱えて逃れていた。

故にその場にいた全員が無傷で済んだという事になるが、爆発らしきものがあった個所を振り返り、そこに出来たクレーターを見ると疑問しか浮かばない。

セイレーンという種族は『水の民』と呼ばれるだけあり、水を自在に操る能力というのを保持している者たちである。

だからこそ、異端児とはいえセイレーンには変わりない彼が水を操るのではなく、爆発現象を引き起こした事が不思議でならないのだ。

魔法という単語でも説明は付くかもしれないが、出来上がったクレーターの大きさから威力は中級クラス魔法。そんなもの、無詠唱で行えるのはミラぐらいしか知らない。

それを見た感じ魔法専門とは到底思えない人物が使うのだから、疑問に思っても可笑しくは無い。だけど、今は疑問より行動が先決されるのも事実。

そのためカールはリゼッタと下ろすとすぐに棍を握り締めて構え、煙が晴れた先……先ほどの位置から全く動いていない彼へと臨戦態勢を取る。

 

「ほう……今のを避けるか。中々どうして、良い感をしているものだ」

 

「……これでも多少は、修羅場ってのを潜ってきてるからな」

 

賞賛にも聞こえる言葉に軽く返すような口調で告げるが、内心では余裕という二文字は全く以て存在しない。

この異質な能力を抜いても彼の戦闘力は並外れている。まともに戦って勝てる可能性は無いと言いたくなってしまうほどに。

だけど如何にそうであったとしても、引くわけにはいかない。そしてリゼッタとしても同じなのか、躊躇は多少ありながらも弓を構えて臨戦態勢と取る。

反対にミレーユは教師という立場上、生徒に危ない事を任せるのを本来良しとは出来ないが、イリサを守るのが手一杯で参戦などは出来ない。

だから視線だけで危なくなったら無理をせず逃げるよう伝え、丁度目が合った二人が小さくそれに頷いた瞬間にイリサを避難させるため、彼女を抱えて駆け出した。

当然標的の中で一番に値する彼女が逃げるのを良しとはしない彼も追い掛けようとするが、それを阻むようにカールは距離を詰め、棍を振るった。

それによって彼は足を止めざるを得ず、舌打ちをしつつ手甲で棍の一撃を受け止め、そこから放たれ始める連撃を捌きつつ反撃を繰り出していく。

カールもそれを何とか紙一重で避けつつ、リゼッタの支援を受けながら彼の攻撃に若干圧倒されながらも連撃の手を緩めなかった。

 

「っ――!」

 

「……なるほど。確かに先ほど言った言葉、偽りではないようだ……私と相対してこれだけ善戦する辺り、正直ただの学生とは思えんな」

 

紙一重とはいえ、避けながらも手を緩めず棍を振ってくる彼に対してティルオスはまるで余裕とでも言うかのように呟いた。

フェリスタのように強い者と戦いたいという願望は彼にはないが、それでも戦う者として強い相手と戦えるというのはどうしても楽しく感じてしまう。

これで復讐などという目的が無かったのなら純粋に楽しめもしたのだが、そうでないという状況はまた悲しいとでも言うべきかもしれない。

しかしそこをどうこう言っても仕方が無い。復讐へと身を落した手前、こういう状況を作り出したのは自業自得であるのだから。

そう考える事で彼はその感情を打ち切り、連撃の一瞬の間をついて拳を繰り出し、彼の腹へと直撃させて再び後方へと吹き飛ばした。

それによって再度地面に倒れ込み、今度は彼もすぐには立てない。そして先ほどと同じように彼は止めを刺すため倒れ込んだ彼に追い討ちを掛けようとする。

だけどまたもそれはリゼッタが放った弓矢によって阻まれ、だけど怒りも無い無表情で彼女を見れば、彼女は弓を向けながら悲痛な表情を浮かべていた。

 

「これが……こんな事が、貴方のしたかった事なんですか? リエルを捨てて、私たちの元からいなくなってまで……」

 

悲痛な表情のまま、弓を向けたまま、彼女は重く問い掛けた。いつもは発しないような、相手を責めるような声色で。

だがそれにも彼は表情を変えず、無言のまま頷く。それがまたリゼッタの心を深く抉り、悲痛だった表情を更に歪めさせた。

そんな中、腹部の痛みが未だ引かないながらもリゼッタが守ってくれたため、何とか起き上がる事が出来たカールはまたも疑問を抱いた。

先ほどまでの会話でリゼッタとあのティルオスという青年が顔見知りなのは分かった。だが、なぜそこに関係ないはずのリエルの名前が出てくるのか。

予想すれば何通りが答えは出てくるが、予想というだけで明確な答えなど出ない。だからこそ、再び臨戦態勢を取りながらも疑問が頭を渦巻く。

しかしその疑問は他でもない、リゼッタの言葉に返すようにしてティルオスが放った一言ですぐさま解ける事となった。

 

「……身寄りのない私たちを救ってくれたお前たちには感謝している。だが、何もかも忘れて平穏に過ごすほど俺の憎しみは小さくはないんだ、リゼッタ。例え妹を捨てる事になっても、私たちを救ってくれたお前と敵対しようとも……親を奪われ、故郷からも追放されたあの日から、私にはもうそれしかなかったのだからな」

 

リエルという名前に対して彼は妹と言った。つまりそれは、目の前の彼とリエル・クロムハートが兄妹であるという事に他ならない。

だからカールは驚きを隠す事も出来ず、リゼッタのほうへと視線を向ける。そしてその時見た彼女の表情が、それを真実だと物語っていた。

まるで昔と今を比較して悲しみに暮れるような、そんな感情を覗かせつつもティルオスを見続ける彼女の横顔によって。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

メンアットトライアングル!2〜永久に語り継がれし戦士たち〜

 

【第二部】第二十八話 業火に包まれる里、窮地に集う戦士たち

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……本当に――さんだけで、大丈夫なんでしょうか?」

 

襲撃を受け、殺戮の舞台と化しているセイレーンの里から僅かに離れた森の中。そこを突っ切るように走る二対の影。

その一人が走りながらもう片割れへとそう尋ねる。目に見えて心配そうな声色にて、ただ短くそれだけの言葉で尋ねる。

対して問われた相手は走るスピードを緩めずも僅かな微笑を浮かべ、心配を和らげるように答える。

 

「大丈夫だよ。ああ見えて彼女は僕なんかよりもずっと強い……そこらへんにいる魔物どころか、教団とか言うのを相手にしても引けは取らないさ」

 

「えっと、その、そこではなくて……あ、いえ、そこも心配と言えば心配なんですけど。それよりも心配なのは、その……ちゃんと辿り着けるのかなって事で……」

 

「あ〜、そこね……正直、それに関しては何とも言えないかな。彼女の方向音痴は筋金入りだし……まあでも一応地図も渡したし、最悪探索系の魔法を使えばどうにかなるから大丈夫じゃないかな……たぶん」

 

心配を和らげようと答えたのだが、逆に答えた本人も心配になってしまい、言葉もかなり自信なさげになってしまう。

反対に問い掛けた方もそれで安心など出来るわけもなく、より一層心配そうな表情を浮かべながら小さく溜息をついた。

 

「まあ、とりあえず今は彼女を信じるしかないよ。すでに分かれてしまった以上、どうこう言っても遅いわけだしね」

 

安心させる要素にはならないが、言っているのは事実。それ故、心配だとは思っても頷くしかなかった。

そして話題がそこで打ち切られ、二人が走る事に集中し始めてから間も無くして森の奥から悲鳴と爆発音が響いてくる。

何が起こっているのか、などという疑問は浮かばない。そんな事になっているだろうと思って二人とも急行していたのだから。

だけど駆け付けるのが遅すぎたという念は抱いてしまう。森の奥――セイレーンの里があるであろう場所から聞こえてくる声や音がそう思わせる。

でも、悲鳴が聞こえるという事はまだ生き残りはいるという事。そのため、そんな念を抱くと同時にすぐにでも突入したいという思いが出てくる。

だから走るスピードを緩めぬまま片方の人物がそのまま突入しようとするが、反してもう片割れは突入の手前辺りで突如足を止めてしまった。

里の人々が今も襲われているというのになぜ足を止めるのか。少し前の方まで進んだ辺りで足を止めた事に彼女は気付き、そう思いながら足を止め振り向いた。

そのとき見た片割れである彼の表情は先ほどまで以上に真剣な顔で彼女がいる正面のほうではなく、少し外れた斜め方向の森中へ視線を向けていた。

故にすぐには声を掛けられなかったのだが、今は急ぐべきときだと思い至ると彼女はすぐに声を掛けようとする。だが、それより早く彼の方がその口を開き、告げてきた。

 

「ごめんけど、里のほうへは君だけで行ってくれるかい? 僕はちょっと、用事が出来たから……」

 

「え……で、でも、私一人では……」

 

「大丈夫だよ。今の君なら十分に彼らを抑えるだけの力があるんだから。僕だけじゃなく、彼女もそれは保障してくれてる……だから、頼む」

 

妙に切迫したような様子でそう言われると彼女としても嫌とは言えず、僅かに間を置いて分かりましたと静かに頷いた。

そして用事とやらが済んだら出来るだけ早く来てくださいと続けて告げ、それを最後として彼女は一度は止めた足を再び動かし、里のほうへと向かっていった。

それを最後まで見送った彼も、彼女の姿が見えなくなると共に視線を向けていた先へと駆け出していく。

 

「嫌な予感はしてたけど、まさか『GUN』を投入してくるとはね。しかも気配から察して、一体二体なんてレベルじゃないか」

 

『そりゃそうだろうぜ、主殿よ。一体でも人間から見れば驚異な力を持ってても、神々の時代で言やあ一般兵みたいなもんなんだしよ』

 

『リディ……貴方はまた主様に対してそんな言葉遣いをして。いい加減直しなさいと何度も言っているでしょう?』

 

『いちいちうるせえな、ニングは……』

 

『五月蠅いじゃありません! 大体我々からして主というのは敬う存在であり、決して友達感覚で接していい相手ではないんです。それを貴方は毎度毎度無礼な言葉遣いで無礼な言葉ばかり――――』

 

走りながら呟く彼の言葉に対して、近くには誰もいないにも関わらず言葉が返ってくる。

加えてその声に対して非難する別の声もまた聞こえる。声色からしてどちらも男の声だが、今言った通り声の発生源たる人の姿は全く無い。

だが、言い合いを始めている二対の声に対して彼は驚く事も無く、まるでいつもの事だというように苦笑するだけ。

そして二対の声が言い合いを響かせる中で彼はただ森の中を走り続け、とある場所へと向かっていった。

 

 

 

 

 

斧槍という武器はリーチや攻撃方法が彼女――静穂が得物としている薙刀と似通った部分がある。

だからこそ攻める手が限定されてしまう。近づいて斬りつけるにも、突きを放とうにも、似通った武器故に対処が出てきてしまうから。

そんな状況下で何が勝利の条件となるかと言えば、大きいのは経験の差。今まで如何に戦ってきたかが鍵となるのだ。

 

「くぅ――!」

 

「ほらほら、どうした! どんどん動きが鈍くなってきてるぞ、お譲ちゃん!」

 

故に静穂とフェリスタでは静穂のほうが不利。まだ十六程度の女の子と見た目二十代中盤くらいの男性では経験の差が歴然なのだから。

更に言ってしまえば腕力の差というのが根本的に違う。そのため最初こそ良かったものの、受け続ける毎に彼女の手から痺れが取れなくなってきている。

当然それに応じて動きも鈍りが出てきてしまい、余裕で斧槍を振り続ける彼と反して徐々に追い詰められたような焦りの表情が浮かんできていた。

しかしそれでも静穂の眼から諦めの文字は窺えない。痺れが抜けずとも薙刀を握り続け、疲労が出てきても鞭を打って戦い続ける。

何がそこまで彼女を駆り立てているのかは至って単純。先ほどフェリスタが出した教団を抜ける条件を飲み、それを必ず遂行するという思いである。

元来優しい彼女は見知らぬ他人であろうとも傷付けられるのを黙って見ていられる性質じゃない。それが無抵抗な人々の虐殺となれば、尚更。

だけど、だからといってその元となる人物を殺せば済むという思考も無い。純粋すぎるほど馬鹿みたいな優しさが、誰も傷つけたくないという思いを持たせている。

それ故、相手が提示してきた条件は静穂にとって譲歩出来るものだった。傷付ける行為でも、自身の力を認めさせれば相手は悪事を働かないと言うのだから。

だからこそ彼女は諦めない。これ以上無抵抗な人々が殺されるのをただ見続ける事、実行犯たる人物を殺す事……そのどちらも彼女は、選びたくないから。

 

「っ――やあっ!!」

 

「おおっと!」

 

とはいえ、信念はあろうともそれが実を結ぶかどうかは別物。自分の意思を押し通したいなら、力を示さなくてはならない。

だからこそ諦めはみせずに隙あらば反撃を返したりもするのだが、何度やっても相手はそれを軽くいなしてしまう。

対して自分は相手の攻撃を避けるも防ぐも全力でなければならない。これは先も言ったとおり、力の差が二人の間にあるからだ。

全く埋められないほど開いてるわけじゃない。相手の予想を上回るような斬撃を放つ事は何度か出来ているし、だからこそ相手も静穂を認めている。

故に差があると言っても少しだけだ。だけどそれが今は致命的であり、その場ですぐに埋められるようなものでないのもまた事実であった。

 

「やっぱり、強いねぇ。俺が見込んだ通りだ……でもよ、俺を上回るにはちょいとばっかし足りねえわ、な!」

 

「!!――あぐっ!」

 

横一閃に振われた斧槍の斬撃に対して上半身を反る事でギリギリラインの回避を行う。

でも、刃が過ぎ去ってすぐに腹部への衝撃。直後、その威力のままに後方へと若干吹き飛び、背中から地に倒れてしまう。

斬撃はギリギリとはいえ避けたはずなのにどうして……腹部の痛みに顔を歪ませながらも、抱いた疑問から首を僅かに起こして相手を見る。

そして目に映ったのはフェリスタが刃の部分でも槍の部分でもなく、何も付いていない反対側のほうを突き出す形で持つという体勢。

その瞬間に疑問は解けた。おそらく彼が放った最初の横薙ぎは後ろに下がるか状態を反るかくらいでしか、回避行動を取れないようにするため。

受けられては意味が無いから避けられる、だけど手を読まれない程度の斬速で放ち、相手が意図通りそれを避けたら瞬時に得物を反転。

続けて素早く腹部へと向けて突きを放つ。これがフェリスタの使った手口……相手を予測した通りに動かせ、避けにくい状況を作っての攻撃策。

刃も何も無い場所での攻撃だから殺傷能力は極めて低い。しかし、やり方次第でダメージを与えるという点に於いては引けを取らない。

 

「っ……!」

 

それ故、そんな一撃を腹部へ諸に受けてしまった静穂はすぐには立ち上がれない。立ちあがろうとしても、身体が言う事を聞いてくれない。

そもそも全力戦い始めてからそれなりの時間が経っているため疲労もある。だからこそ、出来ても首を僅かに起こす程度までしか今は出来ないのだ。

もちろんそれをフェリスタもただ眺めるだけで済ますわけがない。若干惜しくは思っても、それ以前に彼は教団の『代行者』なのだから。

教団の頂点に立つ『神格者』の意思を代行する者……そんな彼らは『断罪者』と違い、独自判断で動くなどという事は絶対の禁則事項。

狩り対象を惜しいからと生かす事もまた然り。故にこそ、まだまだ成長の余地が大きく惜しい人材でも、命が下った今は殺す以外に選択肢はない。

 

「済まないな、お譲ちゃん。本当ならお譲ちゃんみたいな未来性のある奴は生かしておきたいんだが、これが俺の仕事なんだ……悪く思わないでくれよな」

 

数歩歩んで静穂から僅かに間を置いた地点で足を止め、静かにそう告げると斧槍を反転させて槍の部分を引き上げる。

槍の照準は静穂の心臓部分。放たれれば確実に死……考えるまでも無くそれが分かるため、彼女はどうにかして身体を動かそうとする。

だけど未だダメージが抜け切っていない身体は先ほどより僅かに動いてくれるだけで、迎撃どころか回避出来るところまで回復してはいない。

それでも諦めようとしない彼女は必死に身体を動かして避けようとする。だけど現実は非情というべきか――――

 

 

 

――引き上げられた斧槍は彼女が抵抗する間を一切与えず、一気に突き下ろされた。

 

 

 

諦めたくはない。でも、まるでスローモーションのように迫る槍先を前にすると諦めという意識がどうしても浮上する。

それが故に彼女は同時に痛みに耐えるように目を閉じる。受ければ死なのだから意味は無いと分かっていても、反射的に閉じてしまう。

 

 

 

――だけどその瞬間、訪れるはずの痛みの代わりにガキンッという金属と金属がぶつかる音が響き渡った。

 

 

 

音がしてからも痛みが訪れる事は無い。それ故、何が起こったのかと静穂は閉じていた瞳をゆっくりと開けた。

直後、その目に捉えたのはフェリスタではなく誰かの背中。静穂と同じで黒く長い髪、東洋の物と思われる服を着た女性の後ろ姿。

そんな姿の女性は後ろ姿だから明確には見えないが、刀らしき武器でまるで静穂を護るようにフェリスタの放った突きを受け止めていた。

だけどその姿を目に捉えたとき、静穂の中には疑問よりも別の感覚を抱く。どこかで見た事があるような、そんな懐かしい感覚を。

そしてそれを抱いた次の瞬間、フェリスタの突きを受けた状態のままほんの僅かだけ向けてきた女性の横顔が、その感覚の答えを齎した。

 

「菫、姉……?」

 

静穂のたった一人の姉、綾小路菫。ずいぶん前に離れ離れになっていても、その顔を見間違う事なんて無い。

だけど信じられないという思いもあるから、問うように呟く。そしてそれに対して彼女は、一度だけ微笑を浮かべて顔を前へと戻した。

同時にフェリスタの一撃を受け止めた体勢から力を込めてそれを弾き、突如の乱入も手伝って若干バランスを崩した彼へと一閃。

しかしそれは咄嗟に大きく後ろへ下がられる事で避けられ、彼は間合いを大きく置いた地点で足を止めると体勢を立て直して斧槍を構える。

 

「今度はアンタが相手をしてくれるってか……」

 

そう呟く表情はどこか楽しそうなもの。さっきの若干憂鬱そうだった顔が、見る影も無いほど。

対して彼女――菫は何も返事を返す事無く刀を中段へ構え、直後にまるで地面を滑るようにして間合いを詰めてきた。

それに応じるようにフェリスタも地面を蹴り、斧槍にて突きを放ち、それを菫が横に逸れる事で避ければ追撃とばかりに横へと薙ぐ。

横へ逸れた体勢からでは直後に放たれた横薙ぎというのは避け難い。大抵この場合にどんな行動を取るかと問えば、高確率で受けだ。

そこを先読みしていれば手はいくらでも浮かぶ。だがフェリスタのその予想に反して――――

 

 

 

――菫は横薙ぎを避けられるギリギリのラインまでしゃがみ、同時に刀を横へ振り被りながら地面を蹴って懐へ飛び込んできた。

 

 

 

それは目を見張るほど流れるような動き。一切の無駄など無く、大胆な行動でもある故に予想外過ぎる動き。

故にフェリスタも咄嗟の対応が出来ず、懐へ入られる事を許してしまい、そこから彼女は振り被った刀を振るった。

 

 

 

綾小路流剣術弐之太刀 閃架

 

 

 

懐から放たれた横薙ぎには我に返ったと同時に斧槍を引き戻して横に立てる事で受ける事は出来た。

しかし彼女の攻撃はそれでは留まらない。受けられた段階で瞬時に剣の柄から手を放し、一回転して足払いを放ってくる。

受ける事でそちらに力を重視したためか体勢も再び崩れ、足払いに対する対応も出来ず、彼はそれを受けて地面から足を放してしまう。

そこから彼女は手を放した故に重力に従って地へと落ち行く刀を落ちる前に掴み、柄の先端を上へと向けて一気に突き上げる。

それは見事にも体勢を崩したフェリスタの腹部へと直撃。そのまま地面へと背中から倒れた。

 

「…………」

 

偶然にもフェリスタが静穂にした攻撃と似たもの。それ故、腹部へのダメージからかフェリスタはすぐには立ってこない。

当然反撃も今の状態では出来ないだろうと踏み、菫は警戒しつつ背を向け、静穂の元へと再び戻って呆然としてる彼女へ手を差し出した。

 

「大丈夫、静穂?」

 

「あ、う、うん……とりあえず、大丈夫」

 

菫の掛けてきた言葉で我に返り、そう返しながら手を取って立ち上がる。その際、まだ完全に抜け切っていない痛みが腹部を襲う。

それによって若干顔を顰めるのだが、本当に大丈夫かと心配そうに問われれば心配かけまいと今出せる精一杯の笑みで大丈夫と返す。

故に菫も心配そうにはしてもそれ以上はもう何も言わず、彼女から手を放して身体を後ろへと戻して刀を両手で握る。

振り向いた先には先ほどまで倒れていたはずのフェリスタがある程度回復したのか、腹部を片手で押さえながらも立ち上がっていた。

 

「やるな……油断していたとはいえ、ここまで見事にやられるとは思って無かった。こりゃ、久々に本気で楽しめそうだぜ」

 

「……貴方は、ただ楽しむためだけにこんな事をしたと言うんですか?」

 

「そうなるな。無抵抗な奴を殺すのはあんまり好きじゃねえが、そこは教団の意思ってやつだから仕方ねえんだよ。俺も、強い奴と戦う前に殺されるのは御免なんでな」

 

重々しく問えば返ってきたのはそんな言葉。自分の意思も混ぜつつ、だけど教団には逆らえないという返答。

逆らえば殺される、だから逆らえない。でも、あの条件を聞いた静穂は菫と違い、その返答を聞く事であの条件の詳細が頭へと浮かんだ。

確かに所属している以上教団には逆らえないが、自分の望みである自分を倒せるくらい強い者と戦えたなら、死ぬ覚悟を以て教団の抜ける。

提示してきた条件は彼にとってそういう事。つまり、教団に身を捧げているわけじゃない……望みを叶える近道だと教団に身を置いているに過ぎないのだ。

言い換えればそれはここで倒せば今すぐにでも教団を抜けるというのが真実だという事。それ故、静穂は痛みが和らぎ始めた身体を動かし、一歩だけ前へと出る。

 

「あの条件……私たち二人が相手だとしても、有効だったりしますか?」

 

「条件? ああ、あれな……もちろん数なんて問わねえよ、お譲ちゃん。相手が複数だろうと強ければ、文句はねえからな」

 

「……分かりました。なら、今からは僕と菫姉で貴方を満足させてみせます……それと一応言っときますけど、僕は静穂っていう立派な名前があります。だからいい加減、お譲ちゃんって呼ぶのは止めてもらえませんか?」

 

「俺を倒せたら、考えてやるよ」

 

二人だけで話を進めているため、自分と静穂で相手と戦うという点は分かるがそれ以外はさっぱり話が見えず、菫は首を傾げる。

そんな彼女に説明しているなんて暇は無いため、とりあえず静穂は視線を送る。今は何も聞かないで、自分の我儘を聞いて欲しいという思いを込めて。

送られたその視線に菫は仕方ないとばかりに小さく溜息をつき、先ほどと同じように刀を中段へ構えてフェリスタと対峙する。

静穂も同じくして薙刀を正面に構え、二人が戦闘態勢を取ったのを合図として彼は静穂と似たような形で斧槍を構え――――

 

 

 

 

 

――直後として地を蹴り、二人へと向けて突撃していった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

里のすぐ目の前と言ってもいい森の中。他の場所では何も起こっていないにも関わらず、そこだけは戦場と化していた。

生い茂っていた木々は倒れ、倒れていない木々も含め至る所で燃え盛る。里ほどとはいかないが、そこもまた酷い惨状。

だけどそんな惨状よりも異端なのは、それを引き起こしたモノ。真っ白な全身に背中のみ炎を揺らめかせる、巨大で異質な魔物。

以前も学園を襲った奴と同一であるそれは、あのときと違って数が多い。二体三体なんてレベルじゃない……数にして十体以上はいる。

対して相手をしているのはアーティとフィリスの二人だけ。正直、まともに戦って勝てるとは思えず、進攻を防ぐので手一杯だった。

 

「くぅ――!」

 

とはいえ集団で動いているから止める事も出来てはいたが、それも限界が見え始めていた。

相手の攻撃を避け、放ってくる炎弾は障壁で防いでも、根本的に倒せなければ魔力と体力が消費するだけなのだから。

かといって一体でも倒そうとアーティが相手の気を引きつけてる間にフィリスが矢を放ってはいるが、どうしてもコアに命中しない。

前のときもコアの場所が分からなくて苦戦していた。だけどあのときは一体だけなのに加え、ヘルが参戦した事でどうにかなった。

だけど今回は二人だけにも関わらずコアの場所もまた分からない。前回ヘルが止めを刺した部分も攻撃してみたが、貫通するだけですぐ再生した。

もちろんその後も至るところに矢を放ってはいるが、どれも空振り。しかもやたらに打ち過ぎたせいか、矢の本数もかなり減ってしまった。

そしてアーティも避ける事による疲労と防ぐ事による魔力消費が積み重なっている。それ故、進攻は防ぎ切れず、必然的に少しずつ後ろへと後退する羽目となっていた。

 

「フィリス様。矢は、後どのくらい残っていますか?」

 

「五十本、といったところかしら……アーティさんのほうは、まだ大丈夫?」

 

「大丈夫とは言い難いですが……何とかしてみせます。倒すまではいかなくてもせめて、あちらから増援が来るまでは」

 

正直、必ずしも増援が来るとは限らない。最悪な可能性を考えれば、無事ではないという事だって考えられる。

でも、そこは信じるしかない。ここで進攻を止めつつ耐えていれば、あちらを納めた皆が必ず増援に来てくれるだろうと。

だから、アーティもフィリスも徐々に追い詰められているとはいえ諦めず、倒す事は出来ずとも魔物の注意を引き付ける事に専念する。

 

悪しきを捌く聖者の光。其の力を以て罪を拭い去る断罪の刃と成す

 

詠唱の言霊を呟き、魔法陣を展開。直後、幾多もの真っ白な魔力刃が魔物の群れの上空に顕現し降り注ぐ。

降り注いだ刃は魔物たちへと直撃、当たった数に応じた穴をその身体へ空ける。だけどそれでも、コアには当たらなかった。

身体の大きさに比べてコアが小さいのだろう。数を打っても掠りもしない……だが、倒すのが目的じゃない今はそれで十分。

あの魔物は身体を再生させる際、動きを止める傾向がある。その傷が大きければ大きいほど、比例して再生の時間も掛かる。

更にはそこへ追撃とばかりにフィリスが一本一本目一杯力を込めて矢を放ち、数体を貫通して穴を開けていく。

それもまた再生時間を延長させるため。倒すに倒せない現状ではこうやって相手の動きを止める以外、進攻を遮る手段が無いのだ。

先ほどまでは魔力消費をなるべく抑えて長く持たせつつ進攻を止めようとしていた。でも、ここまで里に近づかれたらそうも言っていられない。

故にそこから更に再生時間を延長させようとアーティは詠唱を始めようとするが――――

 

 

 

「――アーティさん!!」

 

――途端に響いたフィリスの切迫した声によって詠唱は中断、意識を正面へと戻した。

 

 

 

戻した瞬間に視界を埋め尽くすのは無数の炎弾。それを目にしたアーティはなぜと疑問を浮かべる前に障壁を張った。

自分とフィリスを覆う半球体の障壁を。だけどここの威力は低くとも炎弾の数はあまりにも多く、障壁一枚では守り切れない。

それを現実として示すように着弾音が何重にも響いた段階で障壁に罅が広がり、その後も続く炎弾によって簡単に破られてしまった。

守りを失うと同時にその余波にて二人は吹き飛び、アーティは後方にあった木へと背中から激突、フィリスは少し離れた地面に背中から倒れ込んだ。

余波から一番距離があったフィリスは痛みはありしも立てないほどではなかった。だが、諸に受けたアーティは痛みも強く、すぐには動けない。

それまでの疲労が手伝っているというのもあるのだろう。そして魔物としても当然、アーティが回復するのを待つ道理など無い。

 

「っ――あぐっ!」

 

足音を響かせて近付いた魔物の一体がアーティを掴み上げ、目の前へと持ち上げる。

そして口らしきものを開き、頭から徐々にそこへと近づけていく。何をしようとしてるかはその時点で明白だった。

だけどアーティには防ぐ手立ても気力もすでに無く、フィリスがそれを阻止しようと魔物の手首辺りへと向けて矢を放つがそれも無駄。

時間を延長させるだけで状況を変えるまでには至らない。だけどそれでも、フィリスは矢が無くなるのも構わず助けようと放ち続ける。

しかしそんな彼女の思いも叶わず、無闇に打ち続けたせいで矢が切れ、それを境に再生し切った腕が再び動きを見せ始めた。

ゆっくり、ゆっくりと凶悪なまでに大きく開かれた口を運んでいく。そしてもう駄目だという考えが二人の頭に浮かぶそうになった瞬間――――

 

 

 

――一陣の風が吹き、直後に何かが魔物の巨大な腕を手首から斬り落した。

 

 

 

本体から斬られた時点で魔物の腕はまるで水のように散り、アーティの身体は地面へと落ちていく。

それを魔物を斬り付けた本人であろう何者かが受け止め、次の瞬間にはフィリスの目の前にて立っていた。

そこで初めて見るその姿は一言で言えば、白。あの魔物とまではいかないが、身に纏う服から靴に至るまで全部が白い。

唯一色が違う部分と言えば髪と腰と片手に持つ一本ずつある西洋風の剣。見た限り男性であるその人物の姿は正直、暗い森の中では逆に目立つ。

それがフィリスがこの男性を見て抱いた第一印象。だが、アーティに至っては別……男性の顔を凝視したまま、いつも無表情のその顔に明確な驚きを浮かべていた。

そんな彼女を男性はゆっくりと地面へと下ろすと頭へと手を置き、一転してにこやかな笑顔を向けて撫でる。

 

「久しぶりだね、アーティ。元気にしてたかい?」

 

「……お父、様?」

 

アーティの口から呟くように放たれた驚きの言葉に男性は肯定するかのように小さく頷いた。

その瞬間、嬉しさや喜びよりも先に疑問で頭が一杯になる。なぜなら、里でも話した通り彼は死んだはずなのだから。

生を全うしてアーティとセリナの前で死に、後のニヴルヘイムでの一件で敵同士として戦い、大樹の元へ母と共に残ったはずの父。

ニヴルヘイムへと繋がる道が無くなった今では二度と会えるはずのなかった人。それが今、アーティの目の前に立っている。

一体なぜ、どうしてと疑問が頭の中をグルグルと回り始める。だけどそんな彼女の疑問に答えるでもなく、彼――ラウエルは笑みを浮かべたまま静かに告げる。

 

「聞きたい事は山ほどあるだろうと思う……でも、今はこの事態を納めるのが先決だ。疑問にはちゃんと後で答えるから、今は我慢してくれ」

 

「は、はい、分かりました」

 

「良い子だ……」

 

アーティに言った事と同じ事をお願いするように彼はフィリスにも視線を送れば、彼女は戸惑いながら同じく頷く。

それを確認したラウエルはもう一撫でするとアーティの頭から手を退け、魔物たちのいる方面へと振り向きながらもう片方の剣を腰から抜く。

再生し切ったのも含め、その先にいる魔物たちは全てラウエルが表れてから動きを見せていない。まるで、彼を恐れているかのように。

そんな魔物たちへ向き直ったラウエルは左右下段に開くようにして構えながら一歩、また一歩を進んでいく。

 

「罪なき人々を襲うばかりか、人の娘に危害を加える……魔物とはいえ、さすがに許せる事じゃないね」

 

『あったりまえよ! 前者はともかくとして俺たちの愛しの姫君に手を出そうなんざ、百万年早ええ!!』

 

『リディと同じというのは不本意ですが、私も同感ですね。未遂で済んだとはいえ姫君のお一人に手を出した罪、万死に値します』

 

「なら、今から僕のする事に協力してくれ。リディル、スケヴニング」

 

『『了解だ、主殿(主の仰せのままに)!』』

 

二本の剣から放たれている声――リディルとスケヴニングが返事を返すのと同時に下段に下げていた二本を中央でクロスさせる。

そこで本能的に嫌な予感を感じたのか、ようやく群れから二体ほど先ほどまでよりも速い足取りでラウエルへと近づいていく。

そして近場まで歩み寄ると同時に腕を振り上げ、途端に今まで黙って見ていたアーティが声を張り上げて彼の名を呼ぶ。

 

『『「意識融合(シンクロ)」』』

 

その声に答えるようにリディルとスケヴニング、そしてラウエルの声が合わさり、強烈な風が吹き荒れる。

それに思わず目を閉じてしまうアーティとフィリスだったが、風が止むと同時に閉じた瞳をゆっくりと開ける。

直後、その先でまたしても驚きの光景を見た。腕を振り上げ、今まさに振り下ろそうとしていた二体の魔物が――――

 

 

 

 

 

――あの一瞬の間で何重もの断片へ解体されている光景を……。

 

 


あとがき

 

 

二十八話でようやく一部の外伝之弐にて登場した彼らが参戦いたしました。

【咲】 やっぱりあれってラウエルだったのねぇ……でも本当、なんでこっちの世界にいるの?

それは里での騒動と学園側での騒動が終わった段階で明らかになるよ。

【咲】 ふ〜ん……にしても、ラウエルが持ってる二本の剣って名前からしてあの魔剣よね?

リディルとスケヴニングの事な。確かにあれは彼が研究し、ニヴルヘイムで折られたはずの『忌』と『暴』の魔剣だ。

【咲】 折られたはずの二本がなんであるわけ? ていうか、なんで完全に修復されてるわけ?

それも後で明らかになる事だが……まあ簡単に言っちゃえば、大樹の力を使って修復したんだよ、ラウエルが。

【咲】 あのとき一緒に送られてたって事?

そゆこと。もっとも、一度折られたせいか持っていた力の大半を失ったけどな。

【咲】 そうなの……ていうか、その二本がアーティの事を姫君っていうのは何でよ?

そこはまあ、理由はまだ挙げられんが……一言で言えば、惚れてるからだな。

【咲】 ……ああ、じゃああの外伝で言ってた愛しの彼女たちってアーティとセリナの事ね。

そういう事になる。もっとも、惚れた理由はメンアットトライアングル1での事を踏まえればすぐに分かるんだがな。

【咲】 ふ〜ん。ところで思ったんだけど、ラウエルがここにいるって事は、当然彼女もこの世界に来てるのよね?

彼女っていうとあの人の事だよな? うん、もちろん来てるよ。

【咲】 どこに行ったのかは何となく分かるから良いんだけど、もしかしてセリナの迷子癖って遺伝なの?

そうだね……しかもあの人の場合、セリナよりも酷いよ。

セリナの場合は逸れたりして迷子になるけど、彼女の場合は一緒にいる人まで迷わせるから。

【咲】 かなり性質が悪いわね、それ……。

だからこそ、あの時期から学園を目指して辿り着く事が無かったわけなんだけどね。

【咲】 そんな人を一人で向かわせて大丈夫なわけ?

正直、無謀だろうね。でも、さすがに事態を把握してるから何が何でも辿り着こうとするだろうし、大丈夫なんじゃないかな。

【咲】 自信なさげねぇ……ま、いいわ。それで次回はどんなお話になるわけ?

次回は今回の続きだな。

ラウエル&フィリスVSGUN、カール&リゼッタVSティルオス、静穂&菫VSフェリスタの三本。

ちなみにここに乗らなかったアーティはラウエルにある事を言われ、とある場所へと向かう事になる。

【咲】 何を言われてどこに向かうのよ?

それは次回まで秘密だ。ともあれ、次回はこんな感じですんでよろしくお願いします。

【咲】 じゃ、今回はこの辺でね♪

また次回会いましょう!!

【咲】 それじゃあね、バイバ〜イ♪

 

 

 

ところで今回葉那はどうしたんだ? 珍しく姿を見ないけど?

【咲】 風邪引いて寝込んでるわ。三十七度五分の高熱を出してね。

それ、風邪には違いないだろうけど微熱やん。ていうか、馬鹿でも風邪をぶばっ!?

【咲】 人の妹相手に何言おうとしてるのかな〜、このふざけた生き物は。

す、すまん、まいった、もう二度と言わないからどうかゆるし――ぎゃあああああ!!!

【咲】 全く、風邪で寝込んでる人の悪口だなんて、酷い奴よね。

ひ、酷いのはおまえ、だ……ガクッ。




まさかの再登場。
美姫 「ラウエルが二本の魔剣を手に参戦ね」
いや、こういう展開は良いね〜。
とは言え、彼女の方は迷子みたいなんですが。
美姫 「いや、まだ明言されてないじゃない」
ちゃんと辿り着いているかな。
美姫 「勝負の行方もそうだけれど、そっちも気になっちゃうわね」
状況が状況だけにな。さて、次回はどうなるのかな〜。
美姫 「次回も待ってますね」
ではでは。



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