―???視点―

 

 

 

パパたちが……知らない人たちと遊んでる。

小さいけど、楽しそうに笑いながら、知らない人と踊ってる。

楽しそう……私も、パパと一緒に遊びたいなぁ。

でも、きっと私があの中に入ったら、パパに怒られちゃう。

だから、一緒に遊びたいけど、パパに怒られたくないから我慢する。

 

「……お腹、すいた」

 

我慢をして見てたら、お腹がぐぅって鳴った。

お喉も、少しだけ渇いてきた。

でも、いつも飲んでる飲み物も、食べる物も、どこにもない。

 

「あぅ……」

 

また、お腹が鳴った。

遊びたいのは我慢できるけど、これは我慢できない。

お喉の渇きもちょっとずつ強くなって、頭もぼんやりしてきた。

パパたちが遊ぶ姿も、少しずつだけど見えなくなってきた。

 

「……」

 

パパが、言ってた気がする。

お腹がすいたり、お喉が渇いたりしたら、絶対に自分に言えって。

でも、パパは今お遊びで忙しいから、言いたくても言えない。

どうしたら、いいのかなぁ……。

 

「あ……」

 

また鳴ったお腹を押さえてたら、どこからかいい匂いがした。

私がいつも飲んでる飲み物の匂い、それが一杯ある、匂いがした。

 

「飲みたい……」

 

飲みたい飲みたい飲みたい飲みたい。

この匂いを匂わせているそれが、飲みたい。

 

「……」

 

そう思ったら、動かそうとしていないのに足が動いた。

勝手にどこかに行ったら、パパに怒られちゃう。

だけど、止めたくても我慢はもうできなくて、足は勝手に動き続ける。

ああ……もう、いいや。

我慢は体に悪いって、パパが教えてくれたんだもん。

だから、あとでちゃんと謝れば許してくれるよね……パパ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

メンアットトライアングル!2〜永久に語り継がれし戦士たち〜

 

【第二部】第七話 鮮血求むは創られし者

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

生徒の避難班に割り当てられた恭也は、今だ避難をしていない生徒がいないか学園内を捜し回った。

学園内を捜し回る中、予想通り逃げ遅れていた生徒を数名見つけ、その生徒を連れて避難場所へと戻る。

そして避難場所へと生徒を避難させると、その場で生徒たちを護っている学園長が名簿で生徒たちを確認し、いない生徒を再び捜すために恭也は学園内を走り回る。

 

「……」

 

周りを見渡すように目を動かしながら、学園内を走り回る。

いない生徒は残り僅か二人、その生徒さえ避難場所へ送り届ければ、自分も迎撃班に加勢できる。

侵入者の数は六人、対して迎撃班の面子は三人……いくら裂夜たちでも、数を見れば圧倒的に不利だ。

だから、生徒の避難さえ終えれば自分も加勢でき、少なくとも多少は負担を軽減できる。

故に恭也は生徒の捜索を急ぐため、学園内を駆け回っていた。

 

「む……」

 

学園を駆け回り、学生寮三階に差し掛かったとき、廊下の向こう側に人の気配を感じた。

それに恭也はまだ避難していない残りの生徒かと思うが、その気配に違和感を感じたことで不信感を抱く。

その気配にはとても薄く、気を失っている者が発する気配と酷似していたのだ。

そして加えて言うならば、その希薄な気配二つに加えて、それとは明らかに異なる気配を発している人物がいる。

本来ならば二つしかないはずの気配が一つ多い、そして感じる二つの気配でさえも妙におかしい。

その二点に、恭也はどこか嫌な予感を感じて駆ける足を更に速め、間もなくして気配の発する場所へと到着する。

 

「なっ……」

 

辿り着いたそこで見たもの、それは気を失っていると思われる二人の生徒が倒れている光景。

そして、倒れている生徒の一人に見た目幼い少女が馬乗りになり、首筋に牙と言える尖った歯を突きたてようとする光景だった。

その光景を見た瞬間、一瞬驚きのあまりに呆然としてしまった恭也も瞬時に我に返り、飛針を二本取り出して投げつける。

しかし、その少女は馬乗りになった状態から瞬時に横に跳んで飛来する飛針を避け、どこか虚ろに見える目で恭也を見る。

 

「……綾菜?」

 

虚ろな目をする少女の顔を、姿を、そこではっきりと目にした恭也はそう呟く。

青みがかった髪、虚ろではあるが黒い瞳、十台ぐらいと見えるその容姿の白いワンピースを纏った少女。

どれをとっても自身の子供である綾菜に瓜二つだった。

しかし、よく見れば別人であるということがわかり、恭也は考えを振り払うように首を振る。

確かに酷く似ている容姿ではあるが、綾菜の髪は目の前の少女ほど長くはないし、着ている服もまったく違う。

そして加えるならば、綾菜の魔眼は再封印を受けている故に、片目に眼帯などしているはずはないのだ。

 

「君は……誰だ?」

 

「……」

 

別人と分かったから恭也はそう尋ねるも、少女が口を開くことはなかった。

それどころか、恭也に対して敵意を持つように、突如魔力を収束させて少女の体とは不釣合いの大きさをした大鎌を形成する。

そして大鎌を形成するや否や、少女をそれの柄を両手で握り、凄まじいといえるスピードで恭也へと駆ける。

 

「っ!」

 

問答無用で斬りかかってきた少女に、恭也は多少の動揺を見せながらも大きく後ろに下がって避ける。

そして同時に再び飛針を三本取り出し、後ろに下がると同時に投げつける。

だが、少女は恭也でさえも目を疑うほどのスピードで大鎌を振るい、三本の飛針をなんなく叩き落してしまった。

動くスピードも、武器の扱いも、大鎌を扱うだけの腕力も、明らかに普通の少女とは言いがたいものだった。

 

「やるしか、ないか……」

 

正直、そんな幼い少女に剣を振るうことは気が引けるが、抜かなければ自分がやられる。

そう考えた恭也は八景を一刀抜き放ち、もう一度牽制のために飛針を一本だけ取り出して投げつける。

飛来した飛針は、恭也も予想したとおりなんなく少女に落とされてしまうが、牽制ゆえにそれは特に問題ではない。

 

「ふっ!」

 

飛針に気を取られた隙に、恭也は八景を横一閃に振るう。

だがしかし、少女は飛針に気を取られていたにも関わらず、驚くべき反射速度を見せ、大鎌の先で器用に受け止める。

先ほどまで見せられた技量でそれくらいやるのではないかと予想はしていたが、よもや本当に止められるとは思わなかった。

斬撃を受け止められた恭也はそう内心で驚きを浮かべながらも、大鎌の先に触れる刃に力を込める。

だが、いくら力を込めても、受け止めている大鎌はピクリとも動かず、少女は依然として涼しげな顔をしていた。

 

「くっ……」

 

受け止め、いくら力を込めても均衡状態を保てる腕力がありながら、少女は押し返してこようとはしない。

それは押し返した際に何かをしてくるのではと警戒しているのか、それともただ単に今の状態を楽しんでいるのか。

どちらかはわからないが、恭也としても今の状況を打破することはできず、今だ武器を合わせた均衡状態が続いていた。

 

「君も、侵入者の一人なのか……?」

 

「……」

 

「そうだとしたら、なぜこんなことをする。 君たちの狙いは、一体なんだっ」

 

「……」

 

均衡状態を保ったまま、恭也は少しでも少女から情報を聞き出そうとする。

しかし、少女は先ほどからまったく変わらず言葉を発することはなく、本当に意識があるのか疑うほどの虚ろな目をしていた。

それはまるで何か別の意思に操られているような、そんな光の灯らない色をした目だった。

 

「……たの」

 

情報を聞き出せないままその状態が続く中、ふいに少女が口を小さく開いて消え入りそうの声で何かを呟く。

あまりに小さかったため聞こえなかった恭也は、一体何を呟いたのか気になり尋ね返そうとする。

だが、それよりも若干早く、少女は再度その小さな口を開き、先ほどと同じ消え入りそうな声ではあるが、はっきりと呟いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あなたの血を……ちょうだい」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

少女が呟き、恭也がそれを認識すると同時に、少女の瞳に光が灯る。

しかしそれは生気が篭ったというものではなく、怖気の走るほどの朱色に染まった瞳の光。

その瞳の光に、恭也はぞくっとした感覚を覚え、嫌な予感を感じるや否や大鎌を上に払い、少女に蹴りを入れる。

放たれた蹴りを少女は避けることなく驚くほどあっさり身に受け、手に持つ大鎌と共にその小さな体は後ろへと吹き飛ぶ。

だが、吹き飛んだ少女は地面に倒れることなく、空中で器用に体勢を立て直して地面に両の足をついた。

そして、地面に足をついた少女はいつの間に離したのか、大鎌に添えていた片手を口元に持っていってゆっくりと小さな舌で舐め上げる。

一体何を舐めているのか、それを考える間もなく、恭也は自身の肩に感じる痛みに気づいた。

八景を握っていない手で触れてみると、そこからは僅かに切り傷が出来ており、微量の血がゆっくりと流れていた。

それを傷と痛みを認識した恭也は、少女が舐めているものが自身の血だということに瞬時に気づいた。

 

「君は……」

 

先ほどの言葉、血を舐めている今の状態、そして今気づいた……どこか知っているような少女の纏う雰囲気。

これからを見て、恭也は少女の正体に検討がつき、困惑と驚きをその顔に浮かべ呟いた。

 

「ホムンクルス……なのか」

 

血が欲しいという言葉、未完成状態でのみ発生する吸血衝動。

そして感じた雰囲気は、昔のミラと酷似している吸血鬼になりかけたホムンクルスそのものだった。

 

「もっと……」

 

恭也の言葉に答えることなく、再び開いた少女の口からはそう呟かれる。

そして言葉と共に、少女は大鎌に舐めていた手を再び添えて、先ほどと同じく問答無用で恭也に斬りかかってきた。

斬りかかってきた少女に恭也は今だ困惑という感情を消すことができないながらも、なんとか斬撃を避け続けていた。

そして避け続ける中、恭也は考える……この少女が本当に自分の考えるとおりホムンクルスであるのならば。

昔のミラと同じ、未完成の身で苦しんでいるのならば、どうにかして助け出す手段はないのかと。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

現在、避難所として使われている学園の白魔法講義室。

そこには恭也が探しにいった二名の生徒を除き、学園のすべての生徒が避難していた。

避難している生徒たちはパニック状態にこそなってはいないが、何が起きているのかわからず一様に不安げな表情だった。

 

「ねえ、ジャスティ……外で、一体何が起こってるの?」

 

「……」

 

いつも明るい静穂ですら多少の不安を浮かべて、ジャスティンにそう尋ねる。

いつもなら静穂がジャスティと呼ぶことを嗜めるジャスティンも、静穂のそんな表情を見るとそんな気は起こらない。

そしてそんな表情を見てしまうと、いくら静穂といえども外で起こっていることを説明していいのか悩んでしまい、口を噤んでしまう。

それが、更に静穂の不安感を強めてしまうことがわかっていても、言えば不安感が今以上に増してしまうかもしれないため、言うことができない。

 

「大丈夫よ、静穂……私たちが、絶対にあなたたちを護るから」

 

だから、現状を言うよりもそう言うことで静穂の不安感を少しでも軽減してあげようとする。

しかし、静穂はそれにうんと頷くものの、不安の表情が和らぐことはなかった。

そして今だ浮かべられているその表情に、ジャスティン自身も不安感を抱かせていることに申し訳なさを浮かべる。

 

「あの……学園長先生」

 

「え……あ、何かしら、カールくん?」

 

「えっと、さっきリゼッタさんから聞いたんですけど……リエルさんの姿が見えないみたいなんです」

 

声を掛けてきたカールが言ったその一言に、ジャスティンは気持ちの沈んでいた表情から一転して驚きを浮かべる。

そしてカールの、そしてカールの後ろについてきている面々の表情を見ても、冗談などではないとわかり、すぐさま周りを見渡す。

しかし、カールの言ったとおり、いくら見渡してもリエルの姿は見えず、明らかな焦りの色がその目に浮かぶ。

 

「そ、そんな……確かにリエルさんも避難したはずなのに」

 

焦りを浮かべたままそう呟き、もう一度確認のために部屋を見渡そうとしたとき、不意に服がクイッと引っ張られる。

その感覚にジャスティンが振り向くと、そこには自身の服を掴みながら、何かを言いたげに見上げる綾菜の姿があった。

 

「ど、どうしたの、綾菜ちゃん。 何か問題でも起きた?」

 

焦りのせいで多少どもりながらも、なんとか笑みを浮かべて聞き返す。

本来なら生徒が一人消えたということで、悠長に話をしている場合ではない。

しかし、変に後でなどと言えば、綾菜がどういう反応をするかなど目に見えているため、ジャスティンはその対応を取らざるを得なかった。

 

「リエルお姉ちゃんが……裂夜叔父ちゃんを探しに行っちゃった」

 

「……はい?」

 

あんまり重要な話ではないと思っていたが、綾菜の口にしたことは考えとは正反対だった。

その言葉を聞いたジャスティンは若干唖然としつつも、すぐに我に返って先ほどよりも大きな焦りを浮かべる。

リエルが裂夜に執着しており、毎日飽きもせずに探し回ってることは知っていたが、まさかこんなときまでそんな行動に出るとは思わなかった。

しかし、綾菜の一言によりリエルが外に出てしまったことがわかっても、ジャスティンは探しにいくことができなかった。

というのも、避難場所であるそこを護るのは現在ジャスティンのみで、自分がいなくなれば生徒たちを危険に晒す可能性が高い。

だが、ここにいる生徒の安全をとってリエルを放っておけば、結果としてリエルという生徒を危険に晒すことに変わりはない。

どうすればいいのか……一人をとっても、大勢をとっても、変わりのない結果にジャスティンは片手を額に当てて悩む。

 

「学園長先生……僕、リエルさんを探してきますっ!」

 

「え、ちょっ、カールくんっ!?」

 

悩んでいる最中、突如そう言い出して駆け出していくカールをジャスティンは止めようとする。

しかし、その手は一歩届かず、カールは駆け出した勢いのまま部屋の外へと出て行ってしまった。

そして出て行ってしまったカールにジャスティンが再度頭を抱える中、またしてもカールに続くように外へと出て行くものが多数。

レイナ、リィナ、リゼッタ、そして先ほどまで怯えを見せていた静穂までもが、部屋を出て行ってしまった。

もうその様子は、ジャスティンにとって頭が痛いことこの上ない状況だった。

そして何を考えているのか、ドサクサ紛れに蓮也と綾菜まで部屋を出て行こうとするのを、ジャスティンは断固として止めた。

流石に、この二人まで外に出してしまったら、ミラになんと言われるかわかったものではない。

この戦いを無事に免れても、二人が危険に晒されたということによってミラの雷撃が降り注ぎ、自分自身が無事では済まない。

 

「あなたたちは、ここで待ってましょうね?」

 

「「むぅ(あぅ)……」」

 

まあ、二人も恭也やミラのことが心配だったりするのだろうが、こればっかりは譲れない。

そしてその後も、カールたちのことを心配しつつも、どうにかして出し抜こうとする蓮也と綾菜を止めることに、ジャスティンは集中するのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

約三十分前、避難場所を抜け出したリエルは廊下を走り回っていた。

妙なほどに嫌な予感を感じて、いの一番に心配した裂夜を探すべく、リエルは走り回っていた。

その嫌な予感とは、どこか感じたことがある……遠い、それこそ自分にとっては遥か遠い昔に感じたのと、同等の予感。

業火にて崩れ落ちる家、血塗れで幼い少女を抱く男性、そんな風景が頭の中に嫌でも思い出されてしまう、そんな嫌な予感。

そんな頭に浮かぶ記憶、そして予感をリエルは振り払うように首を振り、廊下を必死に走り続ける。

そして、裂夜を探して走り回る中、地下水路へと降りることの出来る倉庫がある場所へと辿り着いたとき、一人の男性の姿を見つけた。

それに、この学園にいる男性は現在、恭也と裂夜のみだと知っているリエルはすぐさま駆け寄り、姿がはっきりとしてきたところで声を掛けようとする。

だがしかし、声を発しようとした口は、不意にリエルの気配で振り向いた男性の容姿を見ることで閉じることとなった。

薄い紫色をした髪、どこかリエルと似ていると思える顔立ち、そして両手につけられて銀色に輝く手甲。

このどれもがリエルにとってとても見覚えがあり、そしてリエル自身が会いたいと思っていた人物に……酷似していた。

 

「お前は……リエル、か?」

 

「にい、さま……?」

 

目の前の男が呟いた自身の名に、リエルの中で確信が芽生える。

ティルオス・クロムハート、それは自分ことリエル・クロムハートの実の兄だという確信が。

死んだと思っていた、生きているなんて思わなかった……しかし、現実に兄は、ティルオスは生きていた。

ティルオスの顔を見て、確信を抱いて、そう思うや否や、リエルの目には涙が浮かぶ。

 

「生きてて、くれたんですね……」

 

「……ああ」

 

涙を流しながら言った自分の言葉に、頷きながら返してくれたティルオス。

その返事を聞いた瞬間、リエルは内から来る衝動のままにティルオスへと駆け寄り抱きつこうとする。

しかし、駆け出そうとした足は、まるで動きを制するように前へと突き出されたティルオスの手によって止められることとなった。

 

「それ以上……近づくな」

 

「え……」

 

突き出された手と共に口にされた言葉に、リエルは自分の耳を疑った。

そして、自分を見るティルオスから感じる明らかな敵意に、その目さえも疑わざるを得なかった。

 

「にい……さま?」

 

「私も、お前が生きていたことは正直嬉しい。 だが、お前がここにいる時点で……俺とお前の道は、すでに別たれた」

 

「ど、どういう意味、ですか?」

 

「わからないか? 今、この地で騒動を起こしている元凶は私……いや、私たちだと言っているんだ」

 

「っ!?」

 

突きつけられた現実は、まるで頭を金槌で殴られたかのように衝撃的なものだった。

信頼していた、優しかった、自身の兄が……この学園を恐怖に貶める事態を、招いているという事実は。

信じられない、信じたくない、そう考えながらティルオスを見るも、ティルオスの目は嘘を言っているようには見えない。

それ故に、信じたくないことだとしても、それが現実であると認識せざるを得なかった。

 

「どうして、ですか……どうして、こんなことを」

 

「どうして、か……そんなこと、お前にも分かりきっているだろう?」

 

尋ね返されたこと、それにリエルは確かに心当たりがあった。

しかし、目の前の現実が今だ信じられないと同じで、そんなことはありえないと自分に言い聞かせる。

だが、目の前にいる昔とはまるで変わってしまった兄を見ると、ありえないという言葉が打ち消されてしまう。

それでもリエルは違う、違うと自分に言い聞かせ続けるが、そんなリエルに再び現実を突きつけるようにティルオスは口を開いた。

 

「復讐だ……これも、そしてこれから起きることも。 私を、お前を、汚物のように扱い、挙句世から消そうとさえした――」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「すべての人間たちに対する、復讐なんだよ……リエル」

 

 


あとがき

 

 

さて〜、兄妹の邂逅が果たされ、二人の過去の一端が明かされました。

【咲】 明確には明かされないのね。

そりゃね……明かされるのはまだちょっと先になるよ。

【葉那】 ふ〜ん……ところでさ、明らかにこの二人、バトルします感ばりばりなんだけど、実際戦うの?

戦うね。 もう次回早速。

【咲】 実力的にはどっちが強いわけ?

そんなん決まってるじゃん。 断然、ティルオスのほうが上だよ。

【葉那】 へ〜、じゃあ次回の戦いはリエル負けちゃうの?

さあね……実力的にはティルオスが上だけど、実際戦ってみないと結果はわからんよ。

【咲】 ふ〜ん。 それで、恭也のほうはあの少女と交戦開始ね。

だな。 前回言っていた断罪者クラスの誰かというのは、すなわちこの少女だったわけだ。

【葉那】 あの子って、断罪者クラスの実力を持ってるんだぁ。

まあね。 でも、実力は断罪者クラスでも、昔のミラと同じで未完成のホムンクルスであるのも事実だ。

【咲】 でもさ、未完成って言っても本来の実力は普通に出せてるわけでしょ? 恭也は勝てるわけ?

さあ、それはどうだろうね。 少なくとも、少女のほうが恭也よりも実力上ではあるけどな。

【葉那】 駄目じゃん……。

ま、実際のところ勝敗がどうなるのかは次回以降を待て、だな。

【咲】 そ。 じゃあ、次回の予告、いってみましょうか。

だな。 え〜、次回のお話は、邂逅果たされたリエルとティルオスの戦闘。

そして視点が戻り、裂夜たち対代行者たちの戦闘かな。

【葉那】 見事に戦闘ばっかりだね。

戦闘は苦手なんだけどねぇ……ま、頑張って書くさ。

【咲】 そうしなさい。 じゃ、今回はこの辺でね♪

【葉那】 また次回会おうね〜♪

では〜ノシ




まさか、この少女が一人で恭也のところまで来るとは思わなかった。
美姫 「恭也の相手は彼女だったのね」
再会した兄妹は、再会を喜ぶ間もなく。
美姫 「本当に緊迫した展開が続くわね」
うんうん。襲撃された学園。果たして、どうなる!?
美姫 「次回も待っていますね」
待ってます。



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