龍道の持ってきた刀がシャインスレイと名乗る少女に変わった。

その光景には美由希やライル、モニカだけならずその場でそれを目撃した全員が驚き好奇の視線を向け始める。

それがそこを通る者に興味を持たせ人は着実に集まり始めていた。

 

「とりあえずこのことを学園長に伝えてくるよ。 その後でおそらく呼び出しがあると思うから悪いけど自室で待機しててもらえるかな」

 

「あ、はい、わかりました……」

 

「それじゃ」

 

龍道はそう言うとロビーを去っていった。

 

「ってことは、一緒に夕食は……無理だな」

 

「えっと、すみません……」

 

「美由希が謝ることじゃないわよ。 こんなことが起きるなんて誰だって予想できないし」

 

「うん……」

 

「じゃあまた今度一緒に食べよう」

 

「そうね」

 

じゃあまた明日、そう言って二人は食堂へと歩いていった。

そして残された美由希はシャインスレイと名乗るその少女に対して口を開く。

 

「えと……シャインスレイさん」

 

「スレイとお呼びください、主様。 なんでしょうか?」

 

「あなたは……」

 

と、そこで言葉を止め言おうとした言葉を飲み込む。

おそらく自分の聞こうとしているのとは他の人があまり聞いていいことではない。

そう判断しここで聞くにはいささか人の目が多すぎると思った故に

 

「と、とりあえず私の部屋に行きましょう。 話はそれからで……」

 

「わかりました、主様」

 

二人は少し早足気味でその場を後にするのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

メンアットトライアングル!〜対なる心、継承せし二刀の剣〜

 

第三話 光と闇は善と悪?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さすがは私が選んだ主様……見事なご判断でした」

 

「え?」

 

スレイは美由希の部屋に入るといきなりそんなことを言う。

そう言われるほど何かをした覚えがない美由希は間抜けな声を漏らし首を傾げる。

 

「えっと……なんのことですか?」

 

「ご謙遜を。 主様が私にお聞きしたいことはだいたい想像しておりました。 しかし、それを話すためにはあの場所ではいささか人の目に付きすぎます。 故に主様は瞬時にそれを読み取り人目のない主様のお部屋ならと考えたのでしょう?」

 

「……」

 

確かにスレイの言うとおり、そう美由希は判断し場所を移した。

しかし、それだけのことでこう言われるのは少し大げさだと思う。

 

「……それでさっきの続きなんですけど」

 

「私に敬語は不要です、主様」

 

「あ、うん。それでスレイさんは」

 

「さんも不要です。 私はいわば主様の僕。 ならば主様が私に敬語やさん付けをするのはおかしいでしょう」

 

「そ、そういうものなのかな?」

 

「はい」

 

きっぱりとそう言って頷く。

そうなのかな?と内心で疑問に思うが一瞬頭に忍とノエルが浮かぶ。

確かにあの二人はそういった感じだった。

 

(忍さんはノエルさんを僕とは思ってないけど)

 

しかし、あの二人がそういった感じなのだからやはりスレイの言うとおりなのだろう。

そう無理やり納得することにした美由希はとりあえず話を進めることにした。

 

「じゃあ、スレイ……あなたはいったい何者?」

 

「主様の僕です」

 

「いや、そうじゃなくて……それも気になるけど、まず聞きたいのはスレイ自体がなんなのかってことなんだけど」

 

「私は二刀一対である魔剣の片割れである光の剣の精霊シャインスレイ。 主様の剣となり盾となる主様の僕。 それ以上でもそれ以下でもありません」

 

「う、う〜ん……」

 

結局は現れたときと同じことしか言わない。

しかし、これ以上しつこく聞いてもおそらくは答えないだろう。

そう考え美由希は別のことを聞くことにした。

 

「二刀一対ってことはもう一刀あるんだよね?」

 

「はい。 もう一刀は光と対となる、闇の魔剣ダーグレイです」

 

「な、なんか闇って聞くとあまりいい感じがしないね」

 

「確かに人は闇を悪と同列で考える者が多いですね。 しかし、闇と悪は必ずしも同じとは限りません。 闇の力を持つものが善を行うこともあります。ただ、今まで闇を扱う者に悪人が多かった故に人々は考えをそう固定してしまったのでしょう」

 

「じゃあ闇の力が使えるからその人は悪だってわけじゃないんだ」

 

「そうですね」

 

スレイは小さく頷く。

そこで美由希は更なる疑問が頭に浮かんだ。

そしてその疑問をスレイにぶつける。

 

「闇の魔剣もこの学園のどこかにあったりするの?」

 

「おそらくはあると思います。 ただ、どこにあるのかは不明ですが……ですが私たちは同じ主につくことになっているのでいずれ誰かが契約している、ということはないでしょう」

 

「そうなんだ……」

 

「本来なら探知魔法で魔力を辿れば所在がわかるのですが……主様をこの世界に呼んだ際に膨大な魔力を消費してしまいましたので」

 

「つまりは自力で探すしかないって事だね」

 

「もうしわけありません」

 

「ううん、気にしてないよ。 あ、そういえば一番重要なこと聞いてなかった」

 

「なんでしょうか?」

 

「スレイが私を主としてここに呼んだっていうのはわかったけど、結局のところ何をするために呼んだの?」

 

これが一番重要なこと。

スレイはどうして美由希を主に選び、主として呼んだ美由希に何をさせたいのか。

呼ばれたものとしては当然の疑問である。

 

「守護するためです」

 

「守護?」

 

「はい。あらゆるものからそれを守り抜くため。私たちはそう聞かされました」

 

「誰にって聞いていいかな?」

 

「はい。私たちがそれを私たちの作った人、つまりは私たちにとっての親から聞きました。 名はラウエルと言います」

 

「そうなんだ……それでラウエルさんは何を守れって言ったの?」

 

「それは……守るべきものは……」

 

スレイは美由希の目を見据えて口を開く。

 

「賢者の石、です」

 

二人しかいない部屋にスレイの澄んだ声は確かに響き渡った。

 

 

 

 

 

 

 

 

「そんなことがあったんですか……」

 

「ほんとびっくりしたよ」

 

「うう、リサもその場にいたかったっす……」

 

自分をリサと言ったその少女はそう言ってがっくりとうな垂れる。

今の時間は消灯から三十分たった夜九時三十分。

ライル、モニカを含めた六人は学園内を歩いている。

いわゆる探検というやつである。

 

「それにしても剣が女の子になるなんて思わなかったよな」

 

「確かにそんなのは今までに聞いたことがないね」

 

「私もです。 錬金術でもさすがにそんなものはできませんから」

 

ライルの言葉にライルと同じく男子用の制服を着た少年―ジャスティンと金髪の長髪をした少女、フィリスは頷きながらそう言う。

 

「瑞穂はどう? 聞いたことある?」

 

「……」

 

「瑞穂?」

 

ライルの問いかけに答えず、他の者たちとはまったく異なる衣服を着た少女―瑞穂は歩いていた足を止めただ一点を睨むように見ていた。

皆は同じように足を止め瑞穂が見ているほうを見てみる。

だが特に変わったものなど何もなかった。

いったいどうしたんだとライルが問いかけようとしたとき、瑞穂は閉じていた口を開いた。

 

「そこにいる方、出てきてはどうですか」

 

誰もいないはずの場所に向かって瑞穂がそういったことで皆はもう一度その場所を見る。

瑞穂が言ってからしばしして、その人物は物の影から姿を出した。

 

「まさか見つかるとはな……」

 

それはまるで、夜の闇に同化しそうなほど黒一色の衣服を帯びた青年だった。

 

 

 

 

 

 

 

その頃、迷子になっていたレイはというと。

 

「もう……あれほど迷子にならないようにって言ったのに」

 

「だってだって〜……」

 

半泣き状態で恭也を探し回っているところをミラによって保護されていた。

注意、というか説教されたことでしゅんとなり泣きそうになるレイをミラは苦笑しながら頭を撫でてあやしていた。

この分だと今日は収穫なしね、と内心で溜め息をつきながら。

 

 


あとがき

 

 

レイに関してはこういう落ちでした。

【咲】 原作のほうとこっちだとミラの性格が違うわね。

まあレイが間に入ったときに原作のままだとちょっとだめかなって思ってね。

【咲】 へ〜、珍しく考えてるわね。

珍しくは余計だ。

【咲】 で、今回ようやく原作のヒロインたちが全員出たわね。

だな。 メインが恭也、美由希、ミラ、レイ、スレイになるからライルはともかく他のキャラはどうしても影が薄くなってしまう。

【咲】 そこをどうにかするのがあんたの仕事でしょ。

が、がんばります。

【咲】 じゃ、今回は

と、ちょっと待った!!

【咲】 な、なによ、いきなり。

終わる前に一つクイズを出そうかと。

【咲】 クイズ?

うん。

【咲】 だれに?

これを読んでくれてる人たちに。

【咲】 当たったら何かあるわけ?

いいや、なにも。

【咲】 ……。

ま、まあお遊びみたいなもんだよ。

【咲】 はぁ……。

じゃ、じゃあ問題です。

レイがよく迷子になると文中では言っていますが、いったいなぜそんなによく迷子になるのでしょうか?

次の中から一つだけ選んでください。

1、好奇心が旺盛すぎるから。

2、余所見をしながら歩く癖があるから。

3、アホの子だから。

4、上記のもの全部。

 

さあ、どれでしょう!!

【咲】 3と4ってけっこう酷いわね。

でも、ありえなくはない選択肢なんだよね。

【咲】 答えは次回明かすの?

うん。 次回は魔剣についての説明をあとがきに載せるつもりだからそれと同時に答えの発表ってこと。

【咲】 そ。 じゃ、今度こそ。

次回も見てくださいね〜ノシ。




答えは、5のそれが標準装備だから!
美姫 「そんなのはないわよ!」
ぶべらっ!
美姫 「そんな冗談はさておき」
冗談でここまで強く殴られたのか!?
美姫 「さ・て・お・き!」
あ、うん、そうだね。冗談はさておき、早くもライルたちの前に謎の青年が(笑)
美姫 「次回はどうなるのかしら」
そして、恭也はレイたちと無事に合流できるのか。
美姫 「次回も待ってますね」
待ってます。



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