いったい何がどうなっているのだろうか?

それが美由希が現状で思うことである。

 

「え〜と……どうしましょうか?」

 

「えっと……私に聞かれても」

 

現在、美由希は妙齢の女性と向かい合うように立っていた。

その女性は何やら頬に手を当てて考え事をしている。

 

「あの、とりあえず聞きたいことがあるんですけど……」

 

「ああ、そうでしたね。 それで、あなたの知りたいことって何かしら?」

 

美由希の言葉に思考の渦から戻ってきた女性はそう聞く。

その女性の言葉に今、美由希が一番疑問に思ってることを口にした。

 

「ここ……どこですか?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

メンアットトライアングル!〜対なる心、継承せし二刀の剣〜

 

 

第一話 異世界の学園

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あの時、石に触れた瞬間、美由希意識は落ちた。

そして目を覚ました美由希がいたのはまったく知らない場所だった。

何かをしていたのか回りには人だかりのようなものができていた。

自分の現状がまるでわからなかった美由希は当然戸惑った。

そこへ人の群れをかき分けるようにして美由希の近くによってくるものがいた。

その人はとても鍛えられた体に上がシャツ一枚という見た感じ体育会系の男だった。

その男は美由希に近づくと怪訝そうな顔をして顎に手を当てながら美由希をみる。

どうやら混乱しているのはどちらも同じのようだった。

そして男は質問などは特にせず、美由希についてくるようにいって歩き出した。

立ち上がった美由希は多くの視線を浴びながら男に案内されるままにその場を後にした。

その後、案内された場所が現在、美由希のいる場所である。

 

「えっと、ここがどこか……でしたね」

 

女性は笑みこそ絶やさないが美由希の質問に少々驚いているようだった。

まあそれもそうだろう。

いきなり最初の質問がここはどこですか?では大抵の人が面を食らう。

だが、その質問は同時に美由希が部外者であるとわかる。

その後、女性は美由希の質問に答えた。

ここがヨーロッパにあるハンターを育てる学園である。

解りやすく簡単に言うとそういった答えである。

 

「ハンター?」

 

その答えで美由希の中には新たな疑問が浮かんだ。

その疑問を思わず口にすると女性はああとなにか納得したような表情をして説明を始めた。

説明を聞いていくうちに美由希は自分の考えが確信へと変わっていった。

ここは自分のいた世界ではないという考えが。

 

「それと申し遅れましたが、私はここの学園長でミリアム・シンクレアと言います」

 

「あ、私も申し送れました。 高町美由希と言います」

 

「高町美由希さん……ですか。 名前から見て東洋の方なのかしら?」

 

「えと……まあ、一応」

 

正確には違う世界の東洋なのだが信じてもらえるとは思えないと踏んだため美由希は言わなかった。

歯切れの悪い物言いに女性―ミリアムは不思議そうな顔をするがそれよりも聞かないといけないことがあるのか口を開く。

 

「それで、美由希さんはどうやってこの学園に?」

 

「その……自分でもどうやってここにきたのか……」

 

「わからないんですか?」

 

「はい……」

 

「そうですか……」

 

ミリアムは悩む。

美由希の言葉からは敵の侵入者の可能性も考えられる。

だが、ミリアムには目の前の少女が嘘をついてるようには見えなかった。

だから余計に悩みどころなのだ。

敵ではない単なる少女ならこの学園に入ることは無理だろう。

もしは入れたとしても入った瞬間、ミリアム自身が気づくはずなのだ。

そう言っていいほど学園内の至る所にミリアムの張った結界がある。

だが、その結界からは何の反応もなかった。

 

「ふぅ……」

 

どの道、現状で考えても答えは見つからない。

そう思ったのかミリアムは小さく息をついてある提案を美由希に持ちかけることにした。

 

「美由希さんは元の場所に帰るあてはありますか?」

 

「えっと……ないです」

 

この答えからもおかしな部分があることにミリアムは気づく。

が、それよりも提案を先に言うことにした。

 

「それならしばらくこの学園にいてはいかがですか?」

 

「え……でも」

 

「もちろん学生として、ということになります。 幸い美由希にはハンターとしての資質がおありのようですし」

 

「資質……ですか?」

 

「はい。 ハンターになるには資質を持った人しかなれないんです。 そして資質を持った人をハンターとして養成するのがこの学園。 当然、資質をもっていないと学園に入学することはできないということになります。 その資質を美由希さんは持っていますので、今入っても誰もおかしくは見ないでしょう。 少しだけ騒ぎにはなるかもしれませんけど」

 

「えと……あてもないですし、居させてもらえるなら」

 

「わかりました。 ではそれじゃあお部屋は……」

 

そこで言葉を切り、薄めのファイルと取り出す。

そこから校内の地図と思われる紙ともう一つ棚から名簿だろうと思われるファイルと取り出し見始める。

そして数分間見た後、ミリアムは顔を上げて部屋の場所を告げた。

美由希の部屋はかろうじて空いていた寮の二階通路の一番端の部屋である。

 

「それから制服などは夕食までに案内もかねて生徒に頼んで持っていかせますので」

 

「わかりました」

 

美由希が返事をするとほぼ同時に終業告げるためのものと思われる鐘がなる。

 

「あら、もうこんな時間。 それじゃ、私は用事がありますのでこれで失礼しますね。 あ、部屋の場所、わかるかしら?」

 

「えっと……大丈夫だと思います。それに解らなかったら近くの人に聞きますから」

 

「そうですか……なら私はちょっと出かけますのでこれで」

 

ミリアムはちょっと急いでいるのかすぐに立ち上がって部屋の扉の前に行く。

そして美由希も部屋を出て行くミリアムに続き部屋を後にした。

 

 

 

 

 

 

時間が変わってその日の夜。

冒険に行くもの以外は寝静まっているだろう時間、学園には三つの人影があった。

 

「それにしても、結界だらけね……探すのが大変そう」

 

「だが、探さないといけないからな」

 

「それは彼のために?」

 

「いや、俺たちのためにだ」

 

「そうだね〜。 今のままだとミラお姉ちゃん大変だしね〜」

 

「ごめんなさい、二人とも……」

 

「謝る必要はない。 俺が勝手にやることだ」

 

「そうだよ〜。 お兄ちゃんも私も、ミラお姉ちゃんが苦しむなんて嫌なんだもん」

 

「レイの言うとおりだ。 だから謝る必要はないんだ、ミラ」

 

「……ありがとう、恭也、レイ」

 

ミラは微笑を浮かべて礼を言う。

それに恭也は照れくさそうに頬をかき、レイは嬉しそうにミラに抱きついて擦り寄る。

 

「それじゃあ、俺は人気のない場所を中心に調べる。 ミラは少々危険だが中庭やその付近を捜してくれ」

 

「ええ……恭也も気をつけてね」

 

「ああ……それとレイは俺についてきてくれ。 くれぐれも逸れないようにな」

 

「む〜、私、そんなに子供じゃないもん」

 

「念のためだよ」

 

そう言ってレイの頭を優しく撫でる。

するとちょっと剥れていた表情はすぐに満面の笑みへと変わる。

 

「合流は……そうだな、バルコニーと言うことにしよう。 そこで各々の成果を報告しあうと言う形で」

 

「「ええ(うん)」」

 

「よし、じゃあ行くぞ」

 

恭也がそう言うとレイは恭也について歩き始め、ミラはそれとは逆のほうへと歩き始める。

この学園に運び込まれたあるものを探すために……。

 

 


あとがき

 

 

【咲】 珍しく順調みたいね。

まあね。 もともとこの作品は俺の処女作である「闇より来たりて」の次に書き始めたものだからな。

【咲】 なるほどね。だからだいたいの構図はできてるってことね。

その通り。 まあ、こっちを書いてる分他のが遅れがちになるんだけど。

【咲】 あんまり遅れすぎないように。

わかってるって。

【咲】 それにしても美由希サイドが多いわね。

まあ、ストーリ上でライルと一緒に行動するようになるほうが話の主になりがちになるんだよね。

その分、恭也の出番もオリジナル含めて増やすつもりだけど。

【咲】 で、次はライルたちと出会うお話になるのかしら?

そうなるかな。 あともう一人のオリキャラも出てくることになるな。

【咲】 ああ、光のほうね。

そういうこと。オリキャラはどんな子なのか、どういった形でライルたちと出会うのか。 それは次回のお楽しみってことで。

【咲】 そうね。 じゃ、今回はこの辺でね♪

また次回もこの作品を見てくださいね〜ノシ




学園の生徒となった美由希と、
美姫 「学園に侵入した恭也」
この二人が出会うのはいつになるのかな。
美姫 「先に美由希とライルが知り合うことになりそうだけど」
さてさて、どうなるのか。
美姫 「次回もお待ちしてますね」
待ってます!



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