メンアットトライアングル!〜対なる心、継承せし二刀の剣〜

 

 

プロローグ2

 

 

 

 

 

 

 

 

三ヶ月。

恭ちゃんがいなくなってもう三ヶ月が経ちます。

あの日、恭ちゃんは夜の鍛錬で私だけを帰して自分だけ残りました。

少し様子がおかしかったけど私は恭ちゃんの言ったとおり家に帰りました。

それを最後に恭ちゃんはいなくなってしまいました。

初めはすぐに帰ってくるだろうと私も皆も思っていました。

でも、日が経つにつれてだんだんその考えが崩れていきました。

考えが崩れていくと同時に皆を取り巻く空気も沈んでいきました。

私もその一人です。

でも、きっと帰ってくるという思いが皆の中にも、私の中にもまだあります。

母さんも、なのはも、フィアッセも、晶も、レンも、那美さんも、忍さんも。

そして私も、そんな思いがあるからなんとか普通に振舞えています。

でも、そろそろ限界かな……。

 

「恭ちゃん……どこにいるの? はやく……帰ってきてよ」

 

恭ちゃんがよく座っていた縁側で私は膝を抱えるようにして座ってる。

ここにいるとなんとなく恭ちゃんが傍にいるような気がしたから。

 

『見つけました……』

 

「え……?」

 

ぼーっとしていた私に突然どこからか声が聞こえてきた。

俯いていた顔を上げると目の前には真っ白な石が光を放ちながら宙に浮いている。

その光景を私は呆然とただ見ている。

 

『光の力を継承する器を持つ者……あなたなら私を扱える』

 

「器? 扱える?」

 

何を言ってるのかよくわからない。

疑問を口にした私に声は答えることなく言葉を続ける。

 

『さあ……私を求めなさい……』

 

その言葉を聞くと私は無意識のうちに手をその石に伸ばしていた。

そして石に触れると同時に光が溢れ私は意識を手放した。

 

 

 

 

 

 

 

 

「ん……?」

 

何か妙な力を感じたな。

なんだろうか?

 

「どうしたの、恭也?」

 

隣に立っている少女―ミラが俺に聞いてくる。

俺はミラの声に平静を装って返す。

 

「いや……なんでもない」

 

「そういう風には見えないよ〜」

 

俺がそう返すとミラとは反対にいた少女がそう言ってくる。

 

「そうか?」

 

「ええ、レイの言うとおりね。 恭也は無表情に見えてそういうところが結構わかりやすく出るから」

 

「だね〜。 他の人にはそれで誤魔化せるかもしれないけど、少なくとも私とミラお姉ちゃんは誤魔化せないよ〜」

 

……平静を装ったつもりなのだが、どうもこの二人のはわかってしまうらしい。

しょうがない、一応言っておくか……。

 

「さっき、妙な力を感じてな。 だがほんの一瞬だったし、気のせいかと思ったんだが」

 

「ん〜、ちょっと待ってね〜……」

 

そう言ってその少女―レイが何やらし始める。

多分、今俺が感じた力と言うのを魔力と思ってその出所を辿っている、といったところだろう。

そして一分も経たないうちに閉じていた目を開けて俺のほうを見る。

その表情は不機嫌なものに変わっていた。

 

「たぶん、お兄ちゃんが感じた力は気のせいじゃないよ」

 

「なんでだ?」

 

「ほんのついさっきみたいだけど、光が主を見つけたみたい……」

 

「それって……」

 

ミラが信じられないといったような表情でレイに言う。

レイは小さく頷いてミラが言わんとする言葉を続ける。

 

「二刀の魔剣が別々の主を持っちゃったてことだね……本来ならありえないんだけど」

 

「だが、そのありえないことが現実に起きてしまった……ということか」

 

「うん。 それで光の主の所在も確かめたけど……これって結構偶然なのかな?」

 

「どこなんだ?」

 

「私たちの……っていうかお兄ちゃんとミラお姉ちゃんの目的のものが運び込まれた場所」

 

「……恐ろしい偶然だな」

 

「そうね。 でも、それならかえって好都合かもそれないわね」

 

「そうだね〜。 でも、石についてはいいかもしれないけど問題は剣のほうかな〜」

 

「どういうことだ?」

 

「う〜んとね〜、いままでなかったから詳しくはわかんないけど、たぶん光のほうの性質……ていうか性格からして簡単にはいかないと思うんだよね」

 

「ふむ……」

 

それはどういう意味なんだろうか?

俺が考えているとレイは無邪気な笑みを浮かべ、俺に抱きついてくる。

 

「でも大丈夫だよ。 お兄ちゃんならどうとでもなると思うしね」

 

「まあ……なんとかしてみよう」

 

俺はそう言って抱きついてきたレイの頭を優しく撫でる。

レイは気持ち良さそうに撫でられている。

そしてそれをミラが微笑ましそうな笑みを浮かべて見ていた。

 

「それじゃあ、そろそろ行きましょうか。 準備もできてることだし」

 

「そうだな」

 

「は〜い」

 

俺とレイはミラの言葉にそう返事を返し、目的の二つがあるその地へと足を向ける。

その地……魔法学園ウォーザーブルクへと。

 

 


あとがき

 

 

今回は前半美由希視点で後半が恭也でございます。

【咲】 美由希もこの世界に来ちゃったってわけ?

そういうことですね。

【咲】 ふ〜ん、それにしても恭也視点で知らない子が出てるわね。

あれはオリジナルだね。まあどういった役割をもつのかは今回でなんとなく気づいた方はいるかと。

【咲】 詳しくはまだ明かされないのね。

まだね……ま、そのうち明かされるよ。

【咲】 そこまでスムーズにいけばいいけどね。

ぐ……痛いところをつきますね。

【咲】 ま、普段のあんたの更新速度を見てれば自然に出る言葉だけどね。

ぐあ!……グサッてきたよ、グサッて。

【咲】 こいつを苛めたところで更新速度が上がるわけじゃないし、でも苛めないと気がすまないし。 悩みどころよね〜。

悩むな!!苛めるな!!遊ばせろ!!

【咲】 ドサクサに紛れて何ほざくか!!

ぐはっ!!

【咲】 まったく……じゃまた次回も見てくださいね〜♪




光と闇に別れたような感じだが…。
美姫 「もしかして、兄妹対決!?」
いやはや、どうなるんだろうか。
美姫 「うーん、次回が気になるわね」
次回から舞台は魔法学園へと移るのか!?
美姫 「次回がどうなるのか待ってますね」
ではでは。



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