ハラオウン家での朝食や夕食は基本的にフェイトとアルフ、シェリスの三人のみで食卓を囲む形となっている。
というのも本来なら養子縁組をしたため親という立場にあるリンディ、そして立場上兄という位置付けのクロノが仕事で帰ってこれないからだ。
帰ってこれないと言っても実際のハラオウン家はミッドチルダにあり、現在海鳴にいる三人が住んでいる場所は借家みたいなもの。
闇の書事件の際に仮本部として借り、今はそれをそのままフェイトが学校に通う間の期間だけ借りているという感じになっていた。
ともあれ、それでもハラオウン家というのには変わりなく、フェイトたちが海鳴にいる間はリンディたちにとってもこちらが帰る場所。
だけどアイラの事で二人はまだ本局を離れるわけにもいかず、結果として現在ここで住んでいる三人のみでの食事がほとんどだというわけである。
そしてそんなわけで本日も三人は食卓を囲み、最近趣味となりつつあるのかレパートリーが増えたフェイトの料理を夕食として食べていた。
「ん〜、やっぱりフェイトの作るご飯は美味しいよね。これで野菜が少なかったらもっと美味しいんだけど」
「それだと栄養面で偏っちゃうから駄目。好き嫌いをしないでちゃんと野菜も食べてくれなくちゃ、今度からもっと野菜多めで作っちゃうよ?」
「うげ、それは勘弁……」
使い魔であるアルフは基本的にフェイトの魔力供給さえあればいいわけだから、食事というものは本来必要としない。
それでも食べる理由は単に美味しいから。しかし、そこに嫌いな野菜が含まれてくると肉好きなアルフとしては苦い顔をせざるを得ない。
かといって野菜を残せば今フェイトが言ったように更に野菜多めで作られてしまう。下手をしたら、多めどころか野菜のみになる可能性もある。
それはアルフとしては御免被りたい事態であるため、いつも不満は言っても野菜も残さず食べていた。
――しかしそんな中でただ一人、例外となる人物が存在した。
ちょっと厳しめに注意をされて嫌いながらも野菜を食べるアルフの対面。フェイトの横に位置する席にて、野菜を退けてる人物。
それは少し前にフェイトと時を同じくしてハラオウン家の養子となり、同時に彼女の所持デバイスと正式に決まったシェリス。
無邪気で無垢、甘え症で何より自由奔放な生き方で我が道を行く彼女は何を隠そう、アルフ以上の野菜嫌いである。
昼食時でもフェイトが用意しておいた食事を悉く野菜のみ退け、肉と白米だけ食べようとするからいつもアルフが手を焼いたりしていた。
そんな困った部分は当然朝食時や夕食時にも現れ、しかもこのときは甘やかしすぎな傾向のあるフェイトがいる故、自分からは食べようとしない。
当然の如く必死に食べてるアルフがそれを許せるわけもなく、いつも強引に食べさせてる。そして今日も今日とて、シェリスのその行動は簡単に発見された。
「シェリス……アンタ、何度言ったら分かるんだい? 折角フェイトがアタシらのために作ったんだから、絶対に残すなっていつも言ってるはずだよね?」
「嫌いなんだからしょうがないもん。フェイトお姉ちゃんだって残しても良いって言ってるもん。ね〜、フェイトお姉ちゃん?」
「え、あ、うん……確かに私もそう言ったけど。でも、さすがに全部残すのは……」
「駄目なの……?」
「……うぅ」
甘やかしすぎな傾向があるというのも理由ではあるが、一番の理由はやはりシェリスの沈んだ顔が見たくないからだ。
折角彼女自身が自分の傍が良いと言ってくれてた彼女。そんな彼女を悲しませたくないという気持ちは当然、フェイトにはある。
共にハラオウン家の養子となって義理の姉妹となったから余計にそういう考えを抱かせる。だから、こういう顔をされると彼女は弱いのだ。
だが、フェイトだけならば結局食べず終いで終わるだろうが、アルフがいる現状ではもちろんそんな事にはならない。
「駄目に決まってんだろ! いいから食え! とにかく食え! 四の五の言わずさっさと食えぇぇぇ!!」
「にゃーーーー!!!」
自分は食べてるのに反して食べようとしないシェリスにいつもの如く腹を立て、椅子から立って怒鳴るアルフ。
対する彼女はまた無理矢理食べさせられると思い、同じく席を立って逃げ出す。そして、それをアルフが追い掛ける。
ここ最近では日常茶飯事となっている光景。しかし事が事だけに放置できる事でもなく、だけどフェイトには止める術が無くて毎度の如くオロオロ。
そして結局、この日もシェリスは程なくして捕まり、アルフ式拘束術で動きを封じられながら、嫌いな野菜を無理矢理食べさせられる羽目となった。
魔法少女リリカルなのはB.N
【第三章】第九話 フェイトとシェリスの好き嫌い克服法
特定の野菜が嫌いというだけなら別段構わない。それをなるべく使わず料理を作ればいいのだから。
だけど全ての野菜が嫌いとなると無理というものだ。作る事は簡単ではあっても、栄養面が極端に偏ってしまうのだから。
となると食べてもらうか残させるかの二択になるが、毎日残されると処理に困るので出来れば食べて欲しいのが正直なところ。
しかし彼女――シェリスはアルフに無理矢理食べさせられる以外では絶対に食べず、そのせいかいつも食事時はドタバタする羽目となる。
このままにしておけば仮に余所様で食事を頂くという場合が出てきたとき、確実に迷惑が掛かる。だからこそ、彼女のそれを克服させる必要がある。
とはいえ、今まで何度か積極的に食べてもらうと頑張ってはいたが意味は為さず、二人だけで考える策では彼女の好き嫌い克服は不可能と判断。
それ故、誰かに相談してみようと考えたフェイトはまず、学校にて友人たちへとその相談事を持ち掛けた。
「シェリスの野菜嫌いを克服させたい、ねぇ……無理じゃない?」
「ア、アリサちゃん……そういうのはせめてもうちょっと考えてから言おうよ」
「考えても無理なものは無理としか言いようがないじゃない。私も頻繁に会ってるわけじゃないから何でも把握してるわけじゃないけど、少なくともあそこまで腕白で我儘な子に言う事聞かせる方法なんて検討も付かないのは確かね」
いきなりバッサリ切り捨てたアリサにすずかが少しは考えてと言うが、それすらもバッサリと切り捨ててしまう。
しかし頻繁に会っていなくとも彼女がそう口にしても可笑しくないくらい、シェリスは彼女やすずかに迷惑を掛けている。
たまには休日に集まって遊ぼうと言うときには基本的にフェイトに付いて来ては迷惑極まりないほどはしゃぐわ、挙句の果てにははしゃぎ過ぎて迷子になるわ。
遊ぶために集まったはずがシェリスのお守りと捜索だけで終わった事もざら。そんな相手に言う事を聞かせようなど、彼女にとっては無理としか言いようが無い。
加えてなのはやすずかもそう言われては反論が出来ず、乾いた笑いを浮かべるしかなかった。
「まあ、敢えて私から言える事があるとすれば、もう少し大人な人に相談した方が良いって事のみね。正直、シェリスは私たちじゃ手に負えないわ」
「大人な人って、例えば……?」
「一番その手の事に精通してそうなのは、なのはのお母さんの桃子さんね。その次が……まあ、恭也さん辺りかな。後、歳は同じだけど、はやてに聞くのもいいかもしれないわね」
桃子は人の親として子供の扱いに慣れているとは思う。恭也やはやてに関しても、桃子と似た部分があるのでまた然り。
直接的な解決法を聞いたわけではないが、それは助言に変わりなく、フェイトは挙げられた名前を記憶すると小さくお礼を言う。
反対にアリサはいいわよとだけ告げつつ手をヒラヒラさせる事で返してはいたが、表情はちょっとだけ照れくさそうな顔をしていた。
素直にお礼を言われる事に恥ずかしさがあるのだろう。なのはやすずかがお礼を言うときなども、こういう様子を見る事がよくある。
だからか二人ともアリサに気付かれないよう、ちょっと不器用な優しさを持つ彼女に小さく苦笑するのだった。
そんなわけで放課後、早速連絡を入れてフェイトはなのはたちと共に八神家へと訪れた。
シグナムは見学と指導のために近場の剣道道場、ヴィータはご老人たちとゲートボールという事で外出中。
シャマルもちょうどザフィーラのお散歩も兼ねてお買い物に行ったためおらず、八神家にいたのははやてとリィンフォース、そしてアスコナのみ。
以前訪れたときの喧騒が急に無くなったみたいで若干落ち着かなくもあるが、逸れずに話も進められるのでこれはこれでいいかとも思ったりした。
ともあれ家に招き入れられてリビングのテーブルを囲み、出されたお茶を一口飲んで一息ついた後、フェイトは相談事をはやてへと打ち明けた。
そしてはやても少しでも力になれればと意気込んでそれを聞いていたのだが、聞き終えると一変して困ったような表情を浮かべる羽目となった。
「シェリスちゃんに言う事を聞かせる方法、なぁ。ん〜…………申し訳ないんやけど、正直検討もつかへんわ」
「へぇ……ちょっと意外。はやてってこの家の中じゃお母さんって感じの立ち位置だから、そういうのも精通してるって思ってたんだけど」
「その考えはあながち間違ってはないと思うんやけど、ウチの家族で極端な我儘を言う子っておらへんから方法って言っても全然浮かばへん。もっとも、正確には一人だけおるにはおるんやけど……」
「……アスコナは下手に窘めようとすると泣きますから、無理もないかと」
「そうなんよねぇ……まあ、そんなわけでウチには力になれそうもないわ。ごめんな、フェイトちゃん?」
本当に申し訳なさそうな声色で謝罪してくる彼女にフェイトは慌てて首を横に振り、気にしなくていいと告げる。
それによってはやてもまだ若干済まなそうな顔はしていたが小さく笑みを浮かべ、折角だからもう少しゆっくりしていってと言いつつお茶請けを取りに行こうとする。
故にお茶の用意のときと同様に手伝おうとなのはとフェイトが同時に立とうとした矢先――――
――はやての寝室方面から、ゴトンという鈍い音がリビングまで響いてきた。
何の音か分からず首を傾げる一同。だが、はやてとリィンフォースに至っては原因が分かるのか、溜息をつきつつそちらへと向かう。
好奇心故かそれを追うようにして四人も立ち、二人の後に続いて彼女の寝室へ。そしてそこで音の発生源が彼女らにも明らかとなった。
「きゅう……」
ベッド横の床にて横たわり、目を回している銀髪の少女。それは言わずと知れた守護騎士の末っ子、アスコナである。
一体なぜ目を回しているのかなんて見るだけで明らか。おそらくベッドの上で何かをしていて落ち、頭を打って気絶してしまったのだろう。
はっきり言ってお馬鹿以外の何者でもないが、同時に何となく和む。本人にとっては災難でしかないであろうが。
「……やはり、ベッドに柵でも付けたほうがいいのではないでしょうか、主はやて?」
「せやなぁ……こう頻繁に落ちられると正直、一人でおちおち昼寝もさせられへんわ」
溜息混じりに呟かれた二人の言葉を聞く限り、どうやら彼女はなのはたちが話をしていた最中、ずっと寝ていたらしい。
そして寝返りを打ち、床に落ちて頭を強打。その衝撃で目が覚めると共に気絶。お馬鹿を通り越してこれはもう、見事な連鎖と言う他ない。
もっとも初めてこれを目の当たりにする者からすればそうでも、基本的に一緒にいるはやてやリィンフォースからすればいい加減呆れしか浮かばなくなっている。
だけどそのままにしておくわけにもいかず、近寄ったリィンフォースはアスコナを抱き上げてはやての膝の上に預け、乱れたベッドを軽く整える。
それから再びはやての元まで戻るとアスコナの目線と合わせる程度にしゃがみ、気付けとばかりに彼女の両頬を軽くポンポンと叩いた。
「にゅう……にゅ?」
二、三度叩き続けると奇妙な声を上げて目覚めるが、今の状況がすぐには理解出来なかったのか首を傾げる。
しかしその状態でも大丈夫かと聞けばコクコクと頷き返す。そして状況は未だちゃんと理解してなくも、とりあえずとばかりにリィンフォースに抱っこをせがむ。
それに彼女もやれやれと軽く溜息をつくが、ちゃんと要求に答えるようにアスコナを抱き上げ、いつもしてるように頭を何度か撫でてやった。
見た目はなのはたちと同じでも、彼女は生まれて間もない子供に変わりない。だからか、たったそれだけで安心しつつも嬉しそうな笑みを浮かべていた。
「……なんか、こう見ると意外とリィンフォースさんも子供の扱いに慣れてるっぽく見えるわね」
「あはは、確かにそう見えるのも無理ないわなぁ。でも、実際のところは子供のというより、アスコナの扱いに慣れてるだけなんよ、リィンフォースの場合は。最初の頃は何か腫れ物でも扱うみたいな感じやったんやけど、最近ではこの家の誰より上手くあやすようになったくらいや」
母である事を半分強制的に決められたものではあったが、今では彼女も母としての自覚が芽生えつつある。
それを我が事のように語り、誇らしげにするはやてもまた、心境的には子を見守る母親のようなものなのだろうと思えた。
「それにしても……なのはたちもいるのに今日は全然人見知りしないね、アスコナちゃん」
「そういえばそうやな……この前まであんなに怯えきってたのに」
「さすがに馴れたって事じゃないの? はやてが帰ってきてからはここに来るのもそんなに少なくなかったし、アスコナに会うのもその分だけあったわけだしさ」
アリサはそう言うが、この前に訪れたときもアスコナは怯えて逃げようとしていたという事実からそれは無いと断言できる。
最初の邂逅からシェリスのみには積極的ではなくも口も利くし共に行動もする。だけどそれ以外の身内の抜かした者には未だ、過剰な人見知りを見せているのだ。
あのときのようにクローゼットに閉じこもるという事は無くなったが、それでもなのはたちの姿を見ると目も合わせず口も利かず、脱兎の如く逃げる始末。
前までそんな感じだった彼女が今は妙に大人しい事が疑問。だが、その疑問のために話し込む彼女らにリィンフォースが取った行動で理由が明らかとなった。
アスコナの頭を撫でていた手で人差し指のみを立て、口元に当てる仕草。たったそれだけの動きだが、何が言いたいのかははっきりと分かる。
そしてそれをした理由もまた然り。つまるところ人見知りが珍しくなかった理由は、単にリィンフォースの腕の中で眠ってしまったからだ。
元々眠いからベッドで寝ていたのだから、安心できる彼女の腕に包まれて眠ってしまうのは可笑しくない。だからか、起こさぬよう皆もそっと部屋を出ていく。
今度はベッドから落ちぬよう、見張りも兼ねて彼女を抱くリィンフォースを残し、若干微笑ましい光景に小さく微笑を浮かべながら。
八神家を訪れた段階で時間も遅かったため、残り二人への相談は次の日へと回される事になった。
ただシェリスの事で頭が一杯だったためか鍛錬をすっかり忘れてしまい、それに関してどうしようと帰ってからフェイトは悩んだ。
そして出した結論として電話で事情を話して謝ろうと思い、高町家へ電話。ちょうど出た恭也にすっぽかした事情を話して謝罪した。
それに対して彼もなのはからちゃんと聞いているのか過剰に怒ったりはせず、今度からはちゃんと連絡は入れるようになと優しく諭すだけだった。
フェイトもそれに返事を返しつつ電話越しではあるが頷き、恭也に伝えておいてくれたなのはにお礼を言っておいてくださいと告げて電話を切った。
そしてそれから日が明けて翌日。その日ももちろん、シェリスは野菜を残そうとしてアルフに追いかけ回され、挙句捕まって無理矢理食べさせられる。
そんな光景を目にしつつ今日こそはという決意の念を抱き、フェイトは学校に赴いてなのはたちと話し合い、時間も流れて放課後を迎えた。
なのはの情報によれば今日は五時半くらいまで講義があり恭也の帰りは遅いとの事。それ故、彼を後にしてまずは桃子のいる翠屋へと赴いた。
時間的に中学や高校の下校時間には少し早く放課後を迎えたためか、訪れた翠屋店内には来客の数が少し少なめといった様子。
故に桃子も手が空いていたのかカウンターに座ればひょこっと顔を出し、忙しくなる前の暇潰しのような形で話を聞いてくれた。
「う〜ん……好き嫌いを克服させる方法としては野菜だと分からせない調理をしてゆっくり慣れさせるか、その場凌ぎのだと好きな物と一緒に食べさせるとかになるわね。ただ、後者はともかく前者は時間が結構掛かる上に絶対克服できるって保証も無いから、あくまで可能性があるってだけになっちゃうんだけど……」
「いえ、それでも十分参考になりました。ありがとうございます、桃子さん」
丁寧にお礼を言えば桃子は気にしないでと笑って返す。そんなところもまた、非常に好感の持てる人だと言えるだろう。
それにさすがは子育て経験のある母親。好き嫌いを無くす可能性を秘める方法だけでなく、その場凌ぎの方法まで教えてくれるとは正直思わなかった。
ただこの方法というのはすでに実践して惨敗しているのだが、それでも相談にちゃんと乗ろうとしてる気持ちが見えるだけフェイトとしては本当に感謝であった。
「にしても、意外とシェリスちゃんって我儘なのねぇ……人懐っこい子ではあったけど、そういう風には正直見えなかったわ。あのリースちゃんの妹って事もあるから余計にかもしれないけど」
「私たちはまだ会った事ないんですけど、シェリスのお姉さんってそんなにしっかりしてるんですか?」
「ええ。むしろ本当にシェリスと双子なのかって疑っちゃうくらいなのよ、リースちゃんは。ただちょっと大人しすぎるのが難点かもしれないわね……最近は出掛ける事も多少多くなってきたんだけど、前までは家から一歩も出ずに縁側でお茶を飲みながら本を読むのがあの子の日課だったわ」
「……それって、恭也さんと美由希さんを合わせたみたいな感じですね」
「そうなのよねぇ……恭也に一番懐いてる分だけあの子の影響を多少なりと受けてるからだと思うんだけど、あのくらいの年頃の子がアレだとちょっと桃子さんとしては不安になっちゃうわ」
リースが高町家へ、シェリスがハラオウン家へ住まうようになってから約二か月弱。未だアリサとすずかはリースに会った事が無い。
話によればすずかの家である月村家にリースは頻繁に訪れているとの話だが、すずかが帰る頃には彼女も帰宅してるので完全に行き違い。
だから二人ともリースの事に関してはよくは知らない。故にシェリスの双子の姉という事で彼女と似たような性格をしてるとばかり思っていた。
しかし話を聞けば全くの正反対。非常に大人しくて礼儀正しく、だけど物事はハキハキと口にする……自分たちと同じ年齢なのに子供らしからぬ性格。
話を聞くだけで言えば桃子と同意見で本当にシェリスと双子かと思える。ただその分、実際に会ってみたいとも思えてくるような人物像であった。
そんなシェリスの姉の話を語り終えた矢先、翠屋へと団体客が訪れる。服装からすると風ヶ丘の学生……つまりそれは、そろそろ学生の下校時間だという合図。
故にか桃子もそろそろ戻らないとと告げつつ、皆に背を向けて厨房へと向かう。だけどその途中で顔だけを振り向かせ、付け加えるとばかりに告げる。
「この手の問題を相談するなら、恭也辺りがもしかしたら良いアドバイスをくれるかもしれないわ。私が忙しかった時期になのはの面倒を見てたのはあの子がほとんどだったから、その分だけ小さい子の扱いは慣れてるだろうし」
元々桃子の次には恭也を訪ねようとは思っていたが、後半の情報は初耳なので少しだけ期待も持てた。
そのためこの情報を教えてくれた彼女にお礼を言いつつ、厨房へと戻る桃子を見送って席を立ち、会計を済ませて店を出ていった。
次となる高町家へと赴けば、意外にも恭也が帰っていた。何でも、最後の講義が急遽休講となったのが理由との事。
だから昨日の事もあってか早速鍛錬に入ろうとしていた彼を呼び止め、リビングにてテーブルを囲むという現在に至っている。
その場には同じくすでに帰宅していたのかリースもおり、初めましてと挨拶をすれば丁寧に自己紹介してくるので若干二名、驚いたりもした。
ともあれそんなこんなでなのはたちと同様に二人の対面へと座ったフェイトは相談を持ち掛けた。
「――というわけなんですけど、何か良い方法はありませんか?」
「好き嫌いを治す方法、か。確かになのはも小さな頃は好き嫌いもあったが、そういうのを克服させようと意識した事はあまりなかったからな……リースは何か思いつく事はあるか? シェリスとの付き合いが長い分、お前の方がその手の事は慣れてそうだが」
「……無理矢理口を抉じ開けて野菜を押し込めばいいじゃん」
なのはの件では意識してなかったという事で自身では思い付かないのかリースへと聞くが、本を読む事に集中してる彼女が告げるのはそれだけ。
だけどもちろんフェイトがこれに首を縦に振るわけもない。というか、そんな方法ならすでにアルフが実践してるから今更でもある。
対して恭也もまさかこれで相談に乗るのを打ち切ろうとは思っておらず、リースの言動に溜息をつきつつ再び考え込む。
しかしシェリスにはあちらにいたときも強く出れた試しが無く、そんな子が相手となると余計に手段というものが彼には浮かばなかった。
桃子が言った事でそれなりに期待をしていた分、落胆もちょっとだけ大きい。だけどまあ、無い物強請りをしても失礼になってしまう。
それ故に一応桃子からではあるが収穫はあったため、相談に乗ってくれた事へのお礼を言って話を打ち切ろうとした。
だが、フェイトがお礼を口にするより早く今の状況を見兼ねたのか、リースが読んでいた本を閉じて視線を向け、口を開いた。
「無理矢理が嫌なら食べさせてあげればいいじゃない……確かに昔から好き嫌いは激しかったけど私が食べさせたらちゃんと食べてたんだから、それはあの子が懐いてるフェイトでも変わりないでしょ」
「っ……それも一応は試したんだけど、私でもアルフでも食べさせたらいつも野菜だけ吐き出しちゃって……」
「……少なくとも、私のときはそんな事なかったけどねぇ。嫌々な顔して食べさせてるんじゃないの?」
「そ、そんな事は――っ」
「フェイトはそんな事する子じゃないわよ!」
リースの言った事にフェイトが言い切るより早く、アリサが反発する。友達としてさすがに今のは見過ごせなかったのだろう。
加えてなのはやすずかだけでなく、恭也も今のは言い過ぎだろうと思ったのか、窘めるようにコンッと軽くリースの頭を小突いた。
それにリースはちょっとジト目で見るも小さく溜息をつきつつ素直に言い過ぎたと認め、謝罪をしつつ話の線を元へと戻す。
「たぶんな話になるんだけど、フェイトがやっても食べてくれないのは不満があるからだと思うよ?」
「不満……?」
「そう、不満。ほら、あの子ってばフェイトも知っての通り甘えん坊だからさ……ただ食べさせてくれるだけじゃ嫌なんだよ」
「……でも、食べさせる以外で何をしてあげればいいのかなんて……」
「分かんないなら考えなさいよ……って言いたい所だけど、今のフェイトには難しい問題かもね。しょうがないなぁ……じゃあ、近々シェリスを連れてこの家に夕ご飯でも食べに来てよ。言葉で言うのは難しいから、そのときに私が実践して見せてあげるからさ」
シェリスに嫌いな物を食べさせる方法を実践するから、近い内にシェリスを連れて皆で高町家に夕飯を食べに来い。
桃子ならば夕飯を囲う者が多い方が喜ぶ故、リースのこれを無下にはしないだろう。だが、それより注目すべきはその前の言葉。
今のフェイトには難しい問題、という言葉。つまりそれは今のフェイトではいくら考えても、シェリスに一体何をしてあげればいいのかは分からないだろうという意味の言葉。
何を以てそう断言できるのかが酷く疑問となる。だけどそれを聞いても、彼女はそれこそ自分で考えるべきとしか教えてはくれなかった。
故に心に強く引っ掛かるその疑問を残して話はお開きとなり、疑問の答えが出ぬままアリサとすずかを見送り、恭也となのはの二人と共に鍛錬へと赴いていった。
その日はさすがに夕飯の人数を増やすには伝えるのが遅かったため、夕飯を一緒するというのは次の日の晩になった。
それをなのはからの電話にて教えられたフェイトはすぐにアルフとシェリスにもその事を伝えれば、一様に嬉しそうな顔を見せる。
これの意図を伝えているから不安も若干あるが、アルフとしては高町家の食事は美味しいという認識があるからの嬉しさ。
シェリスに関しては食事よりも、リースに会えるという事が嬉しい様子。この辺り、やっぱり自分とリースとの違いが突き付けられてしまう。
リースが言っていたフェイトには難しいというのも、この辺りが関係しているのだろうか。実の姉と自分では、やはり一緒にいて嬉しいのは彼女なのか。
心に引っ掛かっている疑問がそんな悪い方面へと進んでしまい、それを振り払う事も出来ないまま時間が流れ、約束の翌日の晩を迎えた。
「にゃ、いっただっきま〜す♪」
鍛錬も終えて汗も流し、すでに食卓の席についていたシェリスの対面に座ろうとしてリースに止められ、シェリスの横に座らされた。
その反対側はもちろんリースでシェリスとは反対側のフェイトの隣りにアルフ、というのが招かれた三人の座る席になった。
そして料理(今日は晶作の和食)も並べられ、シェリスの元気な声に釣られて皆微笑を浮かべつつ、全員が食事を取り始める。
献立は焼き鯖と金平、肉じゃがと豆腐の味噌汁に白いご飯といったもの。和食としてはオーソドックスだが、それ故に美味しく作るのは腕次第になるメニュー。
だから誰も美味しいと思えるのは晶の腕が凄い証拠。そのためもちろんの事、招かれた三人もご満悦な様子であった。
「ん〜♪ やっぱりここの飯は美味しいねぇ。特に今日なんかはこの肉じゃが……肉の量がすっごいアタシ好みだよ♪」
「あはは、それは良かったです。フェイトちゃんやシェリスちゃんと一緒にアルフさんも来るって聞いてましたんで、お肉の量は多めで作っておいたんですよ」
「す、すみません。いきなりお夕飯を一緒になんて勝手な事言ったばかりか、そんな事までしてもらって……」
「そんな事、全然気にしなくていいわよ、フェイトちゃん♪ 夕ご飯を囲う人数は大人数なだけ賑やかになるから、桃子さんとしては嬉しい限りなんだから♪」
「桃子ちゃんの言うとおりや、フェイトちゃん。むしろ今日の当番がウチやなくてほんまに残念なくらいや。ウチやったら晶なんかよりよっぽど美味い料理を御馳走できたんやけどなぁ……」
「なんだとこの亀!!」
レンの言う事に反発を見せて怒鳴る晶に彼女も喧嘩腰で応じる。それはいつも通りと言えばいつも通りな光景。
故にこれも当然の如く、なのはのお叱りによって止められ、若干恐縮していたフェイトへ自然と微笑を齎す事になった。
だが、そんなやり取りさえ気に留めず、とある事をしている少女が一名。それが誰かと言えば、フェイトの隣りにいるシェリスである。
デバイスであるという事からアルフと同じで魔力供給さえあれば食事は必要としない彼女だが、人だった頃から結構食欲は旺盛なほう。
だから他に目も向けず食事を取り続けているのは可笑しな事じゃない。しかし、今の彼女は箸は動かしていても口には運んでいなかった。
だったら何をしているというのか、と聞かれれば答えは簡単。肉じゃがの中にある肉のみを皿に取ったり、焼き鯖に添えられる野菜を皿の端に寄せたり。
つまりは野菜を一切食べないように退ける作業をしているのだ。もちろん、これをいつも監視しているアルフが見逃すわけも無く、注意しようとする。
人様の家で御馳走になってるにも関わらず、食べ残すなど以ての外なのだから。だが、それはなぜかフェイトによって止められた。
シェリスに甘いせいか、いつも甘やかすから今日もなのだとそのときもアルフは思うが、その考えは誤りだとこの後の事で理解する事となった。
「シェ〜リス? お肉とか魚とかばっかりじゃなくて、ちゃんと野菜も食べないとダメだぞ〜?」
「うにゅ……でも、フェイトお姉ちゃんは残しても良いって――」
「フェイトが良いって言ってもダメなものはダ〜メ。ほら、好きな物と一緒に食べたら食べれるでしょ。はい、あ〜ん♪」
微笑を浮かべながら焼き鯖の身と添え付けられていた野菜を一緒に箸で掴み、シェリスの口へと運ぶリース。
それに顔を顰めながらも口を開け、焼き鯖の身と野菜が口へと入れられる。ここまではフェイトが行ったときと同じ流れ。
なら、いつも通りならここで野菜だけを綺麗に吐き出すはず。そう推測しながら、フェイトもアルフも黙って成り行きを見守る。
モグモグと口を動かし、フェイトのほうとリースのほうをチラッと見てリースに固定し、噛み過ぎだろうと思えるくらい長く噛み続ける。
それを見て二人も、今は野菜と魚の身を分別してるのだろうと思っていた。だがしかし――――
――予想は外れ、野菜を吐き出す事無くシェリスはゴクンと喉を鳴らして野菜も飲み込んだ。
フェイトもアルフも、これには驚き、そして疑問に思う。何も特別な事はしてないのに、何で吐き出さなかったのかと。
ただ食べられる物と一緒に食べさせただけ。アルフのように無理矢理飲み込ませたわけでもなければ、何かで釣ったわけでもない。
家でフェイトがした事と全く同じ事を彼女はした。なのになぜ、彼女のときだけは吐き出さずに食べたのか……それがさっぱり分からなかった。
「はい、良く出来ました♪ 良い子良い子、シェリスは良い子だね〜♪」
「〜〜♪」
「じゃあ次……今度は肉じゃがいってみよっか。はい、あ〜ん♪」
ちゃんと食べたシェリスを褒めつつ頭を撫で、彼女は気持ちよさそうに目を細める。
そこから続けて肉じゃがの肉とジャガイモを一緒に食べさせれば、今度もしっかり口に入れて噛み、飲み込んだ。
そして再び褒めながらドンドン食べさせていく彼女を見て、やっぱり姉だから言う事もちゃんと聞くのだろうかという考えをまた抱くフェイト。
故にか若干落ち込むように俯いてしまう彼女をリースは横目で捉え、小さく苦笑を浮かべた後に突然食べさせるのを止めた。
「? お姉ちゃん?」
「ん〜、折角だからさ、シェリス。残りはフェイトに食べさせてもらおっか?」
「にゃ、フェイトお姉ちゃんに?」
「うん。いっつも私が食べさせてあげられるわけじゃないんだし……シェリスの主さんはフェイトなんだから、ね」
これに一番驚いたのは他でもない、指名されたフェイト。そしてその驚きを浮かべたままリースのほうへと顔を向ける。
どうせ自分がやってもシェリスは食べてはくれない。なのに何でそんな事を言い出すのか……向けられた顔は暗黙にそう語っていた。
でも、リースはその理由も語らず、言った事を撤回する事無くシェリスをフェイト側へ向かせ、再び食べさせてもらうように告げる。
するとシェリスも拒否する事無く笑顔で頷き、期待を秘めた目を向け始める。それによって、フェイトも引く事は出来なくなった。
だからおずおずと箸を動かして金平を僅かに摘み上げ、ゆっくりと彼女の口元へと運ぶ。
「あ、あ〜ん……」
恥ずかしいのか頬を僅かに赤くしながらもリースの真似をすれば、シェリスは応じるように口を開いた。
そこへフェイトは箸を進めていき、口の中へ入れると箸を引っ込めると彼女は口を閉じる。
だが、金平はそもそもほとんどが野菜なためか口をそれ以上は動かさず、顔を顰めてしまう始末。
やっぱり自分が食べさせたんじゃ食べてくれない、などとその様子を見て再びそんな嫌な考えをフェイトは浮かべ、俯き気味になっていく。
しかし完全に顔が俯いてしまうより早く、そんなフェイトに見兼ねたかのような声色で念話が送られてきた。
《落ち込むのはまだ早いって……ほら、顔上げて。そんで笑ってあげなよ》
《え……で、でも……》
《いいから。じゃないと一生、シェリスと仲良くなんてなれないよ?》
シェリスと仲良くなる事は、フェイトの課題。だけどそれは彼女が自分を主とするユニゾンデバイスだからじゃない。
姉が大好きなはずなのに自分と一緒にいると言ってくれた。他の誰でも無い、自分という存在と共にいる事を選んでくれた。
自分が変わる切っ掛けとなったPT事件のときから人の温もりを求める傾向が強く出始めていた彼女だから、たったそれだけの事が嬉しかった。
だから自分もシェリスを大事にしようと思った。リースと同じくらい……いや、出来る事ならリースよりも彼女と仲良くなれるようにしようと思った。
リースの口にした事は自分がそう思っていた事を思い出させてくれた。思いださせてくれたから、俯け掛けていた顔を上げる事が出来た。
そしてシェリスの後ろにいるリースと視線が合った際、彼女が小さく頷いたのを合図としてシェリスへと視線を戻し――――
――精一杯の笑みを彼女へ向けて、浮かべた。
念話はリースとフェイトの二人だけの間で為されたもの。だから、いきなり微笑んだフェイトに誰もキョトンとしてしまう。
しかしその中で唯一、微笑みを向けられた対象であるシェリス。彼女のみは顰める前の表情でフェイトをジッと見詰めていた。
そしてしばしの時間が経つと驚く事にシェリスは口を動かし始めた。モグモグと口に入れた金平を噛み始め、ゴクンと飲み込んだ。
「あ……」
誰かがその光景を見て小さく声を上げる。それはフェイトだったのか、それとも他の誰かなのか。
状況に呆然としていたから判断は出来ない。だけどフェイトを含めたほとんどの者がそれに驚いたのは確か。
でもリースだけは驚いてはおらず、むしろ予測通りと言いたげな顔でフェイトとシェリスの二人を見ながら笑っていた。
だけどフェイトはリースのそれには気付かず、食べてくれた事が嬉しかったのか、自然とリースと同じようにシェリスの頭を撫でていた。
(悩む事なんてないよ、フェイト。シェリスとアンタは絶対上手くやっていける……だって私とアンタが、似た者同士なんだからさ♪)
甘えたくても甘えられない。そういった部分でフェイトとリースは似た者同士であるという事になる。
同時に自分が甘えられない分、大事な人を甘えさせようとする所も。だからこそ、リースに懐くシェリスはフェイトにも自然と懐く。
そういう感受性は強い子だから、撫でられたときにシェリスはすでに気付いている。頭には無くても、心の内で理解している。
後はフェイトが気付けば進展も大きく前進する。それ故、その頭の中での呟きを実際に口にすれば、すぐにでも結果は出てくるだろう。。
だけどリースはそれを口にする気はない。進展はして欲しいと思うけれど、それ以上に自分自身の力で気付いた方がいいと思うから。
だから彼女は思った事を口にする事も無く、ただ撫でられて気持ちよさそうにするシェリスと微笑みながら撫でるフェイトを笑みを浮かべながら眺め続けていた。
あとがき
フェイトとシェリスの仲の進展はいろんな人の助けがあって初めて出来るものかもしれんな。
【咲】 シェリスはともかく、フェイトはこういった面では不器用だものね。
PT事件当時と比べると大きく変わってはいるんだけどね……まだまだというわけさ。
【咲】 反対にシェリスは甘える事しか知らない。だけどただ甘やかすだけじゃ過剰に懐く事はないのね。
そういう事だ。確かに甘やかせば懐くけど、リースに対するような懐き方は甘やかすだけじゃ無理なんだよ。
本当に心の底から大事だと思える優しさ……シェリスが一番反応するのはそこなんだからさ。
【咲】 だからフェイトとリースが根底で同じって事ね。じゃあ、フェイトも頑張ればリースみたいな仲になれるの?
なれるよ。頑張ればきっとね。
【咲】 そう……にしてもさ、話が変わるけどアスコナって未だ身内とシェリス以外には人見知りするの?
するね、今回の話中でも言ってるけど。
【咲】 はやてが帰ってきてからまあまあな日にちが経ってるんだから何度か会ってるはずでしょ? なのに何で懐くどころか、まだ馴れないわけ?
彼女も彼女で中々難しい性格でねぇ……会った事が無い人や頻繁に会わない人に関しては『知らない』から怯えるんだよ。
そのくせ知ろうともしないからいつまでも懐く事はおろか、人見知りをしなくなる事すら無いというわけだ。
【咲】 ふ〜ん……でもさ、なら何でシェリスには一発で人見知りしなくなったの? それが理由だとそこが可笑しくない?
まあ、普通はそう思うだろうね。でも、ここがシェリスの凄い所でもある。
アスコナ自身が知ろうとしないのも原因だけど相手が怯えられると思って知ろうとしないから仲は進展しない。
だけどシェリスはアスコナが怯えても物怖じしない。あまりに無垢過ぎて自分が原因だと気づいていない。
だからこそ、怯えられても近づく。それが他の人たちとあまりに違う態度だから、アスコナも怯えるんじゃなくて戸惑ってるんだよ、現状は。
【咲】 そこが二人は相性が良いっていう理由なのね。
そういう事だね。だけどアスコナの件はいずれ解決しなければならないから、後々それを主にした話が出るだろうよ。
【咲】 そうなの……じゃあ、最後の質問だけどさ、はやてっていつになったら聖小に編入するの?
次々回か次々々辺りかな……もっとも、そのときもいろいろと騒動が出てくるわけなんだけどね。
【咲】 ふ〜ん。まあ、それはそのときの楽しみにするとして……次回はどんなお話になるわけ?
ふむ、次回はだな……恭也となのはとフェイト、そしてリースとシェリスの五名による休日を利用したお買い物騒動。
事の発端はフェイトがシェリスの服を買いに行くからとなのはにお買い物を持ち掛けたのが切っ掛け。
そこから大学も無く暇をしてるという事を理由に恭也を誘い、リースもそれに巻き込まれて少女四人と青年一人でお買い物へ行く事になった。
だけど当然、すんなりと事が済むわけも無く、初めての皆でのお買い物にはしゃぐ約二名が暴走する事に……というのが次回のお話だな。
【咲】 五人を主に置いた日常話ってわけね。それと……約二名なんて言い方しなくても、誰かなんて簡単に想像できるわよ?
ま、まあな……ともあれ、次回はこんなお話ですんでよろしくお願いします。
【咲】 それじゃ、今回はこの辺でね♪
また次回会いましょう!!
【咲】 それじゃあね。バイバ〜イ♪
フェイトはシェリスを甘やかしすぎのような。
美姫 「まあ、仕方ないわよ」
まあ、何はともあれ野菜を食べたのは進歩か。
とは言え、毎回この方法で食べさせるとなるとフェイトがいないと食べないんじゃ。
美姫 「まあ、その辺りは徐々に躾けていくしかないわね」
だな。こうやって日々生活していけば、二人の間にも強い絆が出来るだろうし。
美姫 「フェイトとシェリスの関係がどうなっていくのか楽しみよね」
うんうん。で、次回はお買い物みたいだけれど。
美姫 「また何か一騒動あるかもね」
そんな気になる次回は……。
美姫 「この後すぐ!」