ババ抜きを始めてから一時間ぐらい経っただろうか……いい加減、恭也も精神的に参り始めていた。

シェリスが負けないように勝負を進めるのは何の事はない。ただ、彼女の分かり易い表情の変化を見てババと取ればいいだけの話。

だが、それでもババ以外に手を出した段階で若干涙目になるため、それだけでダメージは結構なものになる。

そんな精神的な拷問に近い事を十回以上させられていれば、人並み以上に耐える事出来る彼でもそうならざるを得なかった。

 

「またシェリスの勝ち〜♪ 恭也お兄ちゃん、全然弱いの♪」

 

「は、ははは……そう、だな……」

 

普通なら弱いなどと言われればムッとくるもの。だが、現状ではそれさえも浮かんではこなかった。

しかも言葉に関しても内面的な疲れを窺わせている。だけど、シェリスはそれに気づかず、またも同じゲームを行おうとする。

もう勘弁してくれと思いはするもののそれすらも口には出来ず、ただ彼女の為すがままにゲームに付き合うしかない。

だが、もう何度目になるか分からない彼女のカード配りを目にしていた矢先――――

 

 

 

「……二人とも……何やってんの?」

 

――呆れがかなり含む、聞き慣れた声が背後から聞こえた。

 

 

 

また気配を察する事が出来なかったなどともう嘆く気力もなく、ただその声が救いの女神の声のように思えた。

そして振り向いてみれば、やはりそこには思った通りの人物の姿。この状況を唯一打開出来るであろう、リースの姿。

これでようやく解放されると思い、本当に疲れたように溜息をつく。というのも、元々シェリスがここに来たのはリースに会うためだから。

それ故に溜息をついた後、やっと解放された事により生まれた余裕からか未だ呆れの視線を向けてくる彼女へと向き、事情を説明しようとする。

だが、恭也が説明するよりも早く背を向けた方向からバサッとカードを投げる音が響き、同時に自分の横を小さな影が通り過ぎる。

 

「お姉ちゃ〜ん!!」

 

「へ?――って、きゃわっ!?」

 

いきなり駆け寄ってくるや否や、飛びついてくるシェリスに唖然としていたためか、リースは抱きつかれた拍子に体勢を崩してしまう。

そしてそのまま受け身も取れずに後ろへと倒れこむ形となり、背中を打ちつけた痛みからか若干顔を顰める。

 

「っ……ちょっと! いきなり飛び掛かってくるなんて何考えてるのよ、この馬鹿っ……シェリ、ス?」

 

顔を顰めながら放とうとしていた怒声が、次第に小さくなる。そして最終的には、疑問形にさえなる。

なぜ飛びつかれた事に怒っているはずの彼女の態度がいきなり変わったのか。それは倒れたリースの上に覆い被さり、胸に顔を埋めるシェリスの顔が見えたから。

いつも笑っていた妹の、泣いている顔が見えたから。だけどそれは、いきなりシェリスが泣きだした事に疑問を持ったからじゃない。

ただ、怒っていいのかが分からなくなったのだ。確かに何の疑問も持たず、ジェドの言うがままに行動し続けた妹の事を怒っていた。

しかもいつも自分から離れなかった甘えん坊のくせに、姉である自分の言葉には耳を貸さない。それがリースのためだという、ジェドの考えを信じ込んだ故に。

でも、一番怒っていたのはそこじゃない。本当に彼女が、妹のシェリスに対して怒っていたのは――――

 

 

 

――善悪の区別を未だ自分で出来ない、しようともしない所だ。

 

 

 

自分が一緒にいたときも、全ての良し悪しはリースが判断していた。悪戯に関しても、誰かの手伝いに関しても。

シェリスにとってリースの言う事が全てだった、そういう事なのだろう。だけど、自分が離れた事で少しは変わると思っていた。

自分がアイラとここを去る事によってジェドのやっていることが間違いだと、悪い事なのだと気づいてくれると信じていた。

だけど結果は、ジェドの言う事をそのまま信じ続けた。善悪の判断をまた人に委ねて、自分自身は考えようともしないで。

あれだけ慕ってくれていた妹だから、気づいてくれると思ったのに。これを切っ掛けとして、成長してくれると思ったのに。

結局は変わらない、変わろうとしないシェリスの事が苛立たしかった。そして甘やかせ過ぎていた自分にも、腹が立った。

だから逃げ出した後、シェリスと遭遇する事があっても拒絶の意思を見せていた。でも、それだって結局は彼女に成長して欲しかっただけだ。

自分で考えて、ジェドのしている事が間違いだと気づいて欲しかっただけだ。だからこそ、逃げ出したあのときからずっと、妹を拒絶し続けていた。

でも今、この状況を目の当たりにして確信してしまった。シェリスが善悪の区別が出来ず、気づけなかったのと同じで――――

 

 

 

――自分だって……自身という存在がいなくなる事で、どれだけシェリスを悲しませているかに気づけなかったじゃないかと。

 

 

 

いなくなる対象が残される者にとって大きいものであればあるほど、いなくなったときの悲しみもまた大きい。

シェリスに成長して欲しいから、間違いに気づいて欲しいからと一方的に願うばかりで、そこに気づけなかった。

だから一方的な願いでシェリスを置き去りにし、姉というシェリスがもっとも慕っていたであろう存在を失う悲しみを負わせてしまった。

だけど、目の前でシェリスに抱き付かれて、涙を流されて、やっと気づけた。そして気づけたからこそ、もう怒る事なんて出来ない。

確かにシェリスの事で腹を立てていたのは事実だ。でも、姉という立場でありながら妹の寂しさと悲しみに気づけなかったのも事実。

要するにどっちもどっちだった……だからもう、怒れはしない。それどころか、今も泣きじゃくる妹を昔のように、落ち着かせるように撫で始めた。

久しぶりに味わう姉特有の優しい撫で方、あのときと同じように感じる手の温もり。それがどうしようもなく嬉しくて、シェリスはより一層泣きじゃくる。

それでも今度は甘えん坊だと、成長しなさいなどと突き放す事もなく……ただ、彼女が泣き止むまでの間、リースはずっと撫で続けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

魔法少女リリカルなのはB.N

 

【第二章】第二十八話 遅すぎた説得、進みゆくは最悪の結末へ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

和解出来たと言わざるを得ない状況を繰り広げる二人に声を掛けるほど、恭也も野暮ではない。

そしてそれは、後になってお茶の入ったコップをお盆に乗せてやってきたカルラも同じであった。

だから扉が開きっぱなしなのを幸いとして二人の邪魔をする事無く静かに部屋へと入り、恭也へと会釈してコップを渡す。

それを受け取った恭也はカルラが床へと座り、同じくコップを手に取って口をつけたのを見た後に自身も口をつける。

 

《やっぱりリースも、シェリスの前ではお姉ちゃんになっちゃうんですね》

 

《……ちょっと前までは、もうあんなの妹なんかじゃないとか言っていたんだけどな》

 

邪魔はしないように恭也も念話で答えつつ、目の前の光景を別世界のもののように眺めながらお茶を飲む。

同じくカルラもそれ以降は念話を飛ばす事もなく、姉妹の和解の瞬間を微笑ましいもののように見詰めていた。

だが、状況的に見てシェリスが泣き止むまで続く事が分かってしまうためか、しばしの沈黙の後に今度は恭也から念話を飛ばした。

 

《そういえば……俺がいない間、リースと一緒にどこかへ行ってたようだが、一体どこに行ってたんだ?》

 

《え? あ、えっと……動力室のほうに、ちょっと……》

 

《動力室? だが確か、あそこは特に見る物がないを言っていた気がするんだが……》

 

どこかへ行こうと言い出したのは十中八九、リースだと確信している。だからこそ、動力室と聞いてその疑問が浮かぶ。

その名の通り艦の動力となる大掛かりな機械がある部屋であるだろうし、カルラは案内の際にそこには別段変った物はないと言っていた。

故にそれを恭也と同じく聞いていたリースが行こうと言った訳が、どう考えても理解が出来なかった。

そのためカルラに尋ねてみたのだが彼女はすぐには答えず、少しばかり困ったような表情を浮かべていた。

 

《その……私が説明すると余計な事まで言ってしまう可能性がありますから、その事はリースに聞いてくれると助かります》

 

そしてようやく答えを返してきたかと思えば、自分からは答えられないからリースに聞けというもの。

この言葉から察するにあの案内のときに言っていた事は、おそらく嘘。本当は嘘をついてまで見せたくないものがあったのだろう。

だが、同時にこの言動からはリースにはすでに知られたという事と、リースからなら恭也にも知られて構わないと思っているという二点が分かる。

おそらく後者の自分からではなくリースからなら知られてもいいというのは、自分が話すとリースも知らない部分まで話してしまう可能性があるからだろう。

しかし当然と言えば当然の如く、そのリースの知らない部分というのも含めて気に掛かってしまう。だが、自分からは話さないと言うならどんなに聞いても無駄であろう。

それ故、恭也はこれ以上何も聞かず、今度こそ話しかける事も無くして黙しつつ、目の前の状況が終わりを告げるのをお茶を飲みながら待つ事にした。

 

 

 

 

 

シェリスが泣き止んだのは、泣き始めてからおよそ三十分ほど経った後だった。

泣き止んだ後の現在ではいつも通りの笑顔を浮かべ、恭也の対面辺りに座るリースに猫のように寄り添っている。

スリスリと腕の辺りに頬擦りをしてはリースの顔を見て、撫でてと言うような視線を送ったりしている。

恭也の知る前までのリースならおそらくそれを無視するか、突っぱねていた。だが、今ではそんな様子は一切窺わせない。

まるで恭也の知らない昔に戻ったかのように優しい視線を送り、要求に答えるべく頭に手を乗せて撫でる。

それにシェリスは気持ちよさそうに目を細める。何というか、姉妹同士ながらもラブラブという言葉が似合いそうな光景であった。

 

「コホンッ……ところでシェリス。君は、リースに何か用事があったんじゃないのか?」

 

わざとらしく咳払いをしつつ、このままでは本格的に居心地が悪くなりそうなために話題の転換を図った。

とはいえ、その話題はシェリスの本来の目的であろう話題。本人に直接聞いたわけじゃないが、突然会いにきた時点でその程度は察しがつく。

対してリース自身は当然そんな事初耳であるため、撫でる手を下ろしてそうなの?と問いかけるような視線を擦り寄ってくるシェリスに向ける。

その恭也の言葉とリースの視線によってか、まるで今思い出したかのような仕草の後に頷き、リースと再び視線を合わせた。

 

 

 

「えっと……お姉ちゃんが凄く困ってるって聞いたんだけど、ほんとなの?」

 

 

 

誰から聞いたのか、何に困ってるのか……そんな前提となる明確な内容を飛ばして告げてくるシェリス。

だから聞かれたリースはもちろん、傍で聞いていた恭也もその質問の全てが意味不明に近かった。

もしかしたらカルラなら何か知っているのではないかと思い、視線で聞いてみるも彼女も知らないと示すように首を横に振るう。

つまり、質問の意味は誰にも分からない。そのため一体どういう意味かを考えようとするも、シェリスはどこか不安そうな眼で答えを待っていた。

そんな彼女の様子を視界に捉えてしまうと考えるからと黙りこくるわけにもいかない。だけど、だからといって意味が分からなければ答えようがない。

それ故、考える間もないために意味が分からなければ聞くしかないという結論しか出てこず、答えを待つ彼女に申し訳ないながらも一つ一つ尋ねる事にした。

 

「私が困ってるって誰から聞いたの、シェリス?」

 

「なのはお姉ちゃんとフェイトお姉ちゃん、それとはやてお姉ちゃんから……」

 

なのはとフェイトは分かるが、はやてという者については知らず、増えてしまったそこに関する質問を口にする。

だが明確な説明が苦手なシェリスは自分の友達、守護騎士の人たちの主さんという二つの短い答えを返すだけ。

しかしそれだけでも十分に分かった。つまり、はやてというのは闇の書事件に於いて、中心となっていた人物の名前なのだと。

元々シェリスは守護騎士たちに加担して主と交流を持っていたであろうという事は知っている。だから、これに関しては特に驚きが無い。

だけどそことは別に、闇の書の主と守護騎士たちがなのはやフェイトたち管理局と和解していたというのは少しばかり驚きだった。

自分たちが海鳴からここに連れてこられたのは事件の真っ只中。だから、そこから数日経っているから事件がある程度進展しているというのは予測出来ていた。

でも、まさかそこまで進んでるとは思わず、驚くしかない。だけど驚くばかりでは話が進まないため、その事はとりあえず置き、質問の続きをする事にした。

 

「じゃあ……その三人がどうして私が困ってるなんて思ったのか、聞いてるかな?」

 

「……パパのせいだって……本当は昔のままでいたかったんじゃないかって、言ってた。でも、そんなの嘘だよね? お姉ちゃんはそんな事、思ったりしてないよね?」

 

そうであってくれと願うようにシェリスは聞いてくる。父を拒み、昔のままでいたかったなんて嘘だと信じたいから。

何よりそう信じたいのは、リースが離れていく気がしたから。ここから逃げ出したときのように、はやての家で見た夢のように。

だからそうだと言って欲しかった。三人が嘘をついたと本当は思いたくはないけど、姉が再び自分の前からいなくなるのは嫌だったから。

しかし、そんな願いに反してリースは首を横に振る。シェリスの思いは良く分かっているけれど、こればかりは肯定せず、否定の意を示す。

 

「なのはたちが言ったとおりだよ、シェリス。私は今のアイツをよく思ってないし、昔のままでいたかったって気持ちもある」

 

「っ……嘘……そんなの、嘘だもん!! お姉ちゃんはパパの事が好きだって、ソンケーしてるって言ってたもん!! だからパパの事が嫌いだなんて、絶対に嘘だもん!!」

 

信じたかった事を打ち砕く言葉が告げられても、シェリスは頑なに認めず、それは嘘だと言い張る。

だけど持ち出してきた言葉は信じたくない故の偽りなどではなく、確かにまだ自分がここにいた昔にシェリスから聞かれて答えたときの言葉。

そのときはまだ、父親であるジェドの事をリースは信じていた。優しかった父が好きだったから、自分では何一つ分からない研究と向き合う彼を尊敬していたから。

でも、あの一件で彼女は父の優しさは真のものだったのかが分からなくなった。もしかしたら、ただ大事な実験材料として見てただけじゃないのかとも思えるようにもなった。

そして着実に負の方向へと思考が招かれ続け、アイラが自分を連れて逃げ出したあの日を境として、父とも思えなくなってしまった。

だから、リースはジェドの事を差すときは『アイツ』、本人を前にしたときは『アンタ』と呼ぶ。父と思えない男を昔のようにお父さんと呼ぶ事など、出来なかったから。

恭也も初めて会ってから数日して詳しい事情を聞いた時、リースがそう思うのも無理はないと思った。だが、同時に彼女の隠された本心も見抜く事が出来ていた。

当初、器がインテリジェントだった彼女が自分をリースと頑なに名乗らなかった事。父の研究をあからさまに非難し、罵倒ばかりを言っていた事。

何もかもが無意識に起こる子供の自己防衛。本心では娘として信じたい、昔のようにお父さんと呼びたい……だけど、それをしたら自分の中の何かが壊れてしまう。

故に信じる事が出来ない、父と呼ぶ事も出来ない。自分はリースじゃないからあの人の娘じゃないという自己の保守に走り、極論してしまえば現実から逃げていた。

普通の子供なら自己防衛が起こっても意地を張るというのに等しいもの。でも、普通より大人びた内面を持つから、自分の心すら偽りで覆い隠した。

事情を聞いた時はそうじゃないかと思い描き、昨日の一件で恭也はそう確信している。だから、シェリスのこの言葉に対する答えも何となく想像できていた。

今では自分をリースと認めていても、彼を父と思っていない。いずれ認めざるを得なくなっても、今はまだ……認めれるまで、きっと彼女にはもう少し時間がいる。

事情はどうあれ父を父と思えないのは、悲しいと言わざるを得ない。だからこそ、まだ必要であろうその時間の中で恭也も手助けしようと思っていた。

だけど今はまだ無理だろう……それが結果としてシェリスを悲しませるとしても。でも、シェリスの言葉を聞いてそう思い描いた彼の予想に反し――――

 

 

 

 

 

「……嫌いってわけじゃ、ないよ。むしろ、シェリスの言葉通り……まだどこかでそう思ってるのかもしれない」

 

――意図してか、それとも無意識か……今までの自分を否定する一言で返した。

 

 

 

 

 

シェリスを落ち着かせるためだけに吐いた偽りか。いや、そうではなく本心から言っているのは表情で分かる。

だが、だとしたらどうして当然今までと一変した言葉を言うのか。今まで頑なに認めようとしなかった部分を、こうもあっさりと。

あまりにいきなり過ぎる変化だったため、恭也はそんな疑問を頭の中で巡らせ、それでも二人の成り行きを黙って見守る。

対して同じく黙って見守っているカルラも、内心では同様だ。彼女もリースの一件に関わる組織の一員、だからリースの心情も分かるつもり。

だけど、分かるつもりだったそれが突然打ち砕かれたのだから、彼女としても驚きを抱き、同じような疑問を持ってしまうのも仕方のない事だろう。

しかしどちらも本人に聞きたいという思いを持つも今はただ黙し、涙を目に溜めているシェリスとそんな彼女を優しげ且つ真剣な表情で真っ直ぐに見るリースの二人を見続ける。

 

「でも……でもね、シェリス。 好きだったとしても、尊敬していたとしても……許しちゃいけない事や、見て見ぬ振りをしちゃいけない事だってあるの」

 

「そんなの、お馬鹿なシェリスだって分かるよ。でも、それだったらお姉ちゃんがパパを怒る理由なんて――――!」

 

「そういう風に思ってる時点で、シェリスは分かってないよ。昔からずっとそうだったように、善悪の区別が全然出来てない」

 

シェリスが言い切る前に否定の言葉を口にし、反論の余地を無くしてしまう。

元々シェリスよりもリースのほうが頭はいい。だから口論などすれば、どちらが勝つかなんて本人にも分かっていたはずだ。

でも、それでもシェリスは首を横に振るって分かってると言い張る。長い綺麗な蒼色の髪が乱れるのも構わず、ただ認めようとしない。

そんな彼女にリースは一度だけ微笑み、手を伸ばしてシェリスを抱き寄せる。そして若干暴れながらまた泣き出してしまう彼女を少しだけ強く、優しく抱き締める。

 

「お姉ちゃんにも、悪い所はあった。いつでも私に甘えてくるシェリスが可愛くて、甘やかしてばかりで……シェリスの心が成長できるときを、きっと何度も無駄にしてきちゃったんだと思う。しかもそんなシェリスを放って自分だけ現実から逃げ出して、一方的に突き放す事でシェリスを成長させようなんて考えてた……それでシェリスが寂しい思いをしてるのにも、さっきの涙を見るまで気付きもしないで」

 

優しく、優しく諭すように語り、乱れた髪を梳くようにゆっくりと撫で続ける。

その行為によってかシェリスは暴れるという行動を止める。だけど、撫でられても今度の涙は止まらなかった。

ただ泣きじゃくる彼女の姿は、まるで幼子のよう。泣きながらも暴れていたときとは裏腹に服を掴み、ギュッと抱きついてくる。

それは姉への強い想いが促す行為。だから、リースもより強く抱きしめ、優しさを声に変えて語り続ける。

 

「だから、というわけじゃないけど……シェリスにも成長して欲しいって、お姉ちゃんは思ってる。私もシェリスのお陰で自分の誤ちに気付けたから……今度は私が、シェリスに気付かせてあげたいの」

 

その言葉でようやく、シェリスは上げた顔をリースへと僅かに向けた。目元を涙で濡らしながら、言葉の意味を問うように。

だけどそんな彼女をリースはもう怒らない。かといって何で自分で考えないのか、考えようとしないのかと思わないわけではない。

でも、それを怒って言っても、突き放して気付かせようとしても意味がないと知った。それ故、声に精一杯の優しさを込める。

そして先ほどから変わらぬ笑みを浮かべたまま、姉としての優しさを込めた声で、シェリスの顔を真っ直ぐ見詰めながら告げた。

 

「善悪の区別なんて、難しい事は言わないから……せめて、自分で考えるって事をしてみよ? 何が正しくて何が間違ってるのかを……他人に任せないで、自分で。もし、それをしてみて、それでもお姉ちゃんの言う事が納得できないって答えならそれでもいいから……ね?」

 

リースに戻ってきて欲しいというのは確かに彼女自身の考えと思い。でも、それ以外は全て人任せだった。

彼女が逃げ出した理由も、彼女の心をデバイスに入れ替えた理由も、全て人の言っていた事を信じ、自分では考えなかった。

その理由は単にシェリス自身の純粋さと精神的な幼さ故。親や姉、その他の人ほとんどに甘やかされ、本人も甘えてばかり故に成長しなかった心が理由。

自分が難しい事を考えなくても、他の人が考えて答えをくれる。甘やかされ、甘えていたという事がそんな意識を心に植え付け、成長の余地を与えなかった。

彼女自身も悪いところはあるだろう……だが、大なり小なり悪いのはリースも同じ。たった一人だけだと妹を溺愛し過ぎて、こんな子にしてしまったのだから。

だからこそ自分の責任を清算するべく、それを口にした。大好きなのは変わりないけど、過去の責任も含めて妹の成長を正面から手伝うのが姉の義務だと知ったから。

 

「…………」

 

その言葉にシェリスは返事を返さず、再び顔をリースの胸に埋め、より強くギュッと服を掴みながら頷くような仕草を見せる。

それはすぐに出来るようになる事じゃない。意識に深く根付き過ぎたものを、たかだか一度指摘されただけですぐに直すなど不可能だ。

でも、それでも頷いたという事実は直す努力をするという意思の表れ。それ故、リースも今はそれで満足し、再びあやすように撫で始めた。

 

 

 

 

 

再び撫で始めてからどのくらいか経った頃、シェリスはようやくリースの傍から離れた。

それと同時に彼女たちに見せた表情は先ほどまでの泣き顔ではなく笑顔。だが、その笑顔にも若干の陰りが差していた。

それも仕方ない事だろう……納得し、努力すると答えた事とはいえ、いざ行おうという思うと難しい事なのだから。

しかし、笑顔の陰からリースはそこを読み取り、自分のペースでいいと優しく告げながら、もう二、三度だけ頭を撫でてあげた。

するとシェリスの笑みから少しだけ陰が消える。まだ多少窺えはするも、それでも先ほどまでのような明確に分かるほどではなくなった。

それを見てリースが安心したように手を放した途端、シェリスは立ち上がる。そしてただ一言――――

 

 

 

「もう一回……パパに聞いてみる」

 

――それだけを告げ、三人に背を向けて扉を潜り、部屋を出て行った。

 

 

 

シェリスの一言は聞きようによっては、先ほどまでの話を全然理解していないようにも聞こえる。

だけどリースだけでなく、恭也もカルラも言葉の本当の意味、シェリスが何をしたいのかという事をしっかりと分かっていた。

 

「もう一度父親に全てを聞き、それが正しい事なのかどうかを今一度自分なりに見直す、か……」

 

《大きな進歩かもしれませんね……少なくとも、今までのシェリスと比べたら》

 

「だね……ていうかさ、カルラ。アンタ、全然口出さなかったけど良かったの? さっきの私とシェリスの話って、下手したらアンタたちに不利に働くかもしんない事だったのに」

 

別に彼女らを気遣う気はない。むしろリースからしたら、あわよくば計画そのものを破綻させてやれとか思ってるくらいだ。

それでもこんな問いを投げかけたのは、ただ単に気になったから。自分たちに大きく関係する事のはずなのに、止める所か口も挟まなかった事が。

単純にそれだけが気になったから問うた質問に対して、カルラはキョトンとした様子を見せるも、すぐに小さな笑みを浮かべて答えた。

 

《不利に働くって言われれば、そうかもしれない……もしかしたら、これが原因で計画は潰れるかもしれない。でも……私個人としては、こうすることが正しい事なんじゃないかなって思うから》

 

「正しい事、ねぇ……ほんと、アンタらって凄く変わってるよね。目的が何なのかは知らないけど、計画がどうの言う割には遊んでばっかりの所しか見ないし、それが破綻するかもしれない事をしたりするしさ」

 

《あ、あははは……》

 

否定できない事なため、笑うしかなかった。確かに自分も含め、他の人から見れば目的に対する直向きさがないように見えるだろうから。

自分でもそう思えるから笑うしかなく、そんな彼女を見てリースは呆れの表情を浮かべる。だが、言葉自体を疑う事はなかった。

カルラが前に言っていた個人的な望み、それと照らし合わせると妙に納得できるから。彼女らしいかなと、思えてしまうから。

それは恭也としても同様であるためか、口を挟まない。それどころか、呑気にお茶を啜って成り行きを見守るような形を取っていた。

そうしてそんな状況はこれから用事があるからとカルラが退室するまでの間、しばらく続くのであった。

 

 

 

 

 

 

部屋から出たシェリスは真っ直ぐ、ジェドがいるであろう彼の自室へと向かって行った。

現在恭也とリースの部屋とされている場所から彼の部屋までは、同じ区画であるためそこまで距離はない。

でも、それでも彼女の足は駆け足気味となっているのは、今の自分の意思が揺るがぬ内にしたいという思いの表れ。

そのため進むペースも速く、加えていつもの事だが通路はほとんど人通りがないため、着実に彼の部屋へと近づいていく。

そしてようやく次の曲がり角を曲がればもう目の前という所まで辿り着き、心なしかペースを若干速めて曲がり角に差し掛かる。

 

「――――っ!?」

 

だが、曲がり角を曲がろうとした瞬間、自分の進もうとする方面から誰かが出てきた。

相手の進路を考えると確実に衝突コース。しかし、進もうとした足がいきなり止まるわけもなく、勢いのままぶつかってしまう。

 

「っと……おろ? 誰かと思えば、シェリスちゃんじゃないっスか」

 

「にゃ?」

 

聞き覚えのある声で自身の名を呼ばれ、シェリスはぶつかった相手に引っ付いた状態のまま、相手の顔を見上げた。

するとそこにあったのは頭に浮かんだ通り、アドルファの顔。少しばかり驚いているのを見るとおそらく彼女も誰かにぶつかったのが予想外だったのだろう。

だが、相手がシェリスと知ると彼女はいつもの表情を顔に浮かべ、大丈夫だったかと彼女を気遣うように問う。

その言葉にシェリスは頷くとゆっくり離れ、こんな所で何をしているのかと尋ねる。もっとも、本来ならこの場でそれを問うのは不適切だろう。

ジェドの部屋がある方面から来たという事は、彼に用事があったという事。彼女が彼の研究を手伝っているのはシェリスに限らず、艦内の誰もが知っている。

ただ先ほどのリースとの事で頭が一杯になっているからか、そんな問いを口にした。だが、彼女は別段呆れる事もせず、笑みを崩さぬまま答えを返した。

いつも通りの答え……ジェドの手伝いをして、今から戻る所なのだと。それにシェリスは納得したように返し、続けて今の自分にとって最も重要な問いをぶつけた。

 

「じゃあ、パパは部屋にいるの?」

 

「まあ、出た様子もないからいるでしょうけど……博士に何か用事っスか?」

 

答えつつ聞き返すとシェリスは何の躊躇いもなく、リースとした話の全てと自分が今からしようとしてる事を話した。

元々善悪判断が出来なかった彼女は、人を深く疑う事を知らない。多少なりと不審に思ったり、疑念を抱いたりする事はあっても。

特に身内の人や、顔見知りなどとなると疑うという行為すらない。信用し切っているからか、一切警戒心を抱かないのだ。

加えて無邪気で無垢な性格なために懐きやすい事もあり、結果として一度顔見知りとなってしまうと何かない限りは完全に信用してしまう。

悪い人なんていないという甘い思いを持つ人なら有り勝ちな傾向だが、彼女はそうじゃない。単純に、精神面が幼すぎるからだ。

だから相手が誰であれ、面識があれば信用してしまう。それが、姉の最も警戒する人であっても。

 

「……あ、そうそう。話は変わるっスけど、ウチもシェリスちゃんに聞きたい事があるんスよ」

 

「にゃ、聞きたい事?」

 

「ええ、聞きたい事っス」

 

シェリスが話した事に対して一瞬だけ表情が変わるも、一瞬だけであるためか彼女は気付かなかった。

それ故にやはり警戒心もないまま聞きたい事と言われて疑問符を浮かべつつ、何が聞きたいのかと尋ね返した。

すると彼女はシェリスの目線と合わせるようにしゃがみ込み、いつもよりも若干柔らかい笑みを浮かべる。

 

 

 

「シェリスちゃんのお友達のなのはさんとフェイトさんなんっスけど……シェリスちゃんは、どっちが一番好きっスか?」

 

 

 

それは唐突と言えば唐突な質問であり、今ここで聞く意味があるのかも分からないものであった。

だが、シェリスは少しだけキョトンとするだけで疑いもせず、疑問に思ってもなぜはやてが含まれないのか程度。

しかもその疑問さえも聞きもせず、深く考えもしない……リースに言われた手前、無意識だろうが考えない癖がここで出てしまっていた。

それ故に結局何も聞き返す事はなく、彼女が問うた質問に対してどう答えるか悩み出し、少し時間を掛けた後に曖昧な言い方で返した。

 

「フェイトお姉ちゃん……だと思う」

 

「思う、スか……できれば、こっちだって言い方をして欲しかったんスけど」

 

「うにゅ……そんな事言われても、考えた事無いからいきなり聞かれても答えられないもん」

 

ちょっと頬を膨らませて返してくるシェリス。こんな表情を見せるのは、結構珍しい事かもしれない。

基本的に普段は怒るという事をしないため、想像しようとすれば無邪気に笑ってる所しか浮かばないのがシェリスという子だ。

そんな彼女がこんな、言ってしまえば差し障りのないように聞こえる問いにちゃんとした答えを求められた程度で、怒ってますという表情を見せた。

いきなり聞かれたら答えられない、というのも確かにあるだろう。だけど、本当の理由はおそらく、二人を比べられないのではないだろうか。

もちろんリースやジェドは彼女の中で一番二番になっているだろうから論外だが、それ以外では誰とでも仲良くなるから誰が良いとか気にしない。

だから比べた事もない……だから、答えられない。でも、そんな答えの中でももう一つだけ分かる事があった。

それはどちらが一番とは言えずとも、今のシェリスの気持ちが二人の内のどちらに寄っているのかという事である。

言わずもがな、言動から察するに今はフェイト寄りといったところ。何が理由でかまでは分からないが、最初に彼女の名前が出た事がその証拠だろう。

 

「…………」

 

短い返答でそこまでを読み取ったアドルファは少しばかり口を噤み、シェリスを正面から見据える。

嘘を言っているとは思ってない。むしろ、シェリスは嘘をつけるタイプの子ではないから、嘘をついたらさすがに分かる。

それでもまるで真偽を見定めるように彼女を見るのは、単純に彼女の答えが信じられなかったというのが理由だ。

計画通りにいけば、この答えはフェイトのはずではなかった。魔導師としての性質等を見て、なのはが順当だと思い描いていた。

確かにフェイトも魔導師しては現在の状態でも優秀で、まだ伸び代がある。加えて、性格面でもアドルファの知るある人に似たもの。

だけどいろいろと調べて、実際に会ってみて垣間見たフェイトの性格を考えると変に消極的ではなくも、積極的に相手と交流を図るようには見えなかった。

いくら懐きやすいシェリスでも積極的に交流をする方としない方では、する方がより懐くのではないかと思っていた。

だが、結果は予想外にもフェイト寄りという答え。なのは寄りになるのではと考えていた手前、この答えを信じられないと思っても仕方ないだろう。

 

 

 

――しかし結果としては予想外でも、計画が進展を見せたのには違いない。

 

 

 

なのはのほうが都合が良かったのは確かだが、この際下手に時間を掛けるよりも多少なりと方針を変えたほうがいい。

そうでなくとも時間を掛けようとすればもっと最悪の結果になる可能性がある。だから、ここはそのほうがいいと結論付けた。

そして結論付けるや否や、アドルファは再び笑みを表情へと浮かべ、しゃがんだまま少しだけ前に出てシェリスの頭に手を置き、撫でる。

 

「そうっスね……どちらが一番だと思うにしろ、今ここで答えを急ぐ必要はないっスよね。時間は一杯あるんスから……」

 

彼女の言葉に対してコクコクと同意するように頷きながらも、撫でられる心地から気持ちよさそうな表情を見せる。

撫でる相手がリースなら最高の心地となるのであろうが、結局のところ彼女は撫でられる事自体が好きなのだ。

だから撫でられている今は非常に至福に満ちた表情を見せていた。だが、そんな表情と至福を感じている様子を見せていたのも束の間――――

 

 

 

――いつの間にか後ろに回されていた手により落とされた手刀を首筋に受け、彼女の意識は闇に落ちた。

 

 

 

前のめりに倒れこんでくる彼女の身体を受け止め、アドルファは静かに眠る彼女を横目で見る。

浮かべていた笑みを消して、いつも何かしらの表情を顔に浮かべている彼女からは想像出来ないほどの、無表情で。

 

「永遠に近い、時間がね……」

 

そして先ほどの言葉の続けるように、腕の中で眠る彼女に告げるように、静かに呟いた。

だけど当然ながら、意識を落とされた彼女から返事は返ってこず、若干の静寂がその場を包み込む。

その静寂の中でアドルファは眠り続ける彼女を抱いたまま立ち上がり、自らが来た通路を歩き始める。

ゆっくり、ゆっくりと――――

 

 

 

 

 

――通路の先にある、ジェドの部屋へと向けて。

 

 


あとがき

 

 

最悪の結末へと向けて、事態は動き出しました。

【咲】 最悪の結末っていうのは、要するにシェリスのデバイス化が為される事よね?

うむ、良く分かったね。

【咲】 いや、分かるでしょ、さすがに。前回と今回のアドルファの言葉とか、姉がデバイス化されたっていう事実を考えればさ。

ふむ、それもそうだな。加えてジェドの望みがほぼ明るみに出てる今としては、分からないほうが可笑しいか。

【咲】 そうそう。でもさ、確か人をデバイスにするのにはリンク率っていうのが高くないと出来ないんじゃなかったっけ?

確かにその通りだ。でも、前に確認した時点では67%。これから大分時間が経ってるから、もっと上がってると考えていい。

リンク率が高ければ高いほど心は取り出しやすくなるが、前の段階でその数値だからデバイス化するにはもういい頃だろうと見ても可笑しくはないのだよ。

【咲】 ふ〜ん……でも、それだったら何でもっと早くやらなかったのよ?

それは単純にジェドが駄目だと言ったからだよ。リンク率が100%辺りまで来たときが一番安全圏内だから、それまで待てってね。

【咲】 ジェドが、ねぇ……だったら、今回も断られるんじゃない? 今までなかった所を見る限り、少なくとも100%までは達してなさそうだから。

まあ、十中八九断るだろうね。でも、さすがに計画破綻の可能性があると言われたら断りきれないよ、彼も。

【咲】 何でよ? アドルファたちの計画とジェドの研究は繋がりこそあっても、彼女たちの計画が破綻する事は別に問題じゃないでしょ、ジェドにとって。

それがそうでもない。というのも、現状では人のデバイス化にはある物を使用しないと出来ず、それを所持してるのは彼女らなんだ。

その彼女らが計画破綻の末に管理局に捕まるか、もしくは自分の元から離れた場合、ジェドの研究そのものも未完になる可能性が高い。

だから、シェリスを危ない目に合わせたくないと思いながらも、それを言われたら頷くしかないんだよ。

【咲】 ふ〜ん。まあ要するに、事態が唐突に動き出したのはアドルファが焦りを見せたからというのが理由ってわけね。

そういうことになるな。とまあ、そんなわけでシェリスの出番はしばらく無くなる事になる。

【咲】 しばらくって、どれくらいよ?

ん〜、少なくとも二章の最後らへんまでは出てこん予定かな。

【咲】 それって、シェリスのデバイス化が為されてしまうって事と同義にならない?

そうでもないだろ。本編ではリースがデバイス化される部分は出てないから分からんだろうが、デバイス化には少し時間が掛かる。

特にリンク率が100%に達してないシェリスに至っては尚更慎重にしないといけんしな……もっとも、時間がないのには変わりないが。

【咲】 つまり、デバイス化される前に助け出せれば、その心配はなくなるってわけね?

そういうことになるな。ただまあ、現時点では気付いてもいないから、どうなるかは分からんが。

【咲】 まあ、ねぇ……で、次回はどんなお話になるわけ?

うむ、次回はカルラが退室した後の恭也とリースの脱走計画会議、それと『蒼き夜』側のとある二人の口論の二つだな。

ちなみに次々回はなのはたち管理局側になる予定だったりする。

【咲】 ふぅん……ところで、『蒼き夜』のとある二人って誰よ?

まあ、そこは予想しつつ次回を待てという事で。ただ、一つだけ言っておくなら……。

【咲】 言っておくなら?

今までのちゃらけた口論などではなく、非常に真面目な話題での口論だったりする。

【咲】 真面目、ねぇ……。

ま、今一度言うが次回のお楽しみということで。では、今回はこの辺にて!!

【咲】 また次回も見てくださいね♪

では〜ノシ




また怒るかと思ったけれど。
美姫 「リースが冷静だったわね」
まあ、何だかんだといっても大事な妹ということだな。
美姫 「今までの態度も妹のためを思ってだったしね」
多少は上手くいくかと思われたけれど。
美姫 「アドルファによって昏倒させられてしまったわね」
ああ。そして、恭也たちもようやく捕まったという自覚が。
美姫 「まあ、初めからその自覚はあったんだけれどね」
これまでの経過を見ていると、力比べして、お茶を飲んで、喋って、ゲームして。
美姫 「ちゃんとその合間にも色々と考えてはいたんだけれどね」
ともあれ、いよいよ脱走するのかな。
美姫 「どうなるのかしらね。気になるわ」
次回も待っています。
美姫 「待ってますね〜」



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