ラーレと同じで彼――ギーゼルベルトもまた自身の標的を決めていた。

だけど彼女と違うのは、決めた時点でその者が去っていく方向すらも見ていたという事。

方向がどこか見ていたからといって、必ずしもそちらにいるとは限らない。また、それだけを頼りにするほど馬鹿でもない。

当然追跡開始の時間が来た直後に広域で探索魔法を展開し、去った方向から所在地を推測しようとした。

しかし探索魔法を展開した瞬間、驚くことに彼の標的とする人物の去った方向上に一つの反応があった。

それがその人物だという保証はない。だが、その反応の付近には他の反応が無く、ただ一人そこに佇んでいる。

だとすれば自身の標的とする人物かもしれない。そういう考えと予感から、彼はそちらへと一直線に向かった。

そしてそこを目指してからおよそ一、二分後、辿り着いた彼の目に映ったのは――――

 

 

 

――彼の予想通り、自身の標的とする人物の姿。

 

 

 

赤紫色の長髪をポニーテールの形に纏め、甲冑を身に纏って右手に剣状のデバイスを持つ女性。

まさしく彼の求めた、あの面子の中でただ一人刃を交えたかった者。守護騎士の一人、剣の騎士シグナム。

またの名を烈火の将と呼び、守護騎士のリーダー格でもある。そしてそれに見合うだけの実力を持つ者。

だからこそ戦ってみたい。敵だとかそんなものを抜きとして、ただ一人の剣士として。

だがその前に、確かめなくてはならない。なぜ、去った方向から動かず、他の者のように探索を行わないのかを。

まるで彼が来るのを知っていたかのように、その場に佇んでいた理由を。故に彼は欲求を抑え、それを口にした。

 

「なぜ、逃げようとしなかったのだ? 貴様とて探索魔法ぐらいは使えるはず……故に、俺の接近も分かったはずだろう?」

 

「……その質問に、答える意味はあるのか?」

 

質問に質問で問うような言葉を返し、彼女は彼を視線に捉えたまま剣を構える。

それがある意味では彼の問いに対する答え。それ故、僅かな驚きの後に彼は薄っすらと笑みを浮かべる。

 

「なるほど……俺が来るのを待っていた、という事か。やはり貴様も、俺と同類だったのだな」

 

「もちろん、それだけが理由ではない。ここでお前を止めておけば、全体的な面に於いても大きく貢献できる……それにお前が私を狙っていたのはこれが始まる前から分かっていた。だからこそ、私はお前を待っていたんだ……ここで、お前の動きを止めておくために」

 

「止める、か……貴様の目は、そうは言っていないようだが?」

 

その言葉には彼女も何も返さない。だけど確かに彼女が向ける目は、ギーゼルベルトの語った通りであった。

止める止めると口にしてはいるが、彼を倒すという意思がはっきりと窺える。そんな目を、彼女はしていた。

だからこそ答えを聞かなくても確信はしていた。故に彼は答えが返ってこなくとも笑みを崩さず、自身も剣を構える。

 

「貴様の実力は以前のでよく知っている。故に、加減は一切せん……貴様も、それを望んではいまい?」

 

「無論だ。もし手を抜いたりしたのなら、遠慮なくその場で斬り伏せるつもりだった」

 

その言葉に対して満足そうに彼は笑みを深めた後、すぐに浮かべた笑みを消す。

一言で言うなら真剣な表情。それを見た瞬間、彼女も剣を持つ手に僅かばかり力を込める。

そしてそのまま対峙し続けること数秒が過ぎた瞬間――――

 

 

 

 

 

――同時に駆け出して距離を詰め、振るった剣を交わらせた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

魔法少女リリカルなのはB.N

 

【第二章】第十九話 交わる烈火と氷結の刃

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

シグナムの持つ剣に比べて、ギーゼルベルトの持つ剣はあまりにも大きい。

単純な大きさの比較をすると二倍かそれ以上。大剣と呼ぶに相応しい、相当な腕力がなければ扱えない代物。

身体強化魔法を使えばシグナムでも扱えない事はないが、常時掛け続けて戦うのは割に合わない。

かといって彼女自身、通常の場合での腕力がないわけではない。女の身で言うのも難だが、それなりにあると自負している。

だけどそんなシグナムでも扱えないであろう剣を、目の前の男は身体強化無しで軽々と振るっている。

服で腕が隠れているから腕力どうのは分からない。だが、見た目から見て相当な力を持っているようには見えない。

故に表情にこそ出さないが闇の書事件で初めて出会ったときから、驚きという感情は拭えなかった。

 

そしてここからが問題となるところ……大きさがあまりに違う得物同士で戦えば、どうなるかという点。

これは実際に交わらせる事などせずとも分かる事。大きさが違えば、どんなに腕力があっても攻撃手段が限定される。

シグナムのような長すぎず短すぎない剣ならば多彩な斬撃が可能。だが、彼の持つ大剣となると四種程度まで絞られる。

振り上げ、振り下ろし、横薙ぎ、突き……大剣で出来るのは単純に言えばこの四つの攻撃手段しかない。

確かにまともに使えれば破壊力という点では断然、大剣のほうが上。しかし、手段が限定されれば自ずと戦い辛くなる。

四種のどれを取っても重さ故に切り替えしが遅く、振った後には戦う者として致命的と言えるほどの隙が出てしまう。

鍛えれば隙が出来る感覚を少なくする事は出来るが、少なくなったとしても大概の者は僅かな隙が残ってしまう。

だからこそ、大剣は一撃必殺という四文字が似合う武器。そしてそれと同時に扱いが難しく、使い手はほとんどいない武器。

 

 

 

――だがその理論は、ギーゼルベルトには当てはまらない。

 

 

 

闇の書事件に於いて協力体制を取っていたときにも、近くで見ていてそれははっきりと分かる事。

重さ故に大きく四種に分けられるという理論を崩した多彩な斬撃の数々。そして大剣を扱う上での隙も彼は作らない。

まるでシグナムの持つような大きさの剣を扱っているような、そんな風にさえ錯覚してしまうほどの扱い方。

剣士として見ても戦う者として見ても、それは非常識と言えた。だが、だからこそ彼は脅威と言わざるを得ない存在なのだ。

だけど、負けるわけにはいかない。皆のためにも、自分自身のためにも、負けは許されない。

 

「はっ!」

 

「くっ……」

 

だからこそ脅威の存在であっても引かず、彼女は真っ向から刃をぶつけ合う。

交わらせる事に力の差を痛感させられても、負けるわけにはいかないとばかりに斬り返す。

 

「レヴァンティン、カートリッジロード!!」

 

《Explosion!》

 

彼女の声に応え、弾丸の装填音が響き、刀身が魔力によって生成された炎で燃え上がる。

近接攻撃魔法に於いて、彼女の信頼する技の一つ。それを繰り出すべく燃える刀身を振り上げ、彼へと駆ける。

 

「オルフェウス、カートリッジロード!!」

 

Ghiaccio bordo!》

 

彼女の繰り出そうとする技に対して口元に笑みを浮かべ、彼も同様の行動へと出る。

だけど彼の持つ刃に纏うのは炎ではなく、全てを凍てつかせるが如き絶対零度の冷気。

対照的な二つの力。それをぶつけ合うべく彼も冷気を纏う剣を振り上げ、至近まで迫った彼女の刃と交わらせた。

途端、刃同士がぶつかる凄まじい金属音が響く。そして炎を纏う刃と冷気を纏う刃は中央にて鬩ぎ合う。

だが、交わらせてから時間にしてほんの数秒が経ったとき――――

 

 

 

――シグナムの持つ刃の炎が弱まり始め、同時に刀身が凍りだす。

 

 

 

この現象は、説明すれば単純な事。炎と氷では、比べ合うとどちらが勝るのかという話。

答えは簡単……ぶつかる熱と冷気の温度、どちらのほうが高いか低いかで勝負は決まる。

魔導師として言うなれば、それは炎に込める魔力と冷気に込める魔力の差によってというわけだ。

 

そして今回の場合、シグナムの炎が弱まって刀身が凍りだした。これは彼女の炎よりも、彼の冷気が勝ったという事。

炎よりも冷気が勝れば、自ずと冷気に侵食されて炎の勢いは弱まる。そして、同時に熱を失った部分から凍り始める。

当たり前と言えば当たり前の現象。だが、シグナムとしてはこの事実を目の前にして驚かざるを得なかった。

 

「ふっ!」

 

「っ――!?」

 

それは彼から見れば大きな隙。目の前の事象に意識を向け過ぎるなど、剣士としても戦う者としてもあるまじき失態。

それを分からせるべく、鋭い蹴りを放つ。そして放たれた蹴りにシグナムは反応できず、避ける事も受ける事も出来ない。

結果として彼の蹴りは彼女の横腹へとまともに入り、呻きを漏らす暇も無く彼女の身体は蹴りの進路上に吹き飛ぶ。

だけど吹き飛ばされた状態からでもすぐさま体勢を立て直し、すぐにでも来るであろう彼の追撃に身構える。

しかし、身構えると同時に向けた視線の先にいた彼は大剣を担ぐように持ち、追撃する様子を見せなかった。

 

「なぜ、攻め入ってこない。お前からすれば、今のは明らかに追撃のチャンスだったはずだ」

 

「確かにな……だが、このまま戦い続けて勝ったとしても、正直物足りん」

 

それは明らかな挑発と取れる言葉。シグナムにとっても、それは例外ではなかった。

自分が勝つと断言した事もそうだが、一番彼女にとって怒りを抱かせたのは物足りないという一言。

剣士として、その一言は明らかな侮辱。だからこそ、怒りに任せて攻めるまではしないが、握る剣に力が篭る。

 

「それは、どういう意味だ……」

 

「勝つ事に執着し、己の力を過信した状態の貴様と戦っても、俺は楽しめないの言っているのだ。そんな者と戦うために、俺の剣はあるわけではないのでな」

 

「……私に慢心があると言うのか? 侮辱するのも大概に――」

 

「それは俺の台詞だ。慢心がないというのであれば、なぜあの程度の事で驚く? 戦いに於いて、己の予期しない不測の事態が起こるのは当然の事だろう?」

 

「っ……それは……」

 

「予期しない事が目の前で起きたからといって、大きな隙を見出すほどの驚きを見せるなど論外。そしてそれこそが、貴様が慢心しているという証拠だ」

 

不測の事態に驚きを見せるなと言っているわけではない。彼とて、そういった場合は驚きくらい出す。

だが、それは大きな隙を見出すのであれば致命的。これが殺し合いであったのならば、それだけで死を招く。

そんな事はシグナムとて熟知しているはずだ。なのになぜ、先ほどの事態で隙を見せるほどの驚きを見せたのか。

それこそが彼女の慢心。仲間や自分のためと勝利に執着し過ぎ、己の力を過信したために招いた、彼女の失態。

 

「…………」

 

言われてようやく気づいたが故、これ以上反論を返すことなど出来なかった。

確かにギーゼルベルトの言うとおり、負けは許されないという思いから、いつしか勝たなければならないと思うようになっていた。

馬鹿らしい考えだと言わざるを得ない。皆や自身ために負けは許されないにしても、無理をして勝つ必要はないというのに。

そこに気づいたからこそ、彼女は己を恥じた。勝つ事への執着が自身の力の過信を招き、溺れてしまいかけた自分を。

そして己を恥じると共に彼女は一度構えを解き、彼へと真っ直ぐに視線を向けて静かに謝罪を告げる。

 

「すまなかった……そして礼を言う、ビアラス。愚かにも慢心などしていた事実を、敵ながら気づかせてくれた事に」

 

「礼など不要だ。慢心を捨てた貴様が、楽しめる戦を俺に味わわせてくれるのなら、な」

 

「ふっ、無論だ。見せてくれる……私の本来の力が、剣の騎士にして『烈火の将』たる私の力が、あの程度ではないという事をな」

 

必ず勝つとはもう言わないが、負ける気もさらさら無い。力が及ばぬのなら、せめて足止めだけでも。

元々抱いていたはずの思いを再度胸に刻み込み、シグナムは不敵な笑みを浮かべて再度剣を構える。

対してギーゼルベルトも先ほどの様子とはどこか異なる彼女を見て、一度だけ笑みを浮かべて自身も剣を構え直す。

 

「「…………」」

 

互いに笑みを消し、構えつつ牽制し合うように対峙し続け、僅かな静寂が場を支配する。

そして時間にしてほんの数秒程度でしかない静けさは幕を閉じ、一陣の風が流れと共に――――

 

 

 

――どちらともなく動き出し、空を駆けた。

 

 

 

至近まで寄る時間、剣を振るうタイミング、どれを取ってもほぼ同一。故に、剣は二人の中央で交わる。

そこから交えたまま競り合う気など二人には毛頭なく、絶え間ない剣と剣の応酬が繰り広げられる。

だが、初めに語った通り剣速や斬撃の手段が同一なれば、勝敗を決してくるのは自ずと力という事になる。

だからこそいくら慢心を捨てたとしても剣をぶつけ合うだけではシグナムが不利である事に変わりはない。

故にか、数合ほど続いた剣同士の応酬は彼女によって突如として止まり、僅かばかりの距離を置いた。

その位置から再度弾丸の装填音を響かせ、先ほどと同じように彼女はデバイスの刀身に燃え盛る炎を纏った。

対してギーゼルベルトもそれに対抗すべく弾丸を装填し、絶対零度の冷気は刀身に纏って迫り来る彼女を迎え撃つ。

 

「紫電――」

 

「烈氷――」

 

剣を振り上げて急速接近してくるシグナムに対して、一歩も動く事なく彼は大剣を振り被る。

そして彼女が至近まで駆け寄ったのを合図にしたかのように――――

 

 

 

「「一閃!!」」

 

――互いの剣を振り下ろし、中央にてぶつけ合う。

 

 

 

互いの剣に纏う熱気と冷気がぶつかる。それは先ほどもあった状況であった。

先に繰り広げられた状況を繰り返して、気構えが変わったというだけで戦局をも変わるという事があるのか。

無論、そんな事があるわけがない。先ほど競り負けたのは気構えの違いではなく、純粋に力の差なのだから。

気の持ちようだけ力の差が埋まるのなら苦労はしない。そこは当然、シグナムにも分かっているはずである。

だとすればなぜこんな不毛な事をするのか。結果など短時間で変わるわけもないのに、なぜ同じ事を繰り返すのか。

ギーゼルベルトは彼女が再びこの魔法を使い出したときから、その事だけが疑問として頭に残っていた。

だがその疑問は剣を合わせ、先と同じように彼女の剣に纏う炎を勢いが弱まり始めた矢先、気づかされる事となった。

 

「ぐっ!?」

 

突如として横腹に響いてきた衝撃。それは蹴りなどというものではなく、鉄で殴られたような衝撃。

一体何が成されたのか気にならないわけじゃない。だがシグナムに言った手前、そこで隙を見せるわけにはいかない。

故に今度は自ら距離を置くためか交わる剣を力一杯弾き返し、彼女の身体ごと後方へと飛ばした。

しかしそれで彼女は体勢を崩す事はなく、若干飛ばされようともすぐに止まり、瞬時に剣を構え直した。

その際、ギーゼルベルトの疑問の全てが解ける事となる。剣を右手一本で構え、左手のほうで彼女が持っている物にて。

 

「なるほど……『鞘』、か。鸚鵡返しのように見せて、中々考えたものだ」

 

衝撃の正体……それは彼女のデバイスの一部たる『鞘』。ボーゲンフォルムを使う以外では大体、顕現しない物。

それが分かれば後は単純な事。要するに初撃たるあの斬撃は囮で、本命は鞘による一撃であったという事。

剣には及ばないが、鞘というのはそれなりの重さを持つ。加えて彼女の持つ鞘はただの鞘ではなく、デバイスの一部。

故に当然であるが強度はそれなりに高い。だからこそ、致命傷にこそならないが鞘での一撃は中々のダメージとなるのだ。

 

「だが、そういった付け焼刃の一撃が入るのは最初だけだ。二度はないぞ、シグナム!!」

 

「っ――!」

 

それなりにダメージは通ったはずだが、戦闘不能に陥るなどという事にはならない。

それどころか彼の動きは痛みなど一切感じていないかのような、驚くほど変わらぬ俊敏な動き。

斬撃の威力も衰えなどはなく、防ぐにしても剣と鞘を合わせてでなくば防ぎきれるものではない。

だからこそ鞘での一撃は彼の言う通り付け焼刃。厳密には二刀流ではないが、二本による利点を生かすことが出来なければ無意味。

しかし、それでも彼女は鞘を消すという事はなかった。二本を交差させて防ぎ、弾き返せば二連撃という形で勝負を挑む。

無論、ギーゼルベルトも二連撃が来るとは初めから分かっているためか、瞬時に軌道を読むためほぼ当たらない。

当たったとしても一本目を避けられた後の二本目の鞘による一撃。だが、これも厳密には当たったではなく防がれただ。

加えて防いだままの体勢ではもう一方が再び襲い掛かるゆえ、軽く弾き返すか大きく弾いて距離を置かせるかを取る。

 

「くっ……」

 

その後者の手段を取られ、先ほどよりも若干大きく距離を置かされたシグナムはすぐにでも攻め込むため動き出そうとする。

だが彼女が動き出そうとした矢先、視界の先にて魔法陣を展開し出した彼の姿が目に映り、足を止めた。

展開の遅い魔法ならそのまま攻め込んだであろうが、自身と同じ剣士である彼が今そんなものを使うはずがない。

そして彼女のその予測が当たり、術式を展開してからものの数秒程度で彼の周りには多数の氷柱が顕現した。

 

《Ice aiguille》

 

尖った先が全てシグナムへと向いている氷柱。それは彼が大剣の切っ先を彼女に向けた途端、放たれた。

速度は中々に速い、だが避けられないわけではない。しかし、それがもし追尾効果を付与した魔法だとしたら。

瞬時にそう考えたシグナムは避けるという手段を削除し、右手に持つ剣を左斜め上へと振り被る。

同時に弾丸の装填音を響かせ、薬莢を排出した後、振り被った剣を一気に右一閃に振りし切った。

 

 

――直後、接近していた氷柱の全てが、衝撃波によって砕け散った。

 

 

氷柱の脅威は消え去った。だが、それでシグナムが安著などする事は一切なかった。

なぜなら、破壊こそしたものの今の魔法には手応えが全くと言っていいほどなかったから。

まるでシグナムが正面から破壊することを見越して放ったかのような、何の捻りもない直線的な魔法。

彼の本領は近接戦闘だというのは先までので分かる。だが、これは余りにも無意味な攻撃である気がしてならなかった。

故にか彼女は氷柱を全て破壊した後、振りし切った体勢から構え直しつつ視線を元の方面へと戻した。

しかし、氷柱に目を向けていたときから戻すまでの間、時間にして数秒程度しか経っていないはずなのに――――

 

 

――視線の先に彼の姿は、無かった。

 

 

姿が見えなくなった理由を考えるよりも早く、身を持って答えを味わう事となる。

突如として後方至近から感じる些細な気配。それに気づいて半身を振り向けた矢先、衝撃が左の脇腹に伝わる。

そして痛みを認識する暇も無く、交えた剣を弾かれたときとは比べ物にならないくらい彼女の身体は吹き飛ぶ。

吹き飛んだ身体はその先にあるビルへと激突して止まり、途端にぶつかった際の些細な痛みと脇腹の激痛が襲った。

 

「痛がっている暇などあるのか?」

 

「っ――!?」

 

痛みに顔を顰める彼女に追い討ちを掛けるべく、ギーゼルベルトは瞬時に至近まで寄り、大剣にて一閃する。

対して彼の言葉に助けられてかシグナムの反応はギリギリで間に合い、剣と鞘を交差することでそれを防ぐ。

だが、途端に左の脇腹に痛みが走り、鞘を持つ手に若干力が入らない。故に、彼の一撃を受けても徐々に押され始める。

このままでは押され負けてやられるのは時間の問題。それ故、シグナムは痛みに耐えながら再度弾丸を装填する。

途端、本日数度目になる紅蓮の炎が刀身を纏い始め、この状況下でそれを使い始めた事に彼の目がそちらへと僅かに向いた。

驚きはしていない、大した隙が生まれたわけでもない。だが、僅かな時間であっても視線がそちらに向いたのは好機。

それを利用として瞬時にその体勢から右足にて蹴りを放ち、彼が衝撃にぐらついたのを機にして大剣を弾き返す。

そしてその際に走った痛みを抑えながら炎を纏う刃を振り、彼は若干体勢を崩していながらも後方に飛んでそれを避ける。

だけど至近だったためか完全には避けきれず、彼の防護服の胸元辺りにて僅かばかり焦げ付いた斬り跡をつけた。

 

「ふむ……あの追い詰められた状況で、よくもそこまで機転が利くものだ。少しばかり、甘く見過ぎていたのかもしれんな」

 

本気を出していなかったわけじゃない。ただシグナムの実力を測り損ね、無意識にでも油断してしまった。

だからこそあそこからあんな切り返しをしてくるとは予想しなかった。総じて言えば、彼女を甘く見ていたという事。

しかし、それは彼にとっては何よりも嬉しい事。シグナムという剣士があの程度で倒れない、強者だと分かったのだから。

故に彼は本当に楽しげに僅かな笑みを口元に浮かべ、戦の続きだと言わんばかりに左手にて氷を纏い始める。

見ただけで魔法だと分かるそれは左手を覆いつくすとその先まで伸び、一見して氷の剣のような形を成した。

 

「っ……さっきの一撃は、それによるものか」

 

「ご名答。魔力により生成した氷を腕に纏い、多種多様な氷の武器を作り出す。先ほどのはただ纏って殴っただけだが、存外に効くものだったろう?」

 

「確かに、凄まじく重い一撃だった。だが、ネタが分かれば何の事はない。お前の言葉ではないが……二度目はないぞ、ビアラス」

 

左脇腹の痛みが消えたわけではない。だけど、彼女が口にした言葉はただの強がりにも聞こえない。

それ故にかギーゼルベルトは返答に対して嬉しさから笑みを深め、右手の大剣と左手の氷剣を左右対称に構える。

対してシグナムも剣と鞘を構え直しつつ対峙し、そこからほんの数秒のときが流れた後――――

 

 

 

――彼が動き出すのとほぼ同時に、彼女は彼へと向けて駆け出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ラーレ、ギーゼルベルトの両名が激戦を繰り広げる中、アドルファはすでに標的を発見し追跡していた。

二人には誰を追おうか迷っている振りをしながら、実際は彼女の中でも追う標的は最初から決まっていたのだ。

あの六人の内で彼女が追うのは誰か、それは本当に最初のときは二人と同様にただ一人だけだった。

だがあそこで話を成していたとき、彼女の中でその決定は変わった。それは対象が変わるのではなく、増えるという方面に。

最初から決まっていたのは栗色の髪に白い防護服を纏う少女。そして後に決まったのは、金髪に黒い防護服の少女。

その容姿からして、要するにアドルファの標的とする二人というのは――――

 

 

――なのはと、フェイトの事である。

 

 

追い始めてから標的と接触して、彼女が一番運が良いと思った事。それは二人が共に行動していた事。

おそらくは最初に六人があそこを発ったとき、一度分かれはしたものの場所を決めていち早く合流したのだろう。

だがまあ、実際のところは共にいる経緯などどうでもいい。彼女にとって重要なのは、二人が共にいるという部分だけ。

悪い意味としてではなく、良い意味として。だから標的の二人を発見した現在、彼女は二人を追い回していた。

二人はまだ見ぬもう一人の捜索を重視しているためか、見つかった時点で戦おうとせずに逃げるばかりだった。

 

「ほらほら〜♪ 早く逃げないと追いついちゃうっスよ〜♪」

 

「「っ――!」」

 

しかし、いくら二人が逃げようとも彼女を振り切る事は出来なかった。むしろ、このままいけば追いつかれるのは時間の問題。

それはアドルファの飛翔速度が速いと言うのもあるが、もう半分の理由として二人で逃げているという部分があった。

これがもし速さを主体とするフェイト一人なら振り切れたかもしれない。だが、現状では隣になのはの姿がある。

なのはは元々射撃や砲撃が得意な魔導師。そのせいだというわけではないが、彼女の最高速度はフェイトよりも遅い。

故にかなのはを置いていくなど到底出来ないフェイトは彼女の速度に合わせる形となり、結果として今の状況である。

 

だが、それはあくまでこのまま続けばの話。というのも、先ほどからアドルファは二人を常時同じ速度で追ってこなかった。

それなりに接近してきては距離を保つように速度を固定し、障害物を利用されて距離を置かれたら速度を上げる。

こんな事を繰り返して彼女はただ二人を追い回し続けている。まるで、捕まえる気などさらさらないかのように。

いや、実際のところ彼女には捕まえる気などないのだろう。それは追いかけてくる彼女の表情からしてもよく分かった。

いつまで、どこまで逃げ続けられるのかを面白がり、追い回してただ今の状況を楽しんでいるのだろう。

 

だけど、だからといって逃げるのを止めるわけにはいかない。ここで止めたりしたら、彼女は次の遊びを展開し始めるから。

戦いという名の遊び……追われるよりも危険性の高い、得物と得物をぶつけ合うというゲーム。

元々クロノからも戦ってはいけないと念を押されるような者を相手にして、二人もそんな遊びに付き合う気など毛頭なかった。

しかし、そんな振り切ることも出来ず追い掛けられるという状況がどのくらいか続いたとき、フェイトはふと一つの疑念を抱いた。

 

(もしかして、これって……)

 

振り切れずに追われ続けるという状況を続けたとして、彼女に何の利益があるというのか。

もちろん、追う事自体を楽しんでいるというのはあるだろう。だが、それだけでこれを行う人だとは思えなかった。

だとしたら、追い続ける事で彼女が得る利益とは何か。そこを疑問に思い始めると、途端に一つの答えが浮かんだ。

確証があるわけじゃない。だが、その答えが正しかった場合、自分たちはただ無駄な行動を続けるだけとなる。

故にか彼女は自分の中に浮かんだ答え確かめるべく、突如として急停止を掛けて立ち止まった。

 

「おろ……?」

 

同様に追ってきていたアドルファも少し手前で止まり、なのはもフェイトに少し遅れて立ち止まる。

そしてなのはは急に止まったフェイトに焦ったような声を掛けてくるが、フェイトはそれに対して返さずデバイスを振り被る。

元々戦闘になったときに備えてハーケンフォームにしておいたデバイスの先から、それに合わせて金色の刃が出現する。

後はデバイスを振り切るのみ……そういった状態まで持っていくと、彼女は自身の後ろにいるなのはへと念話を飛ばす。

 

《行って、なのは。あの人は、私がここで食い止めるから》

 

《で、でも、それだとフェイトちゃんが――》

 

《大丈夫……なのはが逃げ切った後、私も隙を持て逃げる。だから……》

 

早く逃げて……そう言ってくるフェイトに彼女は若干惑いを見せるが、数秒後に頷いて彼女に背を向けた。

フェイトを置いてなのはが逃げるという事は若干予想外であったのか、アドルファを視認するや否や動き出す。

だが、ここで黙って追わせるという事を許すわけもなく――――

 

 

 

《Haken Saber!》

 

――アドルファを狙ってデバイスを振り切り、高速回転する金色の刃を飛来させた。

 

 

 

丁度刃が飛ばされたのはアドルファの進路上。それ故、このまま進めば当然直撃する。

だからか彼女は再び急停止を掛けて止まり、刃はアドルファの立つ位置から僅か先を高速で通過していった。

これは実質的に避けられたという結果。だが、フェイトからしたら当たろうが避けられようがどちらでも良かった。

先ほどの魔法を放った最大の狙いはなのはを逃がすため。だから、なのはがその場から離れた今、作戦は成功と言ってもいい。

その事にフェイトは内心にて安著を浮かべ、すぐに刃を再顕現させて彼女はアドルファへと視線を向けた。

 

「あ〜らら、逃げられちゃったっスねぇ。折角途中まで良い感じだったのに」

 

「やっぱり……追いつけるのに追いつかなかったのは、私たちの邪魔をする事が目的だったんですね」

 

「ん、その通りっス。もちろん、逃げ回るお二人を観察して楽しむっていうのもあったっスけどね」

 

フェイトの抱いた疑問の答え……追い続ける事で探索をさせないという答えは、今の一言で確信へと変わった。

追いつかず、振り切られずを続ければ自ずと対象は逃げ続ける。そしてそれは逃げる事にしか専念出来ないという事。

行動は当然として、思考すらも。だからこそ、楽しむのも兼ねて彼女は二人をずっと追い回していたのだ。

本当ならもう少し早く疑問に思うべきだったのかもしれない。だけど少なくとも、策に嵌り続けなかっただけマシだろう。

それに少なくともなのはは逃がす事が出来たのだから結果は上々。後は、彼女の隙を見て自分も逃げればいいだけだった。

だが、言葉にすればそれだけであっても実際は難題。危険視されるほどの人物が、そう簡単に隙を見せるとは思えないから。

加えて隙を見て逃げたとしても振り切れるかも分からない。先ほど追われていたのを考えても、彼女の飛翔速度は速いのだから。

だけどフェイトは諦めるつもりなど毛頭ないため、いつでも逃げ出せるように隙を窺いつつ、警戒の姿勢を取っていた。

 

「まあ、いいっスよ……ウチの標的はなのはさんだけじゃないっスから。遊び相手がフェイトさんだけでも、たぶん楽しめるっス」

 

「残念ですけど、私は貴方の遊び相手になる気はありません……」

 

「ほうほう、つまりそれはウチから逃げる気満々って事っスかね?」

 

「……倒す気、とは言わないんですね」

 

「あはは、これだけ隙だらけにしてるのに斬りかかってこない時点で分かるっスよ」

 

事実、逃げ出せるような隙は見せないくせに、攻め込む理由になるような隙は多数見せている。

無論、その隙を狙って逃げる事も出来なくはない。だが、その程度の隙では逃げてもすぐに追いつかれる。

つまり、今見せているのは斬り込むには十分でも、逃げるには不十分だと言える曖昧な隙なのだ。

だからフェイトは逃げる事が出来ず、攻め込む事は出来てもしない。そうしてただ対峙するだけという状況が続いていた。

そしてそんな状況の中でアドルファは視線を逸らさず、デバイスを弄ぶように備わる輪に指を入れて緩やかに回していた。

 

「にしても、正直よく一人で残る気になったっスねぇ。言っとくっスけど、相手が一人という状況で逃げられるほどウチはアホじゃないっスよ?」

 

「それは、十分に分かってるつもりです……」

 

「なら、何で一人で残ったんスか? 賭けとかそんなの無視して、貴方を捕まえようとするかもとか考えなかったんスか?」

 

「……それも、考えはしました」

 

だったらなぜ……視線でそう尋ねてくるアドルファに、フェイトは少し一息だけ間を置いた。

そして目線を彼女へと向け直し、視線を交わらせながら彼女は静かにそれを告げる。

 

「賭けの対象を決めるときに言った貴方の言葉を、思い出したからです」

 

「ウチの言葉?」

 

「はい。どんな事に関しても、嘘は言わないっていう貴方の言葉……これって裏を返せばゲームの勝敗以外で賭けとなった対象を、つまり私を連れ去る事はしない、という事ですよね?」

 

その言葉は確かに言った記憶がある。加えて、フェイトの言い分も間違ってはいなかった。

むしろ、ある意味では感心できるかもしれない。あの言葉の裏側を、しっかりと読み取っているのだから。

だからそういった部分では感心できるかもなのだが、それだけで判断して一人残るのは軽率であると言わざるを得ない。

もしあの言葉自体が嘘だったとしたら、こういう状況を招くための罠だったとしたら、それでなくとも賭けの対象たる彼女は危険に晒される。

つまりは敵の言葉を一切疑わないというのが軽率な部分。だけど、アドルファはそれを愚かだとは思わなかった。

 

(血の繋がりなんて一切ない他人のはずなのに……どうしてここまで似てるんスかねぇ、この子は)

 

ゲームを始める前、賭けの対象を決めるときにも感じた、ある人の影と重なる彼女の一面。

直接会ったことさえない他人であるはずなのにその面影を持つ。だから、愚かであるとアドルファは思えなかった。

それどころか、より興味が沸いてしまう。フェイト・テスタロッサという少女に対する、純粋な興味が。

 

「ふふ……確かにフェイトさんの言う通り、ウチは嘘は言わないっスからゲーム外でフェイトさんを連れ去る気も全くないっス」

 

自分の言った事が肯定されたためか、フェイトはそこで若干の安著の溜息をつく。

だが、アドルファの言葉はそこで終わらず、ですけど、と繋げるようにして言葉を続けた。

 

「このまま向き合い続けてもフェイトさんは逃げられませんし、ウチも逃がす気はないッス。ですからここで一つ、小さな賭けをしませんか?」

 

「小さな、賭け……?」

 

「ええ。賭けは至って簡単……これからフェイトさんとウチで戦い、フェイトさんがウチに一撃でも入れればウチはもうフェイトさんも、なのはさんも追わないっス。でも逆に、ウチに一撃入れる前に戦闘不能な状況に陥ったら、フェイトさんはゲームから離脱してしてもらうっス……本当に単純でしょう、内容は」

 

「……離脱するというのは、このゲームが終了するまで探索も何もしてはいけなくなるという事ですか?」

 

「そういう事っス。条件的にもフェイトさんに有利ものだと思うっスけど、どうっスか?」

 

確かにアドルファの言う通り、条件的にはフェイトのほうが有利だと取れる内容であった。

だが、ここまで自分に有利な賭けを持ち出すという事は、裏を返すと一撃すら入れられない自信があるという事。

つまり、それほど自分と彼女では明確な実力差があるのだと言外に告げられているようなものである。

少しムッと来るような内容ではあるが、そこはフェイトとて自覚している。自分ではどう足掻いても、勝てないという事ぐらい。

しかし、勝てないのは確実でも一撃くらいはもしかしたら……そういう思いがあるから、フェイトはしばし悩む様子を見せた。

そしてしばらく悩む様子を見せた後、結果的に自分が勝った際の条件が一番の判断材料となり、彼女は分かったと頷いた。

 

「ん……じゃあ、了承されたという事で早速始めましょう。ああ、最初に言っておくっスけど、賭けの内容が内容なだけにウチは手加減しませんので」

 

「望むところです。いくら貴方が強くても、今の私じゃどんなに足掻いても勝てない相手でも……一撃くらい、入れてみせます」

 

「あはは、そりゃ楽しみっスね」

 

手加減はしないと言っても、あくまで彼女は真剣な顔など見せる事は一切なかった。

だけど舐めているわけではないのは分かる。なぜなら、先の言葉を口にしてからデバイスを回転させる速度が凄まじく上がったから。

闇の書の防衛プログラムとの戦いのときも、戦っている彼女の右手では常にデバイスたる短剣を回転させていた。

加えて表情は真剣ではなくとも、先ほどまで窺えた隙も一切無くなった。これはつまり、意識を戦いに切り替えたという事。

そこが分かるからフェイトも油断など一切せず、バルディッシュにもう片方の手を添え、僅かに中腰の構えを取る。

そして彼女が構えを取ったのを目視で確認するや否や、アドルファは浮かべる笑みを僅かに深めつつ――――

 

 

 

 

 

「では行くっスよ、スヴェントビート!!」

 

Ist in Ordnung, mein Herr》

 

――自身のデバイスに声を掛け、闇夜の空を駆け出した。

 

 

あとがき

 

 

ギーゼルベルトの相手はシグナム、アドルファの相手はフェイトとなりました。

【咲】 フェイトの場合、相手があれだから倒す事は確実に無理でしょうね。

まあな。恭也とリースを倒して攫った張本人だし。

【咲】 でもさ、今回は一撃入れればいいって事なわけだし、勝機はあるかも?

どうだろうなぁ……アドルファは本気を出すとあの自信に見合う以上の力を発揮するからねぇ。

【咲】 ふぅん……まあ、負けても攫われるとかそんなのじゃないみたいだし、大きな害はないかしらね。

うむ。あの人は本当の意味で嘘は言わないから、その点は大丈夫だろうよ。

【咲】 嘘とか平気でつきそうなキャラではあるけどね。

まあ、ある意味それがアドルファの持ち味ということで。

【咲】 それが持ち味っていうのもどうかと思うけどね……で、シグナムもシグナムで苦戦してるわね。

ギーゼが相手じゃあねぇ……あの人、下手したらアドルファより強いから。

【咲】 ふ〜ん……あれ? でもさ、以前の砂漠での一件で恭也が勝ちかけたわよね?

ん〜、勝ちかけたっていうか、たぶんあれが決まっても彼は倒れなかっただろうけどね。

【咲】 でも、かなりのダメージを与えられそうになったのは事実よね。あれって、もしかして本気じゃなかったの?

んにゃ、以前も言ったとおりあのときも本気だった。ただ、あのとき実質的に二対一な上、武器の相性が悪かった。

加えて今回のでもそうだが、本人は本気でも力が十分に発揮できないのは以前と変わらない。

【咲】 ていうかさ、ギーゼが本気を出せるのってどんな場所なわけ?

まあ、もうぶっちゃけちゃうと、ギーゼが本領を出せるのはある程度限定された空間なんだよ。

【咲】 デバイスの形状が大剣のくせに? 普通は逆じゃない?

確かに武器の形状からして狭いと不利に働くように見えるが、彼の持つ魔法はそうじゃないと意味を成さないのだよ。

【咲】 砂漠のときとか今回とかで使った魔法以外に、隠し玉があるって事?

うん、とっておきがね。でも、二章ではもしかしたら出ないかもしれんけどな。

【咲】 ふぅん。ともあれ、本領が出せないとかなり実力が落ちるというわけね、ギーゼの場合。

そゆこと。それでもあそこまで戦えるんだから、十分強いっちゃ強いけどね。

【咲】 まあねぇ……で、次回はどんなお話になるわけ?

次回もまたこの話の続き……ただ、次回は最初のほうでアースラ側の話が出てくるな。

【咲】 それだけ? 誰の戦いが次回出るとかは言わないの?

それは一応次回のお楽しみにしておこうと思う。

【咲】 そう……じゃ、今回はこの辺でね♪

また次回会いましょう!!

【咲】 ばいば〜い♪




中々白熱した戦いをシグナムとギーゼルベルトはしているな。
美姫 「本当に一進一退ね」
で、その二人とは別にアドルファの方も獲物を見つけたみたいだな。
美姫 「こちらはフェイトとの勝負ね」
うーん、一体どうなるんだろう。
美姫 「二人の勝負の行方も勿論だけれど、このゲーム自体もどうなるのかよね」
うんうん。次回もお待ちしてます。
美姫 「待っていますね〜」



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