クライドとリーゼ姉妹が訪れた日は、中々な賑わいを見せた。

再びメンテナンスに戻ったジェドをロッテが再度悪戯したり、目覚めたアイラが暴れ出したり。

暴れるアイラをエティーナとアリア、クライドの三人掛りで宥めたりと、その部屋を中心に施設は非常に騒がしかった。

そしてそんな久々に騒がしい日が過ぎてから、早い事でもう一ヶ月という時間が経過した。

その間でグレアムやリーゼ姉妹、クライドやリンディという面子は暇を見つけては施設に足を運んでいる。

それはジェドの研究の進行状況を見るという名目もあるが、同じくらい強い理由はアイラにあった。

グレアムやクライド、リンディはアイラと早く打ち解けたいから、リーゼ姉妹はアイラをからかうのが面白いから。

理由の内容は様々だが、一様にアイラと会うためというのが彼の施設訪問の理由というようになりつつあった。

 

「うがあああ!! こんの、化け猫がぁぁぁ!!」

 

「ほ〜れほれ、こっちこっち〜♪」

 

そして現在、施設の庭にてアイラはデバイスを振り回しながらロッテを追いかけている。

追いかける理由は実に簡単で、ただいつものようにからかわれたからというもの。

怒りやすいアイラは簡単にロッテのからかいに乗ってしまい、今のような状況にすぐなってしまう。

それを知っているロッテもからかう事は止めず、アイラの攻めから逃げつつからかい続ける。

これは激しく悪循環であまり宜しくない状況ではあるが、本来なら止める立場のジェドとエティーナはその場にいながら止めない。

その理由は現在、共に施設を訪れたアリアとリンディの二人と話をしてるからというのもある。

だが一番の理由としては、怒っていようがいまいがアイラはああして動き回っているほうが彼女らしいというものだ。

本人に直接言えば怒りそうな理由ではあるが、事実として大人しくしてる彼女なんて想像するのも難しいというもの。

それにいくらアイラがデバイスを振り回しつつ追い回したとしても、ロッテならば逃げ続ける事も可能。

故に保護者的立場ならば止めるべき光景でも、ジェドもエティーナも止めるという行動に出る事はないのである。

 

「相変わらずだな、アイラもロッテも……少しは大人しくするという考えを持てばいいものを」

 

「アイラはともかく、ロッテには無理な話ね。そうでなくても仕事仕事でちょっとストレス溜まり気味みたいだし」

 

「彼女にとってアイラはいいストレス発散相手というわけか。本人が聞いたら更に怒り出しそうな話だな」

 

ジェドの返した言葉にアリアはそうねとだけ告げ、手に持っているカップに口をつける。

さっきはロッテが以前から変わらないと言いはしたが、こうして見ると実際はアリアも昔から変わらない。

ロッテと同じでアリアも他人に対して敬語をそう使う事はない。それが初対面の相手であったとしてもだ。

ジェドやエティーナとグレアムを介して出会ったときも、初めから敬語というものを一切使う事はなかった。

それだけでなく態度に関しても同様。要するに、彼女は昔からグレアム以外の誰に対しても遠慮がないのだ。

しかし、ジェドもエティーナもそれが彼女の個性だと割り切ってとやかく言わず、今も友好的な関係を続けているというわけである。

 

「ところで、そろそろ本題のほうに入ろうと思うのですけど……」

 

「本題? ああ、そういえば君は例の通知に関しての結果報告をしに来たのだったな」

 

カップから手を離したリンディから告げられた言葉に、ジェドはそこで思い出したかのような反応を見せる。

それにはリンディも呆れたような顔をするも、横にいるエティーナから視線でごめんねと謝罪される。

その謝罪によって、というわけでもないが、リンディもとやかく言う事もなく本題の話を切り出した。

 

「例の研究期間短縮の通知について上のほうに取り消しができないかを問い合わせてみたんですけど、返答は残念ですけど……」

 

「ノー、か。なぜ期間を短くしたのかについては何か分かったのか?」

 

「それも聞きはしたんですけど、上の判断で教える事が出来ないらしくて。すみません、お力になれなくて……」

 

本当に心から謝罪するように深く頭を下げる彼女に、ジェドは気にするなを告げる。

正直、管理局の人間として、彼らの友人として力になれなかった事を気にしないようにするのは無理だ。

だけど気にするなと言われてまだ落ち込んだ様子を見せようものなら、逆に彼らが心配するのは目に見えている。

エティーナはもちろん、ジェドだって本質的には優しい人だ。彼女自身、数度しか会ってなくてもそれは十分に分かる。

だからリンディも彼らにそんな顔をさせたくなかった故、作り笑顔ではあるが笑みを浮かべて言葉に対し頷くのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

魔法少女リリカルなのはB.N

 

【第二章】第八話 動き出す思惑、追い詰められる者達

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

彼女らの訪問から更に二ヶ月という月日が経過した。

短縮された期間の中でどうにか研究を形にしようと日々机を向き合っているジェド。

そんな彼を手伝おうと妊婦の身ながら、甲斐甲斐しくサポートを行うエティーナ。

彼と彼女のそんな姿を毎日というほど見続けながらも、あまり構ってくれなくなった事にアイラは文句を言わなかった。

それほど必死なのだという事が幼い身ながら分かっていたから。だから自身の訓練も極力自分だけで行っていた。

 

 

 

――だけどそんな日々の中、更なる事態が彼らを襲う事となった。

 

 

 

それは二ヶ月という月日が経ったある日、施設に届けられた一通の通知によって齎された。

差出先は時空管理局。そして封を切った中の紙に書かれていたのは以前と同じ内容のもの。

だけど大きく違うのは、研究の期間。以前送られた通知には、それの変更として一年半という指示が書かれていた。

しかし今回送られてきた通知には一年半という期間が更に一年と、またも半年もの期間が削られている。

 

「一年、だと……一体何を考えているんだ、管理局は!?」

 

「お、落ち着いてください、ジェドさん……」

 

通知に目を通した瞬間、今まで管理局の指示で文句も言わなかった彼は怒りを露にする。

それほどこの通知にて提示された期間は滅茶苦茶。明らかに研究の完成を妨害する意図しか見えない。

怒りを言葉にする彼を止めるエティーナとて、この通知には疑念しか浮かばないくらいであった。

だけどエティーナが宥めようとしても彼の怒りは収まらず、手に持つ紙をグチャッと握り潰して壁に叩きつける。

 

「ようやく……ようやく形になり始めたんだぞ! 私の長年に渡る研究が、やっと完成に向けて動き出したんだぞ! なのに、なんだこの通知は……ふざけるのも大概にしろ!!」

 

施設内に響きそうな怒声を上げ、彼は怒りのままに両拳を机に叩きつける。

怒る彼を尚も宥めようとエティーナは声を掛けて肩に手を置くが、そんな彼女の声には僅かに覇気がなかった。

それも当然と言えば当然……妊婦の身である彼女がジェドと共に研究を続けるのは多大な負担が掛かるのだ。

下手に無茶をすれば流産の可能性だってある。だから彼とて、無理に手伝う必要はないと止めた事とて何度もあった。

だけどその全てに対してエティーナは拒否。断固として研究を手伝うと言い張って聞かなかった故、已む無く許可をした。

そして許可してから今まで辛さを出さなかった彼女が、今になって若干の疲れを感じさせるほど声に覇気がない。

それを感じ取ってか、今まで怒りに我を忘れていた彼も冷静さを取り戻し、そのまま力が抜けたかのように椅子へ腰掛けた。

 

「はぁ……本当にどうしたものか。期間を一年に削られたという事は、残りは九ヶ月……このままのペースで進めれば、研究は確実に未完で終わってしまう」

 

「でも、これ以上研究に時間を割くのも難しいですよ。そんな事をしたら、ジェドさんの身体のほうが先に悲鳴を上げてしまいます」

 

「私はまだ大丈夫だよ。むしろ、問題なのは君だ……これ以上睡眠時間を割けば、疲労が溜まってお腹の子供がどうなるか分からない」

 

「だとしても、私は降りませんよ? ジェドさんとの子も大事ですけど、ジェドさんの手伝いをする事が私の幸せなんですから」

 

エティーナがこれだから、ジェドも安易に睡眠時間を削ってという選択を取れない。

だけどこのままのペースで続けていけば、彼の言葉通り研究が完成する可能性は極めて低いと言える。

故にどうしたらいいのかを悩む。研究かエティーナとお腹の子か、どっちを取るべきなのかを。

そうして悩みは苦悩という形で彼を襲う中、エティーナは力無くもいつものような笑みを浮かべて静かに告げた。

 

「私に遠慮なんてしないでください。私のせいでジェドさんが研究を諦めるなんて、してほしくないんです」

 

「だが……」

 

「大丈夫です……ジェドさんとの子は、必ず生んでみせます。絶対に死なせたりなんてしません……ですから」

 

諦めないでください……見詰める彼女の視線は、無言ながらそう告げていた。

そこまでの意思を見せられると彼も首を横には振れず、分かったと言うように僅かに頷いた。

だけど二人はそこで視線を逸らさず、しばらくの間視線と視線を交わせ続ける。

そして少しの時間が経った後、どちらともなく顔を近づけていき、唇を重ねて静かに抱きしめ合う。

 

「お〜い、ジェド〜。カールスナウトのメンテをしてく――――」

 

そんなとき、本当に間が悪くアイラがノックもなしに扉を開け放って入ってくる。

用件は告げようとした言葉通り、彼女のデバイスであるカールスナウトのメンテナンスを頼もうとしたのだろう。

だが、扉を開けて言葉を言い終えようとした瞬間、目に入った光景に彼女はしばし硬直してしまう。

その後にパチパチと目を僅かに瞬かせ、続けて林檎のように顔を真っ赤にさせるに至る。

 

「し、ししししつれいしましたーーー!!」

 

そして最終的には顔を真っ赤にさせたまま、脱兎の如く歩いてきた通路を逆走していった。

そんな彼女の様子に唇を離した二人は半ば呆然とした後、再び互いに顔を見合わせて笑い合った。

今までの空気も何もぶち壊し。だけど、彼らにとっては嫌な感じなんて一切しなかった。

むしろ大事な存在がもう一つあったことに気づかされた。今や家族といってもいい、彼女の存在の大切さに。

故に笑い合った後、二人は研究を完成させる決意を再び固める。これはこの家族の存続にとって、重要な事だから。

管理局等の信用を失っては収入が極限まで少なくなり、この家族が今のままで暮らしていく事が難しくなるから。

だから研究を何としても完成させて収入を安定させ続けなければならない。

 

 

 

 

 

――全ては、この家族がいつまでも幸せに過ごしていくために……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

研究に対しての決意を固めてからおよそ四ヵ月後。

睡眠時間も極力削って進めた研究は、何とか順調と言えるペースで進んでいた。

アレ以降はもう期間短縮の通知も無く、残りの期間で完成の目処もしっかりと立つという状況に至っている。

そしてそれとは別として予定とは僅かに早く、妊婦であるエティーナを陣痛が襲った。

これまで研究の手伝いで何かと疲労する事が多かった。だけど、流産になると言う事は一切なかった。

しかし、苦労をさせてしまったのは事実である故、今の彼女に出産をするだけの体力が残されているかは分からない。

故に施設の者、そして彼女の出産に駆けつけてくれた人が心配そうに彼女の出産が無事に終わるよう祈り続けた。

そして、その祈りが通じたのか――――

 

 

――全員の耳に、元気な赤子の産声が届いた。

 

 

少し後に知らされたところ、生まれた赤子は女の子。

加えて双子であるという事実を聞かされたときは、ジェドとアイラを含めた誰もが驚いた。

だけど驚きありしも誰もが二人の子の出産を祝い、喜びを示したのは言うまでもないだろう。

 

 

 

赤子の出産から更に二ヶ月後、退院したエティーナは今は研究所のベッドにいた。

腕にはジェドとエティーナが相談した結果、リースとシェリスと名付けられた赤子が抱かれている。

ちなみに退院してもう元気だと言い張り、研究の手伝いをしようとする彼女は当然抑えられた。

故に現在はベッドの上にいるというわけで、その見張りとして今日は来訪したリンディが傍にいた。

 

「シェリスちゃんは、目元が貴方に似てるわね」

 

「反対にリースはジェドさん似かな? ものの見事に私似とジェドさん似で分かれちゃったね」

 

「ふふ、そうね。でも、リースちゃんもシェリスちゃんも可愛いわ」

 

リースの頬を軽く指で触れながら、リンディはエティーナと共にクスクスと笑い合う。

そんな彼女の腕にはもちろん彼女の子であるクロノが抱かれており、リースとシェリス共々スヤスヤと眠る。

 

「そういえば、クロノくんって今は一歳なんだよね?」

 

「ええ。もうすぐ二歳になるのだけどね」

 

「そっかぁ……じゃあ、リースやシェリスにとってはお兄ちゃんだね♪」

 

「そうね。将来的には、三人で遊んだりする事もあるかもしれないわね」

 

その一言の後、二人は少しばかり考え込んでから再び互いに笑い合った。

それは先ほど言った子の未来を想像した故。クロノをお兄ちゃんと慕う、リースとシェリスの姿を頭に浮かべた故だ。

何年先になるかも分からない話。だけど、このままの関係が続けばいずれ見れるかもしれない未来。

三人の子を見ながらそんな未来を想像し、笑い合う二人の笑みはしばし絶える事がなかった。

 

「お〜い、エティーナ〜? 入るぞ〜?」

 

そんな中で扉の外から聞こえてきたのは、非常に聞き慣れた少女の声。

言わずもがな、声を発したのは今や完全なジェドとエティーナの娘的存在となりつつあるアイラだ。

彼女は扉の外から声をかけるや否や、返事も返す間も与えず扉を開け放って中へと入ってくる。

しかし彼女のそんな行動はいつもの事であるため、エティーナも咎めはせず笑顔で迎える。

それに対してアイラも元気な笑顔で返した後、早速というようにここに来た用件を切り出した。

 

「ジェドの奴がさ、なんか庭のほうに来てくれって言ってたぞ。あ、エティーナだけじゃなくてリンディもな」

 

「私も? でも、確かジェドさんはクライドさんやグレアムさんと仕事のお話をしてるはずじゃ……」

 

「ん〜、アタシも化け猫組と外に出るまではそれっぽい話をしてたのを見てんだけど、それからは見てねえから分かんね」

 

彼女の言う化け猫組とは要するにロッテとアリア。それに加えてクライドとグレアムも今日は施設に来ている。

正直なところ、これほどの面子が揃って訪問してくるなどという事は、今までに一度たりとてなかった事だ。

だが、グレアムとリンディは休みが合い、クライドとリーゼ姉妹は半ば仕事という形というものによって偶然が重なった。

故に今日はジェドとエティーナの友人が全て、一堂に会するという状態になっているというわけだ。

そんな状況でもクライドは半分仕事故にもちろんだが、グレアムまで一緒になってジェドの研究の話に没頭。

反対に仕事に来たはずのロッテはアイラをからかって遊び、アリアはロッテがやりすぎないようその光景を遠巻きに見るだけ。

そのような状況になるのを僅かにだが見てから部屋に引っ込んだエティーナとリンディは当然、今もそれが続いていると思っていた。

しかし、アイラが受けた言伝によるとジェドたちの話がどういう方向に進んでか、施設に庭に呼ぶという話になっている。

一体何がどうなったのやら……そんな風に思いながらも、エティーナもリンディもとりあえず庭に出ようと子を抱いたまま立ち上がり、アイラと共に部屋を後にした。

 

 

 

 

 

呼び出しに応じて庭へと出ると、そこには施設に訪問してる全員が集まっていた。

そして扉から出てきたエティーナらを見ると手招きで呼び、近寄ると今度はなぜか芝生の上に座らされる。

一体何が何やら分からない彼女たちは一様に困惑顔で周りを見渡すが、そのとき見えた物が答えを齎した。

それは彼女らの座る真正面に置かれたスタンド。もっと詳しく言うならば、スタンドに設置されたカメラだ。

他の世界ではどうか知らないが、このミッドチルダでは少しばかり古めかしい型と捉えられる年代物のカメラ。

そんなものを所持するのはジェドかグレアムのどちらかだとは想像つき、同時に呼び出した用件というのも理解できた。

 

「写真を撮るんですか?」

 

「ああ。この面子が揃うというのは本当に珍しい事だからな……どうせだから、エティーナの無事な出産を祝って写真でも残そうというわけだ」

 

「「はあ……」」

 

少しばかり呆けたような声を上げ、きょとんとした様子をするエティーナとリンディ。

そんな二人がその様子のままグレアムとクライドに目を向けると、二人も笑顔で彼の言葉に頷いた。

これから見るとその話を持ち出したのはジェドであり、それに二人も大いに賛成したのが見て取れる。

だが、思い出を残すという意味合いでは確かに写真を撮るという行動は悪くない案であった。

それ故に彼女らも少し遅れてジェドの言葉に笑顔で同意を返し、カメラのある方へと向き直る。

 

「ほら、アイラちゃんもそんなところにいないで。こっちにおいで」

 

「い、いいよアタシは! 恥ずかしいし! だから撮るならアンタらだけで――」

 

「それじゃ意味ないっての。ほら、我侭言ってないで早く来なよ」

 

写真を撮られるのが恥ずかしいという理由で拒否をしようとするが、それを誰も許すはずが無い。

よってアイラの言葉に居の一番に返したロッテが早々に動き、逃げようとするアイラをものの見事に捕らえる。

そして捕らえたアイラを担いでエティーナの後ろら辺に戻ると、地面へと下ろして後ろから抱きつくような形で拘束する。

これならば多少の暴れは抑えられるし、多大に暴れようものなら前のエティーナに被害が及ぶ故に出来なくする。

いつもどおりの策士な行動。そしてその意図がアイラにも分かったのか、もう暴れようとはせずに打って変わって大人しくなった。

それを見てアリアもそんな二人の隣にしゃがみこみ、その更に後ろのほうにてジェドとグレアムが立つ。

皆が配置に付いたのを確認したクライドは少し駆け足気味でカメラへと向かい、そこにて足を止めると皆に声を掛ける。

 

「それじゃあ、撮るよ〜!」

 

クライドの合図にアイラ以外の全員が声を返すと、カメラのタイマーをセットして駆け戻る。

そしてジェドを挟むようにしてグレアムとは反対側に立ち、それとほぼ同時にフラッシュの光が皆の目に広がった。

 

 

 

 

 

――後日、そのとき撮られた写真は焼き回しをして皆に渡された。

 

 

 

――初めて一つの場所に揃った友人、生まれたばかりの赤ん坊。

 

 

 

――そして数ヶ月前に新しく家族として加わった、怒りっぽいけどちゃんとした優しさを持つ少女。

 

 

 

――そんな皆が笑顔で写っているこの写真は、誰もが今も尚大切に持ち続けている。

 

 

 

――皆にとって幸せであった日々の、思い出として。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――だが、そんな幸せはある一つの事件を境に途切れる事となる。

 

 

 

 

 

――それはアイラと出会ってからちょうど一年が経った……

 

 

 

 

――あの日と同じ、雪の降りしきる日に起こった出来事であった。

 

 


あとがき

 

 

今回の話は少し駆け足気味だったが、ようやく過去編は終盤へ。

【咲】 というか、次回辺りが最後じゃない?

んにゃ、おそらくは次々回辺りが最後になる予定。彼らがミッドを去った日の事も書かないとならんし。

【咲】 ふ〜ん……ところでさ、本当に偶然よね。この面子が一堂に会するなんて。

まあね。そして実質的に、皆が揃ったのが本当の意味で最後になってしまったというわけだ。

【咲】 そうなるわねぇ。でさ、最後の方で写真を撮ってるけど、それは今もグレアムとかリンディは持ってるの?

持ってるよ。グレアムもリンディも今は極力見ないようにしてるだけでね。

【咲】 そのときの事を思い出すのが辛いから?

うむ。写真を見れば幸せな日々が脳裏に浮かぶ。皆が笑っていられたあの日々の事が。

だけどそれを思い出すと同時に辛さが胸を襲う。だから忘れようと思ってるわけではないけど見るに見られないんだよ。

【咲】 なるほどねぇ。にしても、今回の話は本当に駆け足気味になっちゃったわねぇ。

ふむ。何話かに分けてもう少し長くとも考えたが、そうするといつまでたっても現在の話が進まんのでな。

【咲】 それで、大事な部分を出しつつ極限まで省略して書いたと?

そういうことになる。まあ、SSを書く上ではあまりいい事ではないのだけどね。

【咲】 分かってるなら今度からはちゃんと書くようにしなさいな。

了解です、マム。

【咲】 よろしい。で、次回はようやくエティーナ……って話になるわけ?

そうなるな。もうここまで来るとエティーナが死んだ理由も、管理局が犯した事とやらも分かるんじゃないか?

【咲】 まあ、大体はね。でもさ、それが原因でどうやってエティーナが死ぬという事までは分からない人もいるんじゃない?

確かにな。てなわけで、そんな人は次回の話をお楽しみにしててくださいな。

【咲】 じゃ、今回はこの辺でね♪

また次回会いましょう!!

【咲】 ばいば〜い♪




まだ幸せな日々なんだな〜。
美姫 「この後の事を思うと、ちょっと切ないわよね」
だな。だが、過去は変えられない。
寧ろ、何が起こったのかいよいよ明らかに。
美姫 「うーん、どんな関連があるのかしら」
管理局の行動から推測するに……分かりません!
美姫 「はいはい。それじゃあ、大人しく次回を待ちなさい」
おう! 次回を待っています。
美姫 「待ってますね〜」



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