アイラという子を簡単に言うのなら、粗雑で怒りやすい子だ。

容姿等で女の子というのは見て分かるが、言動が非常に男の子っぽい乱暴なもの。

だからかジェドのからかいを受けて喧嘩をするところが施設内でも非常によく見られる光景。

だけどそれは言うなれば表面上の顔。本当の彼女はとても照れ屋で優しい女の子だ。

故にその本質を見抜き、優しく接してくれるエティーナとは非常に仲が良いのだ。

しかしながら、そんなエティーナでも仲良くなるには数日の時間を有してやっと今の仲になれている。

それまでは声を掛けても無視される事だってあったし、ジェドのときのように怒鳴られる事もあった。

この事からしてつまり何が言いたいのか。それは――――

 

 

「えっと、アイラちゃん? で、出来ればその、睨むのは止めて欲しいなって思うのだけど……」

 

「…………」

 

――来客たるリンディとグレアムに対して、まともに接することが出来ないという事だ。

 

 

最初の自己紹介のときこそ緊張からかなかったが、それ以降はずっと睨みっぱなし。

今はクロノが寝ているからいいものの、起きたとしたら彼女の睨みで泣いてしまうかもしれない。

だから出来れば睨まないで欲しいとお願いするも、当然の如くそれで彼女が睨みを収めるわけがない。

故にか今度はそこまで睨まれるほど怒らせるような事をしたのかと考え、一体何をしてしまったのか尋ねてみる。

しかし問いに対してもアイラは無言で睨むだけ。だが、それもある意味では当然と言える事であった。

彼女が睨んでるのは別に怒ってるからではない。ただ単に初めて会う二人に対して戸惑っているだけなのだ。

普通の子なら人見知りの場合慣れた誰かの後ろに隠れるやら、照れるような仕草を見せるのが一般的な反応。

だがアイラはその一般的とは大きく異なり、元々の性格故に人見知りしても虚勢を張ろうと睨んでしまうのだ。

同じくアイラと初めて会う二人がそんな部分など分かるわけがなく、彼女の様子にただ戸惑うしか出来なかった。

 

「アイラ、初めて会う人で恥ずかしいからって睨んじゃ駄目だよ。ほら、笑って笑って♪」

 

「べ、別に恥ずかしがってなんて……って、にゃ、にゃにひゅんだ! は、はにゃひぇ〜!!」

 

反してアイラの性格をこの一ヶ月と少しで熟知しているエティーナにはすぐに見抜かれ指摘される。

それに対してまたも否定しながら照れからかそっぽを向こうとするが、それより早く両頬を引っ張られる。

痛くないように軽くではあるが彼女がバタバタ暴れても外れず、口で訴えようにもまともに喋れない。

それでも諦めず逃れようとするのだが、エティーナはほらほらと楽しげに言いつつ放そうとはしなかった。

 

「ふふふ……」

 

「はははは……」

 

その二人の様子は、初めて会ったのが一ヶ月少し前だとはとても思えないほどのもの。

そんな光景を見せられ、先ほどまで戸惑っていたリンディとグレアムにも自然と笑みが浮かぶ。

対していつもの光景ながらジェドとしては客人の前でする事じゃないと頭を抱えていた。

そうしてしばらくの間、二人のどことなく和やかな様子を多様な様子で三人は見続けているのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

魔法少女リリカルなのはB.N

 

【第二章】第四話 彼女の抱く憎しみと悲しみ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あれから少しして、ようやく頬を放すとアイラは膝を降りて施設内に逃げ去ってしまった。

いつもの事だと少し調子に乗りすぎてしまった結果。それにはエティーナもさすがに反省する。

しかしまあ、去るときの様子を見る限りでは過度に怒った様子が無かった故、追いかける事はしない。

リンディは追いかけたほうがいいのではと言ってはきたが、後で謝るからととりあえず納得させた。

その後、アイラに続けてジェドとグレアムも施設内に引っ込んでしまい、現在はエティーナとリンディ、そして今も眠るクロノのみだった。

 

「最近、局の仕事のほうはどう? やっぱり忙しい?」

 

「そうね。私個人もそうだけど、今は管理局全体を悩ませてる事件が起こってるから……そのせいでいつもよりは少し慌しくなってるわね」

 

「それって最近話題になってる、ミッドチルダの各地で起こってるっていう通り魔事件の事?」

 

「ええ。まあ、通り魔というのとは少し違うと思うけど」

 

少し苦笑しながら、リンディは頷いて彼女の言葉を肯定する。

それに対してエティーナはそっかとだけ返し、中央のお椀から菓子を一つとって頬張る。

少し無関心にも見える様子ではあるが、マイペースな性格だからそう見えるだけの話。

長い付き合い故にその事がよく分かるリンディとしてはいつもの光景なため、何も言わず再度苦笑するだけであった。

 

「ところで物は相談なんだけど……貴方、管理局に入る気はないかしら?」

 

「……それ、もう何回目になるか分からない相談よ?」

 

「だって、貴方ほどの魔導師は本当に稀なんですもの。何回目になっても入ってくれるまで続けるわ」

 

「もう……こんな事なら前の魔導師ランクの測定、断れば良かったわ」

 

会うたびに聞いてくる質問に対して、少しうんざり気味にエティーナは呟く。

アイラとまだ出会うよりもずっと昔、彼女はリンディに押し切られて管理局の施設にて魔導師ランクの測定を受けさせられた。

そもそも本当に小さな頃からの付き合いであるがため、エティーナの実力をリンディは良く知っている。

そのせいもあってか半ば強引に受けさせられ、そのときに測定した局員の誰もが驚くランクを叩き出してしまった。

そのランクは、SS−。SランクどころかAAAランクすら稀にしかいないのに、彼女のランクはそれを大きく上回る。

となるとリンディとしても、管理局としても彼女ほどの魔導師を欲しがるのは至極当然であると言える事だろう。

だけどエティーナはその勧誘を蹴った。その理由は非常に簡単……ただ、自分の居場所はジェドの隣だからというもの。

だからかそれ以降は一切管理局にも近寄ることがなく、リンディと会うにしてもここかミッドの街でが大半となったのだ。

 

「それでどう? 思い切って入ってみないかしら? 貴方ほどの実力があれば局内でもすぐに上のほうにいけると思うのだけど」

 

「何度聞いても同じよ。地位とか名声とか、そんなものを得るよりも私はジェドさんの隣にいるほうが幸せなの」

 

管理局では得られない幸せ。それがエティーナには何よりも大切なもの。

だからいくら友であってもこの願いだけは聞けず、答えは以前までのものと変わらぬものだった。

それにリンディは小さな溜息をつくも、諦める気はないのかもうちょっと粘ろうと言葉を続けようとする。

 

「そうは言うけど、いずれ彼と一緒になるつもりなら収入は安定したもののほうがいいでしょ? 今の仕事が悪いとは言わないけど、注文状況なんて不定期に近いものなんだからお世辞にも収入が安定してるとは――」

 

「いいじゃない、別に。それより、折角用意したんだからお茶でも飲まない? 緑茶、好きでしょ?」

 

リンディのちょっとお説教風な言葉を一言で流し、話題転換とばかりにポットを差し出す。

それに彼女はまたも溜息をつくが、話題転換をしてきた時点でこれ以上は言っても無駄だと悟る。

故にエティーナの問いに小さく頷き、空のカップを差し出して注いでもらう事にした。

そしてリンディと自分のカップにお茶を注ぎ終えると今度は小瓶の蓋を開け、角砂糖を取り出した。

 

「砂糖は……確か三つぐらいだったよね?」

 

「ええ」

 

彼女が頷いたのに頷き返し、角砂糖を三つほど取り出して彼女のカップに入れる。

そして自分のカップにも同じほどの砂糖を入れ、スプーンで軽く混ぜた後に口へと運んだ。

 

「ふぅ……やっぱり美味しいね、このお茶」

 

「そうね。この適度な渋みがちょっとクセになるわ」

 

大量の砂糖を入れた緑茶を飲んで美味しいと言い合う二人。

ここに彼女ら以外の誰かがいたのなら、彼女たちの言葉を思いっきり否定しそうなものである。

だがまあ結局は彼女ら以外には誰もいないため、否定の声もなくお茶を飲んでマッタリしていた。

そんなお茶を満喫している最中、不意に施設の扉の方面からカタッと何か物音がするのが聞こえてきた。

ジェドとグレアムが戻ってきたのか。そう思った二人はカップを一旦テーブルに置いてそちらに目を向ける。

 

「…………」

 

だが二人の予想に反して、音のした方面にいたのは先ほど逃げ去ったアイラだった。

扉の影から顔だけを出し、近づいてくるでもなくただジッと二人を見続けていた。

行動的には非常に可愛らしいものがあるが、どうして戻ってきたのかは様子だけでは分からない。

故にかエティーナが微笑と共に手招きをすると、アイラは一度だけビクッとした後にゆっくりと近づいてきた。

しかし先ほどと違って今度はエティーナの膝には座らず、彼女らの間の椅子へと腰掛けた。

 

「飲む? 美味しいよ?」

 

「あ、う、うん……」

 

膝ではなく間の席に座った事自体は気にせず、自身のカップを差し出す。

するとちょっと戸惑い気味ではあったが素直に頷いてカップを受け取り、口へと運んだ。

 

「――っ!? けほっ、けほっ!!」

 

途端、アイラは飲んだ物の味に顔を顰め、思いっきり噎せ返ってしまう。

それにはエティーナもリンディも慌て、噎せて咳き込む彼女の背中を急いで擦る。

その甲斐あってか僅かの後に咳き込みが収まり、咳き込んでいた故か荒い息をつく。

そしてようやく息も整えて落ち着いた後、カップを差し出してきた本人を睨む。

 

「な、なんだよ、このお茶は! 甘すぎるだろ!!」

 

「そう? 私はそんなことないと思うけど……」

 

「そうねぇ。むしろ、これが普通じゃないかしら?」

 

「味覚がイカレてんのか、テメエら!?」

 

文句を捲くし立てるのに対し、エティーナもリンディも不思議でならないというような顔。

そもそも砂糖をあれだけ入れたお茶を飲んでも平然としているのだから、それもある意味では当然だろう。

だが、アイラとしてはおかしいと言う他なく、文句は止まる事なくその口から放たれ続ける。

しかし文句を言い続ける事一分後、やはり不思議そうにする二人にいい加減アイラは言うのを諦めた。

 

「はぁ……ところでさ、アンタってエティーナの友達なんだよな?」

 

「え……あ、うん、そういう事になるわね」

 

「てことはさ、アンタもテスターなのか? それともマイスターか?」

 

逃げ去る前までは睨むだけで何も言ってこなかったのに、ここにきて自分から口を開いた。

その変わりように少しリンディは戸惑うが、よく彼女の様子を見てみるとその疑問はすぐに解けた。

視線がチラチラとエティーナのほうに向いている事。つまりそれは、先ほどの事を意識しているという事。

まだ子供といっても客人の前であんな事をされるのはやはり恥ずかしい。様子からはそう受け取れた。

故にか少しばかり苦笑を浮かべ、彼女のしてきた問いに答えるために口を開こうとする。

だが、彼女が答えを返すよりも先にエティーナが口を開き、彼女の代わりにアイラへと答えを返した。

 

「リンディはテスターでもマイスターでもなくて、管理局の人だよ、アイラ」

 

「……え?」

 

管理局という単語が出た瞬間、アイラは驚きの表情を浮かべて呆然とする。

またも打って変わった様子にエティーナは首を傾げてリンディを見るが、彼女も首を傾げるだけ。

先ほど会話の内容にもおかしな部分はないため理由が分からず、エティーナは尋ねるために声を掛けようとする。

だが声を掛けようとした途端、アイラの表情は驚きから一転して再び睨みつけるようなものへと変わる。

その視線が向けられるのは、リンディ。更に言えば、先ほどのものとは違い、彼女からは過剰な怒気が滲み出ていた。

 

「……アイラ?」

 

「――っ!?」

 

エティーナが声を掛けたと同時にアイラはビクッと震え、エティーナへと目を向ける。

そのとき見た彼女の瞳には少し心配そうな色が浮かんでおり、言外にどうしたのかと尋ねていた。

だけどアイラは彼女から目を逸らすように俯き、少し間を開けてから椅子を降りて施設内へと駆けていった。

どれをとっても突然の出来事故、少しばかり二人は呆然とするが、我に返るとエティーナは立ち上がった。

 

「ごめんなさい、リンディ。私、ちょっとあの子とお話をしてくるわ」

 

「私も行くわ。見たところ私が何かしたみたいだし、謝れる事なら謝りたいから」

 

先ほどのアイラの様子。あれはさっきのおふざけのときとは明らかに違っていた。

故にエティーナと同様に心配したリンディはそう言い、今も眠るクロノを起こさぬよう同じく立ち上がった。

そんな彼女の言葉にエティーナは頷き、二人は揃ってアイラを追いかけて施設内へと入っていった。

 

 

 

 

 

アイラが施設内のどこに行ったのか。それは大体検討がついていた。

あまり施設内をうろつかない彼女が一人で行く所、それは彼女かエティーナの自室くらいしかない。

ジェドの部屋か研究室というのもあるが、先ほどの様子からしてそこはまずないだろう。

だから一番可能性の高いアイラの自室を真っ直ぐ目指し、部屋の前につくと扉を静かにノックして声を掛けた。

だけど中からは言葉が返ってこず、いないのかと思いドアノブを捻ってみると扉には鍵が掛かっていた。

そこから彼女が中にいるのが分かる。理由は簡単、アイラは鍵を持たぬ故に外にいる場合、鍵は閉まっていないのだ。

しかし、だとすればどうしようもない。声を掛けてもノックしても出てこないのでは、先の様子の理由が聞けない。

だからといって彼女を放置する事も出来ず、しかたないとエティーナはリンディを連れてジェドの部屋を目指した。

アイラの部屋だけに限らず、施設内の各部屋の鍵を管理しているのは施設の責任者であるジェドのみ。

故にジェドなら鍵を持っている。そう踏んで彼の部屋へと赴き、中でグレアムと話していた彼に事情を説明した。

 

「なるほど……それならば仕方ないか。ほら、部屋の鍵だ」

 

本来ならば信用しているエティーナといえど、他者の部屋の鍵を渡すわけにはいかない。

それは誰しもプライバシーというものを少なからず持っているからという、施設全体の決まり事だから。

だが事情を聞く限りでは決まり事だからと無下に出来る内容でもなく、ジェドは少し悩んで結局鍵を渡した。

それにエティーナは感謝の言葉を口にし、リンディと共に再度アイラの部屋へと向かおうとする。

しかし二人が踵を返そうとしたとき、ジェドの隣に立つグレアムが考え込むような仕草をしているのが目に入る。

それが少し気になった二人は同時に足を止めてどうしたのかと尋ねると、彼は少し間を空けた後に口を開いた。

 

「彼女の様子の変化についてだが……一つだけ心当たりがある」

 

「ほ、ほんとですか!? なら――」

 

「教えてください、だろう? こちらとしても無視は出来ない事だから教えるのは構わないんだが……正直、少しばかり辛い話になる。それでも、聞きたいかね?」

 

尋ねてくるグレアムの表情にも若干の陰りがそのときは見えた。

それにはエティーナもリンディも少したじろぐが、気になるという気持ちが先立つ故に頷いた。

二人が同時に頷いたのを見てグレアムは若干の溜息をつくも、僅かな間を空けて静かに語りだした。

その内容によるとアイラの両親、彼女を数年前に引き取った夫婦は二ヶ月と少し前に死んだというもの。

それは以前ジェドとエティーナのお願いで調べた際に判明したのだが、これだけでは今の様子の理由にはならない。

だがここからが重要なところ……その際に同時に判明した、彼女の義父と義母の死は他殺によるものとの事。

少しばかり前からミッドの各地で起こっている無差別殺人。これの被害に合って死んだのだと調べてみて分かったのだ。

そしてこの判明した事実と彼女の先の様子で分かる事、それは――――

 

 

――アイラは、管理局を恨んでいるという事。

 

 

凍死も厭わず雪の中、墓石前にただ座っていたという事実から相当慕っていたのが分かる。

だから、犯人を捕まえられず義父と義母を死なせた管理局という存在がどうしようもなく憎い。

だがそれは一言で言えば逆恨み。その事が彼女にも分かっていたから後の行動に繋がった。

管理局の人間と聞いて憎しみを隠せなかった。だけどそれは逆恨みだと知っているから、すぐに我へと返る事も出来た。

でも憎しみの感情を向けてしまったのは事実。しかも向けてしまったのは、エティーナの友人である女性。

故にエティーナに向ける顔がなく、その場にも居られなくて逃げるように去って現在、部屋に篭っているのだ。

そんな彼女の持つ傷を知ったエティーナはグレアムの語りが終わるや否や、すぐに部屋から駆け出ようとする。

だがその肩をジェドに捕まれ、彼女が振り向くと同時に彼はいつも以上に真剣な顔で口を開いた。

 

「確かに彼女はこの研究所の誰よりも君に懐いている。だが、それでどうにかなるほど彼女の傷は小さくはない。行っても下手をすれば無用に傷を広げるだけ……悪い事は言わない、今はそっとしておいてやれ」

 

「…………」

 

彼自身も先ほどの話を聞き、アイラの事を考えた上での発言。

そこがエティーナにも伝わったのか、彼女は視線を外すように俯いた。

だけど外した視線は強い意思の篭ったものへと変わり、すぐに彼へと向け直された。

 

「ジェドさんの言うとおり、私じゃあの子の傷を癒せないかもしれません」

 

「なら――」

 

「でも、例え何も出来なかったとしても、傷ついたあの子の傍に居てあげる事は出来ます。それが無意味な事だとしても、それが私の役目だから……だって――――」

 

 

 

 

 

「アイラを引き取ると決めた日から、私はあの子の母親なんですから」

 

 

 

 

 

言葉と共に強い意思を込めた表情は一転して柔らかい笑みへとなる。

その言葉と表情にジェドはもちろん、グレアムもリンディも何も言えず、呆然としてしまう。

三人がそんな様子になってしまう中でエティーナは再び駆け出し、部屋を出て行った。

彼女が出て行った後、少ししてジェドは我に返るが、追いかける事はせずに溜息をついた。

 

「全く……相変わらず変なところで頑固な。自分が傷つくという可能性も考えて止めたというのに……」

 

「ははは、それが彼女の優しさでもあるだろ。それに彼女なら出来るかもしれないと踏んで、君は追いかけなかったんじゃないのか?」

 

「深読みのし過ぎだ。私は単に、これ以上引き止めても無駄だと思っただけだ」

 

素っ気無さを強調するように背を向けるのは彼流の照れ隠し。

それが良く分かっているグレアムは苦笑を浮かべ、リンディも察したのか僅かな笑みを浮かべた。

そんな彼らもジェドと同様の事を思っているのか、エティーナを追いかけるという事はしない。

彼女ならきっと傷ついたアイラを救ってくれる。だから、無用に付いていって邪魔をするわけにはいかない。

そう思うからこそ二人はその場に留まり、エティーナがアイラを救える事を内心で祈りながら、ただ待つのだった。

 

 


あとがき

 

 

アイラが管理局を恨んでいたのはエティーナの死よりも以前からだったわけだ。

【咲】 ふ〜ん……にしてもさ、エティーナがアイラを娘だと思ったのってこの頃からだったのね。

まあね。だけど思ってるだけで口にしなかったから、一章の夢での出来事になるわけだ。

【咲】 なるほどねぇ。で、ここの部分がアイラがエティーナを更に慕う切っ掛けになるわけね?

ふむ。そして管理局員とはいえ、グレアムとリンディへの印象もこの時点では変わるな。

【咲】 それが次回の話の主軸?

そのとおりだ。

【咲】 なるほどねぇ……ところでさ、この話で出た通り魔?っていうのも話と関係してくるの?

ふむ、重要な部分ではあるが……過去編で語られるかは微妙なところだ。

【咲】 なんでよ? 過去で起こった事件なんだから、過去編で出ないとおかしいじゃない。

ん〜……まあ、そこの辺は後々の部分を見ればわかるよ。

【咲】 つまり、次回以降を待てって事ね……。

そういうこと。あ、ちなみに過去編はアイラの語りで始まっているけど、アイラの知らない部分も微妙に出てくるから。

【咲】 要するにアイラが語れない部分でも本編に関係してくる部分は出るって事ね?

うむ。さてさて、そんなわけで次回予告……といきたいところだが。

【咲】 だが?

さっき大部分を話しちゃったから、今回はスルーという事で。

【咲】 …………まあ、しょうがないわね。

その間が少し気になるが……まあ、てなわけで今回はこの辺にて!!

【咲】 また次回会いましょうね〜♪

では〜ノシ




うーん、本当に過去に色々とあったんだな。
美姫 「そして、リンディのお茶の被害にまで」
いや、別にそこが恨む原因ではないけれどな。
美姫 「さて、ここから何があってアイラの心境に変化が出るのかしらね」
次回も待ってます。
美姫 「待ってますね〜」



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