守護騎士たちが外出しているためか、八神家は非常に静かなものだった。

いつもは誰かの話し声が聞こえてくるはずなのに、誰のことも家内には響かない。

最近では日常になってしまっているせいか、はやてはそのことが少しだけ寂しく思えた。

だからといって現在、この家にいるのがはやて一人だけというわけではない。

八神家に訪れてから突然寝込んでしまい、依然として目を覚まさないシェリスの姿がベッドの上にある。

そしてそのベッドの横に車椅子を固定し、慈愛に満ちたような瞳で彼女の髪を梳くはやてがいる。

 

「かわええな、シェリスちゃん」

 

友達であり、自分をお姉ちゃんと呼んで無条件に懐いてくるシェリスが、はやても大好きになっていた。

だから髪を梳く手にも優しさが篭り、そしてその様子は妹を愛でる姉のようにも確かに見えた。

 

「うにゅぅ……」

 

ちょっとだけ奇妙な寝言を言いながら、それでもシェリスは気持ち良さそうに眠る。

寝込んでしまったと聞いたときは心配したが、この寝顔を見るとその心配も和らぐ。

 

「シェリスが本当の妹やったら、うんと可愛がるんやけどなぁ……」

 

シェリスを起こさない程度の声ではやてはそんなことを呟いた。

実際のところ友達とも思っているし、妹のような子だとも思っていたりはする。

だけど実際に血縁などは無い故、本当の妹でないことが少しだけ残念であった。

 

「さて、と……ほな、そろそろ夕飯の仕込みをせんとな」

 

名残惜しいながらもそう呟いて、はやてはシェリスから手を引いて移動しようとする。

だけど、いつの間にかベッドからはみ出た彼女の手がギュッとはやての服を握っていた。

そして――――

 

 

「いかないで……お姉ちゃん……」

 

 

本当に寂しそうな声で、引き止めるように寝言を呟いた。

それにちょっとだけはやては驚くも、しょうがないなと僅かに笑い、動きを止める。

そしてもうしばしの間、シェリスの傍にいてあげることにするのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

魔法少女リリカルなのはB.N

 

【第一章】第二十一話 戦火は再び…… 後編

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

はやてが見守られながら眠るシェリスは、夢を見ていた。

それはいつの頃かは分からないが、とても昔ということだけは分かるときの夢。

まだまだ自分が幼くて、それでも大好きな人たちが傍にいたときの……幸せな夢。

 

「うええぇぇぇぇぇん!!!」

 

「だあああ、もう!! たかが拳骨一発で泣くなっての、うっとおしい!!」

 

幸せな夢であるはずなのに泣いているシェリス。それはアイラに怒られたときのこと。

訓練訓練ばかりでつまらないと駄々をこねた彼女に、我侭を言うなとキツイ拳骨を落された。

本当にタンコブでも出来てるんじゃないかというほどの音を響かせ、目先に一瞬星が見えた。

そして痛みを認識するや否や、大声を出してシェリスは泣き出してしまったのだ。

 

「もう、たかが我侭言ったくらいで殴るアイラが悪いんじゃない! そんなときくらい素直に謝ったらどうなの!?」

 

「はっ、なんでアタシが謝らなくちゃいけないんだい。そもそも、アタシにそんなこと言ったらこうなることぐらい目に見えてることだろ」

 

「そんなことシェリスが学習してるわけないじゃない!! ただでさえちょっと馬鹿なところが先立ってるんだから!!」

 

怒られたときに必ず庇護してくれるのが姉のリース。だけど言ってることには何気に毒が入る。

それでも姉が庇ってくれること事態が嬉しいシェリスは、アイラよりもやはりそちらに懐いていた。

だからこのときも真っ先にリースの後ろに隠れ、泣きながら怖いものでも見るようにアイラを見ていた。

 

「だいたい、私から見ても最近訓練がキツ過ぎるよ! 朝起きてご飯食べたら訓練、昼が来てご飯食べたら訓練……そんなのじゃ不満くらい出るよ!!」

 

「その程度、いっぱしの魔導師になろうと思ったら当然のことだよ。つまり、不満が出るのはアンタらの気構えがなってないってことさね」

 

「歳を考えてよね!! そりゃ色気も何もない肉体派のアイラには簡単なことだろうけど、私たちは八歳って言うまだまだ可愛らしい女の子なんだからね!!」

 

「可愛らしいて、自分で言うことじゃないだろ……ていうか、ちょっとそこに直れリース。言うに事欠いて色気のない肉体派って何さね……」

 

訓練室にて怒涛の如く響き渡る口論は続く。ちなみに、アイラにここまで言えるのはリースだけだ。

父親であるジェドの場合は口論になる前に鉄拳がお見舞いされ、気絶してしまうという事態になる。

だけどさすがにアイラも分別くらいつくのか、リースにはそんなことはしない。悪いことをしたら拳骨は飛ぶが。

 

「ああもう、アイラの分からず屋!! もういいもん……シェリス、やっちゃえ!!」

 

「う、うん……アリウス、お願い」

 

PandoraBox

 

全然分かってくれないアイラにリースも堪忍袋の尾が切れ、シェリスに短く告げる。

するといつの間にか泣き止んでいたシェリスは展開していたデバイスにて、魔法を行使する。

それはこのとき、シェリスが唯一上手く扱えた魔法。対象を障壁内に閉じ込める変わった拘束魔法。

発動にはいろいろと条件があるが、このときは全て揃っていたために使用も容易にできた。

 

「んなっ――――!?」

 

突然のこと故、アイラでもそれは避けられるものではなかった。

そのため簡単に障壁内へと捕まり、アイラの背に合わせた蒼い箱に閉じ込められてしまう。

その内よりドンドンと内部を叩く音が響き、凄まじいほどの怒りを込めた怒声が響き渡る。

だけどリースは当然の如くそれを無視し、どうせ出られまいとゆっくりと出入り口方面へと歩き出す。

しかし、歩き出した足は数歩進んだところで止まり、同時にシェリスのほうへと半身だけ振り向いた。

 

「いこ、シェリス!」

 

ニコッと笑顔を向けて差し出される右手。自分と同じで、まだまだ小さな手。

そんな手をシェリスは同じく笑顔で自身の右手を重ね、二人は手を繋いだまま歩き出す。

 

それはずっと昔の記憶だけど、今でもシェリスは憶えている。

繋いだ手から伝わる姉の温もりを。いつも自分を守ってくれた姉の優しさを。

父も、少し怖いけどアイラも好きだけど……同じくらい姉のことが大好きだったから。

だからこそ、これは彼女のとって――――

 

 

 

――とても、幸せだったときの夢なのだろう……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

時を戻して場所を変え、とある世界に聳える森の上空。

その場所にてなのはとアイラは、守護騎士の一人であるヴィータと対峙していた。

しかし、鉄槌を手に持つヴィータとは違い、なのははデバイスを展開してはいなかった。

隣にいるアイラも凄まじく不本意な顔をしつつも、同じくデバイスを展開せずに頭の後ろで腕を組んで傍観中。

これは出撃前に言っていた説得の意味。ヴィータと話し合い、手を取り合えないかと説得するためのもの。

だが、ヴィータからしたら武器を手に持たないことに更なる不信感を抱いてしまうのはしょうがないことだった。

 

「ねえ、ヴィータちゃん……お話、聞かせてもらえないかな? もしかしたら手を取り合える方法があるかもしれないし……」

 

「んなもんあるわけねえだろ! そもそも、管理局の人間の言うことなんか信じられっか!!」

 

「私は管理局の人じゃないよ……ただの民間協力者。だから、本当に話し合いで解決したいと思ってるの」

 

民間協力者……その単語に、ヴィータの意思は僅かに揺らいだ。

管理局の人間でないというのであれば、確かにその言葉は信用できるかもしれないと。

しかし、その揺らぎはすぐに振り払われる。なぜなら、民間協力者といっても、管理局と組んでいることに変わりはないから。

だからやはり信用など出来ないと切り捨て、頭の中で別のことを考え始める。

 

(一人は蒐集出来るけど、どちらも相手にするのはアタシだけじゃキツイ……なら――)

 

「ぶっ潰すのは、また今度だ!!」

 

思考の続きを口に出し、ヴィータはデバイスを持っていないほうの手を前に掲げる。

それと同時に足元に魔法陣が展開され、光の輪が取り巻く光球を手の先に顕現する。

明らかな魔法の使用。それ故にアイラはすぐさま迎撃の態勢に移れるように警戒をし出す。

しかし、それはアイラが思うような攻撃系の魔法では断じてなかった。

 

《Eisengeheul》

 

それを示すかのように、音声と共にヴィータは光球へとデバイスを叩きつける。

途端、凄まじいほどの閃光が彼女を中心として巻き起こり、二人の視界を容易に奪う。

そのことを利用してヴィータは来た道とは反対の方向へと飛び、二人から大幅に距離を取る。

 

「あ〜らら、まさか逃げるとは思わなかったねぇ……どうするよ、なのは?」

 

「…………」

 

アイラの問いかけに答えず、なのはは自身の手にある赤い宝玉を見やる。

するとその視線に答えるようにデバイスからの短い声が響き、それに彼女は声に出して頷く。

そして頷いた瞬間、杖を顕現して砲撃モードへと切り替え、ヴィータのいる方向へと向ける。

 

「あ、なるほど……聞かせてもらえないなら意地でもってわけかい」

 

「はい……本当は撃ちたくないけど、そうでもしないと聞かせてもらえないなら」

 

砲撃魔導師であるなのはならば、そのヴィータとの距離はあってないようなもの。

加えてヴィータは逃げようとしているためか、止まった位置にて転送魔法を行使中。

だから避けられない。行使し始めた魔法を解除するよりも、砲撃を撃つほうが速いから。

 

――ガチャン!

 

向けられた砲身付近から弾丸の装填音が響き、先端に魔力が集束する。

その魔力と向けられる砲身をヴィータは遠距離ながらも視認し、驚きを露にする。

どう考えてもこの距離では当たるわけがない。なのに、アイツはこの距離で撃つ気なのか。

まさかとは思いながらもその光景からは焦りが生まれ、術式構成も僅かに遅れが走る。

 

「ディバイン――――バスターーー!!!」

 

発射の宣言と共に先端に集束した魔力が解き放たれ、桜色の砲撃がヴィータを襲う。

その光景に再び驚きを浮かべるも、術式構成中故に身動きが取れず、焦りが大きくなる。

そして、結果として避けることなど出来ず――――

 

 

――砲撃は着弾した途端、爆発と煙を生じさせた。

 

 

煙がヴィータを隠すように巻き上がる光景を、なのはは静かに見やる。

そして同時に今更ながらに思う。少しやりすぎてしまったかな、と……。

 

「うっわ〜……何気に容赦ないねぇ、なのはは」

 

「あう……」

 

アイラにまで指摘され、なのはは反省するように頭を垂れる。

しかし、肝心のヴィータが心配になり、すぐに頭を上げて我先にと駆け出そうとした。

だけど、駆け出す前に晴れた煙の先にあった光景に、なのははその足を止めることになった。

あれだけの砲撃を放ったにも関わらず無傷のヴィータの姿。そして――――

 

 

――同じく無傷で、ヴィータを守るように障壁を展開する仮面の男の姿。

 

 

見た感じ、ヴィータが無傷なのは仮面の男が砲撃の盾になったというのは明白。

しかし、あれだけの砲撃が直撃したのに、無傷で佇むその男には驚きを示す他ない。

そんななのはとアイラに男は視線を向けながらも、ヴィータへと静かに告げる。

 

「…………行け。闇の書を完成させるのだ……」

 

驚いていたのはヴィータとて同じなのだが、男の意図を汲み取って再び転送魔法を行使する。

それに対して、なのはは止めようと再びデバイスを構え、アイラもデバイスを展開して突っ込もうとする。

しかし、二人のその行動は凄まじいほどの速度で行使されたバインドによって阻止されることとなった。

この距離、しかもこの構成速度……普通の魔導師に出来うる芸当では毛頭無い。

だからこそなのはは驚きを露にしつつ、すぐさまバインドブレイクを掛けようと試みる。

 

(このバインド……くそっ、そういうことか)

 

同じくアイラもバインドブレイクを行使するが、考えることはなのはとは別のこと。

それは今自身らを拘束しているバインドが、以前見たことがあるものだということだった。

いや、正確に言うなれば見たことがあるではなく、掛けられたことがあると言ったほうが正しい。

それ故にアイラはこんな芸当が出来る奴の心当たりを頭に浮かべ、それと同時にバインドを解除する。

 

――しかし、二人が解除したときにはヴィータの姿も、仮面の男の姿もなかった。

 

バインドブレイクと思考に意識を向けすぎていた故のこと。

それになのはも落胆の色を見せるが、アイラに関しては別のことでもそれが見えた。

 

(変わってないと思ってたけど、どうしようもない部分で変わってやがったんだな……ジジイ)

 

それはこの闇の書に纏わる事件、その背後にいる人物に対しての落胆。

久しぶりに会ったときは変わってないと言った。だけど、実際は大きく変わっていたのだと認識されられた。

だからアイラは落胆するしかなかった……まさか、その人物がこんなことをするとは思わなかったから。

 

「あ、あの……アイラ、さん?」

 

「ん、あ、ああ……どうしたんだい、なのは?」

 

「えっと、ちょっとだけ怖い顔してたから……その……」

 

落胆を納めたなのはに声を掛けられ、アイラは我に返った。

そして続けて言われたことに少しだけ驚くもすぐに表情を変え、笑みを見せてなんでもないと告げる。

さすがになのはもなんでもないようには見えなかったのか、表情では納得した様子はなかった。

しかし、聞いてもいいものかという迷い故に、結果としては聞くことをせずに納得したように頷くしかなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

幸せだったときの過去は、今となっては所詮夢でしか見れない。

少し厳しいが姉と慕うアイラも、優しい笑顔を向けてくれた実の姉であるリースも、今では夢でしかない。

でも、シェリスにとってそんな夢を見ることは苦痛じゃなかった。なぜなら、見ているときだけは幸せになれたから。

夢から覚めて現実に戻り、酷い寂しさに襲われようとも、見ているときだけは心が満たされていたから。

 

 

 

「好き嫌いはしちゃ駄目だよ、シェリス。ちゃんと全部食べないと、アイラにまた怒られちゃうぞ?」

 

「うにゅ……でも、嫌いなものは嫌いだもん」

 

「もう、しょうがないなぁ……ほら、これと一緒なら食べられるでしょ?」

 

食事のとき……好き嫌いの激しいシェリスに苦笑しながらも、リースはそう言っていつも食べさせてくれた。

我侭を言って怒るアイラとは違い、リースは彼女が我侭を言っても決して怒ることはなかった。

呆れるようなことでも、他の人なら苛立つことでも、最後までシェリスの我侭に付き合ってくれた。

 

 

「……っ……ひっく……ひっく……」

 

「あちゃ〜……またお父さんの機具を壊したちゃったかぁ。だから無闇に構っちゃ駄目って言ったのに」

 

「ふえ……ふええぇぇぇぇん!!」

 

「ああ、な、泣かないで、シェリス! ほら、お姉ちゃんが一緒に謝ってあげるから……ね?」

 

父の道具を壊してしまったとき……怒られることが怖くて泣くしかなかったシェリスをあやし、いつも一緒に謝ってくれた。

本当ならそこまでする必要なんてないのに、アイラなら素で泣くなと拳骨をして終わるのに。

リースだけは泣かないでと慰め続け、いつもいつも自分は関係ないのに一緒になって謝ってくれた。

 

 

「ねえ、お姉ちゃん……一緒に、寝てもいい?」

 

「ん……お父さんのところじゃなくてもいいの?」

 

「お父さんは……今日はずっと起きてるって言ってた」

 

「そっか……じゃあほら、おいで」

 

夜が来ても眠れなかったとき……枕を抱えてやってきたシェリスをリースは決して拒まなかった。

もぞもぞと布団の中に潜り込んでくる彼女を抱き寄せ、眠りへと落ちていくまでずっと頭を撫でてくれる。

それは父も同じくしてくれることではあるけれど、リースからされるのは父とはまた別の温かみがあった。

 

 

 

全てが過去の記憶。優しい姉が共にいてくれたときの、幸福だと感じていたときの夢。

怒ることが無くて、いつも一緒にいてくれて、人一倍優しかった大好きな姉との記憶。

これは今では夢でしか味わえない幸せ。だから、シェリスはこの夢を見るとそのときと同様に満たされる。

 

 

 

――だけど、夢には必ず終わりが来る。

 

 

 

「ん……」

 

幸せな夢から覚めた彼女の目元は、薄っすらと涙で濡れていた。

それは分かっているからこそ流れた涙。現実を理解しているからこそ零れた涙。

姉が自分の元から去り、再び出会ったときには優しい声を掛けてくれることはなかった。

その事実が頭に残るから夢を見ても理解してしまう。夢は所詮、夢でしかないのだということを。

自分たちから去ってしまった日から、続くと思っていた幸せの日々が崩れたのだということを。

だけど、シェリスはそれを悲しいと思いながらも、涙で濡れた目元を拭い、そしてニコッと笑う。

 

――笑っているシェリスが、お姉ちゃんは好きだな

 

一度だけ言われたことのあるリースからのその言葉があるから、彼女は笑みを絶やさない。

怒られて泣いてしまうときがあっても、悲しくて沈んでしまうときも、最後には笑みを浮かべる。

そうすることでリースも笑ってくれていたから。だから、きっとこうすればまた彼女が笑ってくれるから。

それを信じてシェリスは笑う……大好きな姉が、また自分に微笑みかけてくれることを信じて。

 

「じゃあ、そろそろ行こっかな」

 

そう呟いて彼女は立ち上がろうとし、そして同時に気づいた。

自分の手が誰かに掴まれていることを。その手から伝わってくる温もりを。

それに気づき、シェリスがそちらへと視線を向けると……

 

「……ん……」

 

そこには、はやてがいた。車椅子をベッドに向けて、上半身を倒す形で眠る彼女が。

そして彼女の手はシェリスの手を握っている。強く握るわけでもなく、ただ重ねるように優しく。

そこから感じる温もりはどこかリースに似ている。だから、手を退けることが少しだけ惜しかった。

だけど、それでも自分は行かなければならないから、名残惜しくも彼女ははやての手を起こさないように解く。

 

「またね……はやてお姉ちゃん」

 

起こすことの無いように呟き、シェリスは玄関の方面へと歩んでいく。

蒐集により失われた魔力はまだ完全に戻ったわけではない。しかし、それでも彼女は休むわけにはいかない。

リースやアイラを連れ戻すこと……ただ、それだけの願いを叶えたいから。

全ては――――

 

 

 

 

 

――幸せな時間を、取り戻したい故に……

 

 


あとがき

 

 

シェリスの願いは姉とアイラがいるときを取り戻すことなのだよ。

【咲】 でもさ、守護騎士の手助けはそれとは関係なくない?

いや、彼女らといたほうがリースやアイラとの遭遇率が高いことはシェリスも知ってるんだよ。

加えて、蒐集行為のことや闇の書のことはジェドから聞いてるから、友達を手助けしたいという思いもある。

【咲】 ふ〜ん……じゃあ、リースとアイラを連れ戻す延長で彼女たちの手助けをしてるってことね。

そういうことになる。まあ、だからといって手助けに手を抜くことはないがね。

【咲】 初めての友達だから?

うむ。

【咲】 なるほどねぇ……にしても、シェリスのリースへの想いは結構強いのね。

そりゃねぇ……実の姉ですもん。なまじ過去ではシェリスに甘かったしね、リースは。

【咲】 でも、姿が変わったのに姉だと言い続けられるのも凄いわよね。

それほど慕う気持ちが強いんだよ。姿形は変わっても、優しい姉に変わりはないってね。

【咲】 ふぅん……ま、総じて言うと、シェリスはリースが大好きってことよね。

そういうことだ。まあ、怒られた記憶が多くともアイラも好きに変わりはないから、二人とも連れ戻そうと奮闘するわけだな。

【咲】 それが結果として間違えた手段を取らせているわけだけどね。

しょうがないよ。彼女は物事の善悪の区別がつけられないから、連れ戻せればいいとだけしか考えてない。

【咲】 そこが困りモノよね。

そうだな。想いも強いから説得にも応じ難いしね。

【咲】 ま、今後の展開でどうなっていくのかが見物ね。

だな。では、今回はこの辺にて!!

【咲】 また次回も見てくださいね♪

では〜ノシ




やっぱりアイラは仮面の男を見て、何かを察したみたいだな。
美姫 「みたいね。そこの所がとっても気になるわね」
ああ。アイラは果たしてその事を言うのか、言わないのか。
美姫 「今後の展開が待ち遠しいわね」
うんうん。次回も待っています。
美姫 「待ってますね〜」



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