三日後の放課後、なのはとフェイト、そしてアリサとすずかの四人は商店街を歩いていた。

歩きつつ四人の手に握られてるのは携帯電話。なのはたちはともかく、フェイトは初めて持つもの。

そもそも少し前はこういったものに興味を示す暇などなかった……だけど、三人と関わってそれが変わった。

友達との連絡手段、共通の話題と成りえるもの。それを欲しいと話を聞いたときに少しだけ思った。

そのことを家に帰った後にリンディに話したところ、彼女は二言返事で購入を了承したのだ。

そして現在、リンディに購入してもらい、管理局へ向かう彼女と分かれて歩くこと現在に至る。

 

「にしても、いいデザインのを選んだわよね、フェイト」

 

「うんうん。オマケに性能もいいし使い勝手も抜群だし、いい買い物が出来たよね」

 

三人して言ってくることにフェイトは少しだけ照れたような笑みを浮かべて携帯を弄る。

初めて持つものだから少しだけぎこちなく、だけどとても嬉しそうにずっと構い続ける。

そんな様子をなのはは笑顔を向けつつ、内心では少しだけ安心するように安著の息をつく。

昨日の一件にてアイラに言われたこと……それに今日のこの話題が出るまではフェイトも落ち込んだ様子だった。

そして悩み続けていた。『人』じゃないと言うのなら、『人』と呼ぶのに必要な条件とは何かについてを。

しかし質問した本人も言っていた通り、これはフェイトぐらいな年頃の少女が安易に浮かぶような内容ではない。

そうでなくとも今日はアイラと約束した日……遅くとも恭也と模擬戦をすると約束した時間までに答えを出さなければならない。

だからこそ彼女は頭を捻らせて悩み続ける。そしてなのはもそれを見ているしか出来なかった。

だがまあ、今回の携帯購入のことで多少の気分転換になったのではないか……そう考えることで少しは安心できた。

 

「ってフェイトちゃん、前っ!」

 

「え、きゃっ!」

 

なのはが叫んだ途端、フェイトは対面から向かってくるスーツ姿の男性とぶつかってしまった。

路上で熱中しすぎたための前方不注意なため、仕方ないと言えば仕方がない事態。

しかしその仕方ない事態でフェイト自身は倒れなかったものの、あろうことか携帯が手から離れてしまう。

折角買ってもらった携帯が早くも傷物になってしまう……そのことが瞬時に頭に浮かび、慌てて手を伸ばす。

だけどぶつかった体勢からは受け止めることが出来ず、スロー再生のように落ちていく携帯を見ているしか出来ない。

 

「よっ、と……」

 

しかし、誰もの目から地面に落ちるかに見えた携帯はぶつかった男性によってキャッチされた。

フェイトと同じく不安定な体勢だったというのに、反射神経等が並外れていると見ても不思議ではない。

そんな行動を呆然と見る中で彼は携帯を掴んだことを一目見て確認し、フェイトへと笑みと共に差し出す。

それをフェイトが呆然としたまま受け取ると、男性は笑みを少しだけ申し訳なさそうなものへと変えて軽く頭を下げる。

 

「すみませんでした。私の不注意でぶつかるようなことになってしまって……」

 

「あ、いえ、私が前を見ていなかったのが悪いんですし……その、お気になさらずに」

 

「そう言っていただけると助かります……って、あれ?」

 

律儀にもう一度頭を下げた後、男性は自身の胸ポケットの辺りを触り始める。

続けて何やら焦るような仕草をし始め、後にしゃがんで自分の足元周りで何かを探し始める。

 

「あの……もしかして探し物って、これですか?」

 

フェイトの隣にいたなのはがそう言って差し出すのは、小さな鎖に繋がれたロケット。

それはフェイトが男性から携帯を受け取るとき地面に落ちていることに気づき、なのはが拾った物。

そのロケットを見るや否や、男性は何やら凄い勢いで受け取り、慌ててお礼を口にした。

男性のそんな様子になのはやフェイト、アリサやすずかも揃って苦笑する。

先ほどの反射神経を見る限り凄い人なのかなと思ったが、結構抜けてるところもある……そんなことを思いながら。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

魔法少女リリカルなのはB.N

 

【第一章】第十七話 導き出した彼女の答え

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから少しして、なのはとフェイトは先ほど出会った男性と喫茶店でお茶をしていた。

先ほどのお礼ということなのでアリサとすずかも当然誘われたが、バイオリンのレッスンがあるため二人だけ。

もちろん奢られるほど大層なことをしたわけでもないので断ろうとはしたが、男性がどうしてもと言ったために折れた。

そんなわけで現在、近くの喫茶店にて机を挟んで対面に座りながらお茶をしているというわけだ。

 

「ふむふむ……つまりお二人は聖祥大付属小学校というところの学生さん、というわけですか」

 

「はい。もっとも、私は少し前に留学してきたばかりなんですけど……」

 

「留学というと、お嬢さんも異国の方だったりするんですか?」

 

「も、ってことは…………えっと」

 

「ああ、申し遅れてました。私はアルヴィン・マルサスといいます」

 

「あ、私はフェイト・テスタロッサといいます。それでこっちが友達の高町なのはです」

 

三人揃って少しばかり遅い自己紹介をし、互いに頭を下げあう。

そして頭を上げた後、先ほど言い掛けた疑問をフェイトは改めて口にした。

 

「それで話を戻すんですけど……アルヴィンさんも、もしかして外国の人なんですか?」

 

「ええ、その通りです。出身はイギリスなんですが、出張ということで二年ほど前から日本に滞在しています」

 

その言葉で二人は納得する。そもそも、着ている服でそんな所だろうと推測はしていた。

というより、上下黒いスーツ姿で営業用っぽい鞄を持っている時点でだいたいそう思うだろう。

そしてイギリス人なのに日本語が達者なのも、滞在してから二年だということで納得できる。

 

「じゃあさっきのペンダントって、もしかしてあっちに残してきた家族とかの写真が入ってたりするんですか?」

 

「ええ、妹の写真です。もっとも、私とその子は血が繋がっていないのですけどね」

 

義理の兄妹……アルヴィンの言っているのはそういうことだ。

だけど語る彼の表情は複雑な感情というものは一切なく、どこか妹を誇るような表情。

血は繋がっていなくとも妹のことをどれほど愛しているのか。それがとてもよく分かるものだった。

だがそんな表情もしばしの後に消え、何を思ったのか少しだけ首を傾げながら口を開く。

 

「ところでフェイトさん……少し浮かない顔を先ほどからされていますけど、何かあったのですか?」

 

「え? あ、いえ……」

 

特にそんな顔をしていた覚えはないが、知らぬ内に浮かべていたのだろう。

アルヴィンの言葉にそう思い、フェイトは戸惑い混じりの曖昧な返事を返してから僅かに俯いた。

そして内心では悩む。この件について、彼に相談してもいいものかどうかについて。

詳細を詳しく話さなくとも、相談するだけなら別段問題とするようなことはない。

しかし、アイラが言っていたのは自分なりの答え……なのに、人に頼っていいのかという考えも浮かぶ。

 

《相談してみたらどうかな、フェイトちゃん。事件のことそのものは話さなくてもいいんだし、もしかしたら良い答えをくれるかもしれないよ?》

 

悩んでいることが分かったのか、なのはからも念話にて後押しが成される。

確かに良い答えを貰える可能性はある。そうでなくとも少なくとも参考になる可能性は高い。

加えて時間もあまりないときている……だったら、自分なりの答えと意地を張るよりもそちらほうがいい。

なのはの助言でそういう結論へと達し、フェイトは意を決して彼に今悩んでいることについて話した。

名目は無難なところで学校の宿題。自分なりに考え付く答えを明日発表しなければならないというもの。

少しだけ無理があるところは否めないが、それでも彼は信じたのか軽く頷きつつ小さく呟く。

 

「なるほど……それはまた、難しい宿題を出されたものですねぇ」

 

呟きと共にアルヴィンは目の前のカップを手に取り、コーヒーで喉を潤す。

そして僅かな音を立ててカップを置きなおすと、フェイトの目をしっかり見つつ再度口を開いた。

 

「私なりの答えになりますが……人と定義するのに重要なものは、感情だと思います」

 

「感情、ですか……?」

 

「ええ。笑ったり、怒ったり、悲しんだり……それは人以外の動物でも見られるものではありますが、意図して出来るのは人だけだと思います。相手のこういった部分が可哀想だから悲しむ、こういった部分が苛立つから怒る、共感できる部分があるから笑い合える……それらは頭で多少なりと思考しないと出来ない表現です。動物はこの表現を本能ですることが主ですから、少なくとも私が知る限り考えて感情表現が出来るのは人間だけだと解釈しています」

 

語る彼の言葉を聞きながら、フェイトは隣に座るなのはへと僅かに目を向ける。

そして思うのは、PT事件での彼女との出会い。必死に自身と和解しようとしていた彼女の姿。

そのときも彼が告げたとおり、彼女はフェイトのことを考えて笑ったり怒ったり、悲しんだりしてくれた。

それはなのはが自分よりも人だと言える子だから……彼の説明はつまり、そういうことだろうと解釈した。

だからこそか、フェイトは彼の語る答えに共感できる。確かにそうなのではないかと納得できる。

 

「あ……」

 

納得できたと同時に彼女は思い至ることができた。アイラが告げた質問の答えが。

アルヴィンの語ること、自分と出会ったときのなのは……この二つが結びついて浮かんだ、人を定義するもの。

それは多くの人が思うことではあるけれど、自分にとっては一番納得することができる答え。

だからこそフェイトはその答えこそがそうだと確信し、なのはに向けていた目を正面へと戻した。

 

「まあ、先ほども言いました通りこれはあくまで私の見解……他の方が思っているものとは異なる可能性は多々ありますけどね」

 

「いえ……とても参考になりました。ありがとうございます、アルヴィンさん」

 

「いえいえ、お役に立てたのなら何よりです」

 

苦笑しながらフェイトにそう返し、彼はもう一度カップを手に取って中身を飲み干す。

飲み干し終えた後、右腕にある腕時計へと視線を向け、用があるからそろそろ出ようと切り出す。

それになのはもフェイトも断る理由もなく小さく頷くことで同意し、揃って店を出て一言二言交わしてから彼と別れた。

喫茶店の入り口付近から去っていくアルヴィンの後姿を見送り、見えなくなってから二人は帰路を歩き始める。

そしてその間、フェイトは先ほどと同様に僅かな視線をなのはに向け、今度は彼女もその視線に気づいて首を傾げる。

 

「どうかしたの、フェイトちゃん?」

 

「……ううん、なんでもないよ、なのは」

 

微笑と共にそう返され、なのははやはり首を傾げながらも追求はしなかった。

そんな彼女にフェイトはもう一度微笑を浮かべ、先ほどまでよりもどこか晴れやかな表情で前を向く。

そうして二人は商店街を歩いていき、帰路を家へと向けて進んでいくのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

少女たちと別れたスーツ姿の男――アルヴィンは商店街を歩き進んでいく。

口元に僅かな笑みを浮かべながら、周りよりもゆっくりゆっくりとした歩調で進む。

 

「……ん?」

 

歩き続ける中で彼はどこからか自分に向けられる視線を感じ取った。

この場で誰かが自分に注目するなどないはず……だから、彼は首を傾げて視線の先を見渡す。

予想通りそこを歩く人々で自分を見ている者はいない。だけど感じる視線は全く消えることがない。

一体誰が自分を見ているのか……それに再度首を傾げかけるが、その行動は途中で止まる。

 

「ああ、なるほど……」

 

その視線が誰がどこから向けているのか。それにようやく彼は気づいた。

それは感じたとおり彼の向けている目の先。しかし道を歩く人々の中にいるわけではない。

向けられている視線の人物がいるのは、建物と建物の隙間……その奥からであった。

そして同時に、こんな人目に付かないような行動を取るのはおおよそ予想が出来ることでもあった。

だから彼は警戒を一切することなく、道行く人の目が自分にないのを確認して隙間に入り、進んでいく。

 

《…………》

 

少し進むとすぐに行き止まりへと辿り着く。そしてそこにはやはり一人の少女がいた。

暗がりなのに映える橙色の髪と緑色の瞳をした、酷く見覚えのある少女の姿が。

その少女の姿を目に映すや否や彼は嬉しそうな笑みを浮かべて歩み寄り、声を掛ける。

 

「こんにちは、カルラ。こんなところで一体何をしてるのですか?」

 

《アルに、あなたを連れ戻してきてって頼まれた……》

 

「彼女に? さてはて……特に呼び出しを受けるようなことをした覚えはないのですけど」

 

本当に分からないというように首を傾げ、彼は呼び出しの理由を考える。

だけどやはり心当たりがないために考えが浮かばず、今度は小さく唸り始めた。

それを見たカルラは僅かばかり溜息をつき、彼が疑問に思っていることの答えを口にする。

 

《勝手な判断で単独行動に出たからって、アルは言ってたよ……?》

 

「あ、ああ、そういうことですか。ですが確か、私はヒルデに言伝を残したはずなのですが……」

 

《ヒルデに言伝を頼んだのが間違い。彼女は事実を大きくして伝えるし……しかも、無意識で》

 

アルヴィンは彼女の告げたことにしばし呆然とし、後に一筋の汗を流して乾いた笑いを浮かべる。

彼女の言うとおり彼は忘れていたのだが、彼が言伝を頼んだ人物は事実を大きくしてしまうことがざら。

しかも直そうとさせても自覚がないので直せず、結果的には誰もが伝言を頼もうとなどしない人物。

忘れていたとはいえそんな人物に言伝を頼んだ時点で、どんな感じに肥大化して伝わったかが目に見えて取れた。

だからこそ呼び出しのためにカルラを寄越した人物がどれほど怒っているかも想像がつき、もう笑うしかないのだ。

 

「あははは……な、なんとかなりませんかね?」

 

《自分で事情をきちんと話せば大丈夫だと思うけど……そもそも、なんで彼女たちと接触したの?》

 

「いや、ちょっと興味があったものですから。『剣』と行動を共にする子たちが普段はどんな感じなのかが」

 

《じゃあ、デバイスを持ち出した理由は?》

 

「護身用ですよ。使うことはないだろうと踏んではいましたが、さすがに問題があっては困りますので」

 

前者のは少し考え物だが、返ってくる理由のほとんどは大体真面目なもの。

加えて彼が保身のために嘘を言っているようにも見えず、カルラを納得させるには十分だった。

 

《それなら、大丈夫かな。拳骨一つくらいは飛ぶかもしれないけど、大きなことにはならないと思う》

 

「それでも拳骨は確定なのですね……」

 

《それはまあ……アルの性格を考えたら仕方の無いこと》

 

「はぁ…………彼女の拳骨は痛いので勘弁願いたいのですけどねぇ」

 

《理由はどうあれ勝手な行動をした貴方が悪いんだから、そこは我慢して……じゃ、戻るよ》

 

がっくりと項垂れる彼にカルラはそう言い、転移魔法を展開する。

魔法陣が二人の足元に展開され、魔力の光が暗がりな場を僅かに照らす。

そして照らされた場に再び暗さが戻ったとき、彼らの姿はその場から消え去っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「こぉんの、バカタレがぁぁぁぁぁ!!!」

 

広めの室内に響く凄まじい怒声、そして拳を頬に叩きつけられたアルヴィンが吹き飛んで壁に音。

ちゃんと吹き飛ぶ進路を見極めて殴ったためか、進行上でぶつかって壊れるものはない。

しかし、その二つだけでも十分過ぎるほど煩く、隅のほうにあるソファーに座っていた少女が顔を顰める。

 

「……もうちょっと静かに出来ないのかしらね」

 

「アルなんですから無理に決まってるじゃないですか〜♪ ていうか早く遊んでくださいよ〜、暇なんですよ〜」

 

「そんなの知りませんわよ……って、どさくさ紛れにどこ触ってるのよ!!」

 

隣に座るヒルデとキャンキャン喚く少女。こちらもこちらで十分騒々しかった。

しかしまあこちらの少女と違い、もう一方のほうは気にすることなく自分らの話題に入っていた。

片や真面目なお話、片や真面目とは言い難いお話(というか喧嘩)……異様であると言うしかない光景だった。

 

「で、一体何でこんな身勝手極まりない行動に出たんスかねぇ、ライムント・リドレヴィクツさんや?」

 

「……名前全部とさん付け、それとその笑顔が非常に怒っているのが分かりますね」

 

「どうでもいい分析してるところを見るとまだ余裕がありそうスね……もう一発、いっとくっスか?」

 

「すみませんでした……」

 

拳を震わせる彼女にアルヴィン――ライムントは素直に土下座して謝る。

それに震わせていた拳を下ろし、僅かに溜息をついて後ろにある椅子にドカッと腰掛ける。

そして顔を上げた彼に視線で話すように告げ、彼はそれを合図としてカルラにしたのと同じ説明をした。

するとアドルファは納得したように頷き、彼から視線を外してソファー方面へと向けるが、溜息をついて戻す。

 

「勝手な判断ということに変わりはないスけど、そういうことならしょうがないスかね。ヒルデのあれは今に始まったことじゃないっスし……」

 

「それを簡単に信じたアナタもどうかと……いえ、何でもありません」

 

向けられた視線が非常に怖かったため、ライムントは言おうとした言葉を止める。

それに彼女は本日何度目になるかわからない溜息をつき、椅子の肘置きを指でコツコツ叩き始める。

 

「で、いつまでその顔をしてるつもりっスか? ウチとしてはさっさと戻して欲しいんスけど」

 

「おっと、直すのを忘れていましたか……いやはや、失敬失敬」

 

彼はそう言って立ち上がり、懐から一枚の丸い板を取り出す。

しかしよく見るとそれは仮面……何の装飾も特徴もない、真っ白な仮面だった。

取り出したそれを彼は自身の顔へと当て、取り付けるわけでもなくすぐに外した。

 

 

――すると、彼の顔は先ほどまでとは異なったものへと変化した。

 

 

目も先ほどまでより僅かに釣りあがり、鼻も少しだけ低く。

瞳の色も赤へと変化し、眉でさえも少しばかり細いものへと変化していた。

先ほどまでとは明らかに別人……普通の人が見れば、いつ入れ代わったかなどと思うだろう。

しかし、そこに立っているのは先ほどまでと変わらず、全くの同一人物であるとその場の誰もが知っている。

だから正面にいたアドルファも驚きを一切浮かべず、変わらぬ口調で口を開いた。

 

「いつもながら見事なものっスね、ライのその力は」

 

「まあ顔を変える程度しか出来ないのですけどね。私の能力など所詮そこが限界ですよ、ははは」

 

「謙遜は自分の二つ名を思い出してから言って欲しいものっスけどね、『偽装心理』のライムント殿?」

 

アドルファから返ってきた言葉にライムントは僅かばかりの苦笑を浮かべる。

しかし、そこでとあることに気づき、笑みを収めて彼女へとそれを尋ねた。

 

「そういえば……ギーゼの姿が見えませんねぇ。いつもならここでデバイスの点検でもしてるのに、一体どこへ?」

 

「ああ……ギーゼなら、例の守護騎士のところに行ったっスよ。だから今は不在っス」

 

「守護騎士というと、闇の書のですよね? 確か彼は彼女たちと関わるのに否定派だったと記憶しているのですけど……」

 

「しょうがないじゃないっスか…………だって、だって――」

 

 

 

 

 

「勝手に連絡取り合うどころか、また馬鹿な約束しちゃったんスから……博士が」

 

 


あとがき

 

 

まあ、見つかった答えが明かされるのは次回ということで。

【咲】 模擬戦後に聞くって言ってたからね、アイラが。

そういうこと。

【咲】 しかしまあ、意外にすんなりと答えが出たわね……。

ま、彼の言葉となのはとの一件を考えれば出てくる答えではあるからね。

【咲】 ふ〜ん……でもまあ、切っ掛けはあの人との話によるものよね?

だな。ま、その相談に乗ってくれた相手が実は敵だって知ったら、フェイトはどう思うかねぇ。

【咲】 かなり複雑じゃないかしらね。言ってること考えると悪い奴じゃないみたいだけど。

んにゃ、実際彼は結構邪悪思考な人だよ。本当の彼はね。

【咲】 本当の彼? どういう意味よ?

そこはまあ、秘密だな。

【咲】 秘密ばっかりねぇ……。

しょうがないやろ。話で出てないのにここで明かしたら意味ないし。

【咲】 それはそうだけどねぇ……でまあ、今回も謎の集団サイドがあったわけだけど、新しいのが数人出たわね?

ふむ、ヒルデとアドルファ、それとカルラは出てたから……ライムントとソファーに座ってた少女だな?

【咲】 そうそう。ライムントのほうはいいけど、少女のほうは名前とか出ないの?

今はまだ出ないな。そもそも、彼女はこの章で動くかどうかも分からん。

【咲】 曖昧なのに出したわけ?

まあ、こういうキャラもいるよってことだ。もしかしたらこの章内で出るかもしれんしな。

【咲】 そう……で、最後のほうでまた誰かが動いたみたいね。

ああ、ギーゼな。アドルファとよく話してた奴だけど、一応今度の戦いで出る予定だな。

【咲】 ふ〜ん。戦いに出るって事は誰かと戦うのよね? 一体誰と?

それはまあ、次回以降のお楽しみだ。ということで、今回はこの辺にて!!

【咲】 また次回会いましょうね〜♪

では〜ノシ




フェイトに助言したのは意外な人物だったな。
美姫 「予想外ね。しかも、独断行動の理由とかも明らかになったし」
しかし、今度は騎士たちと会うことになったみたいだけれど。
美姫 「果たして、どこまで説明されるのかしらね」
それによって、シグナムたちの行動も変わってくるんだろか。
美姫 「次回も待ってますね」
ではでは。



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