このSSには京香が出てきます。

ついでオールエンド後のお話です(関係あるかは微妙)

何かしらの違和感等が出てくる可能性があります(ていうか大?)

以上の点をご理解の上でお読みいただければ幸いです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

夜中の一時。

深夜と言ってもいいその時間、街ではほとんどの家が寝静まっているのか明かりは一つもない。

それはここ、高町家とて例外ではない。

いつもは少し騒がしいくらい活気のある高町家も深夜ともなればそれが嘘のように静かだった。

だが、そんな静かな高町家の廊下を足音一つ立てずに歩く人影があった。

 

「ふふふふふふ……」

 

それは高町家の問題児?兼自称恭也の双子の姉である京香だった。

京香は不気味な笑いを発しながらある場所へと目指す。

その場所とは……恭也の部屋。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

深夜の小遣い稼ぎ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

不気味な笑いを抑えようとしつつ京香は恭也の部屋を目指す。

そんな京香の手にはある物が握られていた。

そのあるものとは……デジカメ。

そんなものを持って深夜のそんな時間に恭也の部屋で何をするのか。

その答えはとても簡単だった。

 

「ばっちりとるわよ〜、恭也の寝顔」

 

ということである。

そもそもなぜ京香がそんなことをするのは先日の美由希とフィアッセの会話が原因だった。

何からそんな話題になったのか恭也の寝顔は可愛いだの人前では寝ないからほとんど見れないだのということを話していた。

そんな会話の中で不意に二人が言った言葉が京香のこの行動に繋がったのだ。

その言葉とは……

 

「恭也の寝顔を写真にでも撮れたらかなり貴重だよね〜」

 

「そうだね。 恭ちゃんに好意を持ってる人ならいくらなら譲ってくれるとか聞いてきそうだね」

 

というものであった。

このとき、京香はお菓子の買いすぎで小遣いがそこを尽きどうしようかと悩んでいた。

翠屋で働けばいいのだが元来めんどくさがりな京香に働くという文字は頭になかった。

そんなときこの二人の言葉を聞いたのだ。

これはいい資金稼ぎになると踏んだのかなのはにわざわざデジカメ借りて使い方を教わった。

そして現在に至るというわけである。

 

「抜き足、差し足、御神足……」

 

恭也の部屋が近くなり、京香はそう呟きながら部屋の前に近寄る。

しかし、抜き足、差し足はわかるが御神足ってなんだよ……。

 

「ついた……」

 

部屋の前に辿り着いた京香はデジカメを握り締め、いざと言わんばかりに戸に手をかけようとする。

が、手をかける前に戸は開かれた。

京香は突然戸が開かれたことに驚き、一歩後ろに後ずさる。

 

「何か用か?」

 

戸を開けたのは当然恭也である。

京香は恭也を見てなんで起きてるのと思いながら瞬時にデジカメを後ろに隠す。

 

「う、ううん、なんでもないよ」

 

「なにもないのに来たのか……わけのわからんやつだ」

 

「あ、あははははは……」

 

「まあいい……もう遅いからお前もさっさと寝ろ」

 

「う、うん…おやすみ〜」

 

そう言って京香は脱兎の如くその場を走り去った。

深夜に廊下を走るのはどうかと思うが、癖なのかそれでも足音を消していたので問題はないだろう。

 

「なんなんだ、まったく…」

 

逃げるように部屋へと帰っていった京香を見ながらそう呟く。

結局その日、京香は目的を果たすことはできなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次の日の深夜。

昨日と同じ時間に京香はまた恭也の部屋へ向けて廊下を歩いていた。

最初で諦めない辺り相当お金に困っているのだろう。

なら働けよ‥と思うがそこは京香だから仕方ないだろう。

と、そんなこんなでゆっくりと足音と気配を消して恭也の部屋に歩み寄っていく。

 

「抜き足、差し足、不破の足……」

 

どうでもいい疑問だが不破の足ってなんだよ……。

ていうか前は御神足じゃなかったか?

 

「ついた……」

 

ようやく部屋の前に辿り着くと小さな声でそう呟く。

 

「いざ……」

 

そう呟いて戸に手をかけようとする。

しかし、昨日と同じく手をかける前に戸は突然開かれた。

そこから現れた人物はもちろん…

 

「またか……」

 

部屋の主である恭也である。

恭也は突然戸が開いたことに驚きの表情を浮かべている京香に呆れ顔で言う。

 

「いったいなんのようだ、こんな夜中に…」

 

「え、えっと、ろ、六番鋼糸置き忘れてないかな〜って」

 

「六番鋼糸? いや、ないと思うぞ」

 

「そ、そう。 じゃ、じゃあ私の勘違いかな、あはははははは」

 

「そもそも今日俺の部屋に入ってないお前がそんなもの置き忘れるはずないだろ」

 

「そ、そうだよね〜」

 

「……何をそんなに動揺してるんだ?」

 

「ど、動揺なんかしてないよ?!」

 

「いや、してると思うが……まあいい。 それよりももう遅いからさっさと寝ろよ?」

 

「あ、うん! おやすみ〜!」

 

そう言うと昨日と同様に走り去っていく。

それを見て再度呆れ顔をして恭也は自室に戻り再び眠りにつくのだった。

こうして結局その日も目的は果たすことはできなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

さらに次の日の深夜。

懲りもせず京香またまた目的のため恭也の部屋に忍びこもうとしていた。

しかし、その日は今までと違っていた。

どこが違うのかといえば

 

「ふっふ〜、天井裏からなら見つかることもないわ……」

 

天井裏からの進入を試みてる辺りである。

 

「さて……恭也の部屋は、と」

 

恭也の部屋がある辺りに向けてまるで這うように前進する。

天井裏であるためにそんなことをすればかなり汚いのだが、もうなりふりかまってはいられないようだ。

服やら髪やらが汚れることなど気にもせず恭也の部屋を目指す。

 

「確か……この辺りね」

 

恭也の部屋のある場所まで来るとそう呟く。

 

「ふふふふ、こんなこともあろうかとこの辺の板を外せるようにしておいて正解だったわね」

 

これを聞いたら誰もが何をやってるんだあんたは……と思うだろう。

まあかなり非常識な性格をしている京香だからしょうがないということにしておこう。

京香は外せるようにしてある板に手をかけ外そうとする。

だが、その瞬間

 

「っ!?!?!」

 

外そうとした板に飛針が放たれ板に刺さる。

それにびっくりした京香は思わず板を手放し、またも脱兎の如く逃げ出した。

急いで逃げたためかどたどたと音を立てるが本人は気づいていない。

そして飛針を放った本人はと言うと……

 

「む……気配がしたんだが……鼠か? いや……鼠にしては音が大きいな」

 

と天井に潜んでいたものについて悩んでいた。

結局その日も目的達成ならずで夜が明けるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

そのさらに次の日の深夜。

もういい加減やめればいいのに京香は諦めずに恭也の部屋への侵入を試みる。

 

「ぜーーーーーーったい、恭也の寝顔を撮るんだから……」

 

半ばヤケになっているようだった。

 

「そもそも天井裏なんて場所から進入しようというのが間違いだったのよ……まったくだれよ、あんな手を考えたのは」

 

あんただ…あんた。

京香のその言葉を聞けば誰もがそう言いたくなるだろう。

 

「ま、ともかく……今日こそは」

 

ゆっくりゆっくりと歩み寄りながら呟く。

そして恭也の部屋の戸を至近距離に捉えるとさらにゆっくりとした足取りで歩み寄る。

 

「抜き足、差し足、誰の足?」

 

本人でもわからないらしい。

今気づいたが単に語呂がいいだけじゃないのだろうか。

まあ、そんなこんなで恭也の部屋の前に辿り着く。

 

「今日こそ……」

 

そう言って戸に手をかける。

今度は開かれることもなく手をかけることができた。

内心でよし!とガッツポーズしながら慎重に戸を開けていく。

 

「……」

 

覗き込むように部屋の中を見ると部屋の中央に布団が敷かれており中に人が入っているのか若干盛り上がっていた。

ただ、頭まで掛け布団を掛けているのか顔は確認できない。

だが、この部屋で寝ている人物と言えば恭也以外にはいない。

そう思い京香はゆっくりと布団に接近していく。

そして近くまで寄ると掛け布団に手を掛ける。

 

「ふふふふ、恭也〜……寝顔拝ませてもらうわよ〜」

 

そう呟いて掛け布団を慎重にのける。

だが……

 

「へ?」

 

そこにあったのは恭也の寝顔などではなく鍛錬用の装備などが詰まったバッグだった。

 

「な、なんで?!」

 

「それはおまえが来ることを見越して入れ替わっていたからだ……」

 

若干低めな声が後ろから聞こえ京香はピタッと固まる。

そしてギギギと音がしてもおかしくない感じで声のしたほうを振り向く。

振り向いた先にいたのは若干眉をひくつかせてる恭也だった。

 

「毎回毎回深夜にこそこそしてると思えば……そういうことか」

 

「え、え〜と……」

 

「そのカメラで俺の寝顔をとってどうするつもりだったのかな、姉よ……」

 

いつもは姉と思っていないのか恥ずかしいのかそうは呼ばない恭也が姉と呼ぶ。

それはけっこう怒っている証拠だった。

 

「ど、どうもしないよ?!」

 

「本当か……?」

 

「う、うん!」

 

そこで逃げていればよかったのかもしれない……まあ、逃げ切れないだろうが。

 

「きょ、恭也の寝顔を撮って「幻の寝顔」なんてつけて売りさばこうなんてこれっぽっちも思ってないよ?!」

 

美由希に若干似た所があるのか余計なことを喋るという癖がここに来て現れてしまった。

完全に言ってしまってからしまったとばかりに口を塞ぐ。

だが、時既に遅かった。

 

「ほぉ……そんなことを企んでいたのか」

 

「タ、タクランデナイヨ……?」

 

「そうかそうか……ふふふふ」

 

京香の言葉などすでに耳に入らないといった感じ呟きながら頷く。

そして危ない笑みを浮かべながら京香へと近づく。

京香は迫り来る恭也に冷や汗をたらたら流し、顔を青ざめさせ、ガタガタと震えていた。

そして……

 

「っ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!」

 

声にならない悲鳴が恭也の部屋から発せられることとなった。

その悲鳴が誰のものであるかは言うまでもないだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

次の日の朝、リビングにてボロ雑巾のようになった京香が鋼糸でぐるぐる巻きにされ放置されているのが発見された。

額には一枚の紙が張られておりそこには「お仕置き中、助けるべからず」と書かれていた。

誰がしたのかは一目瞭然であり、紙にそう書かれているためか誰も哀れみの視線を送るだけで助けようとはしなかった。

そしてさらに次の日の朝、お仕置きが終わった京香はお仕置きのため一日何も食べていない故にぐったりとしていたところを鍛錬へと引きずられていきたっぷりとしごかれるのだった。

 

 


あとがき

 

 

はい、毎度の如く被害者は京香ちゃんで〜す。

【咲】 自業自得だけどね。

そうだな。

【咲】 でも、いっつも京香が酷い目にあうのね。

そういうキャラですから。 真面目なときには真面目な人ってこと。

【咲】 そういえば前にもそんなこと言ってたわね。

ということでこんな感じになりました。

【咲】 短編書くのも二回目になるのね。

そうですね〜。 たまに浮かぶネタを書いてるだけなんだけどね〜。

【咲】 つまり長編のネタを考えずにそんなこと考えてるわけね……。

その通り!! ってしまった!!

【咲】 馬鹿者!!

はぶあっ!!

【咲】 ちゃんと長編のネタも考えなさいよね、まったく。

ぜ、善処します。

【咲】 はぁ……じゃ、今回はこの辺で♪。

また他の作品で会いましょう。では〜ノシ




例によって例の如く…。
美姫 「そういうお約束なのよ」
まあ、京香らしくて良いんじゃないかな。
美姫 「確かにね。短編二作目ありがとうございます」
ました〜。
美姫 「それじゃあ、今回はこの辺で」
ではでは。



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