『造られし存在の』の続編です。

設定としては、魔法少女リリカルなのはを基に、とらいあんぐるハートの設定と

オリジナルの設定を混ぜています。

それと私は剣道をやったことが無いので、

剣道の試合は明らかに間違っているところがあると思います、あらかじめご了承ください。

 

 

 

普段なら面、胴、などと威勢のよい声が響く剣道場

 

しかし今は、その中心で長身の男性と紫がかったピンク色の髪をしている女性が

防具をつけ対峙しているのみであり、

 

その周りにはこの二人の勝負を一目見ようと、多くの人が輪をなし

 

「どちらが勝つだろうか?」などと言うことをしきりに話していた。

 

 

やがて審判の合図とともに、二人の時間無制限一本勝負が始まる。

 

 

先に仕掛けたのは長身の男性の方だった。

 

大きく、気迫のある叫び声とともに

 

並の剣道選手では反応することさえできないであろう

 

踏み込みのスピードと圧倒的な威力をもって面を打ちにいく

 

しかし、その女性はいとも簡単にそれを受け止め、

 

鍔迫り合いを許す間もなく、

 

男性とは違い、静かに、しかし響く声で叫び、下がりながら面を打つ。

 

 

それに対し、男性は咄嗟に竹刀を上げることによって面を防ぎつつ、

 

女性が下がろうとするのにあわせて前に踏み込み、

 

その勢いのまま、空いた胴に一撃を入れようとする。

 

 

だが、それに気づいた女性はさらに下がることでその一撃を回避しつつ、

 

即座に前に踏み出し、

 

相手がそれによってバランスを崩したところに、面を打ちにいく。

 

普通なら間違いなく決まるであろう一撃、

 

しかし、男性はバランスを崩したままでありながら、直前に横に飛ぶことで

 

面を狙った一撃を肩で受け止めた。

 

 

二人は一度、距離を置き、お互いが隙を見せるのを窺う。

 

 

十秒以上がそのまま経過し、今度は女性の方が先に動く。

 

最初の男性の動きをなお上回る速度をもって踏み込み、

 

すさまじい速度の突きを放つ。

 

男性はかろうじてその突きを払いのけるが、

 

その直後、その反動を利用して繰り出された、女性の面打ちが見事に決まる。

 

剣道場に、観戦していた者たちの歓声が上がり。

 

三人の審判が全員、一本という判定をだし、勝負は女性の勝ちに終わった。

 

 

 

 

「さすが、この辺りで勝てる者がいないと言われているだけのことはありますね、

シグナムさん」

 

「そんなことはないさ、赤星、たまたま私の運がよかっただけだ」

 

試合の後、再びいつもの練習風景に戻った道場で、先ほど戦っていた赤星とシグナムが話をしていた。

 

シグナムは他の道場から他流試合ということで、他の数名と共に招かれており

 

この道場で1、2を争う腕を持つ赤星が対戦相手として選ばれたのだ。

 

「いえ、あなたは間違いなく手加減をしていましたよ」

 

シグナムが「そんなことはない」と言おうとするが、それを赤星が遮る。

 

「親友に、一人そういう奴がいるので分かるんですよ

あなたも古流剣術か何かをやっているのでしょ

だから、たとえ手加減したつもりが無くても

その技術を出していないならそれは手加減と同じです

どの道、実戦では勝てないのですから」

 

赤星が苦笑しながら言う。

 

「まあ、ある意味ではそうだな

だが、剣道と言う範囲では私は間違いなく本気を出していたさ

それに、実戦でも私が必ず勝てるとは限らないぞ

実戦では、諦めなければ、なにが起こるか分からないからな」

 

それを聞いた赤星は驚いた顔をして、シグナムの方を見る。

 

「ん、何か変なことを言ったか?」

 

「いえ、高町にも前に似たようなことを言われたことがあったもので」

 

「高町?」

 

シグナムは聞き覚えのある名前だったので思わず呟いた。

 

「高町恭也、さっき言っていた俺の親友で、古流剣術の使い手です」

 

シグナムが呟いたことを、突然知らない名前がでてきたためだと思った赤星が説明する。

 

「ひょっとして、なのは、と言う妹がいるか?」

 

シグナムは少し前に、はやてから聞いた、なのはが兄に負けたということを思い出し、尋ねる。

 

「いるけど、ひょっとして、なのはちゃんと知り合い?」

 

「まあ、そんなものだ」

 

まさか、敵対したことがあるとは言えず、言葉を濁す。

 

 

「やはり、その恭也という者は強いのか?」

 

しばらく間があいた後、シグナムがたずねた。

 

「ああ、俺なんかじゃ、歯が立たないくらい強い、

剣道の試合でも、十回に一回勝てるかどうかってレベルだし、

まして、剣術の試合じゃ、まだ一度も勝てたことがない

 

気になるんなら高町家に行ってみたらどうだ

あそこならちゃんとした道場もあるし、

たぶん、行けば向こうから試合をお願いさせられると思うぞ

あいつは中学生のとき、武者修行とか何とかいって、

全国で道場破りを一年間連続して行なったぐらいだからな」

 

赤星がやや呆れたような口調で言う。

 

「そうだな、今日の午後でも行ってみるか」

 

「がんばれよ、俺が戦った感じだと二人とも同じぐらい強いから」

 

そう赤星がいった後、二人はどちらともなく離れて、それぞれのグループに戻っていった。

 

 

 

 

 

 

ゴオゥ、・・・ドン、ドド、・・・楓陣刃ぁー、ドーン・・シュ・・ダダ、・・ドス、・・・・ダン、・・・

 

ドガ!・・・・・ゴゥー・・ダダダ、・ダン・・・・シュ、シュ、ドガ!・・・ドーン・・・・バン・・

 

普通なら、のどかであろう平穏な住宅街

 

しかし、なのはに案内されてシグナムやヴィータ、はやてが来てみると、

 

高町家に着く前から普通ではありえない騒音が聞こえてきた。

 

「いったい、なにをやったら普通の家からこんな戦場みたいな音が聞こえてくるんだ?」

 

シグナムがはやてに高町家に行くことを提案したときに

『なのはがどんな奴に負けたのか、見てみたいじゃん』

などと言って付いてきたヴィータが呆れたように言う。

 

「しかも、魔力をまったく感じんな、いったい何をやっているんだ?」

 

シグナムもヴィータに同意するように言った。

 

「普段はもう少し静かなんですけど・・・

もしかしたら、薫さんが来ているからなのかな?」

 

なのはも家から響き渡っている音に呆れつつ、薫が家に来ていたことを思い出していた。

 

そんな会話をしながら高町家に着くと

 

シグナムやヴィータは何をやっているのか気になるためか、真っ先に騒音の基である道場に向かう。

 

そして道場に入ったシグナムやヴィータは、中で試合を見ていた二人に挨拶をして、戦っている二人の方を見た

 

そこでは恭也と薫が、神速や霊力技を使ったハイレベルな戦いを繰り広げていた。

 

シグナムは、道場の中央で常人離れした動きで戦っている二人の技量に感心するが、

 

そこで何か違和感を覚えた。

 

『二人は魔法を使っていない!』

 

女性の方がまれに剣から金色の光を出して、攻撃を行なっており、

 

男性もそれをいとも簡単に、普通ではありえない速度で避けていたので

 

無意識のうちに魔法を使った試合だと思ってしまっていたのだが、

 

違和感を感じて、探査魔法を使ってみると、二人は全く魔力を使っていなかった。

 

「まさか」

 

思わずシグナムが呟く。

 

魔力を使わずにこのような動きができるものなど、

 

幾千もの時を、多くの戦士たちと戦ってきたシグナムでさえも見たことが無かった。

 

まして、女性は剣から光を出し、明らかに物理攻撃以外の遠距離攻撃をおこなっている。

 

だが、いくら魔力を探査しようとも二人の間には全く魔力が感じられなかった。

 

「ん? どうしたんだ、シグナム、まさか二人の動きにびびってるのか?」

 

そんなことに気づくこともなく、ヴィータが珍しく顔いっぱいに驚愕しているシグナムを見てからかう。

 

「ちょっと二人の魔力の動きを探知してみてくれないか」

 

「はぁ?」

 

てっきり、むきになって否定するものだと思っていたヴィータは

予想外のシグナムの言葉に思わず間抜けな声を出してしまった。

 

「二人が本当に魔法を使ってないのかどうか知りたい、お前も二人の魔力を探知してくれ」

 

「何言ってんだよ、魔法も使わずにこんな戦闘が

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

何〜〜〜、魔力を使ってないだとぉー

 

道場にヴィータの叫び声が響く。

 

初めから見学していた二人だけでなく、

戦っていた二人まで、手を止めて、ヴィータの方を見ていた。

 

そして、その声に驚いて、はやてとなのはも道場の中に入ってくる。

 

「二人とも、魔導師じゃないのか?」

 

ヴィータが戦いをやめてこちらを見ている薫と恭也に尋ねる。

 

「ああ、なのははともかく俺と薫さんは魔法が使えないからな」

 

薫がヴィータが言ったことの意味が分からず首を傾げていると、恭也が答えた。

 

「でも、明らかにさっきの攻撃は物理攻撃じゃなかっただろうが」

 

「薫さんは退魔師だからな、霊力技が使えるんだ」

 

「退魔師? 霊力技?」

 

ヴィータがそんなものは知らないといった様子で呟く。

 

「恭也君、これはいったいどういうこと?」

 

薫はさっきからのヴィータの行動の意味が分からず恭也に尋ねた。

 

「さっき、俺が、なのはが魔法を使えるようになって、

そういった人とも戦うことがあるかもしてないから

霊力技も試合で使ってくださいと言ったのは覚えていますよね

彼女たちもなのはと同じ魔導師なんですよ

薫さんが彼女たちの知らない技を使ったので驚いたのでしょう」

 

「なのはちゃんにも聞いたけど

うちが使っている霊力技と、あなたたちが使っている魔法はそんなに違うものなの?」

 

恭也の説明を聞いた薫がヴィータやシグナムたちに尋ねる。

 

「ああ、二人から魔力が全く感じられなかったからな」

 

そこでシグナムは言葉を一度区切り、剣を構えてそこに魔力によって炎を灯し、再び続ける。

 

「これが、あなたが使っていた技とは違うということが、あなたにも分かるんじゃないか?」

 

「確かに、霊力は全く感じられない

・・・むしろ、久遠の変化や電撃に近い感じだな」

 

薫は霊力ではないものの、別の何かを感じ取り言う。

 

「おそらく、根源的なものが違っているのですよ

なのはさんたちは、その魔法を使いすぎたときどうなります?」

 

突然、道場にそこにいる誰のものでもない声が響く。

 

「十六夜! 勝手に人前で出たり、喋ったりしたらいかんと、いつも言っているだろ」

 

はやてやシグナム、ヴィータが突然の声に驚いている中、薫が剣に向かって言う。

 

「あらあら、まあいいじゃないですか」

 

再び声が聞こえるとともに、薫の近くに金髪の美女が出現した。

 

「ひょっとして、あなたたちが使う魔法というのは、

つかいすぎると眠気が襲ってきたり、眠ると起きているよりも数倍早く回復したりしませんか?」

 

十六夜は、突然女性が空中に現れたことに驚いていた、はやてたちに尋ねる。

 

「まあ、そういわれればそうやね

でも、何でそれを?」

 

はやてが、なぜ十六夜がそんなことを言ったのか理解できずに言う。

 

そして他の人たちも、はやてと同じ事を思ったのか、皆が十六夜を注目した。

 

「やはりそうですか

私たち退魔師は、霊力、すなわち肉体のエネルギーを転換したものを利用しています。

ですから、使いすぎれば、当然、フルマラソンをした後のような激しい筋肉痛に襲われることになります

それに対して、たとえば久遠などは、イメージなどの精神的なエネルギーを転換したものを利用しています

おそらくあなた方、魔導師も久遠と同じようなものを使っているのではないでしょうか?

だから、使いすぎれば、ずっと起きていたときのように眠くなってしまいますし、

眠ることで早く回復することができるのでしょう」

 

十六夜が自分の推測を皆に説明する。

 

「確かに、我ら守護騎士も極論すれば、闇の書によって生み出された精神体だからな

あながち間違っているとはいえんな」

 

シグナムがその考えを肯定するように呟く。

 

「なのはちゃんみたいに、感覚で魔法を組立られるような人もいることを考えれば、確かにその通りやね」

 

はやても、なのはがイメージなどから感覚で魔法を作ってしまったことを思い出し納得する。

 

「う〜ん、でもそれだとディバイスに組み込まれた魔法を使うための理論が説明できないんじゃ」

 

はやてが言ったことに対して「そんなことないよ」と反論しつつ、なのはが疑問に思っていることを言う。

 

「そんなことないでぇ、なのはちゃん

管理局で聞いた話によれば、あれは基本的に魔法を制御するためのものやから、別におかしくあらへんよ」

 

はやてが、なのはの意見に反論する。

 

その後、話を聞いていた士郎なども加わり、しばらく魔法と霊力についての議論が道場で行なわれた。

 

 

 

「ところで、今日はどんな用件でみんなを連れてきたの? なのは」

 

話がひと段落したところで、美由希が、ふと思い出したようになのはに尋ねる。

 

「あ、すっかり忘れてた、お兄ちゃん、

シグナムさんが、赤星さんに、お兄ちゃんと試合をしてみればって言われたんだって」

 

なのはが恭也の方を向いてそう言うと、シグナムも思い出したように恭也の方を見た。

 

「わざわざ来ていただいて、申し訳ないのですが

薫さんとの戦いで神速を多用してしまったので、

あなたほどの人と戦えるような状態じゃないんですよ

明日、来ていただければ、お相手できるのですが」

 

すまなそうに恭也が言う。

 

しかし、それに対してシグナムが何か言う前に、薫が口を開いた。

 

「それなら、うちと戦ってみませんか

うちはまだ戦えますから」

 

「こちらとしては、とてもありがたいのですが、いいのですか?」

 

シグナムが尋ねる。

 

「うちも魔法がどんなものなのか戦ってみたいんで、ちょうどいい機会ですから」

 

「では、お願いします」

 

「ちょっと待て、二人がここで戦うとさすがに道場が壊れる気がするんだが」

 

士郎が二人がそのまま戦い始めようとしたのを見て慌てて言う。

 

よく見れば、道場のあちこちが薫の霊力技によって破壊されており、

この上、なのはと同レベルの人が戦うとなれば、確かにただでは済まないだろう

 

「このあたりで、戦っても大丈夫なところってあります?」

 

士郎の言葉でそのことに気づいた薫が尋ねる。

 

「裏の山ならたぶん誰もいないと思うから大丈夫だろ」

 

「なのはと恭也もそこで戦ったしな」と続けながら士郎が言い、

 

二人がそこで戦うことを了承したので、皆でその場所に移動することになった。

 

 

 

それから約十分後、シグナムと薫は

 

皆が見ている中、木々が生い茂る森の中にあるやや開けた場所で対峙していた。

 

漂ってくる緊張感から、誰も喋らずに黙っている中、

 

審判をやることとなった士郎がついに開始の合図をする。

 

先に動いたのは薫だった

 

「神気発勝」という呟きとともに十六夜に金色の光を纏わせ、

「真威・楓陣刃」という声とともにシグナム目掛けて

十六夜を人間離れした速度と威力をもって振り下ろす。

 

シグナムは、レヴァンティンを魔力によって鞘から反発させることによって生じさせた

凄まじい抜刀をもって十六夜を弾き、攻撃に転じようとするが、

そこで剣を弾かれてなおシグナム目掛けて襲い掛かる金色の光の直撃を受ける。

 

一部はシグナムを薄紫色に包み込む防護シールドによって無力化されたが、

本来、対魔法戦闘、対物理戦闘しか想定されていない防護シールドでは完全に防ぐことができずに

2、3メートル吹き飛ばされた上にバランスを崩してしまう。

 

薫がそれを見逃すはずがなく、すぐさまその距離を詰め、

追の太刀・疾」という声と共に再び十六夜に金色の光を纏わせ、追撃をかける。

 

シグナムは薫を甘く見すぎていたことを実感しながら、すぐさま後退し、

レヴァンティンを、剣のシュベルトフォルムから

剣を細切れにしたものを鞭状に伸ばした、シュランゲフォルムに即座に変形させ

薫のいる場所を空間ごと薙ぎ払うことで反撃する。

 

追撃をかけていた薫は突然のレヴァンティンの変形とその広範囲にわたる攻撃に驚きながら

追撃を諦め、その場で霊力技『疾』を前方に放出し、シグナムの攻撃を相殺させる。

 

相手の動きを見極めるために二人とも一時、距離を置き対峙するが

それも一瞬のことで、すぐさまシグナムが神速を上回る速度をもって

レヴァンティンに炎を灯しながら薫に肉薄する。

 

だが、御神流は神速の最中に貫を使うことで自身を見失わせるのに対し、

シグナムの動きはそういった小細工を使わず、むしろ残像を残し、それをもって相手を威圧するものだった。

 

そのため、先ほどまでの恭也との戦いで神速の速度に慣れていた薫にとっては

むしろこちらの方が迎撃しやすかった。

 

神咲の技の中でも、高速で接近してくるものに対して特に有効な迎撃技をもって

閃の太刀・弧月」と呟きながら、今まで以上の光を十六夜に灯し、

接近してくるシグナムに対して、そのまぶしいまでの閃光を叩きつける。

 

シグナムは辛うじてその攻撃を避けたものの、

同時に周囲を満たした閃光によって薫を一瞬だけ見失ってしまう。

 

そして、薫にとってはその一瞬で十分だった。

 

その一瞬の間にシグナムの後ろに回りこんだ薫は「真威・楓陣刃」という呟きと共に、十六夜を振り下ろす。

 

その攻撃は見事なまでの直撃となり、シグナムは真横に吹き飛ばされた。

 

しかしシグナムは今度は体勢を崩すことなく受身を取り、さらに後退する。

 

薫は、なぜシグナムがそこまで後退したのか疑問に思いながらも追撃をかけようとするが、

レヴァンティンが、今度は弓になっていることに気づいた薫は、本能的に横に飛び退く。

 

次の瞬間、凄まじい速度で矢が飛んできたと、薫が感じるのと同時に

先程まで薫がいた場所を中心に凄まじい灼熱と爆風が発生し、周囲の木々は消し炭と化した。

 

横に飛び退いたために何とか直撃は免れた薫だったが、

それでも、周囲に拡散した熱と爆風の余波により、服はあちこちが焦げており、

薫自身もかなりのダメージを受けていた。

 

そんな薫に対してさらに追い討ちをかけるように、シグナムはさらに薫に対して矢を放つ。

 

再び横に飛び退くことで辛うじてその攻撃の直撃だけは避けた薫は、

これ以上この攻撃を受ければ余波だけでやられてしまうと判断し、

神咲の奥義を使うために、霊力をため始める。

 

そして、「奥義の封神・楓華疾光断」という叫びと共に十六夜から

凄まじいまでに破壊に特化した、膨大な霊力がシグナム目掛けて放射される。

 

そして、偶然にもそれはシグナムがこれで勝負を決めようと、矢を放ったのと同時であった。

 

炎を纏った矢と、破壊に特化した霊力の塊は、二人の中央で激突し、

凄まじいまでのエネルギーと、それに伴う爆発、閃光、灼熱で周囲の木々を破壊しつくし、

その余波は遠くから観戦していたなのはたちの所まで、凄まじい威力を持って襲い掛かった。

 

幸いにして、審判をしていた士郎は神速を使い思いっきり、みんながいるところまで後退し、

そこでは、那美があらかじめ霊力による防護結界を張っており、

なのはたちもシールドで保護したので、みんな無事だったが、

薫とシグナムの周囲はまさに焼け野原となっていた。

 

そんな中、シグナムはレヴァンティンを弓から剣へと変形させ、薫に対して再び攻撃を仕掛ける。

 

ほぼ全霊力と投じて、神咲の奥義を使った薫は疲労から、やや遅れつつも、

辛うじてその攻撃を十六夜で弾くが

同時にレヴァンティンから放射された炎が薫を襲う。

 

薫は咄嗟に、霊力を体から放出することで、その炎に対する防壁を作り、直撃を防ぐが、

それにより霊力をほぼ使い尽くし、その場に膝を着いてしまう。

 

そして、その直後、レヴァンティンが薫の首筋に当てられる。

 

そして観客席まで下がっていた士郎から試合終了の合図が響いた。

 

 

 

 

 

「いや、本当に二人ともすごいな」

「シグナムに本気を出させるなんて、やるじゃん」

「う〜ん、なんかどんどん私の周りが人間離れしていく気が・・・」

「薫ちゃんが霊力技使ってここまで完全に負けたの初めて見たかも・・・」

 

みんなが口々に試合の感想を言い合う中、シグナムが薫に話しかけた。

 

ボーゲンフォルムまで使わされたのは、単独戦闘では久しぶりだ

なかなか、いい訓練になったよ」

 

「こちらこそ、いい経験になりました

ぜひとも、また試合をお願いしたいものです」

 

「もっとも、次こそは勝って見せますが」と続け、微笑みながら薫も言う

 

「ま、せいぜい、がんばることだな、

私も次の試合を楽しみにしているよ」

 

「よーし、今日はこのまま、翠屋でパーティといくか」

 

シグナムと薫が話していると、そこに、はやてたちと話していた士郎の声が聞こえてきた。

 

「では私たちも行くとするか」

 

「そうですね、みんなが行くなら、うちも久しぶりに翠屋のパーティに参加します」

 

この後、翠屋でおこなわれたパーティには、なのはから話を聞いたフェイトやクロノなども参加し

薫が彼らから質問攻めにあい、さざなみ寮に那美と共に戻れたのは深夜だったとか




「魔力と霊力と」どうだったでしょうか

 

魔力と霊力の解釈を「どっかで似たようなものを見た覚えがあるな」と思いながら書いていたら

読み返したとき、某漫画の魔法と気の説明に近いものになっていることに気づきました。

他に良い解釈も見つからないのでとりあえず大目に見てください。

 

次の話はさくらVSヴィータと氷村遊VSはやてになると思います。

たぶん前後編に分けることになるでしょう。

 

最後まで読んでいただきありがとうございました。




いやはや、もの凄い闘いだったな〜。
美姫 「本当に。まさか、焼け野原を作るなんてね」
あははは。
さて、さくらとヴィータはどんな感じになるのかな。
美姫 「次回も楽しみね」
ああ。
美姫 「それじゃあ、また次回で〜」
ではでは。



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