『家族として』の続編です。

設定は『家族として』と同じくアニメ版『魔法少女リリカルなのは』と

『とらいあんぐるハートシリーズ』とオリジナルの設定を混ぜています。

ついでに、はやての関西弁はかなり間違っていると思われます。

 

 

 

魔法少女リリカルなのは(+とらいあんぐるハートシリーズ)SS

『造られし存在』

 

「はあ〜〜、お兄ちゃんは『また俺と戦って勝てるようにがんばれ』なんて言うけど、

勝てる気がしないよ、空中からの攻撃じゃどこに居るのかわからないし、

かといって接近戦は神速があるからなあ」

 

昨日の闘いで体をどこか悪くしたかどうかを、桃子などに心配されたなのはは

海鳴大学病院の待合室で、そんな事を呟きながら自分の名前を呼ばれるのを待っていた。

 

本当は美由紀も付添いで来ていたのだが、

翠屋でちょっとした問題が起きて人手が足りなくなったために戻ってしまったのだ。

 

するとなのはの視界に、最近知り合ったばかりの親友−八神はやて−の姿が入ってきた。

 

「こんにちは、はやてちゃん」

 

「おう、こんにちは、なのはちゃん

どうしたん、なんや、元気がないように見えるけど何かあったん?」

 

なのはに挨拶した後、なのはが少し落ち込んでいるように感じたはやてが尋ねる。

 

「実は、昨日、すずかちゃんやアリサちゃんにいろいろ説明した後、

家でも魔法とか管理局の事とかを話したんだけど、

そこでなぜかお兄ちゃんに勝てたら管理局で武装局員として働くことをみとめる、

という話になってしまいまして・・・」

 

「? それでなんかあったん?」

 

なのはの説明をまじめに聞きながら、まさかあのなのはが負けた、

とは思いもしていない、はやては続きを促す。

 

「お兄ちゃんに負けて気を失っちゃったんだよぉ

お兄ちゃんやお父さんは、また挑戦して勝てたら認めてくれるとは言ってくれたんだけど、

どうも勝てる気がしなくって」

 

「え! 

なのはちゃんのお兄さんて、別にすごい魔導師とか、そういうわけじゃなかったよね?」

 

あのなのはが負けたという事も驚きだが、そもそもなのはの家族は、

魔法とかに全く関係なかったはずだと思い尋ねる。

 

「うん、それどころか魔法について知ったのも私が話してからだったよ」

 

「それで負けたん、魔法も何も使えないのに?」

 

たとえば、シグナムやヴィータにしてみても、魔法なしではシャマルに勝つことさえ難しいだろう、

そのことを良く知っているはやてにしてみれば、

なのはが魔法の存在さえ知らなかった人に負けたというのは、

いくら家族として手加減したとしても、驚きだった。

 

「うん、本当に強かったんだよ、遠くにいるときは全く探知魔法に引っかからないし、

接近戦ではフェイトちゃんより速くって、全然目で追いきれないし、

魔法を使うわけじゃないから、攻撃を察知する事ができないし、もうめちゃくちゃなんだよ」

 

なのはが苦笑いしながら言う

 

「・・・・・・

そういえばすずかちゃんが言っとったなぁ、

『もっとも、なのはちゃんのお兄ちゃんは、私たち以上に人減離れしている気がするけど』

って」

 

そんなばかな、と思いつつ、昨日、すずかやアリサといろいろ話した内容の中に、

すずかたち夜の一族の秘密についてのこともあり、そのときに苦笑しながら、

すずかがそんな事を言ったことを思い出してはやては呟く。

 

「それで、どうしたら勝てると思う?」

 

「う〜ン、どうしたら勝てるっていわれてもなあ、

そや、シグナムやヴィータと模擬戦して、高速近接戦闘に慣れておいたらどうや」

 

なのはの質問をしばらく考えた後、はやてが言う

 

「でも迷惑じゃないの?」

 

「平気やそんなん、今日みたいに管理局の面接やら試験やらがある日は無理やけど、

それ以外の日ならみんな暇をもてあましているから」

 

「じゃあ、今度お願いしようかな、空いている曜日をまたメールで教えてくれる」

 

「ええよ、それにしてもなのはのお兄さんって、どんな人なん?

魔法を全く知らなかった人が、なのはちゃんに勝てるなんて信じられへんのやけど」

 

「うーん、なんて言えばいいのかな、

あ、そうだ、少し前から『草薙まゆこ』っていう漫画家が書いている『桜物語り』って漫画知ってる?」

 

「しっとるよ、大人気連載漫画やん、

むかし、桜の木の下で運命的な出会いをした二人の男女が、

また再会していろいろな事件に巻き込まれるって話やったよね。それがどうかしたん?」

 

「実は、それに登場する主人公のモデルがお兄ちゃんで、

ヒロインのモデルも近所の巫女さんなんだよ、イメージもだいたいあんな感じだと思う」

 

「・・・え〜〜〜〜」

 

はやての驚いた声が病院中に響き渡り、

周りの視線を集めてしまった事に気づいたはやては、顔を赤らめて「すいません」と看護婦さんに謝る。

 

「ほんとなん?

それはたしかに勝てる気がせんなあ

もしかして、本当に『疾風』や『速射』、『浸撃』とか使えるん?」

 

小声で、はやてが言う。

ちなみに『疾風』、『速抜』、『浸撃』というのはその漫画の主人公が使う流派の奥義である

 

「うんまあ、あれと似たようなのなら、昨日使われて散々な目にあったよ」

 

なのはが苦笑しながら言う。

 

「それはシグナムが聞いたら真っ先に勝負を申し込みに行きそうやな

あの子、意外にそういったこと好きやし」

 

「ははは・・・」として二人して乾いた笑い声を上げる

 

 

「そういえばはやてちゃんは、今日なんで病院に?」

 

話が一段落したところで、なのはがはやてに尋ねる

 

「ああ、それはクリスマスのとき無断で病院を抜け出したからって、

今日から2日間、精密検査を受ける事になってな、

待ち時間退屈やから病院内を散歩していたら、落ち込んでるなのはちゃんが居たっていうわけや」

 

「そうなんだ、大変だね」

 

「もう慣れてしまったわ、むしろ守護騎士たちも管理局のほうで、

なんか、やらなければならない手続きがあるとかで帰ってこれへんから、家で一人で退屈せんでよかったのかな」

 

とそこまで会話していたとき、「高町さん、高町なのはさん」という看護婦さんの声が響いたので

二人は会話をやめて、メールを送るねという約束をした後、別れた。

 

 

 

その後、なのははフェイトが午後何も予定が入っていないというので、メール越しにお願いして、

管理局の第3訓練室でフェイト相手に高速近接戦闘の模擬戦をしてもらっては、

フェイトと、たまたま来ていたレティ提督からアドバイスをもらい、

また模擬戦を繰り返すということを行い、気が付けば地球、日本時間の七時になっていた。

 

そして、二人は管理局の食堂でレティと夕飯を取ることになり、

その時にレティから、はやてに昨日頼まれた融合型ディバイスの部品が、

倉庫で偶然発見されたことを聞いてフェイトがそれをはやてに届ける事になった。

 

初めは、なのはも行こうとしたのだが、

不慣れな近接戦闘の模擬戦で疲れきっているなのはを心配したフェイトが、

一人で大丈夫だからと言ったために、フェイト一人で行く事になったのだ

 

そしてフェイトは食事が終わった後、そのままはやての病室に、ゲートを使って移動していた。

 

「うあ、どうしたん、フェイトちゃん、こんな時間に」

 

フェイトが突然現れた事に驚きつつ、はやてが尋ねる。

 

「昨日、はやてが頼んでいた融合型ディバイスの部品が見つかったから届けに来たんだよ

それとも、よけいだったかな」

 

「いや、そんなことあらへんよ。

ありがとうな、フェイトちゃん

そや、どうせきてくれたんなら、ちょっと融合実験付き合ってくれへん?

これをやっておかないと、せっかく組み立てても使えへん、

なんてことになるかもしれへんから最初にやっておきたいんや。

それにだれか、周りに魔法の使える人が居らんと、

制御に失敗したとき暴走してしまうから一人じゃできへんし、

攻撃を受けたときも大丈夫かどうか見ておきたいから」

 

「うん、いいよ」

 

「じゃあ、ちょっと三十分ぐらい、そこの本でも読みながら待っていてくれる

さっき知ったんやけど、その桜物語りの主人公のモデルって、なのはのお兄さんらしいでぇ」

 

「へ〜、やっぱりあの人、すごいんだ」

 

そんなことを言いながら、フェイトは漫画を読み始め、

はやても融合型ディバイスの基礎設定をおこなって、あっという間に三十分が過ぎた。

 

「よ〜し、これで完成や、

じゃあ、フェイトちゃん屋上に行って、ちょっとやってみようか」

 

「う〜ん」と腕を伸ばしながら、はやてが言い、フェイトも読みかけの漫画を置いて屋上に向かうことにする。

 

 

 

 

その頃、海鳴大学病院のG棟では、フィリスが苦手な夜勤の仕事を一人で、

「はあ、やっぱり恭也君に来てもらうんだったかなぁ」などと呟きながらこなしていた。

 

夜、一人でいると、どうしても昔のことを思い出してしまうために、

以前は夜勤のときはたびたび恭也に来てもらっていたのだ。

 

もっとも、さすがに恭也と忍が公然と付き合うようになってからは、

いくらかの寂しさと忍に対する遠慮から「もう大丈夫ですから」と強がり頼まなくなったのだが、

やはり一人でいるのは辛いらしい。

 

しかし、そんな中、フィリスのHGSとしての特別な感覚が、突如として何かの異変を感じた。

 

とっさに周囲にフィールドを展開するが特に何事もなかったので

疑問を持ちながらも、とりあえず安心する。

 

すると今度は斜め上のほうから、つまり一般病棟であるA棟の屋上から、

明確な何かの気配を感じた。

 

不審に感じたフィリスは、念のため人にも見られないようにと

A棟の屋上にある倉庫の中にテレポートし、倉庫の扉を開ける。

 

するとそこには信じられない光景が広がっていた

 

なんと、金髪の少女が、車イスの上にいる少女に向かって、

なにやら光る鎌を向け、そしてそれを彼女目掛けて振り下ろしたのだ。

 

危ない!と思ったフィリスは、とっさにリアーフィンを展開し、HGSの力を使って、

とりあえず病院のロビーまで車椅子の上にいる少女を飛ばす

 

そして、金髪の少女から訳を聞くために、彼女をHGSの力で拘束しようとする。

 

 

 

一方、金髪の少女−フェイト−も驚き、混乱していた。

 

はやてがとりあえず融合実験に成功し、

その状態で魔力を当てても暴走しないかどうかという事を試すために攻撃をしようとしたとき、

誰も居ないはずのこの結果内に白衣を着た銀髪の女性がなぜか倉庫から現れ、

彼女が透き通った六枚の羽を広げたと思った瞬間、はやてが消えていたのだ。

 

そして、自分のいる場所に、なにやら魔力とは微妙に違う力の発現を感じ、

とっさにその場を飛び退く。

 

拘束を避けられたフィリスは、そのことに驚きつつ、さらに力を解放して雷撃を放つ。

 

このとき、フィリスの頭の中では、

完全に『金髪の少女=車イスの少女に襲い掛かかるような酷い敵』となってしまっていた。

 

フェイトは混乱していた思考を整理し、

突然はやてが消えた事に間違いなく係わりがあるであろう銀髪の女性から、

どういうことか話を聞きだそうとしたとき、突如として雷撃を放たれ、とっさにシールドで防ぐ。

 

攻撃を受けたフェイトは『そっちがその気ならこっちだって』と話を聞く事を諦め、

フィリスに向かって急速接近からのバルディッシュによる一撃を加えようとする。

 

しかし、あと一歩で攻撃が当たるというところで、突如としてフィリスの姿が消える。

 

そして、そのことに驚く間もなく、突然背後からの物凄い圧力によって吹き飛ばされた。

 

しかしフェイトにしてもさすがに何度も実戦を経験しているだけあって、

壁にぶつかる前にとっさに空中で止まり、短い詠唱によってフォトンランサーによる中距離攻撃の準備をする。

 

HGS特有の物を動かす力でフェイトを吹き飛ばしたフィリスは、そのことに驚きつつ、

フェイトがこちらに目掛けて黄色い発光体を打ち込んできたのを、

テレポートで移動する事によって回避しつつ、フェイトの背後から再び電撃を放つ。

 

フェイトはそれをシールドで防ぎつつ、どうすれば勝てるのかを考えていた。

 

午後の間ずっとなのはと模擬戦をしていたために、大型魔法を使えるほど魔力が残っておらず、

また必要になるとは思わなかったのでカートリッチも持ってきていなかったのだ。

そのため現在使えるのは、直射魔法のサンダースマッシャーせいぜいというレベルだった。

 

しかし、馬鹿正直にサンダースマッシャーを放ったところで

あの瞬間移動で避けられてしまうことは目に見えていたので、なかなか機会をつかめずにいた。

 

一方、フィリスにしてみても自分には決定打が足りないという事を自覚するしかなかった。

 

相手の攻撃はテレポートで回避できるものの、拘束は相手が素早く動き回っているために使えず、

吹っ飛ばしたところで何かにぶつかる前に止まってしまうので意味がなく、

かなりの体内エネルギーを消費する、本来なら必殺技であるはずの電撃も

黄色いシールドによって防がれてしまうのだ。

 

そしてしばらくの間、

フェイトが攻撃をしては、フィリスがそれをテレポートでかわしつつ攻撃するという状況が続いた。

 

だが次第に、フェイトは魔力が、フィリスは体内エネルギーが、それぞれなくなり始めていた。

 

お互いに相手の様子からそのことに気づいた二人は、次の攻撃で勝負を決めようとする。

 

フェイトは瞬間移動によって避けられるのを承知で、

フォトンランサーを四つ同時に、フィリスに向かって放つ。

 

そして、フィリスがテレポートをした瞬間、

気配によって位置を探知し、即座に直射魔法サンダースマッシャーを打ち込んだ。

 

だが次の瞬間フェイトも屋上目掛けて止まる間もなくすさまじい速度で叩きつけられる。

 

そしてフェイトはサンダースマッシャーを撃つ事に集中していたためにシールドを張る

ことができずにそのまま気を失ってしまった。

 

一方のフィリスも相手が攻撃した瞬間、最大の威力をもって叩き落すという作戦は成功したものの、

サンダースマッシャーの直撃をフィールドで防ぐ事ができずに、同じように気を失ってしまった

 

そして、慌ててエレベーターによって上がってきたはやてが、

あちこち壊れた屋上と気絶している医者とフェイトを見て驚いたのは言うまでもない。

 

その後、困ったはやてが、守護騎士たちを管理局から呼んで、

とりあえず自分の病室に運んでもらい、二人が目を覚ますのを待つ事になった。

 

事情が良くわからなかったので他の人に話すのが躊躇われたためである。

 

 

 

そしてしばらくした後、フェイト、次いでフィリスが目を覚ました。

 

「ここは?

え〜と、たしか八神やはてさん、だったわよね。いったいこれはどういうことなの?」

 

目が覚めたフィリスが、同じく目が覚めたようであるフェイトと何か話している、

はやてや他の女性たち−シグナムやヴィータ−に向かって、やや怒りながらながら尋ねた。

 

「うーん、なんて話せばいいんやろなぁ

別にわたしとこのフェイトちゃんは戦っていたわけやないんや

ちょっと協力してもらってたいだけなんよ」

 

「鎌を振りかざすのが協力?」

 

フィリスは訳がわからないというように言う

 

「やっぱり、わたしらがなに者かってところからはなさあかんかなぁ

信じられへんかもしれんけど、実はうちとフェイトちゃんや、ここにいる二人は魔法が使える魔導師なんよ。

こんなふうにな」

 

そう言ってはやてはシグナムに念話で魔法を見せるように頼み、シグナムは剣に炎を灯す。

 

「霊力技みたいなもの?」

 

それを見たフィリスは、さざなみ寮時代にお世話になったことのある、

似たような事ができる女性を思い出し尋ねる。

 

「う〜ん、霊力技って言われても、私らはそれを知らへんからな。

たぶん同じようなものだと思うで、魔力みたいなものが他にあるとは思えんし。

まあ、それで私のディバイスを作るのに、攻撃を受けたらどうなるのかを確かめないといけなかったから、

ためしに攻撃してもらおうとしたら、突然先生が現れて私を病院のロビーに飛ばしたっちゅう訳や」

 

はやてが答えている間に病室にいたシグナムとヴィータに、

屋上で修理をしていたシャマルから「大変だから手伝ってよ〜」という連絡が入り、

二人はやれやれという感じで病室を出て行く。

 

「でも、そういうことって、もっと人目の付かないところでやるべきじゃないの?」

 

「なんで病院の屋上なんかで?」と疑問に思ったフィリスが、

守護騎士たちが病室から出て行くのを見ながら言う。

 

「それや、うちが疑問に思っていることは、

たしかに、誰も入って来れないように結界を張ったはずなのに、なんで先生は入ってこれたん?

それにフェイトちゃんと、互角に戦っとったようやし、いったい先生はなに者なんや?」

 

これにはフェイトも興味があるのか体を起こしてよく聞こうとする

 

「・・・はやてちゃんは高機能性遺伝子障害者、通称HGSって病気を知ってる?」

 

フィリスは少し躊躇ったあと彼女たちも秘密を明かしてくれたのだからと自分の秘密を言う事にする

 

「名前ぐらいなら聞いたことあるで、確かこの病院に世界的に有名な専門施設があるんやったよな」

 

「私はそのHGSなのよ」

 

フィリスは悲しげにそう言って六枚の羽を展開する

 

「これがHGSの証でもあるリアーフィンよ、

この羽を持つものは、大抵こういった超能力を使う事ができるの」

 

フィリスは部屋にあった本を空中に浮かしながら言う

 

「すごい事やん、何でそんなに悲しそうな顔をするん?」

 

HGSがそういう病気であった事に驚きつつ、

フィリスが悲しげな顔をしているのに気づいたはやてが言う

 

「私はね、このHGSという力を軍事利用するために作られた姉のクローンなの

まだ生まれて間もない頃から、戦闘の訓練を受けさせられ、

その中で幾度も私と同じ同類と殺し合いをしたわ、

いまの私がいるのはオリジナルである姉や、私を助けてくれた、たくさんの人のおかげ、

もし、あのまま組織にいたらどうなっていた事か

もっとも、だからこそ私は、私を人殺しのために造った奴らに復讐するために

一人でも多くの命を救おうと医者になったのだけれどね」

 

フィリスは悲しそうに、本当に辛そうに言う

 

「「そんな」」

 

二人は、フェリスのあまりに重い過去に絶句する。

 

特にフェイトの驚きは大きかった。

 

アリシアの代わりとして造られ、それだけを求められていた自分でさえ、

真実を知ったときは、立ち直れなくなりそうなほど心に傷をを受けたのだ。

 

まして人殺しの為に造られ、自分の同類と殺し合いをしたとなれば、

どれだけの傷を心に残すのだろう、想像しただけで胸が痛んだ。

 

「ごめんなさい、あなたたちのような子供に話すようなことじゃなかったわね」

 

二人が余りにショックを受けていたので、

フィリスは自分が流れのままに過去の事を話したことを後悔した。

 

「いえ、こちらこそ、そんなこととも知らずに聞いてしまってすいませんでした。」

 

はやてがすまなそうに言う

 

「いいのよ、自分で話したことですから、

大丈夫?フェイトちゃん顔色が悪いけど、やっぱり子供に話すことじゃなかったわね、

本当にごめんなさい。」

 

「いえ、大丈夫です

少し自分の過去のことを思い出して、想像してしまっただけですから」

 

フェイトが慌てて言う

 

「そう、無理はしないでね、私これでもカウンセラーの資格を持っているし、

辛いようだったら私のところに来れば無料でやってあげるから。

あとお家の人には私から連絡したほうがいいかな?

こんな遅い時間まで帰ってこないとさすがに心配するでしょ」

 

そういわれてフェイトが時計を見るとすでに十時を過ぎていた

 

「それじゃあ、お願いします」

 

「じゃあ、電話番号教えてくれる?

私も電話しがてら、自分のところに戻るから、

あと、もう病院であんな事をしてはだめですよ。

いいですね。

じゃあね、はやてちゃん、フェイトちゃん」

 

そういってフィリスは電話番号を聞いた後、はやての病室を出て行き、

フェイトもさすがにリンディが心配しているだろうと思い、家に帰る事にした。

 

もちろん帰ってきたフェイトから、なのはが負けた事に次いで、HGSという魔法とは違う

この世界独特の超能力者について聞かされたクロノやリンディが、驚いたのは言うまでもない。

        

       


『造られし存在』どうだったでしょうか

こちらも何ヶ所か訂正させてもらいました

次回は『霊力と魔力と(薫VSシグナム)』です

これも霊力と魔力についての解釈は自己判断ですのであらかじめご了承ください

  





祝、連載化〜。
美姫 「これは嬉しい事ね」
うんうん。フィリスとフェイトは確かに似ているかも。
美姫 「次回も楽しみだわね」
言うならば、魔法剣士同士の対決だな。
美姫 「一体、どんな勝負になるのか!?」
次回も楽しみに待っています。
美姫 「それじゃ〜ね〜」



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