ぴん、ぽん、ぱん、ぽ〜ん♪
※えまーじぇんしー・改(ぉ
この話において、とらハ側の時間軸は美由希兄妹エンド後です。
美由希は皆伝しており、恭也に彼女はいません。
また、EXシリーズは『D.C.L.H.』のどの時間軸にも属さないものであり、『この話が本編の伏線になる』といったことは一切ありません。
……ようするに、これは『D.C.L.H.』を用いたパロディです♪
ぴん、ぽん、ぱん、ぽ〜ん♪
SoUプレゼンツ・クロスSS
『D.C.U〜ダ・カーポU〜』 × 『とらいあんぐるハート3 〜Sweet songs forever〜』
D.C.L.H. 〜ダ・カーポ〜 リリカルハート
EX その1:ゲームセンターにて……
「なぁ、今日はどうする?」
放課後、いつものように友人一同で帰宅する予定なのだが、ふと義之が言い出した。
これだけの大人数で帰っているというのに、やることもなく、ただただ真っ直ぐ帰宅するのみ。
流石に義之も、もったいないと思い始めたようだ。
「ならばたまにはゲーセンなど……どうだ?」
「ゲーセン? あぁ、そう言えばアレがあったな」
杉並の言葉に、渉は乗り気のようだ。
どうやらなにかお気に入りのゲームがあるらしい。
「アレ
どうやらそれはトラブレと呼ばれるゲームらしい。
「決まりね。私たちは色々ゲームを見て回るわ。あまり行った事がないし」
「そうだね。可愛いぬいぐるみとかないかな〜」
「ぬいぐるみ、いいかも……」
雪月花三人娘はついていくようだ。
いわゆるプライズゲームがお目当てのようだ。
「む、ゲームセンターか……」
「うちの町にもあったし、たまに恭ちゃんもやってたよね? 確か、パワードハーツとか」
「あ、ならお勧めですよ」
美由希の言葉に返事したのは義之。
二人が義之たち悪友三人組を見た。
「トラブレ、パワハーのメーカーの最新作っすから」
「操作性は結構変わっているが、すぐ慣れるだろう」
「ふむ……全員が行くというなら、俺も行こう」
「私は行ってもいいかな」
護衛の事もあり、出来れば全員同じ場所にいるのが望ましいと考えた恭也はそう口にした。
そしてもしバラけた場合でもそれぞれ護衛できるようにという意味で、美由希がゲーセン賛成側につく。
「じゃあ私も〜♪」
「私も別にかまいません」
「あたしも、問題ないかな」
「美夏もだ。最近のゲームとやらを見てみたいからな」
ななか、由夢、まゆき、美夏が参戦。
残るは一人……
「う〜ん……」
「音姉、どうする?」
「ま、たまにはいいよね。うん、私も行くよ」
こうして、全員参戦――
「待って待って、ボクも〜!」
――飛び入りしたさくらも含め、かなりの人数でゲームセンターに押しかけることになった……。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
「中々大きな店だな」
「島唯一のゲームセンターですから。さくらランドもそうですけど、遊ぶところは結構大きいですよ」
とは杏の弁。
どうやら初音島には、ゲームセンターはここしかないらしい。
「で、どんなゲームなんだ? その、トラブレというのは」
「あ、はい」
義之が説明を始める。
『トラブレ』……正式名称は『TRIANGLE
レバー8方向+5ボタン(5ボタン目は攻撃対象変更時に使用)で操作する3D対戦格闘ゲームの最新作。
メイン三人+援護キャラ一人の『W対Wチームバトルモード』とキャラ一人を選んで遊ぶ『シングルバトルモード』の二種類を搭載。
モニターは100インチモニタを使用、画面の前に6席あり、それぞれにモニター(情報画面)がついている。
ボタン操作により、『技コマンド表示』、『味方・相手座標表示』が切り替え可能。
常にオンライン対戦が実施可能で、また、アップデートもオンラインで可能。
更に総登場キャラは四十を超えるほどである。
余談だが、先ほど言っていたVer2.0へのアップデートにより使用キャラが増え、総使用可能キャラは五十の大台に乗った。
「ほぅ……」
「五十人以上ってすごいね……あれ?」
「どうした美由希?」
なにか違和感を覚えたのか、美由希はキャラクターごとの技が書かれている表――インストカード――に見入っていた。
「このキャラ……どこかで見たような?」
インストカードを見る。
書かれているキャラが多いせいでそもそもインストカードと呼べる代物ではなかったが、一応キャラが紹介されている。
登場キャラを確認。
「『神崎
「……偶然なんて、ありえないよね?」
恭也たち共通の知人である、神咲
彼らは実際に霊能力者だ。
あまりにも似通った名前、更に外見もかなり似ている。
「どこで知ったのかは解らないけど、すごいね……!? あ〜〜〜〜〜〜〜っ!!」
今度は美由希の叫び声が響いた。
思わず周囲の人たちが視線を向ける。
「美由希、落ち着け」
「きょ、きょ、きょ、きょきょきょ恭ちゃん、こ、ここここここれ……!!」
筺体上部、天井から吊るされた看板に大きく書かれていた文字。
そしてそれは――
「なんだ、全く……なっ!?」
恭也も驚くその事実。
なんと――
「『パワードハーツでおなじみ! あの○○と漫画家・草薙まゆこが夢のタッグ! メインのプログラムは新規メーカーである月村ドリームファクトリーとのコラボ、更にオープニングはあの有名なCSSオールスターズが歌う!(CDも好評発売中! 佐伯レコードより) これで燃えなきゃ何に燃える!』……く、草薙……まゆこ……月村、ドリームファクトリー……!」
「CSSオールスターズ、佐伯レコード……!?」
「どこも大御所だからな……すげぇよな……」
二人の驚きに声をかける渉だが、驚きどころはそんなところではない。
二人は、『草薙まゆこ=仁村真雪』と知り合いであり、『月村ファクトリー創始者=月村忍』とクラスメイト兼友人であり、『CSSオールスターズ』全員と面識があり、『佐伯レコードの娘=佐伯理恵・佐伯沙恵』とは、理恵は仕事の関係で知り合いであり、沙恵とは元クラスメイトだったのだ。
簡単に言うと、メインのメーカー以外全て知人友人。
登場キャラが自分の知人に似ているのを見ても、もはや頭を抑えるのみだ。
「……どうしたの? こういうところ苦手?」
「い、いや……色々納得がいっただけだ」
「これは確かに……すごいね……」
よく見ると、自分達の偽者までいる。
思わず恭也は携帯を取り出した。
「?」
アドレス帳から番号を呼び出し、ダイヤル。
数回のコールの後、聞き覚えのある声が電話越しに聞こえてきた。
「はいは〜い、内縁の妻、忍ちゃんです」
「誰が誰の内縁の妻か。それより……今頃だがなんだこれは?」
「ん? 今頃? ……後ろが騒がしいところを見ると、ゲーセンね。トラブレでしょ?」
電話の相手は忍。
あっさり答えに辿り着いたらしい。
「ゲーム作りたいなーって思ってたんだけど、ほら、高町くんの周りって、ゲームキャラで一本立ちできそうな人ばっかりでしょ?」
「ぐ……」
実際その通りであり、否定できない。
「なぁ、誰に電話してるんだ?」
「ん? あぁ、月村忍さん、恭ちゃんのクラスメイトで友人で、月村ドリームファクトリー社長」
美由希の言葉はあっさりとしたものだった。
ただ、内容はそんなあっさりしたものではない。
「え、えええっ!? 恭也先輩、そんなすごい人とお友達なの?」
「うん、というか、このパワードハーツを作ったメインの会社以外、全て直接関係のあるところばかりでして……」
もう既に全員、恭也と美由希が護衛であることを知っている。
その護衛の関係で、恭也たちの交友関係は恐ろしくワールドワイドなのだ。
が、それを聞いても音姫たちは半信半疑だ。
「どうせ他の関係者にも電話かけるんでしょ? 私もそろそろ出かけるから、切るね」
「あぁ、レポートの件、頼むぞ」
「まかせといて、じゃあね〜」
忍との電話が終わると、またアドレス帳から電話をかける。
今度は……
「……ふぁい、どうした恭也?」
半分寝ていたらしい、草薙まゆここと仁村真雪。
「草薙まゆこ先生、ゲームの監修ご苦労様でした」
「おぉ、あれ見たか。すげぇだろ、流石に忠実とまでは行かなかったが、お前らの流派の技も入ってるんだぞ」
実際使われている画面を今見ている。
『鷹街
画面いっぱいに、達筆な毛筆字で『小太刀二刀夜神
次の瞬間、そのキャラ、恭が小太刀を2本とも納刀、抜刀からの4連撃を繰り出した。
「『薙旋』、だね……」
「あぁ……」
「技そのものは美沙斗さん監修だからな。見せちゃいけないと言われた部分以外は全て再現したつもりだ」
「か、母さん……」
その言葉に頭を抱える美由希。
母、美沙斗も思い切りかかわっているらしい。
「まぁ、オリジナルのキャラもいるし、楽しんでくれ」
「はい、そうさせてもらいます。でも、出来れば次からは先に許可をとってもらいたいですね」
「そうだな、それも悪くね〜な」
いや、それが先だろうと思いつつも、突っ込み出来ない恭也だった。
「こ、今度の電話は、草薙まゆこさん?」
「うん……あの二人が関わった、っていう時点で予想ついてたけど、やっぱり、私たちの知人友人一同を使ったゲームみたいだね」
電話を切った恭也を見ながら、既に疲れきった顔の美由希。
「そのようだな……む、なのはもいるぞ」
「えっ?」
画面を見ると、登場しているのは『高町なのは』……ではなく、名前をもじった『鷹街菜乃香
そして、見覚えのある男の子の名前もそこにある。
「ふむ、なのはの周りにいるのはほぼオリジナルキャラのようだな。クロノもいるようだが……」
なのはの、今はしばらく会えない想い人、『クロノ・ハーヴェイ』。
が、残りの二人は見たことがない。
どうやらオリジナルキャラのようだ。
「恭也くん、やらないの?」
丁度席が空いたらしく、まゆきが薦めてくる。
「じゃ、ボクも一緒に〜」
さくら、参戦。
このゲームは最初に述べたとおり四人チーム(プレイキャラは三人)で組むことが出来る。
その場合、味方キャラをオート(CPU)にするか友達と協力して戦うかを選ぶことが出来るのだ。
「じゃあ、残る一人は……弟くん、腕の見せ所だよ?」
「お、音姉っ! ……ま、たまにはいいか」
こうして、恭也&さくら&義之によるトラブレが始まった――。
「ふむ……」
キャラがかなり多いため、キャラ選択のタイムリミットも長めに設定されているが、それは既に10秒を切っている。
チーム選択を恭也が任されたのだが、何しろほぼ全員が知り合いなのだ。中々扱えるものではない。
自分に近い『夜神流チーム』を選ぼうと思ったが、そこにいる『夜神美沙』というキャラ(モチーフは当然美沙斗)を使うのが忍びなく断念。
そして結局……
「すまん、なのは」
選ばれたのは、『鷹街菜乃香』を含むチーム、『時空管理局フォースエースチーム』。
キャラは『鷹街菜乃香』、『フェイト・テスタロッサ』、『八神はやて』、『クロノ・ハラオウン』。
このうち三キャラをプレイヤーが動かし、残り一人はゲージを消費することで使用できる必殺技要員となる。
キャラごとにサポート能力が違い、これもまた戦略性に絡んでいる。
「じゃあ俺は……ちょっとテクニカルだけど万能なキャラに」
義之が選んだのは『クロノ・ハラオウン』。
実はこのキャラの名前、偽名だったクロノ(元ネタになった人物)の本名である。
なのは以外知らない事実に偶然でたどり着いた真雪、恐るべしである。
キャラの役職名には『時空管理局執務官』とある。
どうやらキャラごとに設定があるようだ。
「じゃ、ボクはなんか外見が似てるこの子〜♪」
『フェイト・テスタロッサ』を選んだのはさくら。
役職は『時空管理局嘱託魔導士』とある。
「む……果たしてなのはは戦えるのか……」
そして恭也。
当然選んだキャラは『鷹街菜乃香』。
役職は……『民間協力者・管理局の白い悪魔』。
「白い悪魔……」
「使えば解ると思いますよ」
少しむっとする恭也を知ってか知らずか、義之が言った。
そして、バトルが始まる――。
一戦目。
一応このゲーム、アーケードモードでは乱入あり、なしの設定が最初に出来る。
義之はともかく恭也、さくらは初心者なので、当然乱入なし設定。
早速バトルを開始する。
「えっと、何々……まず、『↓↓+A+C』で『カートリッジ』を1本消費して『デバイスモード』変更? 『デバイス』、『カートリッジ』というのは何だ?」
画面を見ると、自分のキャラと『フェイト・テスタロッサ』の名前の下に弾丸マークが6つ×3列ならんでいる。
脇に置いてあった技ファイルを見ながら操作を始める恭也とさくら。
「デバイスとはこの魔法の杖のことか。最初は『アクセルモード』、変更によって『バスターモード』に変更可能。『↓↓↓+A+B+C』で『エクセリオンモード』に変更可能。『テンションゲージ』を1本消費……ふむ、『テンションゲージ』とは、名前の一番下にあるゲージか。その上が『魔力ゲージ』、『スタンゲージ』、『ガードポイントゲージ』、『体力ゲージ』……ずいぶんゲージが多いな」
キャラタイプが『魔導士』であるキャラにのみ存在する『魔力ゲージ』のせいか、このチームのゲージは多い。
ましてその下にカートリッジ表記があるのだから、意外と見づらい…...かと思いきや、このカートリッジ表記やゲージ表記は半透明であり、背景が透けて見える。
そのため、そこが死角になることはまずない。
「ふむ、大体解った。では……これで、『アクセルシューター』だったか?」
コマンドと同時に、『鷹街菜乃香』が杖を突き出す。
ガコン、という音とともにカートリッジを1つ消費。
そして、杖の周りに現れる12個の桃色の弾。
『レイジングハート!』
『Accel
Shooter』
コマンドとともに声が聞こえる。
この声は間違いなくなのはの声だ。
杖からは上手な英語が聞こえてきた。
「声まで本人か……『発射後Dボタンでキャンセル、A
or B or
Cで発射』、なるほど、この長い攻撃動作をキャンセルすることが出来るのか。とりあえず発射だな」
ボタンを押す。
『シューーーート!』
と同時に、相手3キャラにそれぞれ4つずつ、うねりながら飛んでいく光の弾。
「『弾は基本的に誘導しながら飛んでいく。その間、菜乃香は動けないが、Dボタンを押すことによって行動可能になる。ただし、その後は弾の誘導効果が切れるので注意』……中々細かいな」
そういいつつ、タイミングを見つけてDボタン、そして次の動作に入る。
「折角だ、『デバイスモード』とやらを変えて技を……」
入力すると、杖の形が変化。
ビリヤードのキューのように杖を構える。
途端、その前方に現れる桃色の光の塊。
そのサイズは『鷹街菜乃香』自身に匹敵する。
「これが『ディバインバスター・エクステンション』か。遠距離攻撃が得意なキャラのようだ」
味方を見ると、さくらが操る『フェイト・テスタロッサ』が金色の刃をつけた鎌で相手を切りつけていた。
『はぁぁぁぁっ!!』
『Haken
Slash』
動きの速さといい、このキャラは近距離戦闘能力が高いらしい。
そして義之が使う『クロノ・ハラオウン』は……
『ブレイズキャノン!』
『Blaze
Canon』
照射時間の短い魔力砲。
相手が防御している間に行動できるという中々にずるい飛び道具だ。
そのまま突進すると、相手は思わず横に避ける。
「おし!」
途端、そこから複数の輪が現れ、相手を拘束する。
『ディレイドバインド』という技で、不可視の罠を仕掛け、その上に乗ったキャラを少しの間拘束する。
そして接近、打撃。
「万能キャラというわけか」
味方の特性も理解し、恭也は戦いを進める。
そして気がつけば、『テンションゲージ』も溜まり、『エクセリオンモード』を起動。
が、遠距離攻撃のみという慣れないキャラに、恭也の使う『鷹街菜乃香』の体力は残り2割を切り、赤く点滅していた。
「そう言えば、体力がない場合に使える技があったな……」
コマンド表を見る。
『ラストブロウ』と呼ばれるそれは、文字通りの最後の一撃。
1試合中1度しか使用できないが、ガード不能で、体力の6割近くを持っていく最強攻撃。
ただし全てに共通で、連続攻撃には組み込めない。
なので、邪魔されない場所で、確実に当たるように使用する必要がある。
「コマンドは……3種類もあるのか。コマンドは同じで、それぞれボタンで技名が違うようだな」
そして、恭也はそのコマンドを入力する。
画面が暗転、背景に『鷹街菜乃香』の顔がアップで映る。
『いくよ、レイジングハート!』
『Starlight
Breaker』
『鷹街菜乃香』の杖を中心に、収束していく桃色の光。
キャラと同程度の大きさまで集まったところで暗転は解除される。
「む?」
が、収束は止まらない。
どんどん光の玉は巨大になっていき……ついには『鷹街菜乃香』の1.5倍程度にまで膨れ上がる。
『全力全開! スターライト……ブレイカーーーーーッ!!』
ドンッ、と爆発音のような音とともに放たれた光の奔流。
それは画面の3分の2を覆い尽くし、その範囲内にいた敵三人全ての体力を一瞬にして奪い去った。
『Last
Blow
K.O.!!』
どう見ても小学生にしか見えないキャラが放つには、あまりにもえげつない攻撃。
単純な攻撃ほど強い、とはよく言うが、これはその言葉の頂点と言ってもいいのではないだろうか。
「なるほど、白い悪魔……か」
思わず納得した恭也だった。
「恭也先輩上手ですね」
「せっかくだから、勝負なんてどうかしら?」
結局プライズゲームを見ることなくここにいる杏が言った。
「勝負?」
「ええ、この全員で、くじ引きでチームを決めて、勝負。負けたチームは……そうね、罰ゲームもくじで決めましょうか」
「ほほぅ、それは面白そうだな」
「なるほど、悪くないわね」
こういう遊びが大好きな杉並、そして勝負事には目がないまゆき。
普段は敵同士だが、意見が合うが故なのではないだろうか。
「そうだな、俺でもこれぐらい遊べるんだし、参加するのも悪くない。それにチーム戦なら、味方がある程度フォローもしてくれるだろう」
恭也も賛成らしい。
「えっと、私たち、やったことないのですが……」
手を上げたのはななかと小恋。
が、そんなことは気にしない。
「私も茜もやったことないわ。でも恭也先輩の言うとおり、味方しだいでは勝てるかもしれないじゃない」
これがチーム戦の面白いところである。
例え一人が強くても、残りの味方が弱くては勝てるものも勝てなくなる可能性がある。
また、逆に自分が弱くても、残り二人が強ければ勝てる可能性は高くなる。
「それに、罰ゲームもくじ引きよ。酷いことさえ書かなければ大丈夫よ。もっとも、小恋みたいなえっちな人がいると、どんなこと書かれるかわからないけど」
「わ、わたしえっちな事なんて書かないもん!」
思わず反論。
それはともかく、全員に勝ち目と負ける可能性があるバトルロイヤルが幕をあげた……。
「ふぇ〜ん……ボクが負けるなんてぇ〜」
「ご、ごめんなさい……」
「あんまりこういうゲームをしませんので……」
勝負も終わり……最下位はさくら&小恋&由夢の上級者0チームだった。
ちなみに優勝チームは杉並&まゆき&美夏のチーム。
足を引っ張るかと思われた美夏だが、なんとこのゲームをかなりやりこんでいる杉並をも上回る動きを見せたのだ。
流石はロボット、学習能力が半端じゃない。
総人数が十四人だったので、どこか1チームだけ二人で組むことになっていたのだが、そこは運良くというか、義之&渉の上級者チームとなり、問題はなかった。
「とりあえず、罰ゲームね」
三人の前に突き出される箱。
罰ゲームの内容は、それぞれ全員が1つずつ紙に書き、それを入れたくじ引きによって決定される。
一位になった杉並たちに中身を確認させ、問題ある罰ゲームがあるかどうかの検閲もさせている。
なので、あまりトンデモな内容の罰はないと思うのだが、それでも罰ゲームと名がつくものには結構恐怖がある。
「じゃ、じゃんけんで誰が引くか決めよう?」
「そうだね、誰が負けても、どんな内容のを引いても……」
「恨みっこなし、ですね。せーの……」
『じゃ〜んけ〜ん……ぽんっ!』
さくら:グー 小恋:チョキ 由夢:グー
勝敗は、一瞬で決した。
「ふぇ〜〜ん……じゃ、じゃあ、月島、引きますっ!」
泣きながらもくじをごそごそ……
「う〜ん……」
ごそごそ……
「これにしよう、かな」
取り出した紙を開く。
そこに書かれていたのは――
「えっと、『チームメンバー全員で別のくじをもう一回引く。引いたトラブレキャラのコスプレをする』……えぇ〜〜〜〜っ!?」
「はい」
どうやらこれを書いたのは杏だったらしい。
既に別のくじが用意されていたようで、再び小恋の前に箱が突きつけられた。
「なんだ〜、ちょっと安心」
「トラブレキャラ……さっきのゲームですよね? あまりきわどい格好は無かったような気がしますけど、人前ではちょっと……」
「え、で、でも、服はっ!?」
食い下がる由夢と小恋だが、そもそも杏に勝てるはずもない。
「それなら大丈夫よ、プリントシール機の撮影用の衣装があるの。あのゲーム、すごい人気みたいね。見たら全キャラの衣装があったわ。それに、罰ゲームだもの、多少は恥ずかしくないと」
登場する全キャラクターの衣装を貸し出しているのを確認して、杏はこの罰ゲームを用意していたのだ。
『うぅ……』
こうして、美少女(?)三人のコスプレお披露目会が始まるのだった。
「ではでは、お披露目会〜」
元気いっぱい、司会進行を預かるのは花咲茜と――
「というわけで、さくっといこうか。えっと戦績のいい順番ってことで、学園長先生、月島、由夢ちゃんの順で」
――高坂まゆきの二名。
話を聞く限り、一番戦績が悪かったのは由夢らしい。
「では……まずは学園長先生、どうぞ」
まゆきの言葉と同時に、更衣室から出てくる一人の美少女
金髪、碧眼、ツインテール。
手にしているのは漆黒の斧『バルディッシュ』。
着ている服は漆黒の……少々露出の多い服、そして同じく漆黒のマント。
「『芳乃さくら@フェイト・テスタロッサ』で〜す♪」
「やっほ〜♪」
嬉しそうにニコニコしながら、持った斧のレプリカを振り回すさくら。
「さ、さくらさんっ」
「か、可愛い……!」
「学園長先生可愛い〜♪」
実際に金髪であるが故に、その外見の破壊力は常人の数倍。
ましてさくらはどこから見ても、誰が見ても間違いなく美少女
「うわ、さくら先生似合ってますね……」
「ありがと〜♪」
嬉しそうに笑うさくらに、恭也たちだけではない、周囲の人間も惹きつけられていた。
「最初から盛り上がってるね〜。では次、月島小恋ちゃ〜ん」
喧騒が止む中、ゆっくりとカーテンが開いた。
恥ずかしがりながら出てくる小恋。
白、黒、金、3色の服に、スカートはミニスカート。
背中には6枚の黒い翼、白い帽子。
「というわけで、月島小恋@八神はやて(騎士甲冑仕様)〜♪」
ぴょんと飛び出す髪――通称アホ毛――以外は殆どそっくり。
これまたお似合いの格好だ。
が……
「うぅ、恥ずかしいし、胸がきついかも……」
当然だが、こういうところの衣装は一般的な体型に合わせて作られている。
小恋の胸のサイズは、その一般から外れていたらしい。
「可愛らしくて格好いいはずの衣装が、あっという間にエロエロの衣装になるなんて。流石ね小恋」
「胸の辺りがきつそう……うぅ」
杏はやっぱりといった顔をし、音姫は羨ましがっているようだ。
周りの客からも声が上がり、小恋は恥ずかしそうだ。
……そして、このコスプレお披露目会も次で最後。
「さぁさぁ、盛り上がってきたところですが、遂に大トリ、朝倉由夢ちゃん〜」
茜の声とともに周囲の喧騒が止む。
小恋の時同様、ゆっくりとカーテンが開き……これまた小恋の時同様、恥ずかしそうに、由夢がその姿を現す。
真っ白いワンピース。
そして何故か、犬(狼?)耳にしっぽ。
「『朝倉由夢@綺桐
綺桐遙香……モチーフは忍の伯母に当たる綺堂
彼女は夜の一族(ヴァンパイアの一種)と獣人のハーフであり、日常では隠しているが、獣の耳と尻尾を持つ。
このことは大半の人間には秘密なのだが、彼女をモチーフにする際、事情を知る忍がこっそり付け足したというエピソードがある。
「由夢ちゃん可愛い〜♪」
「う、ゆ、由夢……」
「由夢ちゃ〜ん!」
先ほどのさくらのコスプレは非の打ち所が無いぐらいに似合っていた。
小恋のコスプレには可愛らしさと色気があった。
それに対して由夢のそれはただ単純に、可愛い。
勿論似合ってもいるし、結構似ているとも思うのだが……本人の外見、更には耳に尻尾である。
特定の人には致死ダメージを与えるほどに可愛らしい。
「うぅ、恥ずかしい……まさか、このキャラを引くなんて……」
全員で揃ったのを見て、渉などは涙を流して喜んでいる。
が、三人、特に由夢と小恋にはたまったものではない。
大急ぎで元の服に着替えると、恭也たち残りのメンバーを連れてゲームセンターを飛び出した。
「あ〜、楽しかった♪」
「私も〜♪」
「ゲームも中々面白いな。……それにしても、まさかここまで進歩しているとは……」
遊んで満足のさくら、ななか。
美夏も楽しんでいたようだが、やはり進歩した技術が気になるらしい。
「もう夕方ね。写真も撮ったことだし、そろそろ帰りましょう?」
「そうだな、暗くなると危ない。そろそろ帰るか」
「そうだね、じゃあ、帰ったら晩ご飯用意しないと」
杏の声かけに、応じる恭也と音姫。
商店街の出口までは皆一緒なようだ。
「……? 今、なんか不穏な言葉が聞こえたような気がするんだけど……」
「……奇遇ですね、小恋先輩。私もです」
違和感を感じた小恋と由夢。
台詞を思い返してみる。
『あ〜、楽しかった♪』
『私も〜♪』
『ゲームも中々面白いな。……それにしても、まさかここまで進歩しているとは……』
違う、ここじゃない。
そのまま次を思い浮かべる。
『もう夕方ね。写真も撮ったことだし、そろそろ帰りましょう?』
「写真も……」
「撮ったことだし……」
はっとして、二人同時に顔を上げた。
『しゃ、写真!?』
「そうよ。来週には皆に配るわ。じゃあ私、そろそろバスだから」
しれっと言うと、杏はバスに向かう。
「ちょ、ちょっと杏!? 待ってよ〜!」
「雪村先輩!? ちょ、そ、それは……!!」
必死に杏を追う二人。
が、それは結局音姫とななかに止められてしまう。
……翌週、二人が写真を見て真っ赤になっていたというお話は、いずれ機会があれば――。
SoU「おまけの話〜♪」
彩音「今回のお題は?」
SoU「う〜ん、掲示板で少しネタになった、『芳乃さくら@フェイト・テスタロッサ』かな?」
彩音「もともと自分のサイトで連載中のSSにも出てきますよね、トラブレ」
SoU「いつか全キャラの技表や特性を書きたいんだけどなぁ」
彩音「過去にCLANNAD格闘ゲームとか書いてますよね。ゲームシステムや全キャラの技表も現在公開中ですけど」
SoU「ああいうネタは大好きです」
彩音「私もです。それにしても、『小恋@八神はやて(騎士甲冑仕様)』ですか」
SoU「髪型の都合で他のキャラじゃイメージが沸かなくて困ったよ」
彩音「胸の話とかは……『小恋ちゃん=いじられキャラ』ですからね」
SoU「うむ。一応他の子たちでも少しは考えたんだけどな。『ななか@リィンフォース』とか、『杏@リィンフォースU』とか」
彩音「『音姫@シャマル』なんかもいいかもですね」
SoU「あぁ、いいですなぁ……まゆきが浮かびにくいけど、『まゆき@御剣いづみ』とか?」
彩音「後は……『茜@フィアッセ・クリステラ』とかでもいいですね。個人的にはとらハじゃなくなりますけど、髪型的に『茜@松平瞳子』なんですけど」
SoU「あぁ、ドリルやバネに見えなくも無いし。美夏は……晶かリスティ(学生時代)かな……中々浮かばない」
彩音「妄想の世界に旅立ってますね……それより、次回のEXは?」
SoU「一応20話発表後を予定してる」
彩音「そこまでにどれほどお話が進んでいるか、ですけど。で、内容は?」
SoU「一応小ネタを仕込んでいるのもあるので、D.C.L.H.本編でどこまでネタになりそうな話を書けるか、にかかってる」
彩音「無理だとは思いますけど、一応、期待しておきます」
SoU「(しくしく」
彩音「それでは♪」
SoU「無視されるし_| ̄|○」
今回は本編とは関係ない外伝的なお話。
美姫 「にしても、身内だらけのゲーム」
素で格闘ゲームになる知り合いってどうだろう(笑)
美姫 「とらハらしいわよね」
まあ、確かに。って、そうなのか!?
美姫 「まあ、今回は外伝だから、襲撃とかを考えずにほのぼのとしたお話でよかったわ」
うんうん。恭也も進化したみたいだしな。
美姫 「イ○ベー○ーじゃなく、しかも3Dのゲームに対応するなんてね」
いや、流石にそれはバカにしすぎだぞ。
美姫 「ともあれ、ありがとうございました」
本編の方も楽しみにしてますね。
美姫 「それじゃ〜ね〜」