ぴん、ぽん、ぱん、ぽ〜ん♪










※えまーじぇんしー

 この話において、とらハ側の時間軸は美由希兄妹エンド後です。

 美由希は皆伝しており、恭也に彼女はいません。










ぴん、ぽん、ぱん、ぽ〜ん♪











SoUプレゼンツ・クロスSS




『D.C.U〜ダ・カーポU〜』 × 『とらいあんぐるハート3 〜Sweet songs forever〜』




D.C.L.H. 〜ダ・カーポ〜 リリカルハート

第12話:隠蔽戦闘





 

「無手で槍に勝つつもりか……まずはその見積もりが甘かったことを示してやろう」



 瞬間、男が飛び出した。

 一足で間合いを詰め、捻っていた体を戻す反動で槍を突き出す。



「……っ!!」



(はやい……でもっ!)



 確かに槍と言われて真っ先に思い浮かぶのが突き技であり、特筆すべき点もその速度と射程にある。

 だが速度という点において、これ以上の突きを美由希は何度も見ている。



(母さんの射抜に比べれば……これぐらいっ!)



 美沙斗の得意技、射抜。

 後に美由希も直伝され、得意技となったこの奥義は、美由希の知るあらゆる突き技に勝る最速の突きである。

 故に――



「ふっ!!」



 ――上体を左に反らす……ただそれだけで男の突きを回避。

 そして、突き出していた左手で槍を軽く押しのけ――



(! 来るか!)



 男も何かを感じたらしい。

 とっさに踏み込み、後ろへと飛ぶ。



「っ!!」



 ――お返しとばかりに美由希も一足。

 が、その移動距離と速度にかなりの差がある。

 結果、男がバックステップしたにもかかわらず、槍の先端を払いのけた美由希は次の瞬間男の懐に飛び込んでいた。



「くっ!」

「はああああっ!!」



 衝撃。

 男の鳩尾付近に食い込む美由希の左肘。

 槍の初撃を、美由希は左腕一本で捌いてしまった。



「……やるな……!!」



 男が左手を美由希の肩に伸ばす。

 が、その手は数センチ手前で一瞬停止する。



「ふっ!!」

「!? ぐっ!!」



 そして次の瞬間……爆発でも起きたかのように美由希が吹き飛んだ。



「なっ!?」

「な、なにが、どうなってるの……?」



 槍を持った男が現れた時点ですでに驚きの渦中にいる音姫たちだったが、今の攻撃はさらに意味がわからない。

 だが……受けた美由希自身はその攻撃を理解していたらしい。

 空中で体勢を立て直し、しっかり着地する。

 吹き飛んだその距離、およそ2メートル。



「……ワンインチパンチ……!!」

「武術にも詳しいか。……このような場でなければ、楽しい戦いが出来るのだがな」



 男の攻撃をそう呼んだ美由希だが、どうやら美由希にとっては不利になる技らしい。

 わずかに苦悩の汗が見える。



「お、おい杏、ワンインチパンチって何か知ってるか?」

「本で見たわ。截拳道ジークンドーと呼ばれる武術の奥義の一つね」



 美由希の守りによって半ば外野席と化した義之たち一団。

 あからさまにおかしな動きだったのだろう、思わず義之は杏にあの攻撃について質問していた。



「奥義? そんなにすごいのか?」

「そうね……例えば今こうして、小恋は義之に密着しているわけだけど……その小恋が義之を蹴るのと、私が義之を蹴るのとでは、どちらが痛いと思う?」

「ちょ、ちょっと杏、別にくっつきたくてくっついてるわけじゃ……」



 渉が追加で質問するが、特に動じたこともなく質問で返す。

 その質問の内容にされて小恋が慌てるが意に返さない。

 杏と義之の距離は約50センチ、それほど遠くにいるわけでもない。



「とりあえず……そりゃ杏の攻撃の方が痛いだろ。あんまり近すぎても大した威力は……」

「どんな攻撃にも、一番威力が上がる適正距離っていうものがあるわ。で、さっきのワンインチパンチは、文字通りその適正距離がワンインチ、約2.5センチという打撃よ」

「2.5センチ……って言われても、実感がわかないな」

「例を挙げるなら……ズボンのベルトの幅がおよそ2.5センチね。あとは、証明写真の横幅……それと、ブラのカップサイズの変動も2.5センチ刻みね」

「ぶっ!」



 最後のは、ただ数字を言われるだけ以上に実感がわかない。

 が、流石にベルトの幅や証明写真の横幅と言われてようやくイメージが出来たのだろう。

 少し考えるような顔をしてから義之が言った。



「それより……それ、避けられるのか?」

「打たれたら無理ね、間違いなく。美由希の最初の動きを見たでしょ? あの動きで避けられない以上、普通の人間にはまず避けられないわ」



 当たり前だ、と言わんばかりにあっさり言うが、まさしくその通りだ。

 美由希の初動ははっきり言って見るので精一杯だった。

 あの動きが咄嗟とっさに出来る美由希でさえ避けられないのだ。

 人間には回避不能と言っていい。

 そして、それは美由希にとって、中距離戦闘を余儀なくされるに等しい。

 が……それこそ無謀。

 そもそもその距離こそが槍の真骨頂。

 相手の攻撃が届かないところから、速度に任せた攻撃を放つ。

 先ほどの美由希のように接近しても、待っているのは回避不能の打撃。

 あれほどの衝撃である、たとえ防御してもかなりの距離を弾き飛ばされるだろう。

 そうすれば再び中距離戦闘のやり直し。

 美由希側が一方的に精神力、体力ともに削られることになる。



「タフネスもかなりのもの、か……流石に素手じゃ厳しいかな」

「ほぅ……不可能と言わないのは虚勢か? それとも……何かを隠しているか?」



 美由希の動きが普通ではないことは、すでに体験している。

 が、その並外れた動きだけでは自分を倒すのに届かない。

 それでも美由希は「素手では厳しい」と言っている。

 それはつまり……その動きの先がある、ということ。

 さらに言うなら、「素手では厳しい」ということは、素手ではない攻撃方法があるということでもある。



「貴様の獲物……見せてもらうぞ!」



 再び男が動いた。










「ふっ!!」



 懐から、三人が銃を抜く。

 瞬間、恭也は大きく右に飛び出した。



「! ちっ!!」



 力強い踏み込みにより、恭也の体はまさしく弾丸の如き速さで動く。

 威嚇の意味も込め、手始めに3発。

 そして放たれた銃弾は、横に移動する恭也を追うように着弾する。



「サウンドサプレッサーを使った状態でこの精度か……銃の腕はかなりのもののようだな」



 サウンドサプレッサー(日本ではよく“サイレンサー”と呼ばれる)は、いわゆる減音器である。

 銃によってはジェット機の爆音程度の音を電話のベル程度の音にすることが出来る。

 が、どの銃にでも使えるわけでもなく、また、精度が低下するという欠点を持つ。

 それをつけた状態で恭也を的確に追いかけるその精度に、恭也も内心舌を巻く。



「……両サイドの二人が持っているのはブローニングハイパワー、それに真ん中のは……コルト・ガバメントか」



 両サイドの二人の銃……正確には、FNブローニング・ハイパワー。

 世界初の自動拳銃のグリップ内複列弾倉を実現した、いわゆる“プロの使う拳銃”。

 装弾数は十三……攻撃力こそ低いものの、避け続けるには正直つらい。

 そして、真ん中の女性が持つ銃、“コルト・ガバメント”。

 70年以上に渡り、アメリカ軍に正式採用され続けた名銃。

 その威力と扱いやすさから”ポケット砲兵”と呼ばれた。

 装弾数は七……両サイドの二人の弾丸で機動力が低下するようなことになれば、間違いなくこの一撃が飛んでくる。

 そして、その一撃は間違いなく致命傷となる。



「もう一人も気になるが……とにかく、両サイドを沈黙させないと厳しいな……」



 ただでさえ銃使いは、複数いるとその欠点である弾切れ時の装填の隙をカバーされてしまう。

 当然弾数が多ければ、装填回数そのものが減るため、隙は激減する。

 まして、この状況で撃ち続けられれば、いずれ人が来る可能性もある。

 相手がそれでもかまわないと思っているかどうかはともかく、恭也の望むところではない。

 とりあえず駆け抜け、桜の木の陰に隠れながら移動、接近していく。



「この速度もですが……発砲されても動じない……戦い慣れ、してますね」

「それに、木の陰から別の木に移動する際の気配がない……さっきまでの認識自体が甘かったとしか言いようがないですね」

「ええ。ですが、それでも……やりようはあります」



 木から木へと、狙いを絞らせないほどの動きを見せる恭也。

 それに対抗すべく、二人の女性はさらにもう一丁、銃を抜いた。



「二丁拳銃……っ!!」



 が……逆に恭也はこの時を待っていたのだ。

 二丁拳銃はどうしても、通常よりも精度が落ちてしまう。

 仮に発砲されても、被弾する可能性は格段に下がる。

 二人が、両方の銃を恭也が隠れている木に向けた。

 その瞬間、極細のワイヤーである鋼糸を使い、相手から見えないように瞬時に木に登る。

 そして――



「しっ!!」



 ――木の上から、飛針を両手で、一度に投げつけられるだけ投げつける。

 狙いは3人……特定の部位を狙う必要などない。



「!」



 何かが飛んでくるのを感じた三人は、思い思いにその攻撃を避ける。

 ……そして、それが致命的。



「くっ……」



 ツインテールの女性目掛けて一直線に、恭也が走る。

 三人ともに隙を作り、一瞬で接近する。

 が、恭也の目的は、今の行動でこの三人を撃破することではない。

 そもそも、そんなことは不可能だ。

 なぜなら――



「させないっ!」



 ――四人目の声。

 恭也の真正面、ツインテールの女性の背後にある木の上から、突然女性が飛び出す。

 左手には銃……ベレッタM92。

 現在の米軍制式拳銃となっている銃。

 そして、右手には――



「はあっ!!」

「ちっ!!」



 ――特殊警防が握られていた。

 容赦なくそれを振るい、恭也もまた、解っていたようにそれをサイドステップでかわす。

 そのまま他の三人が体制を整える前に、再び木の陰に隠れる。



「燻り出されるなんて……やるようね」



 四人目となる、ショートヘアの女性。

 気配を消すことが得意なのか、恭也を以ってして、その居場所は正確には把握できなかった。

 そこで少々自分の身が危険にはなるものの、四人目を燻り出す作戦に出たのだ。

 第一ラウンドは恭也の勝利。

 が、当然これで終わる相手でもない。



「隠れたままお相手していたこと、お詫びいたします。……それでは、私たち四人が改めてお相手いたします」



 四人目の女性が優雅に、そう言った。










「ふっ!!」



 高速の突き技。

 そして、そこに加わる薙ぎ。

 突いては、払い、突いては、払う。

 工程が一つ増えただけだというのに、美由希は迂闊に中に入れなくなっていた。

 もちろん、中に入ると待っているワンインチパンチの存在もある。

 が、それ以上に、突きと薙ぎの連携というのがマズい。

 突き技というのは、素早く認識し辛い上、いわゆるの攻撃であるため、防御も回避も非常にしにくい。

 が、攻撃がであるということは、その以外の空間は一切攻撃が来ない、ということでもある。

 避けにくいものの、避けてしまえば基本的には隙だらけ、反撃し放題なのだ。

 しかし、そこに薙ぎが加われば話は別。

 薙ぎは、先ほどの突きがであるのに対し、で攻撃する為、突きとは違い、その軌道全てが危険な領域となる。

 その上、突きとは違い薙いだ先をもう一度構えなおすようなことをしなくても、再び別の軌道の薙ぎにつなげる事が出来る。

 その代わり、放たれてしまえばまず軌道を変えることは出来ないため、読みやすく、防ぎやすいという側面もあるのだが。



「あ、あんなの……避け続けられるものなの?」

「最初の一撃避けただけでも、あたしはすごいと思うんだけど……」

「かれこれ1分近く、避け続けているな……これほどに動くとは……高町妹、何者だ?」



 音姫やまゆき、杉並が言う。

 が、どの意見ももっともだ。



「これを避け続けるか……が、避けてばかりでは俺は倒せんぞ」

「わかって……ますっ!」



 今までの攻撃を避けつつ、大体のリズムを掴んだ美由希。

 タイミングを見て反撃……狙いは相手の突き。

 突きはどうしても、続けて攻撃するために一度槍を引かなくてはならない。

 そして、そここそが最大の隙となる。



「はぁぁぁぁぁっ!!」

「無駄だっ!!」



 飛び込んできた美由希に、男が拳を繰り出す。

 が――



「ふっ!」

「むっ!」



 ――男が攻撃する瞬間、美由希が軽く足を払った。

 それにより、本来踏み込みの強さでカバーしていた打撃は威力激減、美由希もわかっているのか、男の打撃を一切無視、逆に強く踏み込み――



「せいっ!!」



 ――男の脇腹を左の拳で突き上げる。



「ぐっ!!」

「はぁぁぁぁぁぁぁっ!!」



 そのまま、今度は逆……右手で、逆手に小太刀を抜き、峰で顎をかち上げた。



「ぐはあっ!!」



 男が仰け反る。



「な、か、刀!?」

「剣術をやってる、って言ってたけど……」

「も、持ち歩いてたんですね……気づきませんでした……」



 丸腰だと思っていた美由希が突然刀を出したことで、一同が驚く。

 美夏も茜も由夢も、もちろんそれ以外のみんなも、常に小太刀を持ち歩いていたことには気づかなかったのだ。



「せぇぇぇぇぇいっ!!」



 そして、フィニッシュと言わんばかりの胴回し蹴りがこめかみにヒットし、男は大きく弾き飛ばされ……そのまま倒れた。



「……ふぅ」



 大きく息を吐き出し、男を見る。

 動く気配はない。

 目は白目を向いていて、意識はないようだ。

 それを確認して、隠し持っていた鋼糸で男を縛り上げた。



「美由希、お前……」

「義之くんごめん、説明は後でするよ。とりあえず今は警察に連絡しないと。それに、恭ちゃんのサポートにも行かないと」

「えっ? 恭也先輩って、忘れ物を取りに行ったんじゃないの?」



 恭也のサポート、という部分に小恋が反応する。



「ううん、あの時私たち、前後から挟み撃ちにされるところだったんだ。だから、私が前で、こっちより手ごわい後ろを恭ちゃんが」

「えっ!? 手ごわいの!?」

「うん……後ろからは四人来てたし……少しだけど音が聞こえた。多分、相手は銃使い」

「銃!?」



 驚きの連続だ。

 今の敵より手ごわいというのも問題だが、四人、それも銃使いである。

 どう考えても普通、剣術家では勝ち目はない。

 はずなのだが……



「多分、サポートに行く頃には終わってると思うけどね」



 笑顔で言う美由希に、本日何度目になるかわからない、唖然とした顔を向ける一同だった。










 ショートヘアの女性も警棒をしまい、もう1丁銃を取り出す。

 三人がそれぞれ持つ2丁の拳銃から次々と発射される銃弾。

 それを恭也は木々に隠れるように移動しながら回避する。

 銃弾など目視してから回避することなど出来ない。

 恭也は相手四人の目の動き、手や足、その他体の動きなどから狙いを推測し、発射される前にその射線から体を外すように動いている。

 相手の動き全てを認識することによってその先の行動を読む。

 これは特に乱戦において必須とも言える技術である。

 その能力を恭也は確実に身につけていた。



「くっ、当たらない……っ!!」

「どうしてですか!? こんな……っ!!」

「私も撃ちますっ!!」

「だめです……あの人は私たち全員の動きを把握している……あなたが撃っても結果は同じです。数が少ない以上、弾は無駄にしない方がいいわ」



 女性たちは慌てていた。

 これほどまでに攻撃が通用しない相手などいなかった。

 6門もの砲門から放たれる銃弾の雨を危なげなく避け、更にその合間に隙を見つけては針を投げてくる。

 むやみに大きな回避をすれば、先ほどのように猛烈な速さで突撃してくる。

 相手の動きが信じられなかった。

 が、それへの対応策がない。

 マシンガンやガトリング砲といった弾数に任せた武装を、今回は誰も持っていない。

 また、ショットガンのように一撃で広範囲を攻撃する武装もまた然り。

 今回の銃は、全て彼女たちの愛銃とも言える武器であり、昔から使っているものなのだ。

 流石に、性能は現在の最先端技術で作られた銃よりも劣ってしまう。



「でも、このままでは!」

「そうね……弾が切れればそれまでね。幸いいくつか銃はあるけど……当たらなければ意味がないわね」

「なにか、手段は……」

「全員で、一点集中一斉射撃……ぐらいしかないわ」



 相手の行動を多少制限するつもりで三人6丁の銃を乱射していた女性たちだが、着弾地点を読まれてしまっている以上、当たることはない。

 全員が銃弾をばら撒いているため、銃弾の密度が低く、その為回避は比較的容易なのだ。

 もちろん、比較的容易・・・・・だというだけで、常人にはほぼ回避不可能な攻撃であることに変わりはないのだが。

 だがそれも、一点集中一斉射撃となれば話は別。

 全ての銃弾が……単一の目標を、集中的に、多面的に、一斉に、狙う。



「ですが……もしこれが回避されるようなことになれば……」

「その時は……私たちの負けです」

「私たちの武器は銃のみ……これで倒せなければ、どうやっても倒せないでしょう」

「一世一代の賭け……ですね」



 しかしこの攻撃は彼女たちにとっても諸刃の剣。

 当たれば一発KOだが、もし避けられれば……銃弾が散っていない分、あらゆる方向において隙だらけになる。

 もし反撃で仲間が一人でも倒されれば、そこで終了。

 4対1でも勝てない相手に、3対1、2対1で勝てるはずがない。

 故に……これは最後の作戦。



「……あの人は、他に何か持っていると思いますか?」



 ストレートの女性が言った。

 先ほど長い針を投げつけられたのは、全員確認している。

 が、あれでは当然、急所にでも当たらない限り相手を倒すことは出来ない。

 ならば……彼には本命・・とも言える武器がある、そう考えて間違いない。



「解らないわ……でも、あの機動性、牽制用の遠距離武器とくれば……残るはおそらく……」

「ええ、きっと、接近戦用の武器……」

「出されたら、終りね。でも、弾に限りがある以上、長引けば不利です。……決めます!」



 恭也の武装である小太刀をある程度読んだ四人。

 攻撃回数に限りがある武器を使い、更に近接戦闘能力が皆無である四人にとって、この事実はかなり不利になる。

 ただでさえ、現時点で自分たちの攻撃はかすりもしていない。

 つまり……このまま弾切れまで回避され続ける、などということになれば、反撃で瞬殺される。

 時間が経てば不利、故に……一点集中砲火、回避できないほどの物量作戦。



「いきます!」



 そう言うと、ツインテールの女性が初めて明確な意思を持って銃を向けた。

 今まで威嚇のつもりで銃を向けていただけ、発砲されることはなかった銃、コルトガバメント。

 それを、少々細めの木に隠れていた恭也目掛けて放つ。

 ……数発。

 その威力は大きく木の幹を抉り、そして――



「ちっ!!」



 ――一本の木を折るに至る。

 恭也もそこに隠れているわけにもいかず、とっさに飛び出し……囲まれた。



「今ですっ!!」

「覚悟っ!!」

「これで!!」

「最後です!!」



 殺気が膨れ上がる。

 そして恭也もまた……それにつられるように殺気を膨らませる。

 時を、最も危険なタイミングを見誤るほど、恭也は甘くない。



(ここが……勝負所だっ!)



 瞬間、心臓の音がより大きく鳴り響いた。

 そして世界は一瞬のうちにモノクロに変わる。

 ……奥義の歩法、神速。

 これにより得られた、通常よりも引き伸ばされた・・・・・・・時間を用い、恭也は周囲を確認する。



(銃口の向きから……第一射はこの位置で当たらないな。仕掛けは……大丈夫だな)



 回避出来るかどうか、そして、しっかりと反撃の準備が整っていることを確認する。

 そして……一斉に放たれる銃弾。

 全部で7発。

 それをその場で、一切動くことなく回避する。

 相手は当然、命中したかどうかなど確認することもなく、第二射を行おうと、再び狙いを定める。



(ここだっ!!)



 その合間に……恭也は大きく手を振り上げた。

 女性の周囲に一瞬きらめく光。

 それは、銃がもう一度弾丸を吐き出すよりも先に――



『きゃあっ!?』



 ――四人全員を縛り上げた。



「……上手く、いったか……」



 今まで木々に隠れるように移動し続けていたのは、もちろん銃弾を防ぐためだ。

 が、そこにもう一つの意図……すなわち、鋼糸で罠を張る事があったのだ。

 女性が一箇所の固まったこの瞬間を狙い、罠を起動。

 全方位から一斉に鋼糸が襲い掛かり、それは第二射よりも速く女性たちを縛り上げたのだ。



「くっ……これまで……ですね……」

「殺しなさい……」

「それとも……このまま私たちを辱めるつもりですか?」

「もう……だめなのね……」

「……すまないが、少し眠っていてくれ」



 女性たちを手刀で沈黙させ、それぞれを鋼糸で縛る。

 リスティに連絡を入れたところで、視線を後ろに向けた。



「恭ちゃん、終わったみたいだね」



 そこに現れる一行。

 それを見て、恭也はふうっ、と息を一つ。

 そして、笑顔で合流する。



「そっちはなんともなかったようだな」

「うん。恭ちゃんも……大丈夫だったみたいだね」

「あぁ、これぐらいなら……と言いたいが、流石に銃相手だとそれ程余裕もないな。銃の性能面で助けられた部分もある」



 などと言い合う二人。

 が、当然音姫たちはそんな話で終わられてはたまらない。



「ね、ねぇ、恭也さん、美由希ちゃん……どういう、こと?」

「私も……聞きたいです。あの男の人は、私たち全員に用がある感じでした。それは……どういうことですか?」

「私たちが狙われて、そこに恭也くん、美由希ちゃんのような凄腕の人がいた……偶然なんかじゃないよね?」



 音姫、由夢、まゆきが言う。

 昨日の出来事も含めて考えると、恭也が美由希がこのメンバーと一緒にいたことは、偶然じゃない、と結論が出てしまう。

 それはつまり……



「二人とも……こういうことが起こるって、知ってた、ってことか?」



 義之が言った。

 ……ここまで知られてしまった異常、もう隠すことは出来ない。



「……そうだ。俺たちは、こういう事が起きた際に、皆を守る……護衛のためにここに来た」

「細かいことはとりあえず……どこかに集まって話したいんだけど」



 美由希の言葉に、全員がうなづく。

 話し合いの結果、芳乃家に集まり説明をすることになったのだった……。








SoU「SoUと〜」

彩音「彩音の〜」

二人『あとがきラジオ・リリカルハート放送局〜♪』

彩音「ようやく三回目ですね」

SoU「更新が遅くてすみません」

彩音「解ってるなら少しは急いでください……っと、では今回もゲストさんを!」

SoU「カモン!」

音姫「え、え〜と……朝倉音姫です、よろしくお願いします」

彩音「ふわ〜、綺麗な方ですね〜」

音姫「い、いえ、そんな、彩音さんこそ、お綺麗ですよ」

彩音「う、て、照れますね……」

SoU「……っと、それはともかく」

彩音「早速ふつおたコーナー!」

SoU「んじゃ、音姫っちよろしく〜」

音姫「お、音姫っち……はちょっと勘弁して欲しいかも。……えっと、“ローを制するものは世界を制す”さんから」

SoU「また、地味に熱いHNだなぁ」

音姫「“ここ最近でプレイ、クリアしたゲームはなんですか?”だそうですよ」

SoU「ふむ……2007年2月8日現在だが、とりあえず箇条書きでクリアしたものを」


・うたわれるもの 〜散りゆく者への子守唄〜(PS2)

・C.D.C.D. Circus Disk 〜Christmas Days〜(PC)

・はぴねす!(PC)

・はぴねす! りらっくす(PC)

・デッドライジング(360)

・地球防衛軍3(360)

・シャイニングフォースイクサ(PS2)

・Routes PE(PS2)

・はぴねす!でらっくす(PS2)

・SHUFFLE! オン・ザ・ステージ(PS2)

・Tick!Tack!(PC)

・Really?Really!(PC)


SoU「で、プレイ中は……」

彩音「『夜明け前より瑠璃色な -Brighter than dawning blue-(PS2)』ですね」

音姫「えっちなのばかりかと思ったけど、普通のもやってるんだね」

SoU「まぁ、ね。手当たり次第よさげなのを掴んでやってる」

彩音「一つお聞きしますが……」

SoU「ん?」

彩音「マスターが自分で言った通り、『はぴねす!でらっくす』の発売日の一週間ほど前に、『はぴねす!』と『はぴねす! りらっくす』をコンプしているのを見たように思うのですが……」

SoU「おうよ。PS2版の追加要素を見たら、伊吹と沙耶がメインヒロインになってシナリオ大幅増量っていうから、クリア後に予約しちゃった、てへ♪」

音姫「さ、流石は“気に入ったものは徹底的に”が信条なSoUくん……」

SoU「というわけで、もしかしたら別のクロス作品も送るかもです」

彩音「別のですか?」

SoU「そ。『夜明け前より瑠璃色な』は今はまだ置いといて……『はぴねす!』とのクロスにするか、『Routes』とのクロスにするか、はたまた『SHUFFLE!』とのクロスにするか考え中。正確には、どれも書きたい……」

音姫「でも、ただでさえ遅い執筆が、さらに遅くならない?」

SoU「……否定はしません_| ̄|○」

彩音「だめじゃないですかっ! せめて、今まで多少書き進めたものを渡すとか」

SoU「書いたもの……一応これだけ」


・KAS(Kanon After Story)
 祐一が元いた学校に戻って繰り広げるドタバタ話で、数箇所に選択肢があり、選択次第で文章の内容や話の進み方が変わる。
 『D.C.L.H. 第05話 体育の星』で登場した『輝月』、『笹原』、『相沢』はこの作品が出典。
 ちなみに今まで書き進めた本編中において、『輝月』、『笹原』は一度も登場していない_| ̄|○

・華音〜空に還る物語〜
 『Kanon』×『Air』×『ONE〜輝く季節へ〜』×『MOON』]×『とらハシリーズ』×『月姫』という超無謀なクロス物。
 おまけにキャラ一人一人に特殊な能力が追加されてたり、学生時代のさくらと同じく学生時代の忍が共存していたりする。
 あまりにも支離滅裂すぎ、さらに作品を追加したくなったりと欲望が肥大、結果、シナリオ破綻、凍結_| ̄|○

・SUNNY-MOON
 パソコンで書いた初のオリジナル作品で、主人公が、行方不明になった恋人を探し、ゲームの中の世界に辿り着く、というファンタジー物。
 『あとがきラジオ』のパーソナリティーの一人である『彩音』はこの作品のヒロイン。
 ある程度進めたところで、足りない表現などを見直して書き直しを敢行、結果、筆が進まなくなり一時凍結中_| ̄|○

・魔法少女リリカルなのはPenetration
 A'sから二年後の話で、ロストロギアをめぐって次元世界の存亡を掛けた戦いの話……になる予定。
 新キャラ、新ロストロギア、新デバイス、新魔法……オリジナル要素をこれでもかというほど詰め込んだ無謀作。
 現在3話まで書いているもののモノになりそうにないため、設定だけ保管して保留中_| ̄|○

・The universe of confusion
 『Kanon』×『Air』×『CLANNAD』×『ONE〜輝く季節へ〜』×『D.C.P.C. 〜ダ・カーポ〜プラスコミュニケーション』という超無謀なクロス物。
 大雑把な設定、立ち位置はある程度そのままに、オリジナルの舞台、設定を使用。
 ロボットなどは一応オリジナルだが、現在設定で停止……キャラ多すぎだっ!!_| ̄|○


彩音「全部がっくりしてますっ!! しかも大きくなってますっ!!」

音姫「結構書いてるね〜……」

SoU「あとは……」


・藤林椋救済シナリオ
 原作の椋シナリオを、椋の救済と勝平の救済をメインに置いて書き直すことを目的とした話。
 うまく完結すれば……と思っているが、自分の手前の番で更新が停止してしまい、現在思案中。
 ちなみに、一応[藤林椋再生計画内イベント リレーSS公開ページ]の管理人……最大の問題は、全然管理できてない事_| ̄|○

・A long long slope
 原作椋シナリオのその後の話。
 非常に短いが、当時の自分はこれでいっぱいいっぱいだった。
 甘いといえば甘いのだが……甘いだけな気がする微妙な話_| ̄|○


SoU「これ以外にワープロ時代に数本。……長編も得意じゃないが……一発作業の短編は滅茶苦茶苦手で、今までに一作しか書いてない」

音姫「でも、小説書けるのはうらやましいなぁ……」

SoU「いや、書ける部類に入らないし……」

彩音「がっくり、一気に小さくなりましたね……あ、そう言えば音姫さんは原作中で、小説の才能のなさに絶望してたんでしたっけ」

音姫「そうなの〜……うぅ」

SoU「な、泣いてる……」

彩音「さ、と、とりあえず、ふつおたはこの辺にして、本編の話を」

SoU「ういうい。……結局軍配は美由希、恭也にあがったわけだが……ここでも実は伏線を少々」

彩音「ですから、張りすぎですって……ぜ〜ったい、回収できないと思います」

音姫「今までの伏線、覚えてるの?」

SoU「もちろん。ここに繋がるまでの伏線も少し……つまりは回収し終えた伏線もある」

彩音「では……物語の終盤に繋がるであろう伏線は?」

SoU「う〜ん……言っていいのか微妙だけど、片手いっぱい程度はあるかな」

音姫「ラストまでにどれぐらいになる予定?」

SoU「両手両足の指分ぐらいにはしたい……念のために」

彩音「回収できなくても気にならない程度の小さなものも含めて、ですね」

SoU「そう。ちなみに今回のタイトルもちょっと伏線」

彩音「まぁ、これは回収するかどうか微妙ですね」

SoU「あぁ。で、中身の続きだが……ついに全員に説明することに」

彩音「どこまで説明する予定ですか?」

音姫「どこまで?」

SoU「!? い、いやいやいやいや、なんでもないなんでもない。とりあえず、話は進みます」

彩音「そ、そうですね!」

音姫「む〜……怪しい」

SoU「気のせい気のせい」

彩音「で、では、今回はこの辺で。お相手は美月彩音と」

音姫「え、終わり!? え、えと、朝倉音姫と」

SoU「SoUでした。ではまた〜♪」





とうとうばれちゃった〜。
美姫 「さようなら、日常。こんにちは、非日常」
次回は恭也たちの説明になりそうだけれど、果たしてどの部分まで明らかにされるのか。
美姫 「魔法に関係ない子たちもいるしね」
さてさて、次回もとっても気になるのですよ。
美姫 「次のお話も楽しみにしてますね〜」
待ってます!



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