ぴん、ぽん、ぱん、ぽ〜ん♪










※えまーじぇんしー

 この話において、とらハ側の時間軸は美由希兄妹エンド後です。

 美由希は皆伝しており、恭也に彼女はいません。










ぴん、ぽん、ぱん、ぽ〜ん♪











SoUプレゼンツ・クロスSS




『D.C.U〜ダ・カーポU〜』 × 『とらいあんぐるハート3 〜Sweet songs forever〜』




D.C.L.H. 〜ダ・カーポ〜 リリカルハート

第03話:転校初日





「ふぅ……」



 持って来ていた風芽丘の制服に袖を通し、恭也は一息ついた。

 これから、懐かしい学園生活が始まる。



「あ、恭也くんおはよ〜、早いね〜」

「あ、さくら先生、お早うございます」



 部屋から出ると、本日から通う風見学園の学園長、芳乃さくらに会った。

 やはりどう見ても、自分より遥かに年下にしか見えない。



「今日はボクが朝ご飯作ったから食べてってね」

「はい、いただきます」

「それじゃボクは先に行ってるね〜」



 これでも一応先生、早めに学園に行かなくてはならないらしく、さくらは急いで家を出て行った。



「……昨日言われた通り、当面はさくら先生以外の最重要護衛対象に張り付くべきか」



 さくらが言うには、「ボクは多少自分で身を守れるから大丈夫。まずかったら連絡入れるから、それまでは他の人を護衛してね」らしい。

 魔法使いであるというのを信じるなら、多少身を守れるというのもうなずける。



「行くか……っと、桜内は起きてるのか?」



 とりあえず家の中の気配を探る。



(……ふむ、とりあえず起きているようだな。下……洗面所か?)



 そのまま居間に向かうと、居間に義之が入って来た。



「あ、お早うございます」

「お早う。……そういえば美由希がいないな」



 朝の――本人達にしてみれば、軽い――運動までは一緒にいた美由希の姿がない。

 別に気配を消しているわけでもないので、軽く探るだけであっさりと見つかる――



「あ、美由希でしたら風呂入ってます。……流石に音姉や由夢以外の女の人が、自分の家で風呂に入ってると結構緊張しますね」



 ――のだが、居場所はそれよりも前に、義之に告げられた。

 なんとなくだが、気恥ずかしいらしい。



「そうだな……流石に俺も、家で月村や神咲さんが入浴している際には風呂場には近づかないようにしているからな」

「その方がいいでしょうね。変な疑いもかかりませんし」



 女性が多い家に住むのは、やはり何かと大変らしい。



「とりあえず、美由希が上がってきたら飯にしましょう」

「そうだな。これだけ早く起きたのに、遅刻は避けたいからな」



 それから10分もしないうちに美由希が風呂から上がり、朝食をとる。



「そういえば、ここから学園まではどれくらいかかるの?」

「そうだな――……」



 他愛もない会話をしつつ、食事。

 そのまま家を出る時間になる。



「っと、そろそろ――」



 言いかけたところで、チャイムが鳴る。



「む?」

「――来たか。音姉と由夢ですよ」

「あ、そっか。家、お隣だもんね」



 そう言うと、3人は外に出た。










「おはよう、弟くん、恭也さん、美由希ちゃん」

「おはようございます、兄さん、恭也先輩、美由希先輩」



 義之の言うとおり、玄関の前には音姫と由夢がいた。

 昨日は私服姿だったが、今日は当然制服だ。



「おはよう、音姉、由夢」

「ああ、おはよう」

「おはようございます。うわぁ……こっちの制服、可愛い……」



 風見学園は、女子の制服のみ付属と本校で大きく違う。

 当然音姫は本校の、由夢は付属の制服を着ている。



「確かに。うちはうちで種類が豊富だが、こういった感じのものはないしな」

「そうだね、選び甲斐はあるけど、最初はちょっと面倒かも」

「そんなに種類があるんですか?」



 由夢が思わず尋ねる。

 制服に複数種類があって選択できる、などという学校は聞いたことがなかった。



「えっと、組み合わせ次第ですが、全部で28種類でした」

「に、28種類!?」

「それはすごいですね……ちなみに男子の制服はどうなんですか?」

「……男は学生服2種、ブレザー1種の計3種類だな」

「くっ……」



 男の扱いの酷さに心の中で涙する義之だった。



「とりあえず行こうよ〜、遅刻はやだよ〜」

「そうですね」



 五人は学園に向かって歩き出した――。







◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇







「本日より風見学園に交換生徒として来た方を紹介します」



 教師の言葉に、本校2年3組の教室はざわめきだす。



「どんな人かな〜」

「可愛い子だといいな」

「格好いい人だといいな〜」

「はぁ……さ、入ってきていいわよ」



 好き放題言う生徒達を先生は無視し、廊下にいる人間、恭也に声をかける。



「はい」



 ガラッ



 教室のドアを開け、恭也が中に入る。

 途端……ざわめきが止んだ。



(む……予想以上に無愛想な男で驚いたようだな……仕方ない)



 一斉に沈黙したのを見て自分を怖がったためだと思った恭也は、母に教わった緩和行動をとる。



「では自己紹介を」

「はい。海鳴から来ました、高町恭也です。至らないところも多いですが、よろしくお願いします」



 少しでも怖がらせないために……恭也がとった行動は、母が経営する喫茶翠屋で接客の際に使用する営業スマイルだった。

 それはまさしく鋭い刃となって、クラスの大半の女子の心に突き刺さる。

 見たものの大半を一撃で落とすという恭也の営業スマイルは、ここ、初音島でも効果を存分に発揮していた。



「うわぁ、これは……」

「う……流石に私も、これは……」



 そのクラスにいた音姫とまゆきも、その破壊力に多少なりともダメージを受けているようだった。

 なんとなくだが、頬が赤い。



「そっ、それでは高町くんはそこの席に座ってください」



 先に我に返った教師が指し示したそこは、音姫とまゆきの間の席だった。

 男子の方が1人少なかったこのクラスでは、席替えのくじ引きの際、引かれなかった席が空席になる。

 丁度音姫とまゆきの間の席が空白になっていたのは、こんな偶然からだった。



「よろしくね、恭也さん」

「よろしく、恭也くん」



 両隣の二人が声をかける。

 その声賭けに、クラス中が思わず三人を見る。

 まゆきはともかく、音姫が男子を名前で呼ぶことなど、聞いたことがなかったからだ。

 そして、その後の恭也の言葉に全員目つきが変わる。



「あぁ、よろしく頼む、音姫、まゆき」

『!!』



 その瞬間、教室の温度が一気に下がった。

 クラス中の男子が一斉に、恭也を見る。

 男子全員の憧れといえる二人をどちらも呼び捨てにする男子など、今まで見たことも聞いたこともない。

 音姫と一番仲がいい、とされる義之でさえ、学園での呼び方は“朝倉先輩”だ。

 しかも……まだこの教室の誰も、恭也に自己紹介していない。つまり、事前に恭也と知り合っていたということになる。



「あら、朝倉さん、高坂さん、知り合い?」

「はい、お隣のおと――学園長先生の家に住むことになってまして、昨日代表で港へ出迎えにも行きましたので」

「私は音姫――朝倉さんの家に遊びに行ったついでに会ったので」



 その説明に理解はするが納得は出来ない、という感じのギャラリー。



「そうなの。じゃあ授業を始めましょう」



 そんな周りの空気を無視するように、先生は授業を始める。

 というより、むしろこの異様な空気が続くのが嫌だっただけなのかも知れないが……。







◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇







「おはよう。では早速だが……皆も気になっているであろう交換生徒を紹介しよう」



 恭也のクラス同様、先生のこの言葉に教室がざわつく。

 が、このクラスがざわついているのには、もう1つ大きな理由があった。










「お〜い桜内、交換生徒、どんなヤツだった?」



 ホームルームの前……交換生徒が義之の――本当はさくらのだが――家に来ることを知っていたクラスメイトは、何気なく義之に問いかけた。

 男が住んでいる家に厄介になるのだ、普通誰もが男子だと思うだろう。



「それが聞いてくれよ〜」



 義之への質問に対し、何故か横から渉が返事する。



「すっげ〜可愛い子でさ、く〜っ、またこいつは……羨ましいなチクショウ」

「それはさくらさんにでも言ってくれ」



 板橋の言葉に、クラス中の視線が一点に集中した。



「ちょ、ちょっと桜内! 本当なのそれ!」



 怒鳴り声とも言える声で真っ先に突っかかってきたのはこのクラスの委員長、沢井麻耶だ。

 かなりの堅物であり、問題児と見られている義之たちにはきつく当たる。



「あぁ、どういうわけか知らないけどな。向こうも気にしてないみたいだし、問題ないだろうけど」

「問題ない訳ないでしょ! どんな理由か知らないけど、よりにもよってあんたみたいな問題児の家に女子が一緒に住んでるなんて、大問題よ!」

「ふむ、普通に考えればそうだが……そこには彼女の兄も一緒な上、二人とも剣術に於いてかなりの技術を持っているようだ。特に問題が起こる環境ではなさそうだが?」



 杉並の言葉は的確だった。

 実際義之がこっそり美由希に何かしようとしたところであっさり反撃されてしまうだろう。

 その上、美由希の兄である恭也も一緒だ。

 少なくともその娘の兄が一緒にいる状態で、手出し出来る勇気は義之にはない。

 が、それで納得する麻耶ではない。



「だから、そういう問題じゃないでしょう! 赤の他人である男女が一緒に住むこと自体が問題だって言ってるの!」

「それを言ったら、義之が学園長先生と住んでることも問題になるわね」

「そもそも学園長先生が一緒に住んでて、その上で許可出してるんだし、委員長が言うことじゃないと思うな」

「それに、義之に言ったってどうにもならないよ。言うなら学園長先生にするべきだよ」



 杏、茜、小恋の援護射撃が飛ぶ。

 そもそも口うるさい為あまりよく思われてない麻耶だが、言い合いの相手が義之なこともあり、更に余計な援護がつく。

 ……義之自身は鈍感なせいで解っていないようだが、このクラスも含めて、義之に好意を持っている女生徒は意外に多いのだ。



「くっ……」

「沢井の話はともかく、可愛い子って本当か板橋!」



 先ほどのクラスメイトが、渉に突っかかる。

 あまりの剣幕に周囲の女子が引くが、男子にとってみれば非常に重要な問題なのだ。



「うん、私たちも会ったけど、綺麗な子だよね」

「そうね、見た目は文学少女系。恭也先輩が言うにはドジッ子属性付きみたいだけど、そこがまたいいと思うわ」

「属性とかはよくわかんないけど、綺麗で可愛い子だよ」

『お〜〜〜……せ、雪月花が認める美少女……!!』



 クラスどころか学園が認める美少女三人組、雪月花。

 その三人を以ってして可愛いと言わしめる程の美少女が来るという。

 そんなことを言われては、思春期真っ只中の男子が騒がないはずがない。

 クラスの熱気は今、最高潮に達していた……。










「どうぞ、入って」

「は、はい」



 ガラッ



 入ってきた女子に、クラス中の視線が集まる。

 逆に美由希は、どうしてこんなに視線が集まるのか不思議でならなかった。



「た、高町美由希です。よろしくお願いします」



 ぺこりと頭を下げる。

 その後周囲の反応が不安なのか、おずおずと頭を上げる美由希。

 それを見た男子の反応は……



「おぉ〜……結構地味目だけど、それがまた可愛い……」

「これならあの三人が言うのもうなずけるぜ」

「このクラスでよかった〜〜!」

「ちょっと男子! 静かにしなさい!」



 一瞬の静寂の後、男子は大騒ぎ。

 麻耶が呼びかけるが、まったく応じない。



「え、あ、あの……」



 当の美由希は困ってしまい、ただきょろきょろするばかり。

 そもそも自分の席がどこになるのかもわからない。



「美由希ちゃ〜ん、ここここ」



 いつの間にかあけられていた、義之の隣の席。

 そこを指差して、茜が声をかける。



「うお、いつの間に席が……」

「じゃあ……改めてよろしく、杏、茜、小恋……それに、義之くん」



 その言葉に、一瞬ざわめきが止む。

 いきなり男子生徒を名前で呼んだ美由希に違和感を感じたらしい。

 まして相手は美人に囲まれている義之。

 嫉妬の目が多数向けられる。



「あ、あぁ、よろしく、美由希」



 が、止んだのは本当に一瞬。

 またしても教室がざわめく。



「くっ、白河さんもそうだが、どうして桜内ばかり親密な呼び方を……!」

「よせ田中、所詮俺達はモブキャラなんだ!」

「だが佐藤、俺は田中の気持ちがわかる!」

「何を言う鈴木、俺が田中の気持ちを解らないと思っているのか! もちろん解るさ、痛いほどな!」

「佐藤……くっ!」



 周囲の男子が遠くでいろいろ言ってるようだが、とりあえず黙殺。



(その方が俺の為だ、うん、きっとそうだ、そうに違いない)



 多分その考えは正しい。



「はぁ……それじゃあ授業始めるぞ」



 半分呆れた先生が教科書を開く。

 こうしてお互いに波乱に満ちた学園生活が始まった――。








SoU「ようやく3話〜♪」

彩音「恭也さんと美由希ちゃんの初日ですね」

SoU「あぁ、クラスメイトも勝手に数人名前をつけて出してみた。滅茶苦茶適当な名前だけど、我慢してください」

彩音「騒がしいクラスですね……」

SoU「義之、渉、杉並のいるクラスだぞ。静かなわけあるか」

彩音「否定はしません。……そういえばマスター、全然関係ないですけど、話を区切るのが下手ですよね」

SoU「だからどうしてお前は俺をいじめるんだ(泣」

彩音「だって……最初に書き上げた第1話、すっご〜〜〜〜〜〜く長かったじゃないですか」

SoU「げぼっ! ま、まぁ、あれは長かったかな、と思うけど……」

彩音「第1話と第2話、まるまんまくっつけたのが最初に送ろうとした第1話だったんですよね」

SoU「そうだよ……書き上げて読み直してようやく気づいたんだよ、長いって。で、区切りのいい転入前日のみの話と、翌日の話に分けたんだ」

彩音「そもそも何回か書き直してますよね、この話」

SoU「あぁ、2話のあとがきで“キャラや作品を増やし過ぎると〜”みたいなこと言ってたけど、本当はこれに、アニメ版リリカルなのはとD.C.が入る予定だったんだ」

彩音「アニメ版リリカルなのはともかく、D.C.ですか? 時代的に無理じゃないですか?」

SoU「時代を超える予定だったんだ。で、とらハ系チームとD.C.U系チームが53年前に行く、と」

彩音「どうしてやめたんですか?」

SoU「すっごく単純な理由だ。杉並(D.C.)と杉並(D.C.U)が書き分けられない。キャラとしてじゃなく、文章的に」

彩音「あ〜…………納得しました」

SoU「で、D.C.が削られて、アニメ版リリカルなのはもキャラが多いので削ることにした。カートリッジシステム大好きだからA's後の話になるし、そうなるとキャラが多すぎる」

彩音「確かに多いですよね」

SoU「で、登場作品は今の形になったわけだ」

彩音「お話自体も書き直してますよね」

Sou「最初は出迎えに行く時点で友人一同がいて、家についてからまゆきが訪ねてくる予定だったんだけど……前半の描写だけで第1話と同じぐらいの話になってカットした」

彩音「余計に長かったんですね……でも全部で4回書いてますよね?」

SoU「1回目はリリカルやダ・カーポも込みの話だったからな。なのはやフェイト、クロノ、ヴォルケンズも一緒だった」

彩音「しかも最初に友人一同が迎えに来てるバージョン……自己紹介やキャラ説明で2話いけるぐらいの長さになりますね」

SoU「で、2度目がリリカル削除バージョン。でも友人一同が出迎えに来てて、長くて削除」

彩音「3回目は?」

SoU「3回目は美由希もいないバージョン。恭也一人で島に来てみた」

彩音「? 書くキャラが減るから結構楽なんじゃないんですか?」

SoU「いや、それが……頭の中で何度シナリオを展開させても、結局守りきれなかったんだ、護衛対象を」

彩音「あ、あはは……さ、流石にこの人数を一人で守るのは無理でしたか……(汗」

SoU「本当は、守りきれないのを承知な上で、美由希を出すのはどうしようか考えたんだ。美由希を書くのが苦手だから」

彩音「でもお話として破綻しちゃいますからね……」

SoU「そういうこと。で、今のに落ち着いたわけだ」

彩音「なるほど……ところで仕事中にも考えてますよね、この設定」

SoU「どうやら自分はやっぱり設定魔らしい……細かい設定がそこそこ出来上がってしまった……恐るべし」

彩音「あはは、まぁ、設定が出来てくれたほうが、私としては少し安心ですね。他所様に送る作品なんですから」

SoU「まぁ、そうだな……っと、あとがきが長すぎるな」

彩音「ですね。では今回はこの辺で」

SoU「それではまた〜♪」





無事(?)に転校してきた二人。
美姫 「クラスはちょっとした騒ぎになったけれどね」
まあ、それもよし! がやがやするのはいい事だよ。
美姫 「はいはい。それにしても、今回の後書きで明かされる制作秘話」
いやー、たくさんのキャラが出てくるのも面白そうだけどな〜。
美姫 「まあ、見る方はそうでしょうけれどね」
まあな。それに今でも、かなりの数のキャラがいるし。
美姫 「これからどうなるのか楽しみね」
うんうん。
美姫 「次回も楽しみにしてますね〜」
ではでは。



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