それは、開かれた未来でした・・・
失ったもの、取り戻せないもの・・・
聖なる夜に、優しい願いが叶う・・・
愛しきものが・・・・帰ってくる・・・
リリカル戦記・・・始まります・・・
リリカル戦記リュウケンドー!!
第十一話「聖夜に奇跡は舞い降りた」
「ん・・・・・・ここは?」
意識が目覚めたフェイトは、周りを見回した。すると、何故か懐かしい風景が見え、横には見覚えのある少女が眠っていた。
「え・・・・・・アリ・・・シア・・・・?」
そう、横に眠っていたのは、存在しないはずの・・・・フェイトの姉【アリシア】と小さい頃のアルフだったのだ。フェイトが呆然とする中、ドアをノックする音が響いた。
「フェイト・アリシア・アルフ・朝ですよ」
再び、フェイトにとって聞き覚えのある声が聞こえた。その声で起きたのか、アリシアが瞼を擦りながら眠そうに体を起こす。
「ふぁぁ・・・・おはよ、フェイト」
その言葉に、言葉を失うフェイト。そんな中、ドアを開いて・・・・・・フェイトの大切な教育係・・・・・【リニス】だった。
「二人とも、夜更かししてましたね〜?」
「ちょっとだけだもんね〜♪」
「ね〜♪」
リニスのめっという問いに、アリシアとアルフは顔を合わせて微笑む。その光景を見ながら、フェイトはただただ呆然とするのだった・・・。
「あれ・・・・・・ウチ、なんでこんな眠いんやろ・・・・・・」
はやては暗い闇の世界で、目の前の銀髪の女性を見つめていた。
「誰・・・・なん?」
「そのままお休みを・・・・・我が主。貴方の望みは、私が叶えます。心静かに、安らかな夢を見てください」
「ウチの・・・・・望み?」
「夢を見ることです。悲しい現実は、全て夢となり、安らかな眠りを」
「・・・・・・そう・・・・・・・なんか?」
はやての体に、急激な眠気が増加する。
「私が欲しかった・・・・・願い・・・・」
「健康な体、愛する家族たちとの、ずっと続いていく暮らし。夢の中なら、ずっとそんな世界にいられます。貴方の愛する・・・・・・・・兄上とも」
その言葉に、はやての心が揺らぐ。しかし、それと同時に、はやての意識が覚醒する。
「せやけど、それは夢でしかない。それに・・・・・・・ウチの■■は・・・・・まだ死んでへん!!」
その瞬間、暗い世界に一筋の光が漏れ始めた・・・。
「きゃあああああああああああああああああああああ!!」
なのはは闇の書の攻撃により、海へと叩き落された。しかし、なんとか障壁でダメージを軽減させて、再び上昇する。
「だ、大丈夫かよ高町なんとか!?」
「なのはだってば!!なんとか、大丈夫」
「シャマル、回復を」
「ええ!」
なのはを囲むように、守護騎士四人が立つ。そして、シャマルのヒーリングよりなのはの身体からダメージが消えた。
「どうしよう・・・・・スターライトブレイカーでも使わないと、あの障壁は貫けない」
なのはが困り果てていると、突如レイジングハートの声が響く。
『マスター』
「どうしたの?レイジングハート」
『ファイナルキーの使用許可を』
「え・・・だ、だめだよ!!あれはスターライトブレイカーの比じゃない位に、レイジングハートに負担を与えるんだよ!!」
『私はマスターを信じています。マスター、ファイナルキーを』
「レイジングハート・・・」
『マスター!!』
レイジングハートの覚悟を知り、なのはは決意を固めた。
「シグナムさん、シャマルさん、ヴィータちゃん、・・・え〜と」
「ザフィーラだ」
「あ、ザフィーラさん。お願いがあるんです」
「なんだ一体?」
「私がファイナルキーを発動させるまで、闇の書さんの障壁にダメージを与えてくれませんか?たぶん、普通に撃っただけじゃ、あの障壁は貫通できません」
「つまり、私たちの攻撃で弱化した瞬間に撃ち込むと?」
「はい!」
しかし、その作戦にヴィータが反対した。
「駄目に決まってんだろ!!もし闇の書に致命的なダメージがいけば、はやてにまで被害が及ぶじゃんか!!」
「けど、今はこうでもしないと声が届かないよ!!あのだだっ娘さんを動かすには、中にいるはやてちゃんに響くぐらいにしないと」
「うぐ・・・」
なのはの言葉に、渋々ヴィータが納得する。
「それじゃぁ、皆さんお願いします。ファイナルキー!!」
なのははそう言いながらホルダーを回すと、ファイナルキーを引き抜いた。そして、それをレイジングハートに差し込む。すると、レイジングハートにとんでもない魔法エネルギーが集中し始めた。
「主はやて・・・・・・貴方の闇、切り裂いて見せます!!」
「はやて!!悪い夢なんかから覚めて、家で帰ろう!!」
シグナムはレヴァンティンを、ヴィータはアイゼンを形態チェンジさせた。そして、そのまま標準を闇の書に向ける。
「駆けよ!!隼!!」
「ギガント・クラーーーーーーーーーーーーーク!!」
二つの強力な攻撃が直撃した瞬間、闇の書を覆う障壁にわずかな裂け目が出来た。そして、なのははそれを見逃さなかった。
「いっくよーーーーーーーーー!!全力全開!!ドラゴニック・・・・・ブレイカー!!」
次の瞬間、閃光が包んだ。
「フェイトー、雨になりそうだしそろそろ帰ろうよ〜」
「ごめんアリシア、私はもう少しだけ、ここにいる」
「そうなの・・・・じゃぁ、私も一緒に雨宿り♪」
大きな木の下で、フェイトとアリシアは一緒にいた。
「ねえアリシア・・・・これって夢なんだよね?」
「・・・・・うん」
「私と貴方は同じ世界にはいない。アリシアが生きてたら、私は生まれなかった」
「そうだね・・・」
「母さんだって、私にはあんなに優しくは・・・」
そう言って、フェイトは悲しい表情を浮かべた。
「優しかったんだよ・・・・・本当は。私を生き返らせようとして、壊れちゃったんだ・・・・・・ねえフェイト?ここにいようよ。ここなら、ずっと一緒にいられるよ?」
「ごめん・・・・・でも、私はいかなきゃいけないの・・・・・・・生きている以上、私はやらなきゃいけない事が・・・・・あるから」
「そっか・・・・・・じゃぁ、はい!」
そう言うと、アリシアはバルディッシュを渡した。そして、そのままフェイトに抱きつく。
「ずっと・・・・・・・・フェイトのお姉さんとして」
その言葉とともに、アリシアの身体が光の粒子になり始めていた。
「現実でも、一緒にいたかったな「いればいいじゃねえか」・・・え?」
消えかけたアリシアと、フェイトが突如響いた声に驚く。そして振り向くと、そこには・・・・・・・。
「あ、貴方は!?」
「はいはい驚くのは後回し。君、一緒にいたいんだろ?」
「え・・・・う、うん。でも、私はもう生きてないんだよ?」
「あのなぁ、今日はクリスマスイブって言ってな。サンタがいい子にしている奴に奇跡を起こしてくれる日なんだよ。だから・・・・・・俺が代わりに・・・奇跡を巻き起こしてやるぜ!!」
■■の叫びが響き渡る瞬間、世界が砕け散った・・・。
「ウチが望んでいるのは、こんな夢の世界やない!!それに、まだ終わりなんかやあらへん」
「ですが、現実に待ってるのは愛する者の死でしかありません・・・それでも、貴方は起きるのですか?」
「ウチを残して、■■は死なへんもん♪ね、■■」
はやての言葉に、闇の書は驚いて振り向いた。そこには、死んだはずの■■が立っていたのだ。
「何故・・・・・・お前は、リンカーコアが砕け、命が消え去ったはず?!」
「あいにく、俺の父さんと母さんにこっちくるなと説教されてな。まだ、俺はあっちに逝けないんだ。父さんに、はやてを幸せにしろって言われてるんでね」
その言葉に、闇の書は驚愕した。目の前の■■が、強き想いだけで蘇った事に。
「ね?奇跡って起こるもんやろ?」
「・・・・しかし」
「ウチが管理者や。マスターの言うことは、聞かなあかんで♪」
「ですが、暴走したプログラムは止まりません。このままでは、いずれ全てを飲み込みます!!」
「そんくらい、俺がなんとかしてやるよ。だからお前は、はやてと一緒にいてやれ・・・・え〜と、名前なんだっけ?」
「あ、そやったな。ウチが名前をあげる。強く支える者・幸運の追い風・祝福のエール・・・・・・・【リーンフォース】や」
優しい決意と共に、暗い世界は砕け散った・・・。
なのはたちが目を開けると、海に黒い淀みと化した暴走プログラムが存在した。そして、空の上には・・・・・。
「フェイト・・・・・・・え・・・・・・・う、嘘?」
「嘘じゃないよ・・・・・・・ただいま、アルフ」
「あ・・・・・・・・アリシア!!」
そう、死んだはずの少女【アリシア・テスタロッサ】が、フェイトとまったく同じ姿で存在していたのだ。そしてもう一方では・・・。
「あ、主はやて!!」
「はやて!!」
「はやてちゃん!!」
「主!!」
「皆、遅くなってごめんな♪」
リーンフォースと融合し、完全となった八神はやてが立っていたのだ。皆が喜びに揺れる中、リュウガンオーが皆へと合流してきた。
「・・・どうやら、万事オーケーという状況のようだね?」
「ああ。びっくりな位奇跡が起きてるよ」
リュウガンオーが暴走プログラムへの対策案を挙げようとした時、突如暴走プログラムに異変が起き始めた。異形ともいえる姿へと変貌し、その状態から更に変化をし始めた。その姿は・・・・・・まるで・・・・・・。
「黒い・・・・・・・・リュウケンドーだと・・・・・」
そう。目の前に存在するのは、青と白がベースのリュウケンドーを漆黒に染めた、所謂【ブラックリュウケンドー】が立っていたのだ。
「まずい事になったな・・・・・・・」
リュウガンオーが冷や汗をたらす中、はやてがそれを笑顔で言い返す。
「全然問題あらへんで♪ウチの旦那様に比べたら、まるでハリボテやわ」
軽く言い放つはやてに反応したのか、ブラックリュウケンドーが空を蹴ってはやてへと襲い掛かる。守護騎士や皆が動こうとした・・・・・・その時!!
「グオオオオオオオン!!」
「ウホウホウホ!!」
「クゥゥゥゥゥン!!」
「クワァァァァァ!!」
倒されたはずの・・・・・・リュウケンドーの獣王たちが目の前に立ち、ブラックリュウケンドーを吹っ飛ばしたのである。
「あれ!?皆・・・・・・死んじゃったはずじゃ?」
なのはは驚きと共に、何かしらの違和感を感じた。ブレイブレオンの鎧はまるで剣を思わせ、ファイヤーコングは鉄槌、アクアシャークは湖、サンダーイーグルは盾。そして、獣王たちは互いに向き合うと、中央に向けて咆哮を上げた。すると、そこにベルカ式の魔法陣が出現し、その中に龍の紋章が浮かび上がった。そして次の瞬間、魔法陣から一人の少年が飛び出した。そして、そのまま魔法陣の上に降り立つ。その姿を見て、皆は一斉に叫んだ。
「剣二!!」←シグナム
「剣二さん!!」←シャマル
「剣二!!」←ヴィータ
「お前は・・・!!」←ザフィーラ
「剣二さん!!」←なのは
「剣二・・・・さん!!」←フェイト
「剣二!!!!!!!」←アルフ
そう。皆が待ち望んだ存在、八神剣二だったのだ。
「おうよ!!八神剣二、皆のピンチにただいま復活。そして・・・・・これからが、俺の新しい変身だぜ!!」
剣二はそう言うと、デバイス状態の“セイバー”撃龍剣を剣へと変化させた。
「“セイバー”リュウケンキー!!発動!!」
キーを差し込むと、そのまま装填させる。
「撃龍変身・・・・・」
刀身から、一匹の青い龍が飛び出した。そのまま上昇して天まで昇った瞬間、そのまま急降下し始めた。そして、龍は剣二の身体に降り立つ。その瞬間、青いアンダースーツに白とメタルブルーのアーマーが装着され、リュウケンドーに更なる剣を与えし戦士が降り立った・・・。
「烈火の如き蒼炎の刃が、悪夢を断ち切る龍となる!!セイバーリュウケンドー!!ライジン!!」
今、守護騎士たちの力を宿したリュウケンドーが、黒い龍を打ち倒すために立ち上がる。
あとがき
W:「やってきましたぜよw剣二復活!!」
剣:「よーし!!やっと帰ってきたぜーーーーー!!」
は:「最後の戦いやけど、やれる剣二兄?」
剣:「おうよ。俺が帰ってきた以上、もう悲しみは増やさせねえ!!」
シ:「頼もしいな」
ア:「じゃ、決着つけちゃうよ!!」
剣:「おうよ!!!!!!!!!」
・
・
・
剣:「俺たちの想いが、どんな闇をも切り裂いてやるぜ!!」
撃:『よし、行くぞ剣二!!』
剣&撃:「『リュウケンドー、ライジン!!』」
剣二の復活〜。
美姫 「そして、パワーアップ」
うんうん。ヒーローはこうではなくては。
美姫 「いよいよ事件も最終局面」
一体、どうなる!?
美姫 「また次回で」