『An unexpected excuse』

   〜沙羅編〜



「俺が好きなのは……」

「ほほぅ……何やら興味深い話だな。私も聞かせてもらおうかな?」

 

 恭也の声を遮る様に梟を連れた金髪ツインテールの少女が颯爽と現れた。

 

「サラ……」

「久し振りだな、恭也……ところで先ほどは誰の名を言うつもりだったのかな?」

 

 一見、にこやかに微笑んでいる様だが背後にはどす黒いオーラが充満している。

 

「もっ、勿論……俺はサラだけ……」

「ふん……口では何とでも言えるな!!現にこれだけの女を侍らせて・・・ムググ

 

 恭也は沙羅の言葉を遮る様に接吻をして抱きしめた。

 

「これで信じてもらえるか?」

「い、いきなり人の唇を……バカ・・・・・・

「サラ……」

「恭也……」

「あの〜お楽しみのところ悪いんだけど・・・・・・」

「「あっ!!?」」

 

 恭也達は忍の声に自分たちが人前でしたことに気がついて慌てて離れた。

 

「今更、遅いって……で、聞くまでもないけど……」

「ああ、サラがおれの愛している女性(ひと)だ」

 

 恭也の台詞にFCの皆は納得して帰って行く者、泣き崩れた者、それを支えて帰って行く者と様々であった。

 

 

 

 

 

「た、高町くんが炉フェ……年下趣味だったなんて……」

「しっ、しっかりしてください、忍さん」

 

 目頭を押さえて蹲る忍を那美が慰めている。

 よく見ると忍の口元はにやけていたが―――――

 

「月村……これでもサラは年上なんだが……」

「これでもって……どういう意味かな恭也?」

 

 沙羅はため息混じりに話す恭也の襟元を掴みながら微笑みかけている。

 しっかりと額には青筋が浮かんでいたが―――――

 

「えっ!? こんなにちっちゃくて、かわいいのに!?」

 

 美由希は驚きのあまり指を指しながら叫んでしまった。

 

ちっちゃ……かわ……きょ、恭也? あの莫迦面……いや、生意気な小娘は誰かな?」

「高町美由希・・・・・・おれの妹だ」

「ふむ……それならば、兄の教育が悪いということにしておいてやる」

「それはどうも……因みにそこの嘘泣き娘が月村忍、その横が神咲那美さん……あっちが城島晶とレンこと鳳蓮飛だ

 

 恭也は肩を竦めながら残った四人を紹介していった。

 

「初めまして、恭也(コレ)の『婚約者(フィアンセ)』のサラだ」

「「「「こっ、婚約者ぁ(ふぃっ、フィアンセェ)〜〜〜〜〜!!!?」」」」」

 

 沙羅は恭也の腕に自分の腕を絡ませながら、さらっと爆弾発言をかました。

 

「ちょ……!? 恭ちゃん? それ、本当なのっ!?」

「あはははは……きょっ、恭也さんの婚約者……」

「……って、那美? しっかりしなさい!?」

「いてぇ!? 何するんだ、このカメ!!」

「痛いってことは夢とちゃうんやな……」

 

 発言の威力に耐えられなかった五人はパニックのあまり様々な反応をして狼狽えていた。

 

「やはり、俺みたいな奴はサラに相応しくないのか……」

 

 恭也は五人の驚きの意味をはき違えて苦悩の表情を浮かべて俯いた。

 

「はぁ〜恭也……彼女たちはお前に好意を寄せているから驚いたんだ」

 

 沙羅は幼子をあやす様に恭也を抱きしめながら耳元で囁いた。

 

「しかし、サラ……俺みたいな奴に好意を寄せる物好きなんていないさ」

「この朴念仁がっ!! ・・・・それなら私の気持ちはどうなる!? 私の想いも信じられないのか!!?」

 

 沙羅は泣きながら恭也の頬を両手で挟みながら睨み付けた。

 

「サラ……ありがとう」

「莫迦者……何故、礼を言う」

「サラを愛しているからさ」

 

 恭也は沙羅の涙を拭いながら強く抱きしめた。

 

「月村、すまないが……」

「はいはい……早退するって先生に伝えてあげるわよ。鞄は美由希ちゃんに渡しておくから、さっさと行きなさい」

「頼む……サラ、行こうか?」

「いっ、行くって、どこに? それにサボりは……」

「授業より大切なことだ行くぞ!!」

「ちょ……きょっ、恭也!?」

 

 恭也は沙羅の手を引きながら校門の方へと歩き去った。

 

「はぁ〜今日は宴会かな?」

さざなみ寮(うち)の皆さんも呼びましょうか?」

な、那美さん!?それは……そうしましょうか(黙っていたら、後で何されるか解らないもんね。でも呼べば恭ちゃんに……)

「よぉ〜し!!腕によりを掛けてご馳走を作らないと!!」

「おサルの料理なんか出せるかい!!うちが責任を持って料理するわ!!」

 

 

 

 

 

「ここだ」

「翠屋? ……授業をサボって喫茶店に来ることが重要なのか?」

「入るぞ」

 恭也は沙羅の手を引いて店の中へと足を踏み入れた。

 

《カランカラ〜ン!!》

 

「いらいしゃいませ〜……って、恭也? あんた、授業はどうしたのよ?」

「自主休校だ……」

「はぁ〜自主休校ってサボりでしょ……で、そちらのお嬢さんは?もしかして、あんたの彼女!?」

「違う、婚約者だ」

「なんだ違うのか……桃子さん、あんたにとうとう恋人ができ……って、婚約者ぁ〜〜!!!?

 

 桃子は驚きのあまり思わず大声を出して叫んだ。

 

 

 

 

 

 桃子は恋人どころか婚約者を連れてきたことがよほど嬉しかったのか、残りの洋菓子を全て半額で売り切り、店を貸しきりにした。

 そして、嬉しさのあまりに勢いに乗りすぎてウェディングケーキまで焼いて、皆を驚かせるのだった。

 

 

<おわり>

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 


<あとがき>

 

巫女さん細腕繁盛記から金髪ツインテールの魔女っ娘サラたんを呼んでみました〜♪

 

沙羅「どうでもいいが、少し短くないか?」

 

うっ!?い、痛いところを……

 

沙羅「はぁ〜ヘタレなのに無理して書こうとするからだ」

 

ヘタレちゃうもん……

沙羅「えぇえ〜い、鬱陶しい!!大の大人がいじけて泣くな!!」

 

ちびっ子でかわゆいくせに毒舌なんだもん……

 

沙羅「ちび……かわ……

はっ!? しっ、しまった!! 地雷(NGワード)を!!?

 

沙羅「フフフフフフフフフ……覚悟は良いかな!?」

 

ゆっ、許してぇ〜〜〜!!!?

 

沙羅ZAP!!!!」

 

シビビビビィ〜〜〜!!!?

 

沙羅「ふん・・・・・・雉も鳴かずば打たれまいに・・・・・・」




このシリーズも色んな人が書いてくださっているな。
いや、本当に嬉しい限りだよ。
美姫 「今回は巫女さん細腕繁盛記からね」
これは未プレイなんだけれど、楽しく読ませてもらいました。
美姫 「ちびというのは禁句みたいね」
危うく美由希が、って所で兄である恭也の責任になって助かったな。
美姫 「桃子の反応も面白かったし」
本当に投稿ありがとうございます。
美姫 「ありがとうね〜」



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