とらいあんぐるハート3

Schwert und Gewehr(剣と銃の饗宴)』――das schmutzige Weltende(終末の穢土)――

GUARD OF 4

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 IRA――正式名称『Irish Republican Army』。

 日本語では『アイルランド共和軍』と称されるため、たまに正式なアイルランド自由国の軍隊ではないのかと思われがちだが、そうではない。

 正式な軍とは何の関係もなく、間違いなく武装勢力・テロリストの類である。

 

「元はかなり古く、今でもIRAを名乗る組織は多いと聞くが……」

「ああ。あまり日本じゃ話題にならないかもしれないが、イスラム過激派のテロに隠れて、よく彼らによるテロは起こってるんだ」

 

 イギリスは昔、アイルランド全域を領土としていたが、その当時からアイルランドでは宗教上の問題などで、

 イギリスからの独立を訴える者は多かった。

 彼らの、義勇軍であるという言葉も全てが間違っているわけではなく、最初は確かに義勇軍としての側面があったのだ。

 

「だがアイルランドが北部を残してイギリスから独立した後は、テロリストとしての側面の方が強くなった」

「目的はアイルランド全ての独立か」

 

 英愛条約が結ばれて以来、表面的にはIRAとイギリスの戦いは終わったかのように見えた。

 だがIRAはその形を変え、多くの系統に分裂し、今なお存在している。

 

「今だとIRA暫定派ってのが主流だけど……過激派ってのはやっぱりいるものだから」

 

 その条約に納得いかないIRAのメンバーもいて、戦いを継続している。彼らにとっては祖国解放のための正当な戦い。

 

「愛国心の過ぎた形か……」

 

 銃声。様子を見るために出していた頭を木の影に引っ込める恭也とエリス。

 恭也の隣にはしがみつくようにしてアンソニーが。

 

「はっはっは。キチガイみてえな叫び声上げてんじゃねえよ、オッサン」

「なっさけねえな。じゃじゃ馬プリンセスみてえに静かにしろっての」

 

 アンソニーは銃声のたびに悲鳴を上げるものだから、警官の姿をした男たちは面白がって無駄弾を使ってまで楽しんでいるようだ。

 

「俺たちは認めねえ。アイルランド全てを取り戻す」

「慎重派のIRA暫定派がここまでするとは思いにくい。お前たちはRIRAだな」

「〜♪ さすが」

 

 口笛を吹いて1人の男――どうやらリーダー格らしい――が答えた。

 そして彼はサブマシンガンを高らかに掲げて何発か撃ち、そして宣誓した。

 

「そうさ。IRAの中のIRA。『真のIRA』が俺たちさ」

 

 RIRA。俗に真のIRA――リアルIRAと呼ばれる。

 英愛条約締結後もイギリス各地でテロ行為を働いている。最近では静かになりがちだが、活動は継続しているようだ。

 例えばイギリス国内への武器の密輸。その中には対戦車ロケットまであるくらい。

 2000年にはイギリス情報局秘密情報部、通称MI6本部にテロを仕掛け、2001年には西ロンドンにて車爆弾、

 さらに2004年にはベルファストにて連続爆破事件を起こしている。

 ベルファスト連続爆破事件のために、イギリスとアイルランドの和平交渉が一時停止したくらいである。

 2005年に発表された情報では、構成員は150名ほどだそうだが……。

 

「弱気になってんのさ、同胞もよ。まったく、情けねえ限りだ」

「だから俺たちが旗上げしないとなんねえんだよ。臆病者ばっかで困るぜ」

 

 エリスが懐から例のメダルを取り出して視線を落とす。

 

「このメダルを奪ってどうなるというんだ?」

 

 エリスのその問いも、彼らは知らないと返すだけなのは変わらなかった。ただ上から命令されて奪取しにきただけと。

 メダルの中に何かが入っているのだろうか? 例えば……ウイルスだとか、兵器の設計書などが。

 あまり正解とは思えない。

 メダルはせいぜい熱さ数ミリ。切れ目があるわけでもないし、中に何か隠せるようなものとは思えない。

 最近こじ開けられたような跡もなければ、接合したような跡もない。

 

「さあ渡しな。そうすりゃあんまり苦しまないように殺してやるからよ」

 

 そう言ってガードレールを超えてくる男たち。後方で2人が銃を構えて援護している。

 

「どうする、恭也?」

「どのみち奴らは俺たちを殺す気であることに変わりはない。なら反抗するしかあるまい」

 

 頷き合って、2人は互いの武器を握り締める。

 相手は4人。この前の訓練のことを考えれば、動きからもさほどの手練れとも思えないし、簡単に制圧することも可能だろう。

 ただ今はアンソニーという護衛対象がいる。

 しかもエリスとの距離もかなり空いているので、アンソニーを任せてこの前のように動き回ることもできない。

 

「恭也、まずリゲットさんをこの場から離すべきだ」

「お前が残る気か?」

 

 確かに護衛対象を逃がすのがまず重要だ。それに、戦うのならアンソニーは邪魔でしかない。

 とは言え、今逃がすには少なくとも恭也かエリスが一緒に行く必要があり、そうなればその間の足止めをもう1人がすることになる。

 そしてアンソニーを渡すことができるほど距離が近いわけでもないので、自ずとアンソニーについていてやるのは恭也であるということ。

 

「足止め目的だ。今回は私も適度に後退していく」

「……どこかにリゲットさんを隠れさせて、そして2人で撃退か」

「それしかない」

 

 あくまで護衛なら制圧する必要はない。だがアンソニーを抱えて逃げ回っても追い掛け回されてしまう。

 ただでさえ竦んでいるアンソニーだ。逃げても追いつかれることは容易に想像がつく。

 

「こうなれば撃退しかない。でもさすがにサブマシンガン相手に1人はつらい」

 

 よって2人で。ならばアンソニーをどこかに隠れさせるしかない。

 恭也は後方を見る。急勾配の森林が広がっている。

 

「やりにくいぞ? 位置的に俺たちが下にいるわけだからな」

 

 下というのは相手を見上げる側。上から下を眺めるより視界も悪く、見つかりやすい。それはつまり狙われやすいということ。

 

「だからこそあいつらは油断する。そして私たちを追い込んだ気になる。森林……つまり閉鎖空間にね。

 確か閉鎖空間こそ、君の御神不破流の真骨頂なんだろう?」

「……任せておけ。ただし、お前が罠にはまるなよ」

「馬鹿にするな。いいから早く…………行って!」

 

 エリスが木の陰から飛び出し、両手に持つ銃で連射。さらに恭也も飛針を投げる。

 

「うおっ!?」

 

 殺しは本分ではない。護衛の仕事となれば相手を殺してしまうことも最悪の場合はやむをえないが、できる限り殺すべきではない。

 だから、相手の銃を弾く。

 そしてその隙に、恭也はアンソニーを抱えて急勾配の森林を駆け下りる。

 

「こんの!」

 

 近づいてきていた2人の男が銃を弾かれ、もう1人の男は咄嗟に体を横に投げて躱した。

 後方に控えていた男が援護と仕返しとばかりに乱射してくるも、エリスは前転しながらそのまま別の木の陰へ。

 

「面倒だ、吹き飛ばせ!」

 

 木の陰に隠れた男がさらに手榴弾を。

 エリスはむしろ好都合とばかりに身を投げる。

 爆発。

 さっきまでエリスが隠れていた木が真横に倒れ、土砂が降りかかる。爆発の閃光が暗い森林を一瞬だけ照らし、轟音が木霊する。

 

「馬鹿だな。手榴弾なんか使ったら、逆にこちらの姿を見失ってしまうってことにも気づかないのか」

 

 乱射してくる男たちだが、エリスの隠れた場所にやってくる銃弾はほとんどない。

 彼らはそれらしい場所をアバウトに見計らって撃っているだけだ。

 銃撃が収まる。

 

「…………」

 

 耳を澄ます。

 話し声はしない。足音もない。

 彼らも動かずにしばし様子を見ているのだろうか。

 

(奴らだってそれなりの訓練は受けている可能性もあるしな)

 

 『Army』――軍と名乗るくらいなのだから。

 こちらが撃った銃弾数も数発。まだリロードする必要はないだろう。

 

「そこかあ!」

「っ!?」

 

 再び銃撃。今度は的確にエリスが隠れている木を狙い撃ちしてくる。

 

「……! 暗視ゴーグルか……」

 

 一瞬だけ止まった隙に顔を出して確認する。

 するとさらに撃ちこんできたため、すぐに引っ込めたが、彼らの顔に黒いゴーグルがあったのは見えた。

 だが如何に暗視ゴーグルとは言え、木に隠れている状態のエリスをすぐに見つけられるものではないだろう。

 とすると、木に隠れていても人を捉えられる機能――おそらく、熱源探知機能がついているのではないだろうか。

 対戦車ロケットすら国内に密輸してくるくらいの組織だ。あれくらいの装備はそう難しくないだろう。

 

「……本格的だな。それほどのものってことか」

 

 懐に隠したメダルを服の上から握り、銃を構え直す。

 

「囲い込め! メダルはそいつが持ってる! 逃げた2人なんぞどうでもいい!」

「おらおら、いつまでも隠れていたって無駄だぜ!」

 

 射撃。

 その間に別の男たちが左右に分かれてやって来る。

 エリスは乱射が止まった隙を突いて腕を左右に広げ、同時にその男たちを狙った。

 

「おっと!」

「〜♪ 怖い怖い」

 

 風が吹く。ざわざわと枝が揺れ草が揺れ、葉が擦れて音を。

 そこに隠れてがさがさと目の前の木が少々大きく揺れた。

 

(――恭也か)

 

 アンソニーは隠せたということだろう。どのみちメダルが目的ならばアンソニーはその次ということになる。

 殺せなかったとしても、別にさほど問題ではないと考えているかもしれない。

 

(ん? 何か光った?……鋼糸か)

 

 キラリと木の上で月光を反射して光るものを見て、エリスはそう判断した。

 男たちに気づいている様子はない。

 恭也がただ逃げたと思っているのだろう。

 エリスは立ち上がり、顔の横に銃を立てる。恭也への、『いつでもいいぞ』という合図のつもりだった。

 と、再び光るものが虚空を走った。たまに動いているのか、角度によって月光を反射して光り続けている。

 がさがさとまた木の音。そして……

 

「――ぐがっ!?」

 

 エリスにとって右方向から狙おうとしていた男が、いきなり落ちてきた太い枝の下敷きになった。

 

「ぎゃっ!?」

 

 さらに左方向にいた男が銃を取り落としたような音。

 鋼糸で敵の頭上の枝を切断し、さらに飛針で別の男の腕を狙ったのだ。

 

「エリス、奥の奴を!」

「了解だ!」

 

 エリスの真上を黒い影が跳躍して行く。と、いきなりエリスに正面から近づこうとしていた男の真正面にその影が下りてくる。

 

「この野郎!」

「ふっ!」

 

 小太刀で突きつけられた銃を弾き、もう一方の小太刀の峰で男の腕を打つ。

 ゴキンと鈍い音。一拍遅れて男の悲鳴が。

 後方で援護射撃を担っている男も、恭也を撃とうにも仲間が間にいるために撃てない。

 そこをエリスが狙う。2発。

 銃を弾き、肩を撃ち抜いてやる。

 さらに立て直しに入った左右の敵が取り落としていた銃を左右の銃で同時に狙い、遠ざける。

 

「フリーズ!」

 

 叫ぶ。

 左右の男はエリスが狙いを定め、

 正面の男は恭也が腕を捻り、背中を向かせて盾にするようにしており、後方の男とていつでも狙えるとばかりに飛針を抜いて見せている。

 

「……やるじゃねえかよ」

「黙れ。お前たちには話を聞かせてもらうぞ。まだ武器を持っているなら全て捨て、投降しろ」

「そうはいくかよ」

 

 後方の男は上げていた左の手首を動かした。するとそこからポロリと何かが落ちる。

 コロコロと転がってくるそれは――

 

「ちっ、手榴弾か!」

「うわああああああ!」

 

 恭也が拘束していた男が騒ぎ出す。仲間に殺されると。

 咄嗟にエリスの腕を引き、拘束していた男も抱えながら恭也は身を投げた。

 閃光と耳を劈く音。

 

――――だがそれだけ。爆発はなかった。

 

「……やられた。閃光音響弾か」

 

 左右の男たちがその隙に立ち上がって後方にいた男の下へ。

 だがそれでも、1人の男を捕まえている。

 彼らの策――恭也とエリスから仲間全員を再び自由にする――は失敗したものと判断するが……。

 

「はっ、ば〜か」

 

 恭也が変わらず拘束している男が舌を出してせせら笑った。

 

「自分の身をわかっているとは思えないな」

「わかってねえのはてめえらだよ」

 

 そのとき、パシャッという音と共に光が。恭也とエリスは僅かに目を閉じるも、すぐに身近な木に隠れる。

 だが彼らはそれ以降撃ってくる気配もなく、ただただ嘲笑していた。

 おかしく思って顔を出してみると、男の1人の手にはポラロイドカメラがあった。

 

「お〜お〜、よく取れてるぜ〜♪」

 

 出てきた写真を手にヒラヒラと見せる男。さすがに月光が僅かに差す程度のこの森林の中では何が写っているのかはわからない。

 それでも、取られた時の自分たちの状況を思い出せば、想像ぐらいつく。

 

 

 

 

 

「善良な警官を取り押さえてる悪人2人がしっかり写ってやがる」

 

 

 

 

 

 恭也とエリスが同時に舌打ちをした。

 

「お前たち、最初からそれが目的か!」

「ひゃはははは! お前らみたいな怖い奴相手にたった4人でやるわけないだろうよ」

「言ってて情けないけどな〜」

 

 男たちの目的は、恭也とエリスこそが犯人であると言う証拠。

 確かに彼らの身なりは普通の警官だ。その警官が拘束されている姿が写っている写真など、いい証拠になりえるだろう。

 彼らにすれば、恭也とエリスの口から警察内部にIRAの者がいると言われるのは困るのだ。

 せっかく潜りこめたのだから、警察内部の情報をこれからも得るために。

 だったら恭也とエリスを犯人に仕立て上げれば、彼らの主張は通りにくくなる。

 

「さてと。取引といこうじゃねえか。こっちの要求は言わなくてもわかるだろ?」

 

 仲間の解放とメダルの引渡し。

 代わりにこちらは写真を…………などと、そんなわかりやすい罠に落ちる恭也とエリスではない。

 

「どのみち俺たちはここで始末する気だろう」

「私たちを生き延びさせたら、すぐに警察内部にIRAの人間がいることが私たちの口から明らかになるからな」

 

 しかもエリスは有数の大企業の令嬢。その一言が社会に及ぼす影響は大きい。

 警察とマクガーレン社の信頼関係も強いのだから、警察はすぐにでも内部調査をするだろう。

 

「やっぱわかるか、これくらいは」

 

 男たちは失敗か〜と、言葉とは裏腹に楽しそうに笑うばかり。

 要求通りにしようがしまいが、恭也とエリスに不利なことは明らかだからだ。

 要求に従ってもすぐに殺されるだろう。上手く逃げおおせたとしても、あの写真がある限り簡単に犯人扱いだ。

 要求に従わずに逃げても同じこと。

 

「「…………」」

 

 唯一あるとすれば、今恭也が拘束している男を盾に、写真を渡せと要求することだが……。

 

「言っとくがそいつを人質にしようったって無駄だぜ?」

 

 祖国解放のためにすでに命を捨てる覚悟がある彼らは、人質にされようものならすぐに自殺でもする気だった。

 『護る』を行う恭也とエリスにとって、それは避けなければならない。

 

「遅かれ早かれてめえらは死ぬんだよ。要はここで襲撃犯からあのオッサンを護っての名誉の死を遂げるか、犯人として撃ち殺されるかだ」

「あの臆病者なんぞ、ちょっと脅せば証言だって変えるだろうしなあ」

 

 アンソニーなら……ありえることだ。

 別に彼が悪いわけじゃない。命を狙われるとなれば、そうしてしまうことの方が多いだろう。

 彼には頼るところがない。親や友人も絶縁状態。警察にしても、どこにIRAがいるかわかったものじゃない。

 

「そこまでしてこのメダルが欲しいのか?」

「欲しいねえ。上が言うには、絶対的な力を得られるものだってんだからよ」

「そう。俺たちの祖国を解放するための力がなあ!」

 

 彼らが言う「力」というものがいったいどんなものなのか。

 権力という力だろうか。何か強力な武器という力だろうか。

 想像するなら後者の方が大きい。前者だって考えられないわけじゃない。他にもいろんな力があるだろう。

 祖国解放のため。

 武力というより、テロという暴力を用いて祖国解放を為そうとする彼らならば、きっと悪い方向に使われる「力」だろう。

 

「そんな力で為しえた祖国解放など、長続きはしないぞ」

「うるせえ! 平和ボケも甚だしい極東のサルが知ったような口叩くんじゃねえよ!」

「てめえらが平和のぬるま湯に浸っている間になあ、こっちゃ命かけて戦場に立って戦ってるんだよ!」

 

 その言葉にはエリスが眉を顰めたが、恭也は特に反論しようとはしなかった。

 今は何を言っても彼らを激昂させるだけだろうし、如何に恭也が普通の日本人と違う人生を送ってきている人間だろうと、

 日本人というものを「そういうもの」――平和ボケで戦いを知らない――だと思っている彼らなら、日本人というだけで腹が立つのだろう。

 

「……エリス」

「ああ……」

 

 恭也はゆっくり、男の拘束を解いた。

 

「渡す気になったかよ?」

「……残念だがそうはいかん」

 

 物分りが悪いなとイラついている男たちに構わず、恭也とエリスは急勾配の坂の下に視線を落とす。

 

「これがどのような力かは知らんが、お前たちがここまでして手に入れようとしているものだ。きっとそれは、多くの人に災厄をもたらす」

「そうと知って、私たちに何もしないなどという選択肢はない」

「……犯人として不名誉な死を選ぶってワケかよ。物好きだな」

「IRAから逃れられると思うなよ?」

 

 銃を構えだす男たち。

 

「走れ、エリス!」

 

 恭也は投げる。

 先ほど男の拘束を解いた際に密かに奪っておいた――――手榴弾を。

 

「なにい!?」

 

 放り投げられた手榴弾は虚空で爆発。男たちに追撃の手を取らせることを一瞬でも不可能とさせた。

 その爆風すら利用するように、恭也とエリスは坂を駆け下りていくのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 何度か聞こえてきていた銃声や爆発音がすっかり止んだ。

 もうすっかり夜なので爆発音と共に一瞬の閃光も見えていたし、なかなか派手にやっているなと思いながらも、

 男は車にその背をもたれさせつつ、大切な宝のことを心配していた。

 

「"フギン"め……利用するのはいいが、あんな愚かな連中に我らが神宝をこれ以上傷つけられたらどうする気だ」

 

 "フギン"が考えた策は確かにそう悪いものではないが、それはあの2人があの宝を守りぬけることが条件である。

 確かに腕の立つ2人のようであるが、彼らとて人間であり、超人でもなければ異能の持ち主というわけでもない。

 撃たれれば死ぬし、爆弾に耐えられるわけではないのだから。

 

――――『リスク。これは何にでもありますよ』

 

 彼の言うことはわかるし、自分たち組織の思惑を全てクリアするには、相応のリスクを背負わねばならないのは当たり前であり、

 それら全てをリスクなしでクリアできるなどと思うほど、男もまた楽観主義者ではなかった。

 

「ふん、我らが神の力を利用しようとは不埒な連中よ。どこのどいつか知らんが……」

 

 "フギン"が集めた情報の中には、あの宝を追っているのは本来の所有者たる自分たちのみならず、

 何かしらの組織も追っているという情報があった。

 それがいったいどこの組織かはさすがにわかっていないのだが、今回あの2人が戦った者たちがそうなのだろう。

 自分(・・)たち(・・)組織(・・)()()()仕掛けて(・・・・)いない(・・・)のだから、それ以外に考えられない。

 確かにこのまま警察に押収されるようなことになればそれはそれで困るのだが、今回どこの者かも知れない連中がしたような、

 あんな宝を傷つけかねないような乱暴な真似を、自分たちがするはずがない。

 できない。

 

「さて、あの2人はどうなったかだが……」

『……誰だ!?』

「ん?」

 

 第三者の組織が狙っていたということは知っていても、さすがに今回のことは予想外のことであり、

 まさか警察に紛れ込んでいるなどとは思わなかった。

 あの2人とは言え大丈夫かとムッツリと顔を顰めながら地面を足の裏でコツコツと叩いていると、

 胸元の通信機から緊迫したような声が聞こえた。

 

『……私だ、エリスだ!』

『これはエリス嬢、ご無事でしたか! 何事かと駆けつけようとしたのですが……』

『すまない。とにかく今はとんでもないことになった。あまり長くここにいるのもまずいんだ』

 

 どうやら無事らしい。

 あらかじめエリスはマクガーレン社の者をアンソニーの家のある丘の麓に呼び寄せていたようだった。

 アンソニーの家へと続く丘の道は1本しかなく、自分たちが通った後に何者かがやってこないかを監視させていたらしく、

 実に機転が利いていると男は感心させられていた。

 そうしても全ての事態を防げるわけではないが、少しでもできることはやっておこうというエリスのその危機回避の努力は、

 確かにプロの護衛者ゆえのものだろう。

 

「鋭い思考に戦闘の腕も高い、か。結構だ。

 まあ、それゆえに我らの神宝を訝しがる可能性は高いし、我らがいざ奪おうというときに力ずくでいっても困難ということになるのだが」

 

 それもまたやむをえないリスク。

 ただリスクを減らす努力をするのは言うまでもなく、その努力をしているのは決してエリスだけではない。

 

「訝しがる前に、力尽くではない方法で我らの手にすればいいだけのこと。"フギン"、お前の策は必要なかったかもしれんぞ? ふふふ……」

 

 ちゃんと手は打ってある。

 自分たち組織自体が今は表に出るのはやばいのだから、

 "フギン"ら3人と同様に神官であり"使徒"たる自分が表に出るような真似はしてはならない。

 

 ゆえに、表に出なくてもいいような手を。

 

 男は懐からタバコを取り出して火をつけつつ、通信機からの会話を聞き続ける。

 

『RIRAですか?』

『そうだ。奴らが今回の脅迫状の送り主だった可能性がある』

 

 紫煙をゆっくりと吐き出しながら男は夜空を見上げつつ、会話の中に次から次に出てくる重要な情報を記憶していくと同時に、

 情報を頭の中で解析し、知っている情報を取り出す。

 

(RIRA……"アイルランド共和軍"か。なるほど、こいつが"フギン"が言っていた第三者の組織だな)

 

 タバコを持つ手に勝手に力が入ってしまい、タバコは折れ曲がって外装が破れ、中身が零れてアスファルトの道路に散っていく。

 吸えなくなったタバコを捨て、新たなタバコを取り出す。

 さっきは一度でついたライターが風もないのになかなかつかないことに、先ほどから皺が寄っていた眉間にさらに皺が。

 ようやくついた火でさっさとタバコに火をつけ、まだ中身が残っているライターを落とし――――思いっきり踏みつけた。

 

 

 

 

 

「貴様ら如き先の知れたような、諦め悪く醜くあがくだけの小規模で正義ぶった小悪党集団風情が、

 たかが小さな領土1つ取り返すために我らが神宝を脅しに使おうとは……我らと我らが神、そして神宝をなめくさりおって……!」

 

 

 

 

 

 男の中でRIRAが断罪執行の対象となった瞬間だった。

 踏みつけたライターの破片を、さらに足を捻って踏み躙って微塵に砕いていく。

 灯油の匂いが僅かに男の鼻腔をくすぐる中、ようやく足を離した彼は未だに苛立ちが抑えられないのか、

 髪をかき上げて暗い夜空の下で僅かながら見える黒煙の方に再び目をやった。

 

『では早くこのことを警察に……あ、そういうわけにもいきませんか』

『ああ、警察内部に奴らの仲間が潜んでいると考えるのが道理だ。とは言え黙っているわけにもいかないから、いちおうこのことは伝えてくれ』

『わかりました』

 

 エリスは事細かに話している余裕はないようで、とにかく重要なことを部下に話して指示を同時に出している。

 相当早口だし、息も多少乱れていることから、林を駆け下ってきたというあたりだろうか。

 彼らの声に混じって男の声で誰かに大丈夫かと声をかけているような声も微かに聞こえる。

 

『とりあえずそのメダル……ですか? それはどうなさいますか?』

『正直、警察に渡すべきだろうけど……渡したら確実に彼らの手に渡ると思う。君はどう思う?』

『エリス嬢と同意見です』

『そうか』

 

 賢明な判断だと男は思いながら、そのままヘタな判断をこんな時にしないでくれよと祈る。

 実際、エリスの判断は男たち組織にとってもエリスたちにとっても賢明なのである。

 警察内部にIRAが潜んでいて、間違いなくこの地域の警察署には彼らがいることは今回の件で明らか。

 

『なら別の警察署へ……直接ロンドン市警にでも』

『……そうもいかないんだ』

『なぜですか?』

『実はちょっと情けない話なんだけど、奴らの罠にかかってね』

 

 別管区の警察署内にまでいるとは限らないからこそのエリスの部下の提案を、

 彼女は顔が見えなくても通信機から伝わる声だけで苦々しさを感じさせながら、できない理由を話しだした。

 男も話を聞きながら、また姑息な真似をと思いつつ、恭也とエリスと言えど、何から何まで完璧にできるほど現実は甘くはないなと肩を落とし、

 おそらく彼らも痛感しているだろうと僅かな同情心を向けてやった。

 

『写真ですか……やられましたね』

『ああ。奴らのことだ。こうなった以上使える手は使うだろうし、あの写真も私たちを疑う証拠として出してくる。

 そうなると別の警察署に行ったところで、少なくとも私たちはしばらく警察に身柄預かりの身となるだろうね』

 

 事情聴取は免れないだろうし、真相を話すのならどのみち警察にしばし厄介にならざるを得ない。

 

「RIRAめ……くだらん手を使いおって」

 

 男もまたエリスが言っていることから彼女の考えを読みとり、確かに彼女なら警察を頼れないというのはわかると首肯した。

 だからと言って納得できるわけではなく、自分たちの神宝のことが最優先であり、面倒なことになったために忌々しい限り。

 

(警察に行けば自分たちの言っていることを真実だと証明するためにも、あのメダルも証拠として押収されるだろうしな)

 

 そうすれば警察内部に潜んでいるRIRAの手に渡る可能性は充分ある。

 そもそもRIRAの構成人数は150名程度だと言うし、その少なさから考えればイギリス中の警察に数を潜ませることは不可能。

 となると、効率的な手は高い地位に数名RIRAメンバーがいて、今回の下っ端たちは現場担当と考える方が合理的で、

 高い地位にいるとなると、どこの警察署を選ぼうが結局彼らの手に渡る危険性がある。

 

『真相を知るエリス嬢とキョーヤさんを警察署管内で……という可能性もありますね』

『警察は頼れない。どの地位にいるか、どの程度浸透しているのか、それがわからない以上ね』

『なら我が社の方で一旦預かり、エリス嬢と社長のコネクションを利用すれば如何ですか?』

『マクガーレンのコネに頼り、警察に話せないなら警察を管轄する政府要人に話すということだろう? 私たちも考えたよ』

 

 しばらくはマクガーレン社が預かり、真相をマクガーレン社から警察上層部に直接知らせればいいというもの。

 マクガーレン社はイギリス政府から護衛を直接依頼されるほどであるし、

 当然政治家や経済・文化の著名人ともコネクションがあるのだから、警察幹部も言うまでもない。

 例え警察にコネクションがなかったところで、警察は国家が管轄しているのは当たり前で、ならば政府にコネクションがあれば同じこと。

 事が事だ。

 政府としてもRIRAが自らの懐に潜んでいるなどと、真偽はどうあれ放置できない事態であろうし、

 考えようによってはRIRAメンバーを摘発できるチャンス。

 動かない道理はないだろう。

 

『我が社はその辺りの信用もあると世間でも実質的にも認知されるほどです。エリス嬢自身の信用も固い。

 彼らならエリス嬢の言葉を信じてくれると思います』

 

 そしてメダルはこれまた押収されるだろうが、政府要人に話したら彼らはすぐに情報部にでも回すだろうし、

 そうなれば国家の管理に委ねられるわけだから、そうそうRIRAとて手は出せなくなって非常に安心だ。

 

「……我らとしてはそれも困るな……ふふ、だがまあ、そうなる前に奪えばいいだけだが」

 

 組織にしたらRIRAに渡っても困るし、警察に渡っても困るし、マクガーレンが政府要人に真相を話して渡すなんてことになっても困る。

 とりあえずRIRAの方はエリスたち自身が渡そうとはしないだろうし、警察もエリスたちの会話から彼女たちが頼らないことは間違いないが、

 問題は最後の政府要人に話して渡すという手段。

 

(その要人を突き止め、2人が会う前にその者を私が操ればいいだけだが……)

 

 とうぜん政府要人ともなればガードが固い。そうそう近づけるわけがない。

 だが男のそんな心配も、他でもないエリス自身によって解消される。

 

『そうもいかないんだ……』

『なぜですか?』

『私たちが警官を取り押さえている写真という証拠がある以上、奴らがこれを公表すれば、マクガーレン社が報告したところで、

 悔しいが警察も世間もマクガーレン社が私を……"マクガーレン社社長の娘"を庇い立てしようとしていると思われる可能性がある』

 

 エリスは社長令嬢としての認識もしっかりしている。

 それゆえに、自分の行動の1つが会社に与える影響も自覚しており、彼女としてはどうでも良くても世間体を考えなければならない。

 彼女自身のみならず、社長の母親や社員たち全てに迷惑をかけるとなれば尚更のこと。

 男にとってはマクガーレン社の評判が落ちようがエリスが犯罪者となろうがどうでもいいが。

 

『会社と会社の者に迷惑をかけるわけにはいかない。会社には頼れない』

「……ほう。これはこれは、さすがマクガーレン社御令嬢。ふふふ、なかなか会社と部下思いなことだ」

 

 

 

 

 

――――マクガーレン社が、その社長が、娘可愛さに庇おうとしている。

 

 

 

 

 

 世間にはそう見えるのだ。そして真相がどうであろうと、スキャンダルのネタとしては充分。

 そしてエリスは騎士道精神が高いだけあって、いくら冤罪だろうが自分のせいで会社と社員たちを共犯者のようにしてしまうことは避けたい。

 

『エリス嬢……』

『しかも今回の場合、リゲットさんは軽度だろうと犯罪者であって、私たちは犯罪者の護衛をしていたふうに見えるだろう?』

 

 もちろんそんなつもりなどないし、元からそういう雰囲気があったからこそ、護衛ではなく話を聞きにいくためという形を作るため、

 エリスと恭也だけでリゲットの元へ向かったわけだ。

 SPたちをぞろぞろと引き連れていったら間違いなく護衛しにいくように見えるだろうが、たった2人だけならその理由も通じるから。

 

(確かに。RIRAならその点を必ず突いてこよう。

 写真という物的証拠にそんな状況証拠まであるとなると、さすがにマクガーレン社とて警察による家宅捜索は免れまい)

 

 そして家宅捜索となれば、メダルも押収されるだろう。

 マクガーレン社はここでできる限り自らの潔白を証明するためにも、誠意を示さなくてはならない。

 元よりその高い精神こそがマクガーレン社の売りなのだから、ここで無闇な反抗や隠し立てなどしたらもうマクガーレン社の信用はがた落ち。

 エリスは――マクガーレン社社長令嬢『エリス・マクガーレン』は、身内をそんな目に遭わせるわけにはいかないのだ。

 

『一箇所に留まるのも得策じゃない。今回の奴らの装備を見ても、ヘタすれば警察署ごと吹き飛ばすなんて行為に彼らが訴えてもおかしくない』

『いいのか、エリス?』

 

 そこで別の男性の声が。

 これが香港警防隊の高町恭也という奴かと、男は彼の経歴や剣術のことを思い出しながら目を細めて彼方を見やった。

 

『このまま逃げるのは、より俺たちが犯罪を犯しましたと言っているようなものだぞ?』

 

 

 

 

 

 それこそエリスと恭也にとってはまずいと言える。

 

 

 

 

 

『だが私たちがこのまま警察に捕まれば、このメダルは間違いなく押収される。そうなればRIRAの手に渡る』

『マクガーレンを頼ることができない以上、保管してもらうにも無理か……』

『どのみち私たちが犯罪者となればマクガーレン本社も家宅捜索は免れない。そうなれば必ずメダルのことも聞いてくるはず。

 マクガーレンはお母様と私の私物じゃない。そして法律的には一個の民間企業に過ぎない。

 民間企業であるからこそ、営利や世間体も無視なんてできやしないんだ。これ以上の信用の失墜を防ぐには隠し立てなどできない』

『マクガーレンの騎士道精神ならば、嘘などつけるはずがないからな』

『それがマクガーレン社のプロとしての精神だから』

 

 

 

 

 

 

 このメダルをRIRAの手に渡さないためには、もう手は1つしかない。

 

 

 

 

 

 警察には頼れない。マクガーレン社も頼れない。

 警察に行けばRIRAの下に自分からいくようなものだし、マクガーレン社に行っても警察の家宅捜索は免れない。

 拒否すればマクガーレン社が会社ぐるみで犯罪者を庇い立てしているように見えてしまい、

 それは会社と社員の立場をより悪くしてしまいかねない。

 受け入れればどのみちエリスと恭也は警察にいかねばならず、メダルも押収されよう。

 

『このメダルがいったい何なのかわからないけど、RIRAがここまでして手に入れようとするものだ。きっと……ロクでもないものだと思う』

 

 男は自分たちの神宝を『ロクでもないもの』扱いされ、少なからず不快に思い、タバコを吐き捨てた。

 先ほどのライターの零れた灯油の上に落ち、発火。タバコはじわじわと燃え尽きていく。

 男は消しもせず、ただその火を見下ろし、最後に深く吸い込んだ紫煙をゆっくりと吐き出した。

 

『私たちはこれが何なのかを突き止め、できればそれを押収して、その上でどこか頼れる場所を探すよ。

 それが私たちの冤罪を証明するものにもなるだろうし、RIRAの暴挙を防ぐことにもなる』

『たった2人でですか? そんな無茶な……そのメダルが実はただのメダルで、単にRIRAが間違っていただけということもあるんですよ?

 そうなればそれこそエリス嬢たちはただの逃亡犯になってしまいますよ!』

 

 男は人情の話などどうでもいいため、ただ自分の考えた策が上手くいきそうにないことに頭をかき、諦めたように夜空を仰いだ。

 タバコがないせいで落ち着かない。指でコツコツと車の天井を叩き、足も同じように地面を。

 特に禁煙する気もないのだが、ライターを壊してしまったし。

 

「ふん。さっさとその男にメダルを渡してくれればいいものを……この時代に何が騎士道だ、馬鹿馬鹿しい」

 

 エリスたちの前にいる男は間違いなくエリスの部下だ。そして組織の人間でもなければRIRAの者でもない。

 立派なマクガーレン社のSP。

 だが今だけは、組織――正確に言えば男の支配下にあるのだから、メダルを渡してくれればそのまま男の手元に渡るはずだったのだ。

 だがどうもそうなりそうもない。

 結局"フギン"の策を持ってくるしかなさそうだなと、別に"フギン"の策を嫌っているわけではないのだが、

 ただ少し手のかかりそうなことになるために、そして宝がすぐそこにあるというのに自らの手元に渡らないことに歯痒さを覚えたために、

 彼は一度だけ大きく息を吐き出し、車に乗り込み、座席に乱暴に座り込んでキーを回し、エンジンをかけた。

 

『何の根拠にもならないかもしれませんが、俺たちはただのメダルってことはないと思っているんです』

『まあ経験則だけどね』

「……大層ご立派な経験則なことだ」

 

 合っているからこそ、余計に男は苛立つ。

 

『君にもお願いしたいことがある』

『……わかりました。何でしょう?』

 

 リゲットのこれからのことなどを部下に指示するエリス。

 もういいと男は通信機を外し、助手席に放り出して車を発進させた。

 その排気に、まだ燻っていた火が火の粉となって吹き飛ばされる。

 車が遠ざかり静かになっていく、ほとんど車も人も通らない道に、火の粉は舞い落ちて消えていく……。

 

 

 

 

 

――続く――

 

 

 

 


あとがき

  F 「そんなこんなで前回からどれだけ経ってんだって、つい自分に言いたい気分なFLANKERです」

  T 「同じく、大変更新が遅れてしまい申し訳ないという気持ち一杯のT.Sです」

  F 「ソラツバが前回確か4ヶ月ぶりに更新したってことだったから、これも同じくらいになるはず……。

     ホント、社会人ってのは時間がないもんっすね」

  T 「ほんとにねぇ……時間が一杯あって困ってたくらいのあの頃に戻りたい」<遠い目

  F 「というか、私はとりあえず夏季休暇を寄越せと言いたい。何が『夏季休暇なんか取れる暇あると思うか?』だ。ぷじゃけるな!」

  T 「まあ、どこもそんなもんだってw

     私んところも本来仕事がないから臨出ないはずだったのに、別の部署から応援で臨出してね〜って……正直なんでやねんって感じだね」

  F 「そんな上司にどう復讐するかという黒い感情を原動力に作られた、このシリアスサスペンスの剣と銃w」(←待てい!

  T 「ふむ、だとするとこれからもシリアス具合やらが増していきそうですなw」

  F 「恭エリだと公言してるのにね。ま、ラブ要素は専らT.Sさんお任せですのでw」

  T 「くっ……私にラブ要素を求めるとは、なんて酔狂なw」

  F 「でも実際書いてるじゃないですか。メンアットで♪」

  T 「あれはまあ、そうなんだけど。でも、私に書かせるときっといろんな意味で痛いものになっちゃうぞ?w」

  F 「私が書くよかマシです!……とまあ、なかなか本題に入らないので、そろそろ。RIRA。リアルIRA。真のIRA。

     ……何度も繰り返してみたが、特に意味はありません。ごめんなさい!」

  T 「IRAが狙う物も例のメダル。彼らが言うには絶対的な力を得られる物だということですが、果たしてそれはどういったものなのか……」

  F 「白い悪魔の加護とかね――ぐはあああああああ!?」(←どこからともかくスターライトブレイカー

  T 「ふむ、確かにそれはそれで絶対的な力……いや、むしろ破滅の――ぎゃああああ!?」(こちらにもスターライトブレイカー

  F 「ぐふぉ……考えてみたら……ディ、ディバインって『神聖な』とかいう意味合いらしいけど……奴が放つ場合、間違ってますよ。

     正確に言うならデビルバスターもしくはデーモンバス――いやあああああああぁぁぁぁぁぁ……!」(再びの星砕き砲

  T 「げふっ……た、確かに、言われてみればそのと――いえ、なんでもないです、はい」

  F 「も、もはや本題からそれまくり……げばっ……と、とにかく、これで三つ巴。

     しかし未だに謎の組織のみは正体がばれていないまま、追われることになった恭也とエリスでございます」

  T 「は、果たして二人は今後どのように立ち回っていくのか。そしてメダルの示す絶対的な力、それを狙う謎の集団の正体とは一体……」

  F 「それでは次回にてまた」

  T 「次の更新もいつになるか知れませんが、気長に待っていただけることを望みつつまた次回会いましょう。ではでは〜」

 




敵さんの正体が判明かと思いきや。
美姫 「メダルを狙うまた別の組織の存在」
うーん、宗教っぽい感じだよな。使徒や神宝という言葉も出てきているし。
美姫 「これから逃亡しながら、二人は真相を探る事になるのかしらね」
ああ、次回も楽しみです。
美姫 「次回も待ってますね〜」
ではでは。



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