空と翼の軌跡

LOCUS OF 19

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 緑服。赤服。青服。

 王国軍やリベール国民たちは時折そのような言葉で王国軍の者たちを示す。

 通常の王国軍兵士は、橙・緑・白など、多色を絶妙なバランスで合わせたもので、

 一般兵士のものでありながら、最もファッション的だとも言われている。

 恭也から見れば、彼らはまるで英国の儀仗兵、

 または英国陸軍の栄誉部隊である宮殿を守っている特徴的な帽子を被った兵士の服装に似ていると映った。

 貴族制度がすでに廃止になっている今となっては、当時貴族出身の騎士であることを示した赤服はもうないが、

 緑服・青服は今も存在している。

 

「閣下、作戦より帰還した兵からの報告をまとめました。こちらになります」

「ご苦労だった」

 

 一部の高い階級や一定の役職――要塞守備隊長や師団の長など――にある者が緑と白を貴重とした『緑服』で、

 かつて市民出身の騎士を示した青と白を貴重とした『青服』が、今現在、最も王国軍で名誉な部隊とされる『王室親衛隊』の軍服。

 

「負傷した者がいると聞いたが、具合の方はどうかな?」

「閣下がご心配なされるほどではありません。まだまだ未熟ゆえのことです」

「ははは。厳しいな、君は」

 

 敬礼した後、手にしていた書類を差し出しながら、女性は「大佐」と呼んだ男性の言葉に「あ、当たり前ですわ、このくらい」と、

 やや頬を赤くして早口に返した。

 

「特務部隊である以上は相応の実力が必要ではあるが、今はあんなものだろう。

 創設されてまだそれほど間もない部隊だ。色々と今までとは違うのだから、戸惑いもあるだろう」

「閣下はお優しすぎます。仮にも王国軍屈指の実力者である閣下が率いられる部隊。普通の精鋭ではつり合いませんわ」

「君は私を過大評価する傾向があるな」

「お言葉ですが、閣下こそ御自分を過小評価されておられます」

 

 何度となくやってきたやり取りで、「大佐」と呼ばれた男性も、そして女性も、共に小さな笑みを浮かべる。

 が、すぐに職務に戻るべく笑みを引っ下げた。

 男性にすれば部下とのコミュニケーションは必要なことであるが、あまり親密になりすぎてもいけないわけで、

 時に国家のために「死ね」と命じねばならない以上、ある程度突き放す態度も必要になる。

 そんな考えの彼とは違い、女性は今の会話だけでも充分だった。憧れ、胸に抱く想いの相手となれば、それだけで。

 お互い、高く在らんとするところは同じで、だからこそ彼らはそれに見合った行動を心がけているのだ。

 

「我々情報部は通常の特殊部隊の強さとはまた違った強さがないといけない」

 

 敵軍の奥地に侵入して重要施設を制圧したり破壊したり、激戦地に送られることもあるのが特殊部隊。

 だが彼らはそれらとは多少色が異なり、重要施設を探ったり、工作を施したりする仕事が多い情報部所属だった。

 そのため、通常の特殊部隊以上に単独やほんの数人で動くことも多く、戦闘もそれに伴ってより隠密に、

 そして対単数戦闘、速度などが要求される。

 心構えも違いがある。

 

「どんなに友好的であっても、常に有事に備えていなければならないのが軍という存在だ。

 しかし通常の特殊部隊は、備えてはいても、相手を敵として捉え、戦っていなければならないわけではない」

「充分、存じ上げております。我々情報部はそうではなく、常に敵と戦い続ける部隊であることも」

「その通りだ」

 

 情報の重要性は今も昔も、そして世界が変わろうとも違いなどない。

 例え友好国・同盟国であろうと、情報は国家としての存亡さえかかってくるもの。

 自国の情報を相手に与えず、かつ自分たちは相手の情報をより深く、より早く知る。

 

「我々情報部はね、王室親衛隊などのようにあまり表には出られない存在だ。そもそも目立つこともタブーと言えるだろう。

 国家の秘密を守り、時に他国の秘密を探ろうとする部隊である以上、それは仕方のないことだ」

「…………」

「それゆえに、私たちのしていることは決して正義とは言えず、決して国民から賛辞を浴びられるものではない」

 

 女性が渡した書類に目を落とし、速読のスキルもある男性は流れるように、

 一目で切れ者だと第三者が見ればわかるその獣のように鋭い目を動かし、紙をめくる。

 同じ鋭さでも、国境師団の師団長を務める猛将であるモルガン将軍や、

 王国軍の本拠地でもあるレイストン要塞の守備隊長であるシード少佐とはまた違った鋭さ。

 例えるならば、モルガンは敵を寄せ付けぬ猛獣。シードは脅威に対しても決して引かないという忠犬。

 

 

 

 

 

 彼らとは違い、夜中でも周囲に目を光らせる夜行性の獣のような目。

 

 

 

 

 

 それが、王国軍に新たに新設された『黒服』――情報部の長であるアラン・リシャール大佐の持つ鋭さだ。

 

 

 

 

 

「正直、リベール通信で特集を組まれてしまうようではいけないのだがね」

 

 リベール通信はリベール王国最大の大衆紙。文化・経済・社会・政治……ありとあらゆる情報を国民に知らせるメディア。

 そこで特集を組まれたとあっては、誰もが知ってしまうと言えるもので、

 本来、秘匿性が重要な情報部としては軽率な行動と受け取られてもやむをえないものである。

 

「私は必要なことであったと思います」

 

 しかし女性は即座に反論した。

 彼女も士官学校を首席で卒業し、その後も有能な頭脳で王国軍に貢献してきた身。

 その頭脳が情報の重要性、情報部の秘匿性の観点を忘れているわけがない。

 

「閣下が仰られますように、確かに私たちは軽はずみに顔を晒していいわけではなく、他からの賛辞を求めてもなりません。

 ですがある程度、相手に脅威として認識され、警戒される存在でもなければ意味がありません」

 

 リベール王国軍の情報部は侮れないと思われなければ、ただ軽んじられるだけだから。

 リベールで何かしようものなら、直ちに情報部の耳に入り、誰よりどの部署より素早く対策を取られ、

 どこに隠れようと、どこに逃げようと、あっという間に捕らえられてしまうと。

 そう思われ、恐れられなくてはいけない。

 

「その意味で、あの空賊事件の報道は大きな意味がありました。

 私たちの顔は知られ、情報部の存在も大きく知られることにはなりましたが、

 同時に空賊の居場所を即座に突き止め、素早く砦を制圧し、全ての空賊を逮捕できたことで、

 我々の情報収集・解析能力の高さと、情報部直属特務部隊の素早さが『脅威』として認識されるにも充分な効果があったかと」

 

 女性にしてみれば、リシャールがメディアで特集を組まれたことも大きな効果があったと考えている。

 リシャールは剣の腕も、そして指揮官としてのスキルも、おまけに人格も備えた実力者。

 リベールを救った英雄であり、『剣聖』としても名高いカシウス・ブライト元大佐の部下であり、彼の右腕としても知られた男だ。

 そんな男が率いるのがこの情報部であるということ――この2つがセットで知られることこそ、

 他国の警戒を誘い、謀略を躊躇わせる脅威となり得る。

 

「閣下の偉業がこの国を守っているのです」

 

――――結果的に、それはリベールという国家を守ることに繋がる。

 

 

 

 

 

 他人に存在を認められなくても、例えどんなに正しいことをしたところで賛辞を浴びれなくても、

 それでもただ、この自分の生まれた祖国を、そこに生きる人々と美しい故郷を守りたい。

 

 

 

 

 

 この『愛国心』こそ、リシャール大佐と女性――カノーネ・アマルティア大尉を始め、情報部全員の共通点。

 

 

 

 

 

 国を愛し、故郷を守る意思は他の誰にも負けない自負を持ち、たったそれだけ、しかしそれこそを誇りに行動する者たち。

 

「綺麗事だけで国は守れませんわ」

「その言い方はやめた方がいい。女王陛下への無礼に当たる」

「は、申し訳ありません」

 

 リシャールとてアリシア女王のやること、言っていることが全て正しいとは思っていない。

 それでも彼女のことは尊敬しているし、守りたい対象だ。

 彼女がこの国を守ってきた人間であることは確かで、国の元首としてこれほど優れた人物は歴史上でもそう多くはないと言える。

 

「綺麗事とて必要なのだよ。女王陛下は、王族の方々はそう在らねばならない。

 国民に希望を持たせ、国家を維持するには、王と王族は常に『正しさ』を見せ、人を導かねばならない。

 君主制を採用する以上、君主にはその義務があり、女王陛下はそれを実行されている」

「ですがそれでも――」

 

 リシャールはそこで手を差し出し、彼女の発言を止める。

 

「君の言うことはわかっている。だから、その裏の所業を我々が負うのだ。その汚さを背負うのも、我ら情報部の使命」

 

 国家元首である以上、情報部が起こした問題はアリシア女王にも責任が問われる。

 下手なことはできないが、それでも彼女が負うべき汚さも、できる限り自分たちが引き受けなければならない。

 

「悪役を背負うことで国を守るヒーローを気取っているようだ、と思っているのかな?」

「そ、そのようなことは……!」

「他の誰がそう思っていても私は構わないが、情報部員である君がそんなことでは困るよ」

「も、申し訳ありません……」

 

 実際そういう一面があるにはあるが、リシャールはヒーローぶりたくてこんなことをしているわけではない。

 国を守るために必要なことだと思うからやっているのだ。

 

「今しがた言ったが、王や王族の方々は国民に希望を持たせ、国家を維持し、常に『正しさ』を見せ、人を導かねばならない。

 だからこそ、汚い所業などすれば批判を買い、民心を失くし、それは国を滅ぼすことにも繋がりかねない……。

 もうわかるだろう?

 我々がその汚さを負うのは、女王陛下のためだけではない。私たちが愛するリベールという国のためなのだ」

 

 立ち上がり、窓のそばまで移動したリシャールは、窓に手をかけた。

 まるで絵画に目を奪われているように、その鋭い目から鋭さが取れ、口元が柔和に綻ぶ。

 外に見える王都グランセルの街並みと、月が綺麗に映っているヴァレリア湖。

 その全てが愛しい存在だと言うかのように。

 そんな彼に、目と、そしてすでに奪われていた心をさらに彼に引き寄せられ、カノーネは改めて彼についていきたいと望む。

 振り向いた彼は、彼女の顔を見るだけでそれを察したのか、穏やかに笑った。

 

「さて……報告の内容は把握した。ゴスペルの居場所がわかったのならそれでいい。

 ダルモア殿や遊撃士たち、ルーアンの市民には申し訳なかったが……まあ、ダルモア殿の所業はすでに知れていたこと。

 遊撃士たちが動かなければ、そのうち私たちが逮捕する予定だったから問題はないだろう」

 

 再び報告書を手に取り、その中に挟んであった写真を取り出す。

 そこに映っているのは王室親衛隊のユリアに、遊撃士の少年と少女。そして1人の女学生。

 その背後には連行されるダルモアと、白く美しい高速巡洋艦『アルセイユ』の船体も映っていた。

 

「この2人、確か準遊撃士だと言っていたかな?」

「はい。エステル・ブライト及びヨシュア・ブライト。ご存知の通り、カシウス・ブライト元大佐のご家族です。

 年齢は16歳。少し前に準遊撃士になったばかりのようです」

 

 彼らとはボースの町でも、空賊砦でも会っており、そのときからリシャールは彼らに興味があった。

 今でもアリシア女王同様に尊敬し、憧れているカシウスの娘と息子だからでもあるが、

 今はそれ以上にこの2人がリシャールのお気に入りでもあるからだ。

 

「その言動に子供じみたものが多々あるのも当然かとは思いますが」

「ふふ。私は彼らのその言動が嫌いではなくてね。むしろ好意を抱くよ。

 彼らのような子たちがこのリベールで生まれ育ってくれることほど、国を守ることに意義を感じることもそうはない」

 

 真っ直ぐな瞳、勝気で直情的なエステルと、年齢以上に冷静な判断と人を観察している鋭い目と思考をしているヨシュア。

 どちらもリベールを愛し、お互いを信頼し合っている。

 いい組み合わせだと思う。

 

「彼らが持っているのだね?」

「はい。ゴスペルの起動を確認いたしましたので」

 

 しかし……ゴスペルを持っているとなれば、少々厄介なことだなとリシャールは息をついた。

 彼らはすでにルーアンを発っている。向かう先はツァイス。

 準遊撃士は正遊撃士になるために推薦状を各地でもらってこなければならないため、

 ルーアンですでにそれを得た2人はツァイスに行こうというのだろうが、

 おそらくはゴスペルについても調べようとしてのことだろう。

 何せツァイスにはリベール最高どころか、このゼムリア大陸でも最高クラスの頭脳――ラッセル博士がいる。

 

「あまり荒事にはしたくないのだが……いや、それこそ綺麗事だな」

「閣下……」

 

 すでに自分たちがやっていることは荒事の類。

 国家の存亡に係わる計画を立て、行動していることなのだから、荒事以外の何でもあるまい。

 

「ラッセル博士の手に渡るのはもう止めきれないな。ブライト元大佐と彼はお互い見知った仲で、今も交友関係がある。

 それだけでも急ぎの用とあればすぐに取り次ぐだろうし、ラッセル博士のお孫さんからとあれば公的に取り次がなくても、

 私的に会うこともできてしまうだろうしね」

 

 ラッセル博士の孫であるティータがいるのだ。

 彼女がいればエステルとヨシュアの信頼性は確実だろうし、マードック工房長も協力することだろう。

 ツァイスの工房はリベール王国にとって他国には絶対に渡せない情報を抱えているし、

 大陸の導力技術の最先端を行くリベールの、その技術的優位の元となっている工房でもあるのだから、

 相応の警備も完備されているため、工房がエステルとヨシュアに協力するとなれば、下手に干渉することはできない。

 ゴスペルを奪還するとなれば、実力行使も選択肢に入れねばならない。

 

 

 

 

 

「焦らなくても、そう易々と解析できるものではありません」

 

 

 

 

 

 その声と同時に扉が開いた。

 入ってきたのは特務部隊の戦闘服に身を包み、目元を隠している仮面を被った男。

 

「ロランス少尉! 入るときはノックしなさい!」

「失礼。話し込まれているようで、気づいてもらえないだろうと思いましたので」

 

 カノーネは振り向いて噛み付くように怒鳴ったが、仮面の奥から僅かに銀髪が見える男は軽く流してしまう。

 こういうところがあるからなのか、カノーネは彼にあまり好意的ではなかった。

 いったい彼が何者なのかは知らない。その素顔さえリシャールは知らなかった。

 

 

 情報部の長であるリシャール大佐をして……わからない。

 

 

 おそらくは傭兵なのだろうと思っている。

 その剣の実力はリシャールと同等かそれ以上。

 先ほども扉を開くまでその気配を察することができず、いくら考え込んでいたからとは言え、

 自らの失態だけが気づけなかった理由ではないはず。

 

 

 

 

 

 そもそもゴスペルを持ってきたのは、彼だ。

 

 

 

 

 

 裏にある何らかの組織の存在の影も見え隠れしている。

 その組織がいったい何なのか……それは今を以ってわからないまま。

 かの組織はリシャールもカシウスがまだ軍にいた頃、少しだけ耳にしたことがある程度で、

 情報部を創設したのも、そんな組織が実在することだけはわかったということが大きい。

 

(このリベールにとって脅威となりえるのは確実。ならば何としても彼らの真意を探る意味でも……)

 

 そう思ってリシャールは彼を引き入れ、この計画を立てて実行に移した。

 情報を探る上で相手の中に紛れ込んだり、もしくは故意に引き入れて騙されているフリをしたりなど、常套手段だ。

 リシャールはいきり立つカノーネを抑え、用件を尋ねる。

 

「遊撃士協会の動きがやはり素早い。密かに動いている遊撃士がどうも複数いるようです」

「ブライト元大佐はその中に?」

「いや、カシウス・ブライトは現在、エレボニア帝国内で起こった遊撃士協会襲撃事件の応援に行っています」

「そうか。姿を消されたことは知っていたが……」

 

 正直なところ、この計画を遂行する上で最も警戒すべきは、皮肉にもリシャールが尊敬するカシウスだった。

 モルガン将軍やシード少佐、ユリア大尉、ラッセル博士……この計画で抑えなければならない対象の中には、

 彼らのように、カシウスと非常に縁が深い人間が多い。

 彼らとも今も何らかの関係があるカシウスならば、連絡が取れなかったり、どうにもきな臭さが感じられたりすれば、

 きっと何らかのアクションを起こしてくるはず。

 

「私ではあの方には知略でも実力でも敵わないからね」

「…………」

「閣下! そのようなことは……!」

「事実だよ、大尉」

 

 リシャールだけでなく、シードもユリアもカシウスに剣を教わった人間だ。

 その戦い方は3人でそれぞれ分かれたが、彼らの剣には今もカシウスの剣と似たものがあるとは、モルガン将軍の感想。

 剣の振るわれ方のみならず、彼らの強い精神力や心がけは、共通してカシウスから受け継いだもの。

 ユリアの名前が出ると、カノーネが少しだけ不機嫌そうな表情に。

 仕官学校時代、ユリアとカノーネは『武のユリア』『文のカノーネ』と言われた間柄。同期だ。

 ユリアの方はライバル意識などさほどなかったようだが、カノーネは今でも彼女をライバルだと思っているらしい。

 その様子に苦笑する。

 

「君たちも知っているだろう? 百日戦役の折、あの方が考案された反攻作戦と、その結果を」

 

 

 

 

 

 北の隣国、エレボニア帝国が突如としてリベール王国に侵攻した10年前の『百日戦役』。

 圧倒的な戦力と兵力で攻め寄せたエレボニアに、リベールは瞬く間にロレント・ボース・ルーアン・ツァイス地方を制圧され、

 国家の重要な機密でもあるツァイス中央工房も接収されてしまい、

 残るは王都グランセルとその周辺、及びツァイス地方で孤立しかけのレイストン要塞のみ。

 誰もが敗北を覚悟していた中、モルガン将軍を筆頭に、カシウス・ブライト大佐と、

 その直属の部下であったリシャールやシードは一大反攻作戦を計画した。

 

 

 

 

 

「当時はどの国も保有していなかった警備飛行艇を投入した、電撃的な一大反攻作戦だった」

 

 まだ開発途中だった警備飛行艇を、ラッセル博士やマードック工房長たちはレイストン要塞で作り上げた。

 それを聞いたカシウスが3日3晩寝ずに考え出した作戦。

 

「しかしそれほどでしょうか?

 他のどの国もが持っていない兵器を使い、対空兵器がないのですから一方的になるのは当たり前。

 正直、私はそれで勝ったところで、英雄と呼ばれるほどのこととは……」

 

 警備飛行艇による空からの爆撃。

 当時対空砲などない中で、それは10隻程度ではあっても、エレボニア軍にとってはとんでもない驚きだったろう。

 戦車が全く通用せず、ただ一方的に食われるという戦いだ。

 それだけなら、確かにカシウスが英雄と呼ばれるにしても、勝って当たり前すぎる戦いだ。

 

「貴女も鈍いな。

 どんなに優れた兵器だろうと、たかが10隻そこらの警備飛行艇だけで万単位のエレボニア帝国軍を退けられるわけがあるまい」

「に、鈍いとは失敬な!」

「大尉、警備飛行艇を投入したということは勝利の大きな要因だ。だがそれだけで勝てるほど、エレボニアはヤワな国ではない」

 

 戦争は最新兵器だけが物を言うものではない。

 大国エレボニア帝国と、小国リベール王国。国力には大きな開きがある。

 リベールがどんなに優れた技術力を有していても、原料がなければ作れない。糧がなければ人は生きられない。

 

「兵糧攻め、物資遮断……いくらでも手はある」

「しかし物資ならカルバード共和国が手助けしてくれたのでは……!」

 

 リベールがもう1つ国を接する東の隣国、カルバード共和国。

 エレボニア帝国とは違い、リベールとは当時から友好関係を築いており、同時にエレボニア帝国とは仲が非常に悪かった。

 エレボニアが侵攻してきたのも、リベールの技術力を用いてカルバードとの競争を有利にしたかったからであり、

 リベールはカルバードの手先だと考えて手始めに侵攻したという説もある。

 

「カルバードは確かに物資等で援護しようとしていたようだが、

 当時、すでにリベールは王都グランセル地方を除いて4地方全てが制圧されていた。

 カルバードとの国境はツァイスかロレント。

 だがどちらも完全にエレボニア軍が制圧していたのだから、物資など送り込めるはずがないでしょう、大尉?」

「そ、それくらいわかっていますわ!」

 

 空からでもなければ物資援助もできず、結局カルバードはエレボニアに対して非難声明を出し、

 軍を出すことも辞さないと言うだけで、結局は軍を出さず、物資援助もできないまま。

 皇帝による君主制ではなく、共和制という政治体制が、戦争反対派や中立派を容認してしまい、

 共和国議会が軍を出す出さないで紛糾してしまったのだ。

 実のところ、軍を国境付近に集結させていたようだが、エレボニアは当然防戦準備が整っていたため、

 カルバード軍もそう易々と進攻できなかったという事実もあるのだが。

 

「あのまま粘られていたら、例え警備飛行艇でも手が回らず、レイストン要塞も陥落し、

 王都グランセルも制圧されていたかもしれないのだ」

「…………」

 

 物資がなければ投下する爆弾も作れない。食料がなければ兵士も戦えない。

 どんなに警備飛行艇が強くても、たった10隻そこら。

 それに地方都市の上に陣取られたら爆弾など落とせるわけもなく、シェルターでも作られれば空からの攻撃も意味を為さない。

 

「制空権は重要だ。だが空を押さえても、最終的には陸で攻めなくては意味がないのだよ」

「エレボニア軍がもし主戦派一色であれば、民間人を人質に取ることもできたでしょうからね」

 

 非情ではあるが、戦争とはそういうことになったところで何らおかしいことではない。

 

「要するにカシウス・ブライトが英雄と呼ばれたのは、そのあたりにあるのでしょう?」

「そうだ。警備飛行艇のことについては、彼よりもラッセル博士やマードック工房長たち、開発研究者たちの手柄だ」

 

 最新だが10隻程度の警備飛行艇。

 それを始めて運用するにも係わらず使いこなし、次々にエレボニアの占領下から各地方を解放したカシウスたち。

 まずカシウスが抑えたのはツァイス。

 中央工房を早く解放しなければ、技術的優位を覆されかねないからだ。

 それとほぼ並行してロレント。

 ロレントは他の地方に比べれば特筆することのない地方だが、導力技術には欠かせない七耀石(セプチウム)の鉱山がいくつもあり、

 資源確保のためには押さえなければならない戦略的要所。

 

「だが奪還できても、王国軍と帝国軍には圧倒的な兵力差がある。数で押し切られれば再び占領されるのは明らかだった」

「重要なのは早期停戦。そこに持っていきたかったのでしょう」

「一時でも有利な状況を作り出し、全滅させることも可能なのだぞと脅しをかけることが、

 ブライト元大佐がエレボニアに仕掛けた戦略」

 

 カシウスはロレントとツァイスを押さえた後、今度は空を飛べることを利用して国境のハーケン門に部隊を空輸して奪還。

 エレボニアからの物資を遮断した。

 エレボニアの圧倒的戦力・兵力という有利な要素は、エレボニア本国からの物資が遮断されることで、

 逆に食料が一気に尽き果て、砲弾がなければ戦車も鉄の塊となり、不利なものに変わってしまう。

 さらに畳み掛けるような上空からの爆撃と、警備飛行艇による部隊輸送により、前と後ろからも挟み撃ちという目に遭い、

 エレボニア帝国軍は数で勝りながらルーアンを奪還され、ボース地方に閉じ込められる形となった。

 そしてアリシア女王と共に外交によってカルバードを動かして停戦を要求し、

 主戦派に反対する勢力を味方につけ、停戦協定に持ち込ませた。

 

――――その際、実はエレボニア帝国の方から停戦の打診があったとも言われている。

 

「あの方は自らカルバードに赴き、もうリベールに援助しても意味はないと思いかけていたカルバードを動かした。

 カルバード軍がエレボニア帝国との国境に軍を集結させたろう?」

「なるほど……カルバードの本腰を上げさせたわけですか」

「ブライト元大佐はあくまで兵を国境付近に動かしてくれたらいいとだけ言ったらしいがね」

 

 結局カルバードは国内で軍を動かしたにすぎず、一度もエレボニア軍と戦うことがなかったため、

 リベール国民の間では一部が「形だけの友好じゃないか」と不満を漏らしたことはあるが。

 

「万単位のエレボニアが一時的であろうと完全に包囲されたんだ。

 その上で警備飛行艇による昼夜を問わない威嚇。エレボニア帝国軍もかなり参ったろうね」

 

 万の軍隊が全滅などという事態になれば、カルバードと戦争などやってられない。

 そういう状況をカシウスは作り出したかったのだろう。

 

「それら全てを、彼はやり遂げてしまったんだよ。

 だから……彼が軍を辞めると言ったとき、モルガン将軍も私もシード少佐も必死で止めたものだ。彼の意思は変わらなかったが」

 

 モルガンは自分の後継に据えようとするほど気に入っていたからこそ、遊撃士になってしまったカシウスが、

 まるで遊撃士協会に持っていかれたように見えたのだろう。

 モルガンの遊撃士嫌いもそこから始まったのだから。

 

 

 

 

 

「カシウス・ブライトという英雄がいなくなった以上、もう彼は頼れない。だからこそ、リベールを守るには絶対的な力がいる」

 

 

 

 

 

 そのための情報部。

 情報部自体は絶対的な脅威になどなれない。

 だがあのゴスペルによって、その力を持つことができる。

 

 

 

 

 

 だから。

 ゴスペルは何としても取り返さなくてはならない。

 

 

 

 

 

 遊撃士が何やら動いているが、遊撃士も事情さえ知れば介入はできないだろう。

 遊撃士協会は国際的な組織であり、国家権力には不干渉の規約もある。

 だが、今話すことはできない。

 今しばらく、事が終わるまでは、彼らからは振り切るしかない。

 

「それで、この2人の少年と少女の他、アガット・クロスナーという遊撃士に部下がやられたと聞いたが?」

「そちらは正遊撃士です。彼もカシウス・ブライトとは浅からぬ縁があるようで。おそらくは……」

「ふふ……あの方は本当にわからない。いったいどこまで読めているのか……」

 

 アガットのほかにも、ゴスペルを奪取したクルツ・ナルダンという遊撃士がいたこともわかっている。

 クルツについてもすでに調べが上がっている。

 遊撃士協会のA級遊撃士。実質、リベール国内における遊撃士のNo.2。『方術使い』として知られる実力派で槍使いでもある。

 

「そして最後の1人……」

 

 リシャールはもう一度エステルたちが映っている写真に目を落とす。

 その中に移る、遊撃士と軍人の中では全くその場には不似合いな格好。しかし何ら違和感を抱かせない存在感。

 

「クローディア姫が係わっていたとは……ゴスペルが姫殿下からユリア中尉に渡っていたら、この計画は失敗していた」

「ルーアンにおられたとは存じ上げませんでした」

「どうやら王室親衛隊でもユリア中尉と他に数名くらいしか知らなかったようだからね」

 

 リシャールは本当に安堵したと、椅子の背もたれにもたれた。

 カノーネが大丈夫ですかと慌てて近寄り、それを制しはしたものの、彼女はまだ不安なのか、

 何か飲み物でも持ってきますと言って、半ばロランスの存在を無視して出て行った。

 特にロランスに気を害した様子はないが。

 

「まるで信奉者ですね、貴方の」

「思い込みが激しいところはあるが、悪い人間ではない。そのあたり、理解してもらえるとありがたいのだが」

「俺を気にする必要はありません。それよりも……」

 

 ロランスは机のそばにやってきて、カノーネが渡した書類の中から別の写真を取り出して見せた。

 先ほど一通り目を通した際にリシャールも見ていたが、彼については確かにリシャールも首をかしげるほかない。

 そこに映っている黒髪の青年。

 背後の人間たちを護っているのか、情報部が鍛えたアタックドーベンたちを2本の小太刀で振り払っている姿。

 

「名前はキョウヤ・タカマチ。年齢は21歳。ルーアン支部所属の準遊撃士です」

「特にそれだけならおかしいわけじゃないのだがね……まさか1年前の王城侵入者とは」

 

 リシャールは笑みを浮かべるでもなく、深刻な顔をしたまま。

 情報部将校であるのだから、リシャールもその話は当然聞いていた。

 ユリアやラッセル博士が身元引受人や保証人になっていることも知っているが、

 リシャールとしてはそれ以前のことが気になっていた。

 

 

 

 

 

「出生地も素性もわからない。王城に侵入した方法も不明……」

 

 

 

 

 

 情報部でもそれらのことすらわからない。

 出生地や素性は隠されているだけかもしれないし、スパイだったら戸籍などが抹消されていても別段おかしくはない。

 だがそれでもその人間が今まで生きていた以上、何らかの形として残るはずなのだ。

 その全てを消し去ることなど、いくら何でも無理に近い。

 なのにこのキョウヤ・タカマチという人間にはそうとしか言いようがない状況にあって。

 

「調査は続けていますが、やはりわからないことだらけ。

 王城侵入の際の調書にもロクな事は書かれていない。別世界がどうだのとよくわからないことを口走っていたとあるくらいで」

「そのわりに人格者のようだがね。

 私はシュヴァルツ中尉やシード少佐とは付き合いがあるが、

 彼らはそんな嘘に誤魔化される人間ではないし、ましてや保証人に名を連ねるなど、軽々しく行う人間ではない」

 

 クローディア姫も優れた人物だ。それはリシャールも認めるところ。

 デュナン公爵は正直、国を任せるには不安も不安。

 傀儡とする意味では、クローディア姫より適当ではあるが。

 とにかく、クローディア姫が元王城侵入者を自身の護衛にするなど、事情がなければありえない。

 

「目的は妹を探してのこと、とのことですが、どこまで本当なのかわからないですね。

 家族構成もわからない以上、妹がいるのかすら不明ですので。そもそも年齢も本当かどうか……」

「ふむ……現状、彼のその戦闘の実力は要注意、というところか」

「ええ。なかなかの実力者です。正遊撃士にもひけは取りません」

「ブライト元大佐といい戦いをしたそうだからね」

 

 武術大会で準決勝まで上り詰めたのだから。

 本当に不思議な人間である。

 どこかのスパイと考えるにしても、ラッセル博士のそばにいながら特別何か危害を加えるようなことはしていない。

 周囲の信頼を勝ち取って国家機密をラッセル博士から聞きだそうとしているなどが考えられたが、

 全くその様子はなく、その様子がないからこそ、彼がどこの国の人間なのかもわからないのだ。

 彼が使う流派についてもまるでわからず、ここまで徹底的に秘匿されているとすれば、

 国家レベルと言うより、国際機関レベルの方が適当とも思い、

 もしかすると七耀教会の総本山、アルテリア法国の秘密部隊『聖杯騎士団』ではないかとも考えたが……。

 

「その可能性もあるにはありますが、それにしては七耀教会に寄りつくこともほとんどありません」

「そうか……遊撃士協会が有能な人間を準遊撃士にして動かしているというのも考えにくいからな……」

「調査は続けます」

「ああ、お願いしよう」

 

 では、と言って出て行くロランス。

 その背中を見送りながら、不明なのは君もなんだが、とリシャールはため息をついた。

 そこでカノーネが戻ってきて、コーヒーを持ってきてくれたので、一息つく。

 

「さて……大尉。シード少佐は何とか押さえた。ほとんどの将校もだ。

 残る中で問題なのはモルガン将軍にシュヴァルツ中尉だが……家族を人質に取ったというだけで彼らが止まるかな?」

「正直難しいでしょう。ですがモルガン将軍の場合は家族以外に部下があれだけいますので」

「やむをえないか……なら先にシュヴァルツ中尉から押さえよう。彼女を押さえれば女王陛下も押さえられる。

 その女王陛下の厳命とあれば、モルガン将軍とて容易には退けられまい」

「デュナン公爵については問題ありません。ただ執事のフィリップ様に苦労しましたが……」

「仮にも元王室親衛隊の大隊長。"剣聖"カシウス・ブライト、"武神"モルガン将軍に並ぶ"鬼の大隊長"だからね」

 

 苦難は耐えないが、国を守るというのだから当たり前。

 リシャールは立ち上がり、そばの刀を取って腰に差す。

 

「では行こうか……これを使わずにすめばいいのだがね」

 

 同じ師に教えを請うた弟子同士として、それは避けたいものだと思いながら、リシャールはカノーネを伴い、

 グランセル城で女王が普段住んでいる女王宮へと足を運ぶのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 2人が女王宮へ続く空中庭園への階段を上っていくところを壁越しに見ていたロランス。

 彼らの姿が消えると、彼は反対側へと歩いていく。

 自分が行くところはメイドたちの控え室、そこにいるであろうヒルダ夫人の元。

 

「あの夫人を止めるのは骨が折れそうだな」

 

 女王の身辺の世話をしているヒルダ夫人は、メイドたちの長でもある。

 厳しいことでメイドたちどころか軍人だろうと怖いと噂する人物であり、ユリアですら彼女には頭が上がらないらしい。

 王城の正面の階段を下りつつ、ロランスは無言で腰にかける剣に目を落とす。

 

(この剣も『外』の理で作られたものと盟主に伺ったが……別世界か。とすればあの流派も『外』の世界の剣術。

 見てみたいものだな、"剣帝"としては)

 

――――『私は君のように剣を使うわけではないから詳しいことまでは言えないが、しかし彼の業は素晴らしいよ。

     そう、あれは1つの『美』だ。殺人の『美』とでも言おうか』

 

 リシャールに提出された写真。

 あれは情報部員が撮ってきたものではない。

 そもそも夜の暗闇の中であんな鮮明な写真を撮ろうと思ったらフラッシュが必要になるし、それではどうあっても気づかれる。

 それなしで撮ってくるのだから、さすがは"怪盗紳士"。

 対象に気づかれることなく盗む……怪盗の基本ということだろうか。

 

「奴はいちいち美を絡めるから言っている事が理解しにくいが……しかし殺人の『美』か」

 

 "怪盗紳士"は何かにつけて『美』を追求する。自分の怪盗技にも戦闘にも。

 彼は偶々ルーアンの街に居合わせただけなのだが――加えて一騒動起こした――意外なところで仕事をしてくれたと言えよう。

 どうにも今回の一件でクローディア姫に『美』を見出してしまったようだが、

 もう1つ、あの異世界からの来訪者とやらにまで『美』を感じてしまったらしい。

 

(ブルブランが殺人の業に『美』を感じたということは、あの男の殺人剣はそれほどのものということ……)

 

 "怪盗紳士"は一癖も二癖もある『執行者(レギオン)』の中でも特に変わり者だが、彼も『執行者』の1人。

 その目に映ったものがただのまやかしや嘘だったなど、そんなことはない。

 "剣帝"としては、ブルブランが『美』を感じたほどの剣士に興味が湧く。

 

「殺人剣か……ヴァルターが喜びそうな話だな」

 

 剣と拳という違いはあれど、"痩せ狼"と同じ殺人技術を持つ者。

 だが在り方が決定的に違う。

 人を殺す技術を積極的に揮う立場と、人を守る立場。

 殺人の業を極めて殺人の道を行くか、極めながら活人の道を行くか。

 とりあえず"教授"を初め『蛇の使徒』や『執行者』たちには伝えておいた方がいいかもしれない。

 組織の誇る『十三工房』が何らかの知識を持っているかもしれないこともある。

 

(カシウス・ブライトはまだしばらくの間戻ってこれないだろう。カンパネルラも今頃は奴との駆け引きを楽しんでいるのだろうな)

 

 とは言え、手持ちのジェスター猟兵団も稽古をつけてやったことはあるが、どうにもそこいらの猟兵団の域を出ない者ばかり。

 "剣聖"相手に"道化師"がどこまで粘るか。まあ、何かあれば"教授"が動くだろうが……。

 

「……お前はまだ"教授"の手の内なのだな」

 

 今回の情報のほとんどは、ブルブランが送ってきたものではない。情報部員でもない。

 遊撃士協会内部の情報については『彼』が担当だ。本人は自覚していないが……。

 やはり準遊撃士ではあっても、内部にいるだけあって、外から探るよりも情報が得やすい。

 

「お前は俺に"漆黒の牙"として対するのか、遊撃士として対するのか、

 それとも……『ハーメルの遺児』たるアストレイの名を持つ者として対するのか……。

 何にしても生半可な覚悟でこの"剣帝"は退けられんぞ」

 

 ロランスは剣から手を離す。そこで正面からやってくる1人の女性を視界に入れた。

 メイド2人を連れて歩く女性。老齢に入った年頃だろうに、背はしゃきっと伸び、きりっと逆ハの字に上がる眉と、

 静かに足音を立てず、余計に揺れることのない体……威厳がありながら整った歩き様には貫禄がある。

 向こうもこちらに気づいて目を細めた。

 ロランスは怪訝そうにこちらを見てくるメイドたちには目もくれず、彼女たちの方へ歩み寄る。

 

 

 

 

 

 ロランス・ベルガー少尉。

 リシャールですら素性の知れない彼こそ、『身食らう蛇(ウロボロス)』の『執行者』No.U――"剣帝"レオンハルト。

 

 

 

 

 

――続く――

 

 

 

 


あとがき

 クレ

  というわけでソラツバ19でしたが、いかがだったでしょうか。

  あの後改めて「貴様は恭クロばかりだな!」と突っ込まれたので、私、反省しました。

  まあそれはさておき。

  今回は恭也サイドでもエステルサイドでもない、所謂幕間的なお話でした。

  色々と影で進行していたり、それに関与する組織の影があったりとフラグ盛りだくさん。

  知っている人はニヤリと笑い、軌跡未プレイの人はいろいろと妄想できたり(笑)

  ……。

  ………。

  …………。

  も、もう、らめえええ!

  あれですよね、フルブランが出てきてこう、燃え上がるんですよね!

  反省したと言った手前、誰と誰の何がとは言いませんが!(笑)

  さあ、そして私と同じ事考えた諸兄は素直に手を上げましょう。ほら、それは恥ずかしいことじゃないですよ?(笑)

 

 シンフォン

  こんにちは、シンフォンです。

  今回は楽屋裏というか、1st事件の背後にいる人達に焦点が当てられましたね。

  また、名前だけ登場の人達は、どれもこれも2ndプレイ経験のある方には、おっ!?と思えるものでしょう。

  が、まだそれは先の話。当分は、1stの物語を楽しんでください。

  どのぐらいで登場できるかは、いかにFLANKERさんが毎日書き続けても未定ですね(笑)

  何しろ、空の軌跡という物語はとても長く、そして省略するには人物達が紡いでいく絆がとても大きな位置をしめています。

  それはメインキャラクター達だけではなく、他のRPGでは町民Aみたいに分類されるような人達にも繋がっていく絆。

  どうか気長に楽しんでください(^^

  (てか、Falcomは住民全員にちゃんと名前つけてるんだよね。だから、町民Aなんて哀れな人はいませんがw)

 

 enna

  はい、こん〇〇は、ennaです。

  今回で序章含めて20回目となりましたソラツバ、いかがでしたでしょうか?

  早いものです。なんだか、感慨深いものがありますね〜……って、私が参加したの、しばらく後からだ!w

  コホン……ともかく、これからも楽しんでいただければ幸いです。

  さてさて、今回は主役サイドではなく、悪役サイド……というか、黒幕サイドのお話でした。

  ヒステリーな印象が強いカノーネさん、タマネギさんことリシャールさん……。

  そして、もう一人の緑川ヴォイス、「剣帝」ことレオンハルト。

  我等が恭也君も、この三人と対峙して行く事になるんですが……はてさて、どうなることやら。

  これからの展開に、ますます目が離せなくなってきましたね。

  静かに、しかし確実に動きつつある彼等との対決はもう間もなく……かも?w

  ではでは、次もどうぞお楽しみに! ennaでした〜。

 

 FLANKER

  ほんの数行堪えただけでダメなのかよ!? もちっと我慢せんかい!(笑

  ……遠回しに毎日書けと言われているように聞こえるのは気のせいか?(卑屈になっておりますw

  生殺しは私の特権だぞ、ennaさん!(マテ

  何かもう毒電波に汚染されたりウィルス菌のように言われたり黒と呼ばれたり、散々だな、私!(泣

  ああもういいさ! 笑いたければ笑うがいいさ! 笑え! あっはっはっはっは、笑うなああああああああ!(どっちだ

 

  ……さて。

  序章入れて20話目と、ソラツバも増えてきました。どうせならこのままプラアザ抜かせと願う私。

  プラアザで失敗してきた愚は犯さぬよう、気をつけようと改めて思っています。

  今回はリシャール・カノーネ・ロランス(レオンハルト)に登場してもらいました。

  カシウスが何を以って英雄と呼ばれるのか、そのあたりも描いた今回。

  原作では裏の動きはほとんど描かれなかったわけですが、そのあたりを補完のように埋めつつ、

  ちょっと原作とは違ったアプローチで物語を深めようとしました。

  そしてレーヴェ(レオンハルト)に、彼が口にした仲間の名前。出したからには彼らが登場する2ndまで書かねば。

  では次回から数話、なのは・エスヨシュ・恭也の順に各サイドを描いていきます。

  失礼します。




未プレイ故に、全く先の展開を知らず、こういうお話も楽しめました。
美姫 「何やら不穏と言うか、怪しげな感じの会話が」
ちょっとワクワクするよな、こういう秘密のやり取りって。
美姫 「分からなくもないけれどね」
にしても、ここでも恭也の存在が要注意人物として。
まあ、異世界なんて考えないだろうから、怪しい人物だしな。
美姫 「ここでのやり取りが今後、どう関係していくのかしらね」
次回も楽しみにしてます。
美姫 「待ってますね〜」



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