注(これは必ずお読み下さい)

 

※この作品は、『Schwarzes Anormales』の作者であるペルソナさんと、

『リリカルなのは プラス OTHERS』を書いております、私、FLANKERの合同作品です。

 文章は私、FLANKERが担当しました。

 やはり別作者の私が蛍火くんを書いた以上、ちょっと人物像や技などの設定に違いが出ていると思います。

 それが気に入らないということもあるかもしれません。

 お読みになるのなら、そのあたりはご容赦下さい。

 もちろんペルソナさんには許可を頂いた上で蛍火くんをお借りしております。パクリじゃないですよ?(笑)

 

※『Schwarzes Anormales』で言うと第22話終了時点であり、

 『リリカルなのは プラス OTHERS』で言うと第4章第6話終了時点で、これを書きました。

よって、以降の話に出てきた設定などはほとんど反映されていない、とご理解の上でお願いします。

  ただし、今回の蒼牙に関しては本編に入る直前という設定ですので、

  本編で使用できるようになった『絶解・蒼覇神』などは使えないわけです。

  その理由はサブテーマである『"歪"なる者たちの戦』に沿うようにするためですので、お許し下さい。

 

※題や前編からもうお分かり頂いているでしょうが、これは完全戦闘モノです。

 今回も互いの技が出まくり、双方の作品を見ていない場合、大変混乱しかねません。

 

 以上のことをご承知頂けるのなら、どうぞお読み下さい。では。


 

 

 

 

合同企画特別編

二作品登場オリジナルキャラクター対戦話

 

新城蛍火(『Schwarzes Anormales』) VS 城崎蒼牙(『リリカルなのは プラス OTHERS』)

 

――"歪"なる者たちの戦・後編――

 

協力・監修:ペルソナさん 文:FLANKER

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 "歪"で、狂った激戦は続く。

 

"紅月・熱波刃"

 

 蛍火の振るう『観護』が熱波を放射し、蒼牙の突撃を防げば――

 

改・弐式絶技 "桜花・乱舞"

 

 蒼牙の縦横無尽の氣弾遠距離攻撃が蛍火を強襲する。

 互いが最低限の防御で急所だけを護りつつ接近。

 蒼牙が突きを繰り出す。蛍火は頬を斬られながらも突き返す。

 蹴り上げで蛍火は蒼牙の手首を打ち、刀を放させる。そして突き返し。

 

「ふん……」

 

 蒼牙は心臓を狙ったその攻撃を左腕に突き刺させた。

 故意に。

 それを瞬時に看破した蛍火はすぐに引こうとするが、その襟を蒼牙に捕らえられ――目から火花。

 頭突きだ。

 

「やってくれる……」

 

 蛍火は『観護』を放し、蒼牙の胸元を掴み、極め、背負い投げでブン投げる。

 それで終わるわけがない。

 

"雷巣"」 

「――"百雷"

 

 放つ。雷撃の魔法を。蒼牙はそれを術で迎撃。2人の中間で大爆発。

 両者共に体勢を直し、突撃。その手には共に刀。

 

「剣も使えれば徒手空拳も使え、弓も魔法も何でもありか」

「オールラウンダーでないと困る理由があるんでな」

 

 剣戟を繰り出しながら、2人は喋る。互いの目を睨み合って。

 

「そうか……だがそれがお前の弱点だな」

 

 蒼牙の剣戟が一層速くなる。蛍火が次第に追いつけなくなり、体にかする。

 

「お前の戦い方には極みがない」

 

 それは蛍火もわかっていたこと。何でもできるようにしたがため、何かを極めるということができないのだ。

 質と量。

 蛍火は量をとった。あらゆる状況に対応できるために。

 だがそれは質の戦いになったときに不利を招く。

 一方の蒼牙もそれは似たようなもので、彼の場合は近・中・遠距離全てに対応しようとした点で蛍火と同じく量をとった。

 しかし、その中で特に刀による近接戦闘を重視し、ただ苦手な距離を作らないようにしただけなのだ。

 

 完璧なオールラウンダーを目指した蛍火と、苦手な距離をなくすだけにとどめた蒼牙。

 

 蒼牙には『瞬移』という高速移動術がある。それにより近接戦闘に持ち込む。

 蛍火がどんなに距離を取ろうとしても、蒼牙はその距離を詰める。しっかりと術で蛍火の退路を無くして。

 

「確かに近接の、しかも剣術ではお前には勝てないな」

「そういうことだ。そしてお前は俺の速度からは逃げられん……そして、お前の「剣」も読めた」

 

 

 

 

 

 ゾクリ

 

 

 

 

 

 またも蛍火をあの妙な悪寒が襲う。同時に蒼牙が蛍火の突きを躱す。その刀身を脇に挟んだ。

 

城崎流 我流戦闘術 『斬撃』奥義――

 

 蛍火はまずいと思いながら腕を引く。が、それでもしっかりと脇に挟まれた『観護』はピクリとも動かない。

 

 

 

 

 

"斬――!!」

 

 

 

 

 

 蛍火が「死者」となったときから、蒼牙は蛍火の動きを読めなくなった。

 だからこそ、城崎流の『斬撃』と『刺突』を出すために必要な『見切り』ができなかった。

 ただでさえ戦闘スタイルがオールラウンダーな蛍火だ。完全に読めなかった。

 

 だから蒼牙は視点を変えた。

 

 接近戦に持ち込め。他の戦闘スタイルを取らせず、近接に絞らせろ。

 蛍火ではなく、剣を読め。蛍火の剣術そのものを読め。

 そのために刀の形態しか取れないように、己の左腕を犠牲にして蛍火の片腕を潰した。

 いくら蛍火でも、斧を振るうには片手ではその速度が遅くなる。

 それでも蛍火が斧を出してきたとしても、そうすれば速度で勝る蒼牙の勝ち。

 だが、蛍火がそんな馬鹿ではないことくらい、言うまでもない。

 

 そして蒼牙は『見切り』を得た。放つは、『斬撃』奥義。

 

 全てを読みつくした上で放てる『斬界』。『斬撃』の結界を生み出す技。

 蒼牙を中心に広がるその結界の中にあるものは、悉く切り刻まれる。

 それは魔法だろうが結界だろうが関係もない。

 あらゆるものを斬断する。

 それが、城崎流の極意、『斬撃』。

 剣において「極めた」というアドバンテージを持つ蒼牙の奥義。

 上下左右前後を問わず、蛍火はその中で何十何百という欠片となって――

 

「ならば、使い手を封じればいいだけだ」

 

 

 

 

 

――――――――――――散っていくはずだった。

 

 

 

 

 

 蒼牙の腕は『斬界』を生み出すことなく――――止まった。

 

 

 

 

 

"蒼月・禁伎・零閃"

 

 

 

 

 

 蛍火の持つ最高クラスの伎。派生と相剋によって、複雑にして、しかし超高威力を発揮することが出来る五行。

 その一つ。

 

 使う魔法の色は蒼。続くは夜の象徴たる月。氷の禁伎、『零閃』。

 

『観護』に絶対零度の氷を瞬時にして纏わせ、脇に挟んで蛍火の身動きを封じた蒼牙を、逆に凍結させていく。

 

「――か――!?」

 

 その速度はもはや速度なんてあるのかわからないほどだった。

 蒼牙がもう『斬界』の「い」を言い終える前に、右腕まで凍結が進行した。

 蒼牙の肩は凍りつき、『蒼空』が振るえなくなる。

 

「そのまま凍りつき、死んでいけ」

 

 蛍火とてそれは同様。その腕は完全に氷に覆われ、顔まで達している。

 それでも、蛍火は一切の感情を示さない瞳で、蒼牙に宣告を下した。

 

『蒼月・禁伎・零閃』、『展開・氷牢』。

 

 蒼牙の顔、胴体を徐々に侵食していく氷。

 まもなく心臓が凍る。しかし死にはしない。それまでに完全に氷の中にとらわれ、蒼牙はまさに生ける屍と化す。

 蛍火はどんどんと出来上がりつつある氷像を見る。

 

「…………」

 

 それが、ある一点で止まる。蒼牙の目で。

 

「…………」

 

 蒼牙の目は蛍火を見ていた。片目がすでに凍り付いていながら、なお。

 透き通るほど蒼く輝いているのに、しかし濁っているとしか思えないその目で。

 

 

 

 

 

 まだ、蒼牙は諦めていない。

 

 

 

 

 

 

 と、蒼牙が持っていた蒼い刀が消えた。代わりにその手に生まれるのは火球。さっきと同じものだ。

 最後に一矢報いるというのだろうか。

 

(……いや、違う……こいつ……!)

(――蛍火くん!!)

 

『観護』のそんな言葉も遅かった。

 火球が、2人を包み込んだ。

 

 蒼牙が凍りかけた腕を無理やりに動かした。

 掴む。蛍火の首を。

 的確に頚動脈を押さえてくるその手。息が吸えないまま、しかし蛍火はただ蒼牙を見ていた。

 

「なるほど……道連れか……」

 

 このまま凍りついていけば、蒼牙の右腕を伝って、蛍火をも巻き込んでいくだろう。

 いや、その前に蛍火の首がもたないかもしれない。

そうでなくとも、すでに『観護』の加護がありながら、右半身が氷に侵食されてきている。

蒼牙はもう右腕以外が全て覆われている。だが彼はきっと蛍火を放さない。

今でも、首を絞める力が徐々に強くなってきているのだから。骨が耐えられないと悲鳴を上げている。

 

『死ね』

 

 そんな声が聞こえた気がした。

 

「「…………」」

 

 互いに無言。息を吸えないから。吸えば、この炎獄が肺を一気に焼き尽くす。

 事ここに至って、まだ蒼牙は冷静だ。

 蒼牙は右腕以外、氷に包まれている。氷が溶かせるかもしれないし、火傷も右腕一本で済む。

 逆に蛍火はこれを解かない限り、蒼牙から離れることもできない。このまま焼死である。

 加えて我慢比べをしようにも、蒼牙のほうがまだダメージが少なくて済んでいる。

 

(蛍火くん! 何をしてるのよ!? 早く脱出を! 禁伎を解いて!)

 

きっと彼は読んでいる。蛍火がここで死ぬことができないことを。

 蛍火は契約を必ず履行する。だからこそ、『観護』が選んだ。

 そこまで読んでいるかは定かではないが。

 

(蛍火くん、早く! お願いだから!!)

「…………ちっ」

 

『観護』を左手に「移動」させて蒼牙との接点を斬ればいいのだが、左手はもう使い物にならない。

『観護』を掴めないのだ。

 だから、蛍火が逃れるには、これを解除するしかない。

 

(蛍火くん!!)

(うるさい、わかっている)

 

 蛍火はすぐさま解除。氷が破砕する。

 

 途端、火だるまの両者が動いた。

 

"神威"!!」「"瞬移"!!」

 

 蛍火の膝は虚しく空振りに終わる。すぐさま上方に『観護』を振る。蒼牙の蒼い刀と衝突。弾く。

 弾いた勢いで2人はともに地上に落ちた。砂上を転げまわってその身に纏ったままの炎を消す。

 

 それは……あまりに異様な光景。

 

 

 

 

 

「いい加減に終わりにしようか……」

「そうだな……そろそろ貴様の相手も飽いた」

 

 

 

 

 

蛍火は突撃する。                       蒼牙は構える。

『観護』を納刀。                     『蒼空』を引き絞る。

 

 

 

 

 

"紅月・禁伎"――」                   「城崎流 我流戦闘術 『斬撃』奥義――

 

 

 

 

 

繰り出すは禁伎。                          繰り出すは奥義。

自身の持つ技としては最強の一手。                   自身の持つ技としては最強の一手。

使う魔法の色は紅。夜の象徴たる月。                  生み出すは結界。『斬撃』の牢獄。

炎の禁伎――                          『斬撃』の極意――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

"白閃"!!」                      「"斬界"!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

閃光のごとき抜刀術が蒼牙を襲った。              『斬撃』の牢獄が蛍火を完全に閉じ込めた。

十万度という超高熱により技の名の通り、             空気も空間をも切り裂く『斬撃』の嵐が生じ、

『観護』に纏う炎はもはや白い。                    愚かにも侵入してくる者を狙う。

蛍火の右手が白煙を上げて火傷を広げていく。         蛍火の超高熱の技に、触れてもいない皮膚が焼けていく。

蒼牙は超高熱にさらされながらも刀を振るっている。       蛍火は『斬撃』にその身を切り刻まれながらも衰えない。

  『観護』に『斬撃』が次から次に命中し、          全てを切り裂く『斬撃』も、超高熱の炎の前に威力が削がれ、

抜刀術の威力が削がれていく。                 蛍火の抜刀術を止めきるには至らない。

 

 

 

 

 

「「鬱陶しい!!」」

 

 

 

 

 

二人は同時に叫んだ。

蛍火の一閃を、蒼牙は『瞬移』で躱す。

しかしそれでも、蒼牙の脇腹は灼熱の炎に焼かれ、爛れ、神経をも炙った。

蛍火も体中を『斬撃』に切り刻まれ、至る所から血が噴き出す。

だが互いに傷口を押さえている暇などない。

互いにそんな猶予は与えてやらない。

 

 

 

 

 

蛍火は刀を引く。                       蒼牙は刀を引く。

繰り出すは完全殺技の参。                  繰り出すは『刺突』奥義。

どうやら蒼牙も同じ突き技。                  どうやら蛍火も同じ突き技。

だが、この突きはただの突きではない。              この突きは普通の突きではない。

習得した奥義を改良した、後を考えない一撃必殺。       『刺突』を極限まで昇華した、自身最強の奥義。

穿つことだけを追求した牙。                 貫き通せないものなどない牙。

 

 

 

 

 

"我流・奥義之参"――」                  「城崎流 我流戦闘術 『刺突』奥義――

 

 

 

 

 

地を蹴る。

砂上だろうが関係ない。

いかな条件、いかな理由があろうとも。

この突進の障害などになるはずがないのだ。なりえないのだ。

互いに見るのは相手の心の臓。

刺し貫くのはその一点。

突き刺せ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

"牙穿"!!」                       「"牙突"!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

衝突の寸前、2人は刀を目一杯後ろに引いた。

それによるタメ。

突進力。

腰のバネ。

突き出した左手を引く反動。

完全に全ての力をその切っ先の一点に集約する。

空気を切り裂き、互いの凶刃が――――交わる。

 

その瞬間、互いの切っ先は示し合わされたように衝突した。

だがそれで止まるわけなどない。

切っ先の衝突は軌道をわずかに狂わせ、互いに相手の腕を切り裂きあった。

 

血飛沫が舞う。

共に手の甲から肩までを裂かれた。

スレスレで交錯し、2人は互いを一瞬睨み合った。

 

それが第2撃の合図。

2人は急減速し、振り向き、刀を引いた。

 

 

 

 

 

「しぶといぞ、お前……」                  「くたばりぞこないが……」

 

 

 

 

 

「「いい加減に死ね!!」」

 

 

 

 

 

突進。

互いを映しあうような2人。

 

 

 

 

 

"牙穿"!!」                       「"牙突"!!」

 

 

 

 

 

二番煎じにはならなかった。

今度こそはと放たれた突きはまたも切っ先を打ち合わせる。

しかしあまりの威力と押し込みに加え、当人たちの握力が弱まっていたのも大きかった。

両の刀は、使い手たちの手から弾かれ放れた。

 

 

 

 

 

「この馬鹿が――!」                    「この阿呆が――!」

 

 

 

 

 

両人共にそれまでの突進力すら利用し――

 

 

 

 

 

片足を軸に回転する。                      片足を軸に回転する。

蛍火は正拳。                          蒼牙は掌底。

繰り出すは防御無効の奥義。                    繰り出すは壱式絶技。

蒼牙の腹にめり込ませる。                     蛍火の胸にぶつける。

   拳のスピードで打ち貫き――                氣を蛍火の体内に一気に送り込み――

 

 

 

 

 

爆発させる!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

"無空破"!!」                      「"京"!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『無空破』も『京』も、相手の体内で爆発拡散させるもの。

『無空破』は衝撃波を。

『京』は注ぎ込んだ氣を。

 

 

 

 

 

「「がっ――――――――!!」」

 

 

 

 

 

共に吹き飛ぶ。血を吐いて。

砂上を撥ね、砂を巻き上げながら滑り、転がる…………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………」

 

 どれだけ意識が飛んでいたのか……視界に入ってきた雲ひとつない、紫色の星空を見ながら思った。

 どうやら生きているらしい。気配を探ると、近くに蒼牙の気配。

 体はもうボロボロだ。骨がきしみ、内臓が疲弊し、筋肉がピクリと動いただけで悲鳴を上げている。

 それでも…………立ち上がった。

 蛍火が。

 彼は自らの身を見て思う。

 あまりに無様だと。

 ガクガクと膝が震え、両の腕がだらりとなったままロクに反応しない。

 喉を勢いよく上ってくる熱い塊。赤いそれを口から吐く。びしゃびしゃと音を立てて砂を染める。

 

「…………」

 

 蛍火はそれでも魔力弓を生み出した。もう蒼牙の蒼い結界は消えている。弓が消えることはなかった。

 回復をしつつ、理解する。

 彼の死期が近いのだろうと。

 

「…………」

 

 どうやら彼は回復系の術は使えないらしい。使えても苦手というところだろうか。

 いや、むしろそんなものは必要ないと覚えなかったのかもしれない。

 

 理由は簡単――――歪んでいるから。

 

 それゆえに、己の身のことなど後回し。勝つために必要な攻撃術を優先した。

 

「……『観護』……」

 

 蛍火は『観護』を呼んだ。魔力弓で優先的に回復させた右手に。

 

(まだ…………やるの…………?)

(安心しろ。もうあいつは動けない)

 

『観護』の恐怖の声に素っ気なく返す。だがそれでも『観護』は心の底から安堵したようなため息をついた。

 蛍火はその気持ちを汲み取ることはない。ただ一言。

 

「とどめをさすぞ」

(ちょ……ちょっと! もう戦えないなら殺すことはないでしょう!?)

 

 やはり『観護』は反論してきた。

 わかってないなと蛍火は教えてやる。

 あのまま放っておけば、どのみち蒼牙は死ぬ。なら放っておいてやるより今殺してやった方がいいではないかと。

 それは情けなどではない。今の蛍火にそんな感情はない。

 ただ単純に少しでも休ませてまた向かってこられたら困るから。

 世界を移動するための魔力の回復を待つ必要がある蛍火。蒼牙を生かしておけばまた戦いになるかもしれない。

 だから殺す。

 

(お願いだからやめて! こんな殺し合いはもう見たくないの!!)

(だから、生かしておけばその殺し合いをまたしなくてはならんのだと言っているだろうが)

 

 蛍火はただわめく『観護』を論理で抑えこもうとする。蛍火の言っていることは合理的なのだ。

『観護』の殺し合いを見たくない、してほしくないという意思にも答えられるものだ。

 そのために、蒼牙を一刺ししてやればいいだけ。

 

(蛍火くん、私……私たちがあなたを呼んだのは何のためだったか、忘れてないわよね?)

(当たり前だ)

 

 それは契約に関すること。

 破滅との戦いを完全に終わらせること。根源から断ち切ること。

 蛍火にとって何より重要な、契約。忘れるなどありえない。

 言ってみれば、契約を守ることこそ蛍火の存在理由。

 

(それがなぜだか考えてくれたことはある?)

 

 理解はしていた。

『観護』は歴代の救世主たちの親。今まで虚しい死に方をしてきた救世主(子供)たちを見て、そんな子をもう生み出したくない。

 そう思ったからこそ、彼らの親たちの集合体たる『観護』は蛍火を選んで終わらせようとしている。

 

(そうよ……だからこそあなたを選んで契約を結んだ)

(それがなんだ。俺はその契約を守っているだろうが)

(ええ、あなたがこうして鍛錬に来たのも、破滅との戦いを終わらせるため。でも……)

 

『観護』はそこでいつもよりも厳格な、静かな怒りが感じられる声で告げた。

 

(そのためとは言え、破滅との戦いに関係がない人を殺すことは、契約にないわ)

 

 蛍火は今まで裏の人間として、救世主を育てる学園に反対する者たちを幾人か暗殺してきた。

 そうした汚い仕事を引き受けること。それがそもそも裏で暗躍する蛍火の本来の姿であった。

 そのことに関しては『観護』も不本意ではあっても従っていた。

 なぜならそれも破滅との戦いを終わらせる上で必要なことだから。

 

(……甘いわ。お前らは)

(わかってるわよ! 犠牲なしに叶えられる願いじゃないってわかってるわよ!)

 

『観護』とて現実を見てきた者たちだ。甘いこと、綺麗事だけで遂げられることではないと理解している。

 だがそれでも、彼らは「親」だった。

 

(以前、蛍火くんが小さな子を殺したこと……あれは今でも納得したわけじゃないのよ)

(まだ言うのか……しつこい。あの娘が俺の顔を見てしまった以上、ああする必要があるのがわからんのか?)

 

 口封じの必要性。裏で暗躍するなら例え女子供でも見られてしまった以上は始末しなければいずればれる。

 

(でも、あの子は破滅との戦いを終わらせる上で必要な犠牲じゃなかった!)

 

 それは蛍火もわかっていた。あれは単純に蛍火自身の失態が招いた事態でもあったのだから。

 そしてその状況は今このときも言えるのだ。

 蛍火は蒼牙と戦ってみたかった。蒼牙を挑発するような言葉を口にした。

 少なからず、それがこの戦闘の発端になったことは間違いない。

 

(蛍火くん……私はこれからも、願いのために必要があるならこの身を血で染めても構わない。その覚悟もあるわ。

 でもね、関係ない人まで殺すのは御免よ。そんなことになったら、私たちは単なる殺人鬼でしかないわ)

 

 せめて己の中に一線を引いておき、それだけは何としても守る。それが『観護』の言わば信念だ。

 現状、すでに『観護』も殺人を犯した者。それが知られれば殺人鬼と言われても文句は言えない。

 だがせめて心まで殺人鬼に染まりたくはない。そのための信念。

 

(そんなことは当初の契約になかったな)

(当然のことだからよ。何でも殺せばいいなんて、誰が了解するもんですか)

(当たり前のことでも契約に関してはしっかりと言い置け。そんなものはなかったと言われればそれがまかり通るものだ)

(でも、蛍火くんならそんなことはないでしょう?)

 

 契約は遵守する。善でも悪でも。

 ふざけた契約は守る必要などないが、『観護』との契約は正式、そして神聖なものだ。

 

「…………」

 

 蛍火はため息をついた。そして掲げていた『観護』を下ろした。

『観護』が何とかわかってくれたかと安堵しているような様子が伝わってくる。

 蛍火は顔に手をやり、「死者」たる第5の顔にまた仮面をつける。

 

(仕方ない……だが言っておくなら、その行動は奴にとって「いらない情け」と受け取られかねんぞ?)

(……それでもいいわ)

(…………奴が今度かかってきたら、そのときは殺す。いいな?)

(ええ)

 

『観護』がはっきりと断言していた。そんなことはないだろうとわかっているように。

 蛍火は舌打ちしつつ、蒼牙を見た。血だらけで完全に気絶したらしい蒼牙を。

 

「……痛覚を遮断できないことが、勝敗を分けたな……」

 

 蛍火はできるが、蒼牙はあくまで意識的に痛みを無視……要は我慢していただけ。

 だからこそ気絶の度合いが高く、意識がすぐには戻らない。

 一度気絶してしまえば、あれほどの重傷。すぐには意識が戻らない。

 

 もう1つ。

 蛍火と蒼牙を分けたのは、くしくも蒼牙が言っていた、オールラウンダーの点。

 完全なそれを目指したからこそ、蛍火は回復の術もしっかりと身につけていた。

 こうして回復ができるということは、長い戦いの上では大きな利点だ。

 極みがあっても、蒼牙はこういうギリギリの戦いになった場合は回復ができない分、不利だった。

 むしろ攻撃面を重視した結果としての弱点。それが蒼牙の敗因。

 

「…………さすがに…………きついな…………」

 

 師匠との鍛錬以来、吐いたことがないそんな言葉が無意識に出てきた。

 ドサッと勢いよく座り込み、次いで寝転んだ。

 

「…………しばらくは何も考えたくない…………」

 

 そうして蛍火は『観護』に結界を張らせ、浅い眠りにつく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 蒼牙が意識を取り戻したとき、そこに蛍火の姿はなかった。

 そもそもあの世に来たのかと考えたが、激痛がそれを否定してくれた。

 

「…………生かされた…………か」

 

 屈辱ではあった。

 だが敗北した者が何を言おうと、所詮それは惨めなだけに過ぎない。

 だいたいにして、ここまで手痛く打ち負けてしまうと、気持ちがいいくらいだった。

 

「死者たる奴なら、情けも何もなしに殺しそうだったが……どうせ死ぬだろうということか……」

 

 実際その通りだったのだが、蒼牙は死なない。

 回復はできないが、蒼牙は氣の使い手だ。常に己の体を最適に保とうと、すでに無意識のうちに氣を操作できる。

 と言っても、それはかなりゆっくりではあるし、どのみちこの状態では死を多少長引かせる程度でしかないだろう。

 

「…………」

 

 それでも死ぬわけにはいかない。

 蒼牙は『蒼空』を立てて、もはや握ることすら困難な右手で体を支えて立ち上がる。

 左腕は骨折。両足はもはやズタズタ。右腕も冷やしたり熱したりがきいて、いつ動かなくなるか……。

 

(研究所を壊さなければよかったな……)

 

 医務室くらいあったろうから。無い物ねだりをしていても仕方ないが。

 それでも蒼牙は歩き出した。数歩歩いただけで膝が折れ、地に手をつく。

 それでも立ち上がろうとするが、そもそもが足場の悪い砂漠。余計に歩くには困難だった。

 なんとか砂丘を登りきるも、底から見えるのは一面の砂漠。

 あとは自分が壊した研究施設と、もうはるか昔に生命が途絶えてしまい、残され荒廃した町の姿。

 

「……はぁ…………はぁ……っ!」

 

 倒れた。膝をつき、刀を立てて倒れることを拒む。

 しかし、砂の上では杖代わりの刀も不安定で、ズルッと動いたために、彼は前のめりに倒れた。

 

「うぐっ……がはっっ……! ……!」

 

 倒れた拍子に胸にある傷を打ち、さらに熱い砂がその傷を舐める。

 声すら上げることもできず、重く、言うことをなかなか聞いてくれない体を横に動かし、なんとか仰向けになることに成功した。

 

「……ぐ……は……はぁ……はぁ……『蒼空』……すまないな……」

 

 顔だけを、『蒼空』を持つ右手に向け、その名を呼んで謝った。それに応えるように、『蒼空』は鈍い光を放っている。

 

「よりにもよって……こんな世界にきてしまうとはな……こんなときに」

 

 自分の不運ぶりを嘆くでもなく、苦笑した。

 せめて人がいる世界なら、何とかなるかもしれないというのに、誰もいない、何もない世界。

 こんな世界に来たことを悔やめばいいのか、蛍火と出会ってしまったことを嘆けばいいのか。

 どちらも違う。

 この世界に来たのは組織の施設を潰すため。これは『悪・即・斬』の信念によるもの。

 蛍火と出会えたことは無意味ではない。自分が行き着く先を知れた。自分より上の存在を知れた。

 

「結局この世界にもいそうにないしな……」

 

 悔やむべきはそこだろう。ここに組織の重要人物がいなかったこと。所詮は末端の施設でしかなかったこと。

 痛みをごまかすために息をついたが、そこには残念と言う意味のため息も混じっていた。

 

「少し……寝てもいいか……?」

 

 虚しさと疲労と、そしてやけくそ――負けた悔しさがほとんど――も入ってきて、『蒼空』に問う。

『蒼空』は焦ったようにその光を、連続して点滅するように放った。

 

「案ずるな、死にはせん……ただ、砂が暖かくて、な……」

 

 傷には染みるように感じたが、服に隠れていない手の甲から感じる砂の温度は少し熱いが心地いい。

 熱めの風呂に入っているような感じだ。

 

「砂風呂、か……」

 

 風もあるし、このままじっとしていたら、勝手に砂が積もって布団のようになるなと安直な考えが浮かぶ。

 それが顔も埋まって窒息死するかもしれないという考えには至らない。そこまで頭が回らない。

 脳は休むことを要求し、睡眠をさせようと瞼を重く感じさせる。それを妨げる思考には至らないようにさせるかの如く。

 

「……!」

 

 戦闘が終了してから己が主の回復にのみ専念していた『蒼空』が、

 初めて蒼牙を呼ぶ――発声しているのではなく、頭に直接響く、念話のようなもの――。

 一拍遅れて蒼牙もその意味に気付く。

 

(…………本当に、こんなときに…………ついてないな)

 

 いくら休むことを要求する脳も、命の危険かもしれない脅威を捉えながら、休ませようとするほど抜けてはいない。

 なにより幼い頃よりの鍛錬が脳にもまずどうするかを刻んでいる。

 かっと見開いた目に入る視界は、しかしぼやけていた。

 何度か目をこすったり瞬きしたり、頭を振っても、それは治らない。

 

(血を流しすぎたか……)

 

 視認することを諦め、蒼牙は目を閉じて気配で「見る」。

 

(小さいな……子供か。それにもう1人いる……人……? 人か? 『蒼空』)

 

 気配は2つ感じるが、その1つが今まで感じた「人」の気配とはどこか違う。その違和感が正しいのかを『蒼空』に問う。

『蒼空』は的確に「敵」の情報を主たる蒼牙に伝える。

 犬耳のようなものに尻尾。

 どうやら蛍火がとどめでもさそうとして来たというわけではないらしい。

 

(そうか……空に浮かんでいるということは、何らかの術の使い手か。とすると……)

 

 式神のようなものだろう。魔法でいうなら使い魔。

 さらにその気配を探ろうとして、すぐに異常なことに気付く。

 

(……今日は厄日か?)

 

 あまりの異常さに、蒼牙はつい目を見開いてしまう。精神が肉体に鞭打ったのか、視界が先ほどよりは回復している。

 少しだけ輪郭などがわかる。まだ表情などを捉えられるほどではないが。

 

「……イト、こいつ……てるよ」

「……、でも…………たら、しんで……」

 

 何か喋っているらしい。

 だが距離もあるし、青年の身体の状態が原因で耳も遠くなっているためか、はっきりとわからない。それでも――

 

(きついが……そうも言ってられんだろう)

 

 「しんで」という言葉だけは聞き取れた。

 その音程といい、口調のニュアンスからしても、「死んで」というものに間違いない。敵意は感じられない。

 だが、これほどの術者ともなれば、そうしたものを抑えることができるとしてもおかしくはない。

 そう、これほどの魔力の持ち主なら。蛍火にすら劣らない、膨大な魔力量の持ち主なら。

 蛍火に続き、またも異常な魔力量を持つ者。

 蒼牙は足に力を入れる。うまく立てない。

 

(ち……ならば……)

 

 体の中の氣を練り、足に回す。回復に向けていた氣をも回す。

 足に力は入らない。しかし蒼牙の足はしっかりと地を踏みしめて体を立ち上がらせた。

 氣を使って無理やり己の体を動かす……傀儡術の一種だ。自分の体が動かせないときの最後の手段として身につけた。

 

「こいつ……?!」

「……まだ……るの?」

 

 視界は治らない。

 蒼牙は視覚という感覚を捨てる。

 気配からすると、空中の2人(?)が戦闘態勢に入ったことが分かった。ピリピリと戦いの意思を感じさせる。

 それと同時に体の奥が熱くなる。

 それは戦いに臨むときにいつも感じる精神的なものであるが――今回は物理的なものもあった。

 

(すまん、『蒼空』……今回ばかりは……無理らしい)

 

 すでに蛍火との戦いで、蒼牙の体は瀕死の重体なのだ。

 喉元まできたその熱さを、蒼牙は拒まず、むしろ拒めずに、そのまま――

 

「がはっっっ!」

 

 血を吐いて、倒れると意識した瞬間、意識を失った。

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

『あの時、蒼牙と出会えたのは本当に意味があった』

『俺と同じ死者、されど起源の異なる有から生まれた死者』

『同じ死者でありながら最後の一線で踏み留まっていた姿が俺の心に残ったのだろう』

『あの姿を見たからこそ、あの姿が心に残っていたからこそ俺は・・・・・・・』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「蒼牙がここにいれば俺の願いは叶ったかも知れんな、俺の愚かで醜いこの願いが・・・・・」

 

――独り月を眺めながらの蛍火の独白――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『あのとき、蛍火に会えたのは本当に意味があった』

『蛍火が見せたあの姿……俺はああはなりたくないとどこかで思っていたんだ』

『無意識ではあったが、俺はまだどこかで「人」として在りたいと願っていたから』

『だから、親友や、のちに「妹」と呼んで大事に思う子とのやり取りの中であれほど動揺してしまったのかもしれない』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そんなことを思っていたことこそが、蛍火に負けた最大の敗因だったのかもしれないな」

 

――蒼牙、最後の瞬間の独白より――

 

 

 

 

 

――新城蛍火VS城崎蒼牙 了――

 

 

 

 

 


あとがき

  FLANKERです。やっと終えられました。本当に申し訳ありませんでしたー!

  と、いうわけで蛍火くん勝利、蒼牙敗北という形です。

  蛍火くんは「人」に戻るつもりがありません。そうしたいとも思っていません。(私にはそう見えているんで……)

  一方の蒼牙は私の作品を読んでもらえばわかると思いますが、そう思っているんです。無意識に。

  その躊躇い。それが二人の勝敗を分けたというシナリオです。

  本当はこれはパラレル的物語だし、蒼牙に死んでもらうというのも1つの話と思いました。

  しかし蛍火くんの「契約」というものを思い出しますと、『観護』が黙ってないんじゃないかと。

  そもそも蛍火くんは己の判断などが間違ってないかを見ている存在という意味で「観護」と名づけたようですし。

 

  F 「というわけでした。いかがでしょうか?」

  蒼牙「…………」(正拳を繰り出す)

  F 「ごぶふあっ!? いきなり何をするか!」

  蛍火「まあ、負けてばかりだからな。本編でも恭也という奴に負けてたし」

  F 「……え〜と……つまり、拗ね――あ痛ああああああ!?」

  蒼牙「まあ、納得はしている。躊躇いがあったのは事実だからな」

  F 「とか言うんだったらなぜ殴る!?」

  蒼牙「やかましい」(弐式絶技 『桜花』を繰り出す)

  F 「ハガアdjフォエpfmぱおいえ!?」

  蛍火「ま、俺としてもいい組み手にはなった」

  蒼牙「それは同感だな。しかしよくも都合よく本編の序章に合わせられたもんだな」

  蛍火「かなり強引な気がしないでもないがな。あのあと、フェイトとかいう娘に拾われたわけか」

  蒼牙「そういうことだ。この阿呆が唐突に序章で俺が死にかけていたのを思い出してな。そういう設定にしくさった」

  蛍火「俺と入れ違いか。それにしてもやはり中途半端な終わり方だな。やはり殺しておくべきだったか」

  蒼牙「やるか? 俺も今なら『蒼覇神』が使えるぞ?」

  蛍火「面白い。ここで出せなかった死伎でも見せてやろうか?」

  F 「ああ……グフッ……お、お前ら、まだやる気か……」

  蒼牙「死ね、『義』の狼の牙の下に! たった今命名、"牙突絶式・蒼覇天狼牙"!」

  蛍火「灼熱の中で魂すら焼かれるがいい! "死伎・黒の焔の巨人王(スルト)"!」

  F 「いやいや、真ん中に俺がいるというこの展開……やっぱり?――ぎゃああああああああああああああ!!」

 

 

 

  ペ 「という訳でFLANKERさんに無理を言って蛍火の独白を書かせて貰ったペルソナです」

  蛍火「SS作家の面汚しが」

  蒼牙「分際を弁えろ」

  ぺ 「うわっ、FLANKERさんがへこむ理由が分かる。ちゃんとFLANKERさんには許可をもらったぞ」

  蛍火「だとしてもお前自体に問題があり過ぎだ」

  ペ 「ごめんなさい、言い返せません。そっ、それよりも付け足した蛍火の独白については?」

  蒼牙「あの蛍火の独白は一体なんだ? 蛍火らしくない上に意味不明だぞ」

  蛍火「というよりもあれは確実に俺ではない」

  ぺ 「あー、それは仕方ない。あの蛍火の独白は五十話付近の蛍火の言葉だから」

  蛍火「いったい、俺に何をさせるつもりだ?」

  ぺ 「その内、蛍火は体験するよ。んでもって蒼牙はお疲れ様」

  蒼牙「これで俺の出番はほぼ無くなるか」

  ペ 「おや、後悔してるのかい?」

  蒼牙「阿呆が。俺は城崎の剣士、見出した『義』は何があろうとも全うする。俺はそれに殉じただけだ」

  ペ 「君達は本当によく似ているよ」

  蛍火「お前の眼は節穴か?」

  蒼牙「咲殿の目薬でも刺せ」

  ペ 「目薬は毎日のようにざからに指されてるよ。いや似てるのは君達がロリコンだって事だよ」

  蛍火「・・・・」

  蒼牙「・・・・」

  ペ 「蒼牙はフェイト、蛍火はレン。あの二人は血が繋がっていないのにあんなに可愛がって言い訳できないよ?」

  蛍火「・・・・蒼牙、唐突に今、お前と共同戦線を張りたくなったぞ」

  蒼牙「・・・・あぁ、蛍火と同じ意見なのは気に喰わんが共同戦線を張るか」

  ペ 「えっ?・・・・・・まさか禁句言っちゃった?」

  蒼牙「牙突!!

  蛍火「牙穿!!

  ぺ 「ぎっ、ぎにゃあぁあああああああ!!」

 





壮絶な死闘を制したのは蛍火。
美姫 「僅かな違いが勝敗を分けたわね」
だな。そして、二人の物語は再び別の道へと。
美姫 「熱いバトルSSだったわね」
うんうん。投稿ありがとうございました。
美姫 「ありがとうございました〜」



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