合同企画第2弾

ドタバタコメディー(?)

  なのはとフェイトの戦 ――気づけよ鈍感兄貴ども!―― 5

 

作:ペルソナ&FLANKER     

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「かくも見事に踊ってくれるな。くくくっ、面白しぎるぞ、お前達は。

 しかし、今度は兄ではなく相手に嫉妬とは少女らしい。ではその願いを叶えてあげよう。

 さて、取りあえずはまた手紙を送るか」

 

 まだまだ引っ掻き回す気の蛍火。いい加減止めてあげないと見つかったら君が痛い目を見るよ?

 

「ふふっ、見つかるはずもない。くくくくっ、蒼牙と恭也の困る表情が眼に浮かぶわ!!!」

 

 そしてまたしても喫茶店の窓から飛び立つ式神。

 

 

 

 

 

「蒼牙さん、こっちです!!」                      「恭也さん、こっちです!!」

「まっ、まてなのはちゃん。そんなに急がなくても」           「フェッ、フェイト、そんなに急がなくてもいいのでは?」

「時間は待ってくれません!! それにフェイトちゃんも」   「急がないといけないんです!! なのはが悠長にしているはずないですから

「むっ? 最後にまた何か言ったか?」                   「最後に何か言わなかったか?」

「何も言ってません!!」                        「気にしないで下さい!!」

「うおっ、だから引っ張らないでくれ!!」                   「うおっ、フェ、フェイト!?」

 

 

 

 引っ張られていく情けない兄たち。

 端から見ると兄の気を引こうとして頑張っているように見えてほのぼのと出来るのだが。

 

((助けてくれ!!))

 

 当の本人達からすればたまったものではない。

 

 

 

 

 

「ここです! 入りましょう蒼牙さん」

「あっ、あぁ」

 

 なのはは少し後ろにいるフェイトを睨みつけて蒼牙と腕を組み(ここ重要)中に入っていった。

 

「むっ、恭也さん、早く入りましょう!」

「いや、フェイト、とにかくまずは落ち着――」

「早く行きましょう!!」

「………はい………」

 

 前方を進むなのはを睨みつけ後を追うようにフェイトも入っていった。

 

 

 

 

 

「それで、なのはちゃん。こんな所に来て何がしたいんだ?」

「えっ、それは………ふ、服を見繕って欲しいんです!! お兄ちゃんそういうのに駄目だから」

 

 哀れ恭也。

 まぁ、それは蒼牙にも言えることなのだが。

 しかし、好きと言う感情にまで育っていないとはいえ親友への対抗心で蒼牙にそういうことをしていいのか?

 ユーノ君が聞いたら血涙を流すぞ?

 

「俺もそういうのは疎い方なんだが……」

「それでもです!! ちょっと待っててください」

 

 

 

 

 

「フェイト、ここに用事があるのか?」

「えっ、えっと」(←なんとなくなのはについてきたから何も考えてない

 

 何をしていいか戸惑っているフェイトの視界の端に服を選んでいるなのはが目に入った。

 なのはは……嗤った。

 

「!」

 

 これから着るであろう服を手に取り楽しそうになのはが嗤ったのだ!!

 そこでむっときたフェイト。なのはの真意を知りフェイトも行動に出た。

 

「恭也さん、少し待っていてください!」

 

 そして服を見繕い、フェイトも試着室に入っていった。

 

 

 

 

 

 初めに試着室から現れたのはなのはだった。シャッとカーテンが開いた先に普段着ながらも着飾ったなのはの姿が。

 

 白いサボテンリボンワンピース、清楚としたなのはの姿を現すようで。

ワンピースを着ることによって露出されるはずの肩はその上に纏っている薄い桜色のカーディガンによって隠されている。

 普段はツインテールに縛られている髪は今は下ろされている。

 一歩毎に揺れる髪の端。その揺れ触れる髪が映えるように桜色は静かに自己主張している。

 白の中にある唯一点の赤。レイジングハートが肌と白の境界線で赤く、生命の鼓動を表すかのように赤く輝く。

 

 ふわりと一回転。

 緩やかに舞い上がる赤茶色の髪、肩を守るはずのカーディガンも揺れ健康的な鎖骨が見え、

 静かに舞い広がるワンピースの裾は白を静かに魅せる。

 

「蒼牙さん、どうですか?」(←チラチラと見上げつつ

「そうだな……とりあえず、とても似合っている」

「……それだけですか?」(←とりあえず、というのが特に気に入らない

「ぬ……ぐ、具体的にか……あ〜……い、色がとてもいい。組み合わせが」(←己が評価に自信なし

 

 

 

 

 

 続いて、フェイトも試着室から現れる。

 

 黒を基調として白いリボンとフリルが数多く飾られた黒ロリ、静かなフェイトの姿を現すようで。

 退廃的ではなく可愛らしさをリボンとフリルが際立たせ、レースの黒との間に見える白の対比はいっそ芸術的である。

 膝まで来る黒のブーツとスカートの裾の間に見える健康的なまでの白。

黒と白のコントラスト、その中でさらに映える白い肌はいっそ眩しいぐらいで、黒と白の中で唯一輝く金。

 その金はフェイトの髪と合い重なり、静かに黒の中で染まらないフェイトを表しているように輝く。

 

 恥ずかしさで白が桜色に染め上げられていく。

 恥ずかしさに俯き、下から眺め上げるように少し涙に濡れた瞳。

 その姿は黒ロリとは正反対に退廃的に官能的なまでの魅力が溢れていた。

 

「ど、どうでしょうか、恭也さん?」

「む……ずいぶんとごつい――い、いやいや、とにかくだ。似合っているぞ」(←それは言っちゃだめと気づいた

「……そうですか」

 

 そこで蒼牙がなのはの服装に具体的な答えを返しているのを見たフェイト。

 

「恭也さん、黒がお好きでしたよね? 恭也さんとお揃いになれるかなって思ったんですけど……」

「む、俺に合わせたのか? あ〜、それは……まあ、ありがとうと言っておこう」

 

 

 

 

 

「ふむ、2人とも町で動く事を最善とした服装か。なのはちゃんは自らの事を理解し桜色を上手く使っている。

 春を思わせるようなさわやかな服装は見事だな。

 それに対抗してフェイトちゃんは可愛らしさを優先したか。西洋人らしいと言えば皮肉な言い方だが、人形のような可憐さだ。

 漆黒と金、そして地肌の色のコントラストが見事と言うべきだろう。

 2人とも自分の持ち味を理解しているようだな」

 

 蒼牙や恭也のように虚ろな返事ではなく見事なまでに的確に2人の特徴を捉えた批評。

 蛍火、君、女慣れしすぎ。

 

「にしても……『似合っている』だけで納得するわけないだろうが、あの兄ども。それくらいもわからんのか、馬鹿め。

 まあ、俺は面白いからいいがな♪ このまま様子を見ているか。放っておいても過激になるだろうからな。くくくっ」

 

 何処までも邪悪な蛍火さんであった。

 

 

 

 

 

 なのはとフェイトはお互いの服を見た兄達の反応がイマイチなのを見て、さらに対抗心をめぐらす。

 なのはに至っては、恭也とお揃いを狙ったと言うフェイトに、その手があったかと悔しいことこの上なかった。

 

(や、やっぱり蒼牙さんもお兄ちゃんと同じで疎すぎるよ……でも負けられないもんね…………そうだ!)

 

 先に動くはなのは。広い店内を回り、店員に聞き、試着室へ。

 蒼牙はただただ自分の情けない評価に不満そうだった(不満そうどころか大いに不満)なのはに焦るばかり。(←へたれ

 そしてしばらく後に出てきたなのはが着ていたのは……

 

「……ほう」

 

 桜色を貴重とした、白い桜の花の模様を散りばめた振袖だった。

 帯には一本だけ水色のものが使われており、ちょっとしたアクセントとして、しかし強くは自己主張をしていなくていい。

 完全に調和しているその着物に彩どられた姿は、まさに和を重視した、厳かで静かな佇まいの大和撫子。

 それでいて髪に白い花の飾りを付け、胸の辺りにも同じ飾りをつけていて、そのちょっとしたおしゃれ心はとても微笑ましい。

 大人と子供……まるでその中間の、良いところばかりをとって来た少女の姿は、蒼牙にすら感嘆させた。

 

 なのはが蒼牙の前までやってきて慎ましげに会釈などする。

 手を前にやり、かしこまった姿で佇む彼女の姿はもはやそこいらのモデルなど十把一絡げだろう。

 少し頬を染めているが、その染まり具合は振袖の桜色のように、いや、それ以上に綺麗なピンク。

 

「そ、蒼牙さん、着物姿が趣があるって言ってましたよね?」

「ぬ、ああ、聞いていたのか。うむ、日本男児なら和服姿の大和撫子を愛でるのは当たり前だからな」(←いつの時代の人間だ?

「あ、当たり前なんですか……」

「そうだ。そもそも昨今の服装の乱れというものは、ヘタに露出をすればいいなどとあまりに嘆かわしい風潮があるからだ。

 女がやすやすと肌を見せるなど、それこそ――」(←力説

「あ、あの、蒼牙さん。わかりましたから……それで、どうですか?」

「ぬ。ああ、悪かった、つい……ふむ、個人的に桜の模様が気に入った。桜とは潔い。

 風情があっていいし、特に桜色の似合うなのはちゃんが着ると、なのはちゃん本人も服のほうも共に映えるな。

 それこそまさに調和の精神。和の心たるもの。うむ、これで場所が桜並木ででもあれば、一句詠めそうだな」

「ありがとうございます! ……やった、褒めてもらえた! 覚えてて良かった〜。ふふ〜、いいでしょ〜、フェイトちゃん?

 

 

 

 

 

 蒼牙が饒舌なまでになのはに言葉を贈っている。

 古臭い蒼牙の日本人としての心に、なのはの着物姿はひどく気に入られたらしい。

 

(うう、なのはに先を越された……! 同じもの着ても二番煎じだよね……どうしよう?)

 

 なのはのチラリと見てくる「勝った」の視線にますます負けず嫌いの心を刺激されるフェイト。

 

「相変わらずどこまでも日本人な奴だな、蒼牙は」

「兄さんって、和服が好きなんですか?」

「だろうな。あいつは家では和服だったからな。子供の頃は新撰組のだんだら羽織を着てたくらいだ」(←ありえねえ……

 

――――いったい、蒼牙はどこまで日本人なのか? え? FLANKERに聞け?

 

――――「あ〜、あいつはね、日本人の前に関西人だから。遺伝レベルでオチを求める習性があんのよ、あはははは」

 

――――だそうです。ちなみにFLANKERはその後に蒼牙に殺されかけてましたが。

 

(和服か〜。でもなのはが着てるのってすごい着方が難しそうだよね……)

 

 そこで目に付く、一着の服。なのはの着ているような和服に似ている。いや、和服で違いはないだろう。

 何でもいい。今はとにかくなのはへの注目を自分に!

 いざ、試着室へ!

 

「……フェイト、何をそんなに焦るんだ?」

 

 置いてきぼりにされた感のする恭也であった。

 と、しばらくして出てきたフェイトは……。

 

「…………なぜその服がここにあるのか、誰か教えてくれ」

 

――――…………仕様だ!

 

 長襦袢の白と緋色袴の緋が対比する中で流れるような金色の髪が揺れる。

 白は金を輝かせ、緋は金と同調し、緋と金の両方を眼に焼き付ける。

 襦袢で隠された肌。かすかに覗く首筋は襦袢の白よりも尚、白く。その白さに眼を奪われる。

 西洋風の顔立ちのフェイトに日本古来より続く巫女服。そのアンバランスさがおとぎの世界に入ったかのように幻想的だ。

 

 そこにいるだけで幻想的に魅せる姿とは対比的に戸惑っている表情。

 それが幻想的でありながらも現実的であるという矛盾を齎す。

 風が吹く事によって舞う金色の髪。髪と襦袢に隠されていた白く細いうなじが隙間から覗く。

 清楚でありながら時折見えるほのかな色香というアンバランスさがフェイトの容姿と合っていた。

 

「これは何とも……異様なまでに似合っているぞ、フェイト」

「そ、そうですか?」(←チラリと蒼牙を見る。

 

 

 

 

「さすがだな、なのはちゃん。動ではなく静を重視した服装。所々に散りばめられたアクセントがまた静けさをかもし出している。

 大人のようで子供、子供のようで大人。成長途中の女性を感じさせる。和の真髄であるわびさびを理解している。

 奇をてらっているように見えて中々に鋭い選択だな、フェイトちゃん。本来、和の象徴とも言うべき巫女服を着こなしている。

 日本人では出せない金と緋の対比。黒でなく白というのも中々に乙だ。和と洋の見事な融合。素晴らしいな」

 

 遠くで見ている蛍火は素直に感嘆の言葉を漏らす。 

 この男、決して厭らしい眼で見ているわけではない。純粋に思っていることを口にしているだけだ。届きはしないが……。

 蒼牙も恭也もこれくらい言えればなのはもフェイトも喜ぶだろうに。

 いや、むしろ色々な意味で危険?

 

 

 

 

 

「まず、なぜあんな服があるのかが謎だが……しかしあれはまた、京を思い出すな」

「京さんって……蒼牙さんの幼馴染みだった人ですか?」

「ああ、京の母上である菜月様が巫女をやってらしてな。親子揃ってよく着ておられたものだ」

「……あの〜、蒼牙さん?」

「懐かしいものだな。にしても、あれほど巫女姿が似合うとは……母上も和服がひどく似合う方であったものだ……」(←しみじみ

お、お兄ちゃんだけじゃなくて蒼牙さんまでフェイトちゃんばっかり見て……!

 

 フェイトは蒼牙の視線にモジモジしつつも嬉しそうだ。赤い顔がまたなのはから見ても可愛らしい。

 

「……はっ!? 私まで見とれてた! って、それじゃダメ! うう、な、なら……!」

「ん? お、おい、なのはちゃん、どこに行くんだ?」

「蒼牙さんはそこにいて下さい! 絶対に負けません!」

「いや、さっきから何を勝負してるんだ? 2人とも綺麗だからそれでいいのでは――」

何がいいんですか!?

「いや、あ〜……よ、良くないか。ん? いや、いいと思うが……いや、やはり何でもない」(←なのはの睨みに耐えられず。

 

 すごすごと引き下がる蒼牙を尻目に、なのはは服を選ぶ。しかし……巫女服に対抗できるものがなかなかない。

 そこに店員が近づいてきた。何やら笑いを堪えているように見えるが、まあ、気にしないでおこう。

 

「何をお探しでしょうか?」

「あ、えっと……巫女服に対抗……じゃなくって! え、え〜とですね……」

「あちらの方の服と並ぶといえば、これでしょう」

「え……これ、ですか?」

「違いはあれど、同じ聖職者のものですから。これしかないです!」(←なぜか力説

「は、はあ……じゃ、じゃあこれで」

 

 

 

 

 

 なのはが試着室から出てくる。

 

「「「…………」」」

 

全身を覆う黒の衣装。特徴的な髪はそのヴェールの中に隠されている。そう、シスター服

 しかし、その僅かに見える赤茶色の髪は輝きを失っていない。

 敬虔なるクリスチャンである事を示すかのように胸に輝く赤色の宝玉。彼女の信念を表す、十字架よりもなお神聖な赤い意志。

 丈が合わないのか、袖からちょこんと出ている指先。

 年頃に見合ったみずみずしさと張りを宿した指先が愛らしさをさらに表している。

 

 あまり見たことのない服を着ることに恥ずかしさがあるのか、頬を染めるなのは。

 神ではなく己が信念の元に進む神々しさと年相応の恥じらいの感情のコラボーレション。

 

「……はっ!? な、なんかアーメンと言いそうになっちゃった」(←なのはの神々しさにやられたフェイト

「さすがはなのは。元より清楚で慎ましく、まさに女神のような子だが、う〜む、なかなかだ」(←べた褒めかよ

「……恭也さん?」

「男どもの視線が集まっているのが気にくわんが、まあ致し方ない。なのはの可愛さと神々しさにやられるのは至極もっともだ」

「…………私だって同じ聖職者さんの服なのに…………」(←似合っているとしか言われなかったことに不満

「さあ、蒼牙。どのような感想を言うつもりだ? ヘタな感想で今のなのはを泣かせでもしたら俺は許さんぞ?」(←兄心全開

 

 

 

 

 

「……なぜ睨む、恭也?」

「あの、どうでしょうか、蒼牙さん?」

「ぬ。なんと言うか、直視できん」

「はう!? そ、そんなに似合わないですか……」

 

 途端に殺気を感じる蒼牙。その元は間違いなく恭也。フェイトに続いて恭也からまで殺気を浴びせられる、虚しい和の男。

 

「そ、そうではなくてな。その、俺は罪人だからな。正直その神々しさにはやられると言うか……」

「蒼牙さん。蒼牙さんは罪人なんかじゃないですよ。フェイトちゃんのお兄さんです。自信持って下さい」(←蒼牙の手を掴む

「……ああ、ありがとう。シスター・なのは……」(←なのはの優しさに心が洗われた奴

 

 罪の意識に捕らわれる罪人を救おうする、まさに神に仕えるシスターの如きなのは。

 

 

 

 

 

 蒼牙の手を取るなのははまさに罪人を救うシスター。

 無垢で優しいなのはと、罪を背負い、自分を責める蒼牙はあまりにピッタリな役どころ。

 

「むう、そこらの二流三流の催し物より感動できるシーンだな」

「――き、恭也さん!」

「ん?――なっ!?」

 

 その姿、本来は雄雄しいのだろう。

 紺一色に染められた大きな学ラン。前が大きく開き、胸を申し訳程度に隠すように撒かれたサラシ。

 前に立ち、人を鼓舞するための服装はその愛らしさによって打ち消されていた。

 サラシとズボンの間で隠される事なく晒される白き肌。風が吹くごとに見える儚いほどに見える鎖骨。

 

 肌を晒す事に恥ずかしさを覚えて朱に染まる頬と肌。雄雄しさと対極の愛らしさを備えた姿。

 服装と着る者の態度が正反対という恐ろしいまでのギャップ。

 

「ちょっと待て! いや、大いに待て! 前を隠せ、フェイト!」(←フェイトに駆け寄って前を隠させる

「え、あ、あの……こういう服だって聞いたんですけど……」

「それは合っているが、これは男の着る服だ。サラシを巻いているからと言っても前をさらけ出すのは……むっ」(←殺気を感じた

「オイ、待て恭也! フェイトに何を着せてるんだ、お前は!?」(←殺気の放出源

「誤解だ! 俺は薦めてもいないし着ろとも言ってない!」

 

 女性が肌を晒すことには古臭い日本人としての考えから拒否感が大きい蒼牙が、恭也に突っかかる。

 

「お前がいるならと安心していたんだぞ。それが何だ、気づきもしなかったと? 問題だぞ、お前」

「いや、確かに気づかなかったのはすまん。しかしフェイトがいくら何でもあんなものを着るとは思わなくてだな……」

「女性が無闇に肌をさらすなど論外だ。お前ならわかるだろう?」

「それはもちろんだ。だがいきなりだったんだ」

 

 兄たちがそんなふうに論議を重ねている間、なのはとフェイトは互いをジ〜ッと。

 

『フェイトちゃん、色仕掛けなんてよくないよ?』

『な、なのはだって兄さんの好みの服なんか着て誘惑してたじゃない!』

 

――――いちおう言っておきますと、念話ではありません。(←喧嘩中だから拒絶し合ってるので

 

 視線だけで会話。彼女たちもだんだんと兄たちのスキルを継承しつつある。(←……人外化?

 

『色仕掛けをしてもいいんだったら、私だって負けないもん!……む、胸以外なら』(←ちょっと自信なし

『わ、私、胸だけじゃないよ! も、もう許さないよ、なのは!』(←言いつつも胸には密かに自信あったりする

『こ、こうなったら同じ服で勝負だよ! それなら平等だもん!』

『い、いいよ! 絶対に負けない!』

 

 同時に試着室へ入る2人。しかし兄たちは気づかずに論議継続中。

 

「だいたい昨今の服装の乱れは捨て置けん。フェイトにはちゃんとした服を着るようにさせねば」

「うむ。なのはもまだ普通だが、普段からもう少し見てやらねばな」

「流行だろうが何だろうが、あの子たちに過激な服装など絶対にならん。俗世間に染まらせるなど断じてならん」

「同感だ。流行に流されるなどそんな軽いことを一度でもしてしまえばそれが後々まで癖になりかねん」

「清く正しく純粋に。それこそあの子たちの魅力だからな」

「うむ。これからはもっとちゃんと気にかけてやらう。それからまずは謝らんとな」

 

 頷き合う兄たち。実にシスコン全開。本人たちは全力で否定するだろうが、もはや文句なしだ。と、そのとき。

 

「お兄ちゃん! 蒼牙さん!」

「ああ、なのは、話が――むおっ!?」

 

 赤と白を自らの色とするなのはにとって対極の黒。

 兄と同じ黒に染められたチャイナドレス。普段とは全く違う色合いからほのかな大人が見える。

 黒に隠れて描かれている草花。光の加減で姿を現すその草花はさらにその黒を映えさせる。

 ツインテールはシニョンに変えられて、わずかに中華の色合い。

 深く切り込まれたスリットから見える太もも。普段見せない色は服の黒と合わさり、さらにその白さを際立たせていた。

 

 果てなく包み込むような優しき黒に喜びを僅かに顕にする。

 兄に包み込まれているような、そんな安堵感がなのはの表情から伺える。

 それこそがきっとなのはの妹としての、普段の表情なのだろう。

 

「そ、蒼牙! お前こそなのはに何を、何を着せているかーーーー!」

「ま、待て! 俺が着せるわけないだろうが! 今だってそう言ったろうに!」

 

 先ほどとは逆に突っかかる恭也と、全力で否定と宥めに入る蒼牙。さらに……。

 

「兄さん! 恭也さん!」

「フェイトか、今ちょっと立て込んで――ぬあっ!?」

 

 対して、黒と金を自らの色とするフェイトは蒼を身に纏っていた。

 兄の名である蒼に染められたチャイナドレス。深い優しさではなく清涼感と包み込むような優しさが現れている。

 蒼の中で輝くように描かれた蝶。その蝶は蒼空の中で羽ばたくように生き生きとしている。

 それはまるで解き放たれたフェイトと同じように、まさに生き生きと……。

 なのは同様、深く切り込まれたスリット。そこからはなのはよりもさらに白い太もも。蒼牙と共に生きるフェイトのように。

 

 無限の広さを持つ慈愛の蒼に僅かに頬を染める。

 兄と共にいるような、そんな充実感がフェイトの表情から伺える。

『共に在ること』、それこそが今もこれからもフェイトの望みだから。

 

「恭也、言ったそばからかーーーー!」

「違う、俺じゃない! 信じろ!」

 

 肩を掴み合う兄たちに一瞬だけ呆然とする妹たちだが、互いの姿を認めて負けず嫌いを刺激される。

 

「お兄ちゃん、蒼牙さん、どうですか!?」

「兄さん、恭也さん!」

「な、なのは。人前でそんな過激なものは――」

「そうだ。は、早く普通の服に着替えて――」

「「どうですか!?」」

「「ま、誠に似合っている……」」(←弱っ!?

「どこがどう似合ってるの!? ちゃんと言って!」

「兄さんも恭也さんもちゃんと見て言って下さい!」

 

 早足で駆け寄ってくるなのはとフェイトに、恭也と蒼牙はそれぞれ違う方向を向いている。

 そりゃあ、歩くたびにちらちらと太ももが見え隠れするわ、普段のギャップも合ったり白い肌だとかに目が行くのだ。

 男としてそれはならんと。しかし残念ながら彼らに拒否権はない。(←あるわけねえっしょ♪

 ちなみになのはもフェイトも兄にヤキモチ焼いていたわりに、兄のイメージカラーを選んでいる辺り、お兄ちゃん子であろう。

 

「兄さんは私のほうが似合ってるって言ってくれますよね? 私の兄さんなんですから」

「ん? まあ、それは――」

「フェイトちゃん、そんな言い方はずるいよ! 蒼牙さんも今日は私に付き合ってくれるって言ったじゃないですか!」

「いや、確かにそうなんだが……」

「「どっちが似合ってますか!?」」

「……りょ、両方というのは……?」

「「ダメに決まってます!」」

 

 どう答えたらいいのかわからない蒼牙。フェイトと答えるべきなのだろうが、しかし今日はなのはに付き合うことにしている。

 そのなのはを放り出してフェイトと言うのは男としていかんと思うし、かと言って妹をないがしろになど兄として間違い。

 

(どないせえと!?)

 

 関西弁で心の中で叫ぶ蒼牙。しかし見つめられる視線から逃れることはできず……。

 

「……わ、悪い。甲乙付け難い」(←逃げた?

「……兄さんの裏切り者」

「ぬぐおっ!?」(←痛恨のダメージ

「む〜、ならお兄ちゃん! お兄ちゃんの一言で決まるんだから! さあ答えて!」

「恭也さん、どっちが似合いますか!?」

「なにっ!? そ、蒼牙……!」

「…………」(←聞こえてない

 

 蒼牙は敗北した。恭也は目に見えて凹む蒼牙に逆に同情すらしてしまう。

 

「い、いいか、なのは、フェイト。何でもかんでも勝負するのはだな――」

「「どっちが似合ってますか!?」」

「いや、だから――」

「お兄ちゃん!」

「恭也さん!」

「……………………」

 

 蒼牙と同じ悩みで黙り込む恭也。そして結局彼も答えを出せない。

 

「む〜! お兄ちゃんの優柔不断!」

「っ!?」(←クリーンヒット

 

 なのはとフェイトは顔に黒い影すら纏って落ち込む兄たちを尻目に、互いの顔を見合わせてから再度試着室へ。

 

「……生きてるか、恭也?」

「何とか生きているが、答えられんぞ、あんな質問……」

「何であの2人は喧嘩してるんだ?」

「おかしい。確か俺たちに対して怒っているんだろう? それが何で競争になってるんだ?」

「このままでは同じことの繰り返しだぞ。その度にああして言われなきゃならんのか?」

「勘弁してくれ。答えたら答えたでどちらかに上目遣いで泣かれる……」

「逃げるわけにはいかんし、かと言って答えることもできん……なれば、道はひとつだ、恭也」

「ああ、耐えるしかない。ひたすらに」

「生き残るぞ、恭也……何とかして

「ああ……厳しいがな

 

 レストランでの時と似たような覚悟をする2人だが、しかし彼らの言葉からもわかるように自信なさげだった。

 

 

 

 

 

「ふはははははは、ひい、ひい! あっははははははは!」

 

 蛍火はもう店じまいをした。だって面白すぎて目が離せないんだもんと。

 なのはとフェイトが体操着を着て出てきた。ご丁寧に「なのは」「ふぇいと」とまで書かれている上にブルマだ。

 

『……なぜここに体操着が?』

『……もういまさらだ、恭也』

『『どっちが似合いますか!?』』

『『……………………』』

『お兄ちゃん!』

『兄さん!』

 

 これの繰り返し。ていうか、ブルマが似合っていたところで嬉しいか?

 

「微妙だろうな。恭也と蒼牙にしても似合っているなどと言ったらその時点で変態決定だ。つまり……耐えるしかないわけだ。

 ぶっ、あはははははは! ひいいいい! い、いかん、死ぬ! 死ぬ! 俺ともあろう者が、笑い死ぬ! くはははははは!」

 

 そんな大笑いしている人間がいるとも知らず、無言の兄たちに別の服探しをする妹たち。

 

『む〜、なら今度はこれ!』

『望むところだよ、なのは!』

『『…………』』

 

 試着室に入る妹たちと、もはや互いに言葉は交わさず、ただ頷き合う兄たち。

 そして試着室から出てくる、2人の少女看護師――ナース

 

「大河がいたら喜びそうだな、このコスプレ大会は! ふはははははは!」

 

 同じ白い、そしてミニスカートなナース服。なのはとフェイトという、容姿に違いはあるのに、その白は彼女たちとマッチする。

 それは彼女たちが為せる業か、ナース服が為せることなのか。

 いや、違う。2つが融合してこそ為せること。

 なのはとフェイトという、本来は優しい女神のような2人が着るからこそ似合うのだ。

 

『……なぜ注射器を持っているのだ、なのは?』(←服よりそっちが気になる

『……フェイト、聴診器をどこで?』(←同じく

『『そんなことはどうでもいいんです! どっちが似合いますか!?』』

『『どうでもいいのか……』』

 

 なぜそんなものまであったか? 決まってんじゃん。

 

「俺が揃えておいたんだがな? あっはっはっはっは!」

 

――――止める気ねえな、こいつは……。

 

『むう〜、ならこれで……こほん……高町恭也さん、注射の時間ですよ〜』

『……なのは?』

『さ、腕を出してください』(←優しく恭也に寄り添いながら

『いや、ちょ、ちょっと待て、なのは!』

 

『な、なのは!? ずるい、そんなアピールまで……に、兄さ――じゃなくって、城崎蒼牙さん、回診の時間です!』

『いい、しなくていい! しなくていいぞ、フェイト!』

『…………兄さん』(←泣きかけフェイト

『……………………好きにしてくれ、もう』

 

 結局、そんなアピールをしつつも引き分け。そして妹たちは試着室へ。

 恭也は腕をさすりつつ、蒼牙は壁に手を突いて……共に無言。きっといろいろなものに耐えているのだろう。

 恥とか恥とか恥とか……。

 

「ひい〜、ひい〜! い、いかん、マジで死ぬ。窒息死する。笑い死ぬ。ヒック……しゃっくりが止まらんぞ」

 

 さらになのはとフェイトは警官のコスチュームで。可愛いのだが、恭也も蒼牙ももう見るに耐えない生気のなさ。

 

『『どっちが似合いますか!?』』

『『いや、もう頼むから……』』

『『これもダメ、次!』』

『『……やめてくれ』』

 

 そんな恭也と蒼牙だが、さすがに次に出てきたなのはとフェイトの服装には――

 

『な、なのは、そんな露出の多いものはいかんぞ! 着替えるんだ、すぐに! 頼む!』

『フェイト、頼むからそんな過激なものはやめてくれ! 頭を下げろと言うなら下げるから!』

 

 レースクイーンだった。ヘソ出し、超ミニスカ、さらにブーツ。なのはは白、フェイトは黒。

 あまりに過激すぎて恭也と蒼牙もまくし立てて妹たちを試着室へ追い込む。

 

『……よくやった、蒼牙』

『大丈夫だ、俺たちは生きている……』

 

 かろうじてだが。

 

「〜〜〜〜〜〜〜〜」(←もはやおかしすぎて悶えている蛍火

 

 

 

 

 

 白のシャツにピンクのスカート。そしてスカートの前にかけられたピンクと白のチェック模様のエプロン。

 長い襟がピンクのリボンによって首の中間で止められている。それはある意味束縛をしているように見えた。

 袖口に飾られた細いピンクのリボン。そう、なのははジェミニーメイド服を着ていた。

 フリルは全体的に抑えられて、メイドの象徴たる、ホワイトブリムもカフスも見当たらない。

 しかし、翠屋で鍛えられた姿勢の良さ、見られることによって自然と向けてしまう笑顔。

 それらがメイドの象徴たる二つをなくしていても正しくメイドとしてあった。

 

 普段着のようでありながらも普段着とは少し違うメイド服。

 メイド服というものに少しの憧れと戸惑いを示す。その照れようと、恥ずかしさによって彩られた頬の赤は可愛らしい。

 

「お帰りなさいませ、ご主人様〜……なんちゃって。どう、お兄ちゃん?」

「…………」

「お兄ちゃん?」

 

 頭に飾られたリボンで出来たホワイトブリム。しかしその名の示すような白ではなく黒のホワイトブリム。

 首筋に巻かれた黒のリボン。なのはと同じく、いやそれ以上に束縛の印象を与える。

 胸と首の間に開けられた空白。それは黒とフェイトの肌の白さのコントラスト。

 手首に飾られた黒のカフスも白の中で黒を映えさせ、黒のカフスがあることによってさらにフェイトの白さを際立たせる。

 ふわりと広がるスカート。そのスカートの丈は短く、ニーソックスとの間に僅かに見える肌の白が眩しい。

 メイド服に近くも近くない。ビスチェメイド服というその曖昧さがフェイトに困惑を与える。

 

 されど同時に安らぎも与えていた。在りしのリニスを思い出すのか優しく懐かしむ表情に包まれていた。

 それでも胸元が開かれている事と、スカートの丈を気にして肌を赤く染める姿はむしろ嗜虐心を煽る。

 

「え、えっと……お待たせいたしました、ご主人様……で、いいのかな? ど、どうですか、兄さん?」

「…………」

「兄さん?」

 

 さすがに出てきたなのはとフェイトは普通だった。いや、これまた普通ではないかもしれないが、

 恭也と蒼牙にとってはレースクイーンやらブルマやら警官やらナースやらに比べれば……いや、比べるのすら馬鹿げている。

 今の彼らに2人のメイド姿は極上の芸術の一品とも言えるのだろう。

 

「恭也、多少の露出が露出に思えへんぞ?」

「ああ、さっきのに比べたらはるかにマシだ。メイド服がこんなに素晴らしく見えるぞ」

 

 さきほどまでのことと、恥との戦いにより、多少、精神がおかしくなっている恭也と蒼牙。

 彼らにはなのはとフェイト、そしてメイド服が神々しくすら見えているのだろう。

 しかしそんな兄たちになのはとフェイトはわけがわからない。

 さっきはいきなりまくし立てるし、今度はいきなりほんわかした顔で2人揃って笑い合っているし。

 

「うむ、なのは。すごく似合っている。そう、もはやお前が天使にすら見える」

「え、そ、そうかな……えへへ。ありがとうございます、ご主人様、かな? あはは」(←裾をつまんで軽く会釈

「…………」

「あ、あれ? 似合わなかったかな、お兄ちゃん?」

「そんなはずがあるまい、なのは。今のお前の可愛らしさと初々しさには俺の精神も一発KOだ」

「え〜と、あはは……うう、お兄ちゃんに褒め殺しされるなんて……」(←あまりなことに嬉しくて言葉が出ない

 

「フェイト、お前はやはり黒が似合うな。いや、もう俺の少ない褒め言葉では他に言えへんが、とにかく素晴らしすぎや」

「そ、そうですか? あ、ありがとうございます、兄さん……じゃなくて、ご主人様」(←手を揃えて深々と頭を下げる

「…………」

「あ、あの……何か言って下さい、兄さん……」

「……さすがは我が妹やな。その微笑と醸し出されるか弱さに叶う男などおらへんわ。いや、むしろいたら斬る」

「そ、そこまでしないで下さい。嬉しいんですけど……」(←超真っ赤

 

 精神がイッているほうがいいことを言えるのだろうか、この兄ども?

 

「「…………あはは」」

 

 なのはとフェイトはわけがわからないが、なぜかいつも浮かべないような満面の笑みを見せてくれる兄たちに、

 喧嘩をしていた自分たちの毒気を抜かれてしまい、顔を見合わせて笑う。

 

「はあ、もういいや。あ、そう言えばもう少しで夏だね。水着見て行こっか、フェイトちゃん」

「うん、そうだね。兄さん、いいですか?」

「ああ、もう、好きなだけ見て来い。そう、1時間でも2時間でも3時間でも4時間でも……」

「そ、そんな長くは……」

「いやいや、遠慮はいらんぞ? 気に入ったのなら買ってやるから。そう、1着でも2着でも3着でも4着でも……」

「お、お兄ちゃん? 蒼牙さん? ど、どうしたの?」

「気にするな。普通が一番と心から思っているだけだ。そう、長い買い物だろうが多い買い物だろうが、普通ならそれで……」

「恭也の言う通り、普通が一番やで。そう、普通こそ極上。これに勝るものがあるかっちゅーねん」

「ビバ・普通!」(←蒼牙と肩を抱き合う

「普通に万歳!」(←恭也と頷き合う

「「…………」」(←無視して水着探しへ

 

 

 

――――強靭な精神力も、妹たちの暴走の前には耐えられなかったようです。

 

 

 

 そうしてなのはとフェイトは訝しみながらも水着コーナーへ。そしてまた試着室へ行って出てくる。

 

 なのはは白と桃色の、フリルが多めに付いたワンピースタイプ。

 フェイトは黒を基調とした、青の線が入ったビキニに、パレオを付けて。

 さすがにこれは水着だとわかっているからか、恭也も蒼牙もレースクイーンの時のように騒ぎはしない。

 それどころか……。

 

「うむ。さすがはなのは。やはり清楚で慎ましいお前には白が似合う。桃色はお前を飾る、いいアクセントだ。

 青い海、白い雲、そんな中で砂浜をかけるお前が目に見えるようだ……」(←天井を振り仰いで

「……な、なんかまたお兄ちゃんがらしくない褒め言葉を……」

「ははは、そうか? 俺は普段と変わらないぞ?」

 

「黒はもはやお前のための色のようや、フェイト。そして青はやっぱ俺自身が好みの色やからな。もはや言うことなしや。

 ふっ、今の我が妹に見惚れん男がおるっちゅーなら、俺が『悪・即・斬』の下に斬り捨てたるわ」(←見惚れても斬るつもり

「……あの、兄さん? すごく嬉しいんですけど、どうかしたんですか?」

「ん? 何がや? この兄は至っていつも通りやんけ」(←関西弁の時点でいつも通りじゃない

 

 そうしてその水着を買って、4人はようやく服屋を出て行く。

 喧嘩もヤキモチももう終わったのか、なのはは恭也の横を、フェイトは蒼牙の横を歩く。

 

 

 

 

 

「け、蛍火ーーーー! し、しっかりして! 大丈夫なの!?」

「れ、レン……助けて下さい……」

「え、蛍火が助けてなんて、何があったの!? ねえ、蛍火!?」

「ああ、やりすぎはいけない……身を以って知りました……ヒック」

「何? 何のことなの?」

「あはは、笑いすぎで……おなかが痛いんですよ。あと頬の筋肉が攣ってるのと、顎がちょっと外れ気味で……」

「……何してたの、蛍火?」

「いえ、ちょっとした悪戯です……ヒック」

 

 悶え死ぬところだった蛍火は、レンに介抱されつつ、店の奥で止まらないしゃっくりに抵抗中。

 

「最高だ、あの4人は……ヒック」

 

 

 

 

 

――続く――

 

 

 

 


あとがき

  ペ「さて、皆さんが待ちに待ったと思うコスプレ!!」

  F「…………ぐふ」

  ペ「大変でした、思いっきり苦労しました(涙)。そのお陰で何とか納得できる物に……」

  F「……パ、パラダイスだった……さてさて、なのはとフェイトの暴走ここに極まれりってな今回。どうでしたでしょうか?」

  ペ「なるべく萌えるような衣装を着せたつもりでしたが、力量不足で申し訳ないです」(土下座

  F「幾人かの方の協力を得まして、時間もかけましたので、私たちとしては結構できたと思っておりますが」

  ペ「まぁ、メイドに関しては浩さんを越えられるはずも無いです」

  F「チャイナに関しては誰にも譲らん!」(←阿呆

  ペ「書いたのは私だがな……」

  F「それを言っちゃ駄目でしょう♪」

  ペ「というかコスプレの四分の三を書いたのは私だぞ!?」

  F「はい。私はそのつなぎを書いただけです。コスプレの描写のほとんどはペルソナさんが書いてくれてます。

    皆さん、ペルソナさんの腕に拍手〜!」

  ペ「やめい!! まぁいいや。さて、そろそろ次回に関して」

  F「ちぇ〜、残念。さて次回! 次回はもう恭也と蒼牙がちょっとやばいですね、精神的に」

  ペ「何が起こるのかは次回をお楽しみに!!」

  F「それでは今回はこれで失礼をば!……あ、まだちょっと鼻血が……」





よし! メイド! やはり、あの二人でもメイドには耐えれなかったみたいだな。
美姫 「というよりも、今まで堪えてきたのが限界だったんでしょうね」
二種類のメイド服。それぞれを見事に着こなすなのはとフェイト。
末恐ろしい……。
美姫 「他にも色んな衣装が出てきたわね。まさに今回はコスプレ」
ジェミニメイド服。フリルは少なく、ブラウスはファミレスなどのウェイトレスのよう。
けれどもアクセントにリボンが飾られ、ペチコートと一体となったスカートはふんわりと……。
美姫 「アンタのリクである、なのはのワンピースとフェイトのゴスロリを最初に持ってきてくれてるわよ」
ビスチェメイド服。幼い肢体を覆い隠すのは、まるでコルセットの如く身体にぴったりとフィット。
フリルやリボンがポイントとしてしっかりと装飾され、妖艶ながらも可愛らしさを演出。
横へと広がるミニスカートとソックスが作り出したるは絶対領域!
美姫 「おーい」
共にシックでオーソドックスな、ノエルが着ているようなメイド服ではないが、これもまたメイド!
止めとばかりにご主人様……って、もう何をさせてますか! グッジョブ!
美姫 「いい加減に、戻って来い!」
ぶべらっ! ……だ、だが、悔いはない。
美姫 「ったく、メイドまでちゃっかりとリクエストしてる辺りがアンタらしいけれど」
いやー、本当にありがとうございます! 堪能した、堪能した。
美姫 「……アンタ、今回の感想メイド以外ないんだけれど……」
次回はどうなるのかな〜(汗)
美姫 「そんな強引な誤魔化し方が私に通じるとでも?」
あ、あは、あは。
美姫 「はい、お仕置き決定ね」
のぉぉぉー!
美姫 「それじゃあ、次回も楽しみに待ってますね〜」
お、お仕置きはいやぁぁぁぁ! けれど、メイドが出てきたから、今回は……やっぱり嫌じゃぁ!



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