「それで・・・君は誰だ? 何故フェイトと同じ姿をしている?」

 

金髪の少女は後ろで手を組み、上体を屈めて上目使い気味に俺の目を覗き込むようにして言った

 

「解らない? 彼方は、私より完璧な人を知っている筈だよ二人も・・・」

 

「何?」

 

少女はクスクス笑いながら口を開いた

 

「衛宮士郎、年齢十九歳。現在は肉体の幼児化が起き、肉体年齢は九歳〜十二歳前後。」

 

何故知っている?!

 

「分類は人間。世界を知る魔術師にして魔術使い。使える魔術は大禁忌の秘奥。投影、強化、解析、変化、これらの魔術はその禁忌から漏れ出した劣化品でしかない」

 

「何故・・・知っている」

 

声を押し殺して言う俺に、少女はこう言った

 

「魂から情報を引き出したの・・・って言えば解るかな」

 

「そんな・・・有り得ない!!」

 

「そうね・・・普通なら有り得ないわ。それじゃぁ、信じさせてあげる。貴方とそのお友達の秘密を喋って上げる」

 

 

そう言って少女は語り始めた。俺とあの子しか知らない筈の話を

 

 

 

 

アリサ・バニングスには秘密が在る。

その秘密は、彼女の親友にも話せないほど重いモノだ。

親友の一人は、自分とは違う形で関わっているっぽいが・・・お互い様だ。

その秘密というのは、自分の親友・・・高町なのはが気にしている男子、衛宮士郎の事である。思えば、トンでもない事を知ってしまった物だ。アリサ・バニングスはそう思い読んでいた本に枝折を挟み、ベットに横に成った。

 

「それにしても・・・・コレをアイツが書いたとはねぇ〜」

 

読んでいた本の名前は『聖杯戦争』

作者の名前は、八城海衛とだけ書いて在った。

 

コレは、衛宮士郎が記憶の整理をするために自分の記憶と『エミヤシロウ』の記憶を比較し数通りに纏めた物の一部である。彼自身、出版しようと思ったことも無く。ある本好きな女性が勝手に送った物で在り、その彼女は現在罰としてシゴキの最中である。というより、今年の夏休みは山篭りが決定している。

 

アリサ・バニングスは、ベットの上で寝返り、窓の外を見て呟いた

 

「そういえば・・・あの時も満月だったわね・・・・・・」

 

アリサ・バニングスはそう言って目を閉じた。思い出すのは約一年ほど前の去年の六月。梅雨とは思えない程に青空が広がった日の事だった。

彼との出会いはその年の四月の花見の時。高町なのはが気にしている男に興味も在ったがそれ以上に、話してみて面白かったのを覚えている。

彼との話は自分が知識を蓄えるのに有意義であり、面白かった。理由を付けてはチョクチョク高町家に遊びに行き、話をし、遊んだ。未だに戦略系の遊びで勝った事が無いのが悔しいが・・・それは置いておく。

あの日も満月だったのだ。違うと言えば雨が降っていない事ぐらいだ。

 

あの日、急に振り出した雨の所為で鮫島との待ち合わせ場所に行くのが少し送れそうだと連絡を入れた時だった。恐らくその瞬間を狙われたんだろうと、今なら考えられる。突然目の前が真暗になり、口に布を押し付けられた。

気が付いた時は何処か知らない廃墟の中で、私の携帯も奪われていた。周りを見れば男が四人座って、食事をしながら喋っていた。頭がボォっとしていて何を言っていたのかは分からなかったが、男が立ち上がり此方を見た。

その顔を見れば自分が此れから如何なるのか、何をされるのかが分かってしまった。

男の下品な表情、ギラついた目・・・・・怖かった。

怖くて怖くて声が出なかった。手は縛られていて動けなかった。脚は恐怖で動かなかった。

男の手がズボンに掛かりズボンの隙間から飛び出た醜悪な肉塊が、糸で釣られているかの様に起立していた。

もう駄目だと思った。

何で、私がこんな目に遭わないといけないのかと思った。

男達の狙いはお金だというのは分かっていた。バニングスの名は経済界では有名だ。イロイロな事業に手を伸ばし、次々と成功を収めている。私もそういう人達が集まるパーティーに、父の家族として何度か出席した事もある。だから、私が狙われるとしたらそういう関係の事だと思っていた。この男達もソレが本来の目的なのだろう。

だから、これは想定してなかった。私はまだ八歳の子供だ。その様な子供を、性の対象にする奴が居る事自体は知っていた。でも自分の前に現れるとは思っても見なかった。

得体の知れない恐怖が体中を駆け巡った。男はもう目の前で、私は如何する事も出来なかった。目を瞑る。夢なら覚めて欲しかった。

次に私が目を開いた時に見たのは、良く知っている人の背中だった。

雨に濡れた鈍い銀色の髪。部屋自体が暗いからそう見えた。

私より少し高い背は、最近見慣れた。髪と合わされば人混みの中でも見つけられる。

 

「あ・・・あぁ・・・」

 

震えて声が出ない私に、アイツは着ていた紅い外衣を放って寄越した。ほんのりと、人肌の温かさを宿した外衣が私に安心をくれた。

 

「すまない、少し遅れた・・・待ってろ、直ぐに片付ける」

 

「士郎!!」

 

今思い出しても、見っともない声を出した物だ。士郎は私に言った通りにその場に居た全員を、直ぐに沈めた。丁寧に四人の男の手を縛り、私に迫っていた男には踵を振り下ろしていた。(後で聞いたのだが、潰したそうだ)

 

士郎は私に外衣を掛けたまま外に出て森の方に入った。私の腰が抜けていたのだから攻めなかったけど・・・・その・・・・お、お姫様抱っこで

外に出て分かった事だけど、私達が居た廃墟は森の中に在った。でも士郎は森を出るのではなく、森に入った

 

「ちょっと・・・なんで森に入るのよ。あからさまに、反対の方に道が続いてるじゃない。」

 

「奴らは誘拐と交渉が専門だ。アリサを連れて隠れる奴らが他にいる。アリサなら少し考えれば分かるだろ? バニングスに良い顔をさせたくない輩や、恨みを持つ者が居る事も・・・」

 

言われて見ればそうだと思った。今なら何故分かれたかも解る。

簡単に言えば最初の奴らは囮として使い、後から回収する奴らが本命なのだ。恐らく、少しすれば今まで居た廃墟は警察にリークされ奴らは捕まる。一番性質が悪い場合は殺される。奴らは捕まっても痛くない。奴らを雇った個人は戸籍を買え顔を変えればそれで終わり。金は、私を長期間隠し続ければOK。海外に逃げても金は仲間から供給される。

本命の奴らを雇った奴が払うという事もできる。

 

「・・・なるほどね。・・・・・でも、なんでアンタが? 普通は警察とかが来るんじゃないの?」

 

「士郎さんに出会うまでは、戦地にいてな・・・奴等の様な人間は吐いて捨てるほど居たし、戦えないと・・・・な・・・」

 

「ゴメン・・・軽率すぎたわ」

 

本当に軽率すぎたと今でも思う。アイツは私の顔を見ながら続けて言った

 

「それに、アリサは友達だろ? だったら助けるのが当たり前だ。何よりも、アリサに何か在ったらなのはが泣くし悲しむ」

 

嬉しかった。その言葉が嬉しかった。私は友達が少ない。私をバニングスとして、友達や知り合いに成ろうとする奴は多い。私にも社会に対しての、バニングス家の娘としての顔が在るから付き合いは在る。だから、普通に見れば友達が多い様に見える。でもソコには信じれる友情などは無かった。私を私として、アリサとして見てくれたのは高町なのはと月村すずか・・・それと衛宮士郎だけだ。勿論、彼女達の家族もそうだ。

今思えば、なのはやすずかと仲良くなった切っ掛けは自分を見て欲しいという気持ちから来た感情を巧く表せずに、すずかに意地悪をした事だ。本当に可愛くない。私が昔を思い出し、クスリと笑った時。士郎が止まり携帯を取り出した。私達と買いに行った物だ。携帯に付いている三つのストラップは三人夫々でプレゼントした物だ

 

「もしもし。あぁ、見つけたし保護した。・・・・・動きはない? ・・・・揺さ振りが目的? いや、そんな理由は如何でも良い。誘拐犯は全員縛って放置してある。救急車と病院の用意をしといてくれ・・・・ん、その通り。強姦未遂の奴は潰しておいた。それじゃあ後を頼む。恭也さん達にも連絡してくれ・・・一応、このまま連れて行く。それと・・・・少し遅れてきた方が良い。切るぞ。」

 

そういうと士郎は私を地面の上に下ろした。腰に力が入らない私を木の幹によっかかれる様に、座らせて外衣を掛けなおしてくれた

 

「アリサ、少しだけ我慢して待っててくれ。応援も呼んだし、警察も動いてる。状況証拠も押さえてるそうだから、之以降アリサが狙われる可能性は減るだろう。だから少しだけ耐えててくれ。」

 

「・・・・・・・・解った」

 

本当は嫌だった。この場に居て欲しかった。暗いのは怖い、一人が怖い。それでも、私は頷いた。

 

「すまない」

 

士郎は謝って、来た道を戻っていった。私は腹が立っていた。アイツは私に謝ったのだ。何も悪い事をしていないのに、寧ろ私を助けに来てくれたのに、謝ったのだ。そこで、私は決めた

 

(戻ってきたら怒ってうやろう。絶対に怒ってやろう。そして、泣いてやろう思いっきり泣いて、怒鳴って困らせてやる!!)

 

そう決めたのだ。自分を虚ろにしている様なあの態度は、絶対に公正させてやる!!

 

(てゆうか、なのはが悲しむって何よ!!・・・・まぁ嬉しいんだけどさ、あの子なら絶対に泣きそうだし・・・・あー!! 何よ、このイライラは!! まるで私がなのはに嫉妬してるみたい・・・じゃ・・・・・)

 

そこまで考えて、体温が上がるのが自分でも分かった。

 

(違う!! 違うわよアリサ・バニングス!! 之は・・・アレよ・・・吊り橋効果とかいう奴よ!! こんなのは一時の気の迷いなのよ!! ていうか、なのはの思い人を取るような真似絶対に有り得ないんだからぁ!! だいたい「パン」って銃声!!)

 

「何よ・・・大丈夫なの・・・・士郎」

 

一分経った。銃声は聞こえない

 

五分経った。爆発音が聞こえた

 

八分経った。雨音だけが響く

 

十分経った。茂みがガサリと音を立てた。その方向を見ると士郎が居た。ホッ、と胸を撫で下ろす。文句の一つでも言ってやろうとすると、士郎はアタシを抱き上げて又走り出した。

 

「チョット・・・・早い早い!! イタ!! 雨が、目に痛い!!」

 

「目を瞑ってろ、最短距離で道路に出るぞ!!」

 

「最短距離って・・・・・・ちょっと待って!! 地面がないわよ!!」

 

森を抜けると崖でした・・・・冗談じゃないわよぉぉぉぉ!!

 

「きゃぁぁぁぁあっぁあぁ」

 

目を瞑っていたから解らなかったが、体に衝撃が走ると道路居た。目の前には黒い車が一つと、如何にも仕事出来ますという風貌な女性が傘を開いて空いた手でタバコを吸っていた。

 

「時間どうり・・・かな? ミスタ・衛宮。」

 

「止めてくださいリスティさん。時間どうりですけど、俺はミスタなんて呼ばれる様な人物じゃない」

 

「フフ・・・君がそう思っても、周りはそう取らないよ。それに、今の君はお姫様を悪漢共から救った王子様・・・いや、騎士だよ? 」

 

そう言われて、私は自分の状況を理解した。お姫様抱っこだ・・・・・・・あぅ・・・・・

 

「ソレで如何する? このまま送っていくかい? それとも乗っていくかい?」

 

「このまま行くよ。早めに奴らを連れて行ってくれ。それと、士郎さんだけに『龍が出た』と伝えてくれ」

 

「・・・厄介だね」

 

「いや、実際にそう厄介ではない。二人程使い物に成らなくなっているが・・・支部の場所は掴んだ。証拠の在る所も押さえたよ。そっちは後で連絡する。今は、早くアリサを安全な場所に連れて行きたい」

 

「解ったよ・・・それじゃあ、気を付けて帰るんだよ? 」

 

「解ってる」

 

そう言い、士郎は走り出した。聴きたい事は山ほど在ったが・・・・聴いた今と成っては少し後悔している。でも、それ以上に感謝している。士郎のお蔭で私は救われた。士郎が教えてくれたお蔭で、父がどれだけ危険な目に会っているかを知った。今と成っては父との仲は昔以上に良好だ。

 

 

「お嬢様、お休みになられましたか?」

 

鮫島の声とドアをノックする音で、私はベッドから起き上がった。

 

「今から寝る所よ。」

 

ガチャリとドアが開き鮫島はテーブルの上に有ったカップを手に取り

 

「それではお嬢様、カップは引いておきます。お休みなさいませ」

 

「えぇ、鮫島も・・・お休みなさい」

 

そう言って鮫島は出て行った。

 

あの事件が在ってから、鮫島は今まで以上に私の傍に居る。士郎が居る時は別だけど・・・・彼は自分の不注意で私が危険な目に在ったと思っている。

いくら私が否定しても、ソレを認めない。・・・全く、頑固な執事だ・・・と思わなくも無いが。私は、今はそれで良いと思っている。アイツを含め頑固な奴を公正させるには時間が要るんだから。

私はそう思い、目を瞑った

 

 

 

 

 

 

「それで、彼方は後から来た三人組の内一人を殺し。残りの二人を精神崩壊させた・・・違うわね。『壊した』・・・彼方のデバイスは正にデタラメだわ・・・彼方の発想もだけど・・・」

 

「・・・・解った、信用しよう。」

 

考える時間も探る時間も在った。そこで確信できたこの子は・・・・

 

「それで、何か用事が在るんだろう? 『出来損ない』」

 

「『出来損ない』は酷いわね・・・確かに、私は『至る』事が出来ずに『至りかけた』状態で使用したから・・・正しいんだけど」

 

苦い顔をして言う少女に対して、俺は追い討ちを掛けるように言う。会話の主導権を握らなくては、此方が不利に成る一方だからだ

 

「ソレに、その姿も変えたらどうかね? 実年齢に伴わない姿は似合わないぞ?」

 

「ぐっ・・・痛い所を付いてくるわね・・・・でも関係無いでしょ。普通の魔導士には見えないんだから。だいたい」

 

「良いから、要件を言え。時間を無駄に浪費できる程に、俺には余裕が無い」

 

「・・・・私とあの子・・・フェイトの事からに成るけど良い?」

 

「構わん。」

 

「ありがとう。でも、約束して。フェイトには絶対に秘密にして・・・・私が許可するまで絶対に・・・・それと、あの子には今のままの彼方で接してあげて欲しいの」

 

「良いだろう」

 

「ありがとう。御免なさい、彼方の時間を少しだけ貰うわ。最初はね、事故だったの・・・・・」

 

彼女が話し始めたのは、ほんの些細な偶然が積み重なって起こった事故から始まった。如何しようもなく救いの無い話。

その中で、俺は彼女が母と呼ぶ人物に共感を抱き。そして、彼女がドコで間違えたのかが解ってしまった。話の中に出てきた彼女には無理な話だ。

彼女は優秀すぎた只それだけの間違え・・・・

話を聞くに連れ、俺は彼女に共感する気持ちが大きく成っていくのが自覚できた。

そして、フェイトの出生を知った。それで、俺のフェイトを見る目が変わるわけではない。彼女は彼女で在りそれ以外の何者でも無いし、彼女以外の者になれるはずも無い。

 

(でも・・・貴女はそれが許せなかったんだな。・・・・貴女は優しすぎたんだ。母としても、女としても、人間としても)

 

「そして、今に至る訳・・・・」

 

「つまり、君は見極めたいという事だろ? 若しくは互いにチャンスが欲しい・・・違うか?」

 

「・・・そうよ。自分勝手なお願いだけど・・・頼まれてくれない? 」

 

確かに、彼女が求める物も術も俺と相棒が使える。

 

「・・・対価は? 理解しているのだろう? 君は自分のその身勝手な望みを叶える為に、俺に力を貸せと訴えた。ならば、俺が力を貸す事で出来る俺のメリットは?」

 

彼女は、少し考えてから言った

 

「わた「却下!!」・・・最後まで言わせてくれても・・・・・」

 

「真面目に答えろ。今此処でお前の魂ごと砕く事も出来るんだぞ?」

 

「・・・・・・ちょっとふざけた位良いじゃない。あの事故以来、一度も人と喋った事が無かったんだから・・・・・私が出せる対価は、『彼方の負担を減らす事』だけよ」

 

「俺の負担? ・・・・まさか、出来るのか?」

 

「実際に、やる事は簡単よ。ただ・・・彼方の体は一時的な倦怠感や疲労に見舞われるし、突然に激痛に襲われるわ・・・・それでも良い?」

 

「ソレで良い・・・・大体、読めば解るだろ? 」

 

「そんな事はしないわよ。アレは彼方に信じてもらう為に仕方なく・・・・・彼方!! 最初っから協力する気だったわね!!」

 

「どの道、対価は貰うがな」

 

その後、ぷんぷん可愛く怒る少女の相手をしながら目覚めるのを待つことにした。

 

 

 

目覚めると、思いっきり怒られた。主にダンとアルフに・・・・俺が悪いのか? 後フェイト・・・涙目で見ないでくれ・・・・・

 

「本当に心配したんですからね!! 聴いてるんですか!! マスター!!」

 

「そうだよ!! アンタ、何考えてるんだい!! 「む、何故ここに居る?」アンタがヤバイってダンに言われたからに決ってるだろ!!」

 

全面的に俺が悪いようだ・・・・・

 

「士郎、大丈夫なの? 士郎が五時間以上眠るっていうのは、死に掛けるのと同じだって・・・・ダンが・・・ダンが・・・言うから・・・」

 

「あぁぁ、泣くなフェイト。俺は大丈夫だから、全然平気だから。今回は予想以上に疲れていたのが、原因みたいだから・・・・な? 」

 

泣き出しそうなフェイトを、何とか落ち着かせ。俺はラインを通した念話でダンと話しながら、携帯食料を齧った。

フェイトとアルフは、ダンに連れられ工房見学をしている。見られて困る物が幾つか在るには在るが・・・彼女達には理解できないし、見つけられないから良いのだが・・・・・

 

「なのはが魔法少女? ・・・・・・くそっ・・・士郎さんになんと言えばいいんだ?」

 

あの人は之から俺達が行う事を、否定せずに認めるだろう。だが・・・クソッ!! まぁ良い。あの子に嫌われるように立ち回るのが、早くなっただけだ。どの道目的が果たされれば、俺の事は薄れ、最終的にはそんな人居たな〜位に成るのだ。ならば、そう立ち回ろう。最高のタイミングで自分の存在を教え、あの子を傷つけ、試そう。あの子には強く成って欲しい。

 

 

Side フェイト

 

私は士郎の無事を確認した後、士郎に頼んで工房の見学をさせて貰っている。ダンの先導の元、工房視て周って私は思った。

 

(凄い)

 

流石は町を一つ包み護り続ける結界を張れる魔術師だと思った。魔導士と魔術師は違うので、私には理解できない物や事が多いけど・・・魔力が満ち溢れているのだ。この工房という所は

 

「それじゃあ次に行って見ましょう。次は第三層、通称第三工房・鉄火場です。」

 

そう言うダンに付いて行きながら、階段を上る。工房は螺旋の様に存在しているらしい。第五工房は士郎が寝ていた場所で主に生活空間的な場所らしい、その割には、物騒な物が沢山置いてあったけど・・・その上に在る第四工房は研究室みたいな感じだった。

そして、今入った第三工房は暑かった。でも、それ以上にソコは清浄な空気に満たされていた

部屋の奥には轟々と燃え盛る炎を宿した炉が在った。

部屋中に私では理解できない魔法陣が記されており、床にある魔方陣には水が流れていた。

 

「・・・・気持ち悪い」

 

「大丈夫、アルフ?」

 

「魔力酔いですね・・・此処の魔力は別物ですから、アルフさんもう駄目だと思ったらマスターの所に戻ってください。」

 

「ねえ、ダン。床の魔方陣には、なんで水が流れてるの?」

 

「それはですね・・・・・」

 

床に在る魔方陣の意味は『浄化』の意味が在る物らしい、ソレを流れている水は『流れ水』と言いその水自体が『清める』という意味が在るんだそうだ。

私は、陣を見回して不思議な物を見つけた。

 

「ダン、アレは?」

 

「アレ? あぁ、アレですか。アレはマスターの恩人へのプレゼントですよ。後二、三日すれば完成します。俗に言う霊刀と呼ばれる物です」

 

私は陣の真ん中で、水に浸されている刀身だけの刃を見て。綺麗だと思った。

その後、この工房が実は山の中に在る事や、鍵と呼ばれる物や登録していない人が侵入するとトラップが発動する事教えてもらった。

魔術という物に、今まで以上興味が沸いてきた。

 

 

 

 


あとがき

ども、就職活動が思うように進まない・・・と嘆くBINです

就職の為に、今更ながら資格を取る事を決めました。只でさえ更新遅いのに、更に遅くなりそうです。御免なさい

 

アリサとの話は、外伝収録予定でしたが此方に移しました。出だしだけ書いていたのが個人的に吉と成ったなと、自分では思っていますが・・・如何でしょうか?

なんとなくですが、アリサがfateの凛っぽいですが・・・果たして彼女の目的は果たされるのか?

フェイトは工房見学。魔術について更なる興味が出てきたようです。

士郎はなのはと敵対関係で在る事を知ったようです。

 

それでは、また次回で・・・かな? 之より↓は作者の妄想具現化です。本編とは全く関係ないです。気になる方は読んでやってください。

 

 

ガタガタと荷物を乗せた車が走る。荷台から顔を出した少女が外を見ながら、運転する男に言った

 

「父ちゃん!! 海だ!! 海が見えた!!」

 

「そうか・・・なら、もう少しで付くぞー。危ないから顔は車内に戻すように」

 

「ラジャ!!」

 

車の中に頭を引っ込めた少女を見ながら、男は微笑した。男は車を運転しながら、思う。いまさらながら、いろんな事が在った物だと。

思い出せば、少女と会ったのは一年とチョット前。最初は五歳かと思っていたが、改めて年を聞くと。指を四本立てて「五歳!!」と言う少女のフェイントに突っ込んだ事を思い出した。

その後も日本の実家に戻れば、虎や妹分の誤解スパイラルに巻き込まれて痛い目に遭うし・・・・・

しかし、一番驚いたのは。あの戦争の最中で死亡した筈の悪友が生きていた事だろう。しかも改心していた・・・・今では義娘であるよつばに「シンディー」と呼ばれる好青年だ。人生何が在るか判らない。

 

「父ちゃん・・・アイス食べていいか?」

 

「ちょ!! まだ食べてなかったのか?!」

 

アイスを買ったのは、一時間以上前である

 

「なんかブヨブヨする」

「開けるなよ? 開けたら今日はハンバーグを作りません!!」

「あーなんか漏れてる?」

「開けたのか? 開けたんだな!! お願いだから、飲もうとするな!! 後で買ってあげるから!!」

「ガリガ○君か?」

「アイスを溶かしちゃう子には、あず○バーです!!」

「それは硬いなー」

「ちゃんと歯を磨くんだぞ?」

「おう!!」

 

やはり、娘には甘くなるのか男親。そんな、彼等は引越し中。

 

引越し先は・・・・・・・海鳴市という

 

それから、三十分程すると目的の場所に着いた。一戸建て庭付きの家は作られたばかりに見える程、手入れがされていた。

世界中を走り回った時に、自然と付いてきたのは悪名と金銭。家を一つ買っても大して懐は痛まなかった

 

「それで、何故にお前が居るんだシンディー」

「手伝いに来てやったのに酷い言い方だなぁおい」

「おー!! シンディー!! 今日もわかめだな!!」

「わかめ言うな!! 」

 

あはははははと笑うよつばに、怒気など微塵も無く言う慎二を見て士郎は思う。変わったな・・・と

 

「それじゃあ、大きい物から運ぶか」

「任せた。僕はよつばと小物を運ぶ」

 

手伝えよ

 

「お隣さんへの挨拶は・・・明日で良いか」

 

蕎麦でも打つかと言い。衛宮士郎は、タンスを抱えた。

 

「ありゃ? お隣さん? 」

 

ソコにはサイドポニーの女性が、スーパーのビニール袋片手に金髪でオッドアイの少女と手を繋いで遠巻きに、士郎達を見ていた。

 

「あっ、ヴィヴィオと同じくらいの子もいるよ? お友達になれるかなぁ」

 

手を繋いでいた少女に女性がそう聞くと

 

「成れるよ!! だってなのはママの娘だもん!!」

 

そう、と笑い。女性と少女は歩き出した。ソレが彼と彼女の出会い。最初の言葉は・・・

 

「すみませーん!!」

「はい?」

 

「私はヴィヴィオって言うんだ。あなたは?」

「私か? よつば!! 衛宮よつば!! お前、外人だな?! だったらよつばと仲間だ!!」

 

 

 

よつふぁて!!

新たな出会いは幸せへの道しるべ?

 

 

続いちゃった・・・・・テヘ♪

アリサ「気持ち悪いわぁぁぁぁぁ」

オゴォ!! 急に出てきて何?! 呼んでないし!! 

アリサ「五月蝿い!!」

ひぃ!!

アリサ「続けて如何するの? オマケ続けて如何する気なの? ちゃちゃと本編、外伝書きなさい」

うぅぅ〜・・・・・少し時間を・・・・「却下!!」・・・鬼!!

アリサ「へ〜・・・一応今回はここまで。次回をお楽しみにしてください。それじゃあ・・・・ちょっと作者。こっち来なさい」

アリサさん?! コメカミに指がめり込んでて痛いのですが?

アリサ「大丈夫・・・・スグニナニモカンジナクナルワ」

や!! ちょっと待っ!! ぎぃぃにゃぁぁぁぁ!!





おお、今回もまたおまけとの二本立てだよ。
美姫 「豪華ね」
うんうん。ありがとうございます。
さて、本編の方だけれど、士郎に接触してきた少女や、アリサとの過去だったな。
美姫 「この少女との取引が、この後どう関係していくのかしら」
いやー、次回も楽しみだな〜。
美姫 「次回も待ってますね〜」
ではでは。



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